転生したら転性した挙句に篠ノ之箒に成っていたISプラス2期   作:銭湯妖精 島風

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番外編 勝手にクロス 箒が本気出してみる

 

 

 

ある晴れた真夏日の昼、私は自分の研究室で与えられた改修発案(しごと)をしている

 

恋人とはいえ流石に機密の事もある為、一夏にはアキヒロとマドカを相手に鍛錬をして貰っている

 

「・・・・何処を変える、か」

 

アクアビットが販売している量産機の強化改修の案を考えているのだが、私が直ぐに思い付く案は既に採用 又はボツになった案ばかりで全然思いつかない、幸い納期まで余裕があるのが救いだろうか?

 

「失礼します・・・またですか?箒様」

 

落ち着いた性格のクロエに相応しい控え目のノックをして今日は姉さんが買い与えた深窓の令嬢の様な装いで入室してきて私を見て呆れた様子で言う

 

 

「煮詰まると逆立ちしたくならないか?」

 

私は逆立ちしたままクロエに尋ねる

 

「ありません」

 

やっぱりクロエは私に懐いてくれない、解せぬ

 

「わざわざ此処に来たなら用があるのだろ?なんだ?まさか3人目の男性搭乗者が出たとかじゃないな?」

 

「束様がお呼びです、なんでも新しい装置の実験を手伝って欲しいとか」

 

私の渾身の冗談を華麗にスルーしクロエは要件を告げる、それを聞き少し嫌な予感がしたが行かないと姉さんが拗ねるので逆立ちを辞めて服を整え

 

「そうか・・・どんな装置か聞いているか?」

 

「物資搬送の為の装置、と」

 

物資搬送と言う事は本格的に宇宙開発計画を始動させるつもりなのだろう

 

そもそもアクアビットは姉さんの夢を叶える為に作られた企業、社長を含む上層部は姉さんの夢に賛同した いわば同志の様な者

 

今回姉さんが造った装置の実験が成功すれば計画の第一歩に充分だろう、成功すれば

 

そんな訳で珍しく社外に出る用事が有ると言ってクロエは去って行き、私は姉さんの工房へ向かう

 

数分で到着して中に入ると私が半分趣味で作ったGPベースの様な装置が2つ並んでいて姉さんが配線を弄っていた

 

「姉さん」

 

「あ、待ってたよ箒ちゃん」

 

私が声をかけると姉さんは作業しやすさ優先の作業服を着ていて振り返りニッコニコ笑む

 

その表情を見て更に不安になったが我慢し

 

「で?実験をするとかクロエに聞いたのだが・・・まさか」

 

先程まで姉さんが弄っていた装置、物資搬送とクロエが言っていた装置は間違いなく目の前にあるGPベースの様なコレだ

 

そう考えると自ずと目の前の装置が、どの様な装置か予想が出来る

 

宇宙開発で1番厄介な事、それはシャトルの開発でもステーションの開発でもない、ステーションを建設する為の材料やステーションでの生活をする為の物資を宇宙へ輸送する事だ

 

物資を量子化してバススロットへ格納出来て安全性や成功率が高いISの登場で様々な不安要素が多いシャトルやロケットの打ち上げは減り結果、コストが下がったがISのバススロットの容量は些か心許ない

 

さて量子化とは特殊なデータへ変換する事だ、なら特殊なデータをやり取り出来る物を作れば良い、銀河単位でタイムラグ無しの通信技術を開発した大天才が思いつかない訳がない

 

「・・・物資を転送するのか?」

 

恐る恐る姉さんに尋ねると嬉しそうに笑みサムズアップして

 

「理論上は生物、つまり人間も転送可能だよ」

 

ISという世界を変えてしまう発明をゼロから作り上げた姉さんが中途半端な物を作る訳がない

 

資材、食料、空気、そして人の全てを転送出来る装置を製作するに決まっているのだ

 

「そ、そうか・・・それで?私は何をしたらいいんだ?」

 

装置をパッと見た感じ完成している様に見える、今更 私程度の手を借りる必要は無いので尋ねる

 

「いやぁ必要なエネルギーが足りなくてさぁ〜、お願い」

 

語尾にハートが付く感じで姉さんに頼まれた、我が姉ながら あざとい

 

 

「仕方ないな、全く世話のかかる姉だ」

 

少し芝居掛かった仕草でわざとらしく言い紅椿を装着する

 

「ありがと〜、はいコレ」

 

ニコニコと笑み姉さんは私にコンセントらしき物を渡し、私は受け取って背部にある隠し腕(インコム)で持つ

 

壁役(タンク)の真後ろが1番安全に絢爛舞踏でエネルギーを回復させられるが、絢爛舞踏の欠点は触れないと回復させられない事なのでタンクしながら回復させる為にインコムがある、まだ戦闘で使ってないけども

 

そんな訳で絢爛舞踏を発動させてエネルギーを送り込むと装置がウィーンウィーンと如何にもな音を出し始めて起動する

 

「やっぱりISのエネルギーじゃなきゃダメかぁ、ん〜」

 

いつも天真爛漫を絵に描いたような姉さんが真面目な表情で唸り

 

「とりあえず第1段階はクリアしたしエネルギー関係は後回しにして、第2段階の実際に転送出来るかを試そう」

 

そう言い姉さんは工房に有ったスパナを装置の片方に置き私の背後に回る

 

「・・・やっぱり失敗した場合、爆発するんだな?」

 

「てぃぇへっ☆」

 

アクアビット内随一の防御力を誇るのが紅椿だ、零落白夜以外なら防ぎきれる自信もある、それこそラザフォード場すらも

 

まぁフェストゥムのワームスフィアを防げるのだから多分防げるはずだ、多分

 

そんな訳でイージスを起動して念の為にリミッターを外し出力をミリタリーにしておく

 

「怖いから聞きたくないが、聞かないと動けないから聞くが・・・失敗した場合の被害は?」

 

私が恐る恐る尋ねると姉さんは

 

「ん〜装置が爆破して半径10mが吹っ飛んで余剰エネルギーが暴走してランダム転送されるかな?そしたらゴッソリ無くなっちゃうね!」

 

とヘラヘラと笑う

 

イカン、姉さんはまた徹夜を繰り返して最高にハイの状態に有るらしい

 

ともあれイージスは最強の盾、信じるしかない

 

「はい、じゃスタート」

 

空間投影されたボタンを姉さんが押すと装置の天板が光り始めスパナが量子化し始め、装置がスパークし始める

 

「姉さん、放電してないか?」

 

「ん〜放電してるねぇ?おかしいなぁ」

 

そう言い姉さんが強制停止ボタンを押すが装置は止まらない、直ぐにコンセントを離すが残留エネルギーで装置は暴走し始める

 

「姉さん退避してくれ、イージスなら密封して被害を最小限に出来るかも知れない」

 

「う、うん。お願い」

 

後ろで姉さんが退出したのを見てフェストゥムを密封する容量でイージスで装置を密封すると装置が限界を迎え閃光を放ち思わず手で顔を庇うが視界が真っ白に染まり数秒後、漸く閃光が収まって手を戻すと明らかに姉さんの工房ではなく、屋外 しかも空の上に立っていた

 

「・・・一夏に怒られるな」

 

密封していた筈の装置の姿が無いのでイージスを格納し少し憂鬱になる

 

私の愛する一夏は怒ると怖い、とても怖い

 

怒られるのが怖いからと帰らない訳にも行かないのでコアネットワークを利用したGPSの様な物を使い現在位置を確認する

 

すると付近にISの反応を多数検知し、敵味方識別(IFF)を見ると白式と甲龍、そしてアンノウンと表示されていて現在位置はIS学園上空だった

 

「訳が分からん、一夏はアクアビットにいる筈だが・・・」

 

「一先ずアンノウンを倒しなさい箒、そうすれば道が開かれるわ」

 

久々に現れた乙姫が言いアンノウンがいる場所を指差す

 

「・・・信じるぞ乙姫」

 

私は乙姫を信じて降下を開始し、直ぐに見えたアンノウンの姿を見て頭が痛くなる

 

「よもや、お前に出会うとはな・・・会いたくなかったぞゴーレムI 」

 

 

ゴーレムIには悪いが色々とフラストレーションが溜まっているのでイージスを起動し前面を防御して背部 及び 腰部展開装甲を展開しマルチスラスターにして加速、ゴーレムI が開けた穴からアリーナに侵入してセシリアを跳ね飛ばした時以上のスピードでゴーレムI にブツかりアリーナの壁にゴーレムI を埋めてイージスを操作しゴーレムI を拘束する

 

「何をポカンとしている、早く先生達を連れてきてくれ。持久戦は得意だが早く終わらせるに越したことないからな」

 

「お、おう」

 

突然現れた私に驚いて棒立ちになっていた2人に言うと一夏・・・男の織斑一夏が返事をして通信で会話し始める

 

「ちょっとアンタ、専用機持ってた・・・アラ?今朝会った時より髪伸びてない?気のせいかしら」

 

そう鈴が自問自答を始める、そりゃそうだゴーレムI の乱入は四月〜五月の出来事、対して私は数ヶ月後の夏休み中なのだ そりゃ髪伸びるさ

 

「気のせいではない、私は篠ノ之箒だが お前の知る篠ノ之箒ではないからな。説明も難しいが私は違う世界の住人なんだ」

 

イージスで密封しているので抵抗も出来ないゴーレムI を姉さん直伝の技術を使ってクラッキングして無力化させつつ鈴へ説明する

 

当たり前だがイージスを使用しても両手はフリーなのである

 

「は?意味が分からないわよ、違う世界って何よ」

 

どうも此方の鈴は脳筋らしい、あとキレるのが早い

 

「そのままの意味だ、此方の篠ノ之箒は今頃あそこにいるんじゃないか?」

 

アリーナの放送室辺りを指差して鈴に言い

 

「おい織斑一夏、先生達はまだか?」

 

「今急ピッチでハッチを開ける作業をしているらしい、しばらく待ってくれって言ってるぞ?箒」

 

話しかけられて少し焦った様に説明する一夏に

 

「・・・私は確かに箒だ、だが お前とは初対面だ。お前に呼び捨てにされるのは些か引っかかる所があるし、此方にも箒がいるしから混ざるぞ?まぁ私の預かり知らぬ事だから構わないが」

 

ゴーレムI を完全に無力化を完了させて一夏に言うと、流石に戸惑った表情をしていた

 

正直、私は原作一夏が好きでは無い。嫌いって訳でもないが

 

同情する余地は有るが、彼の言動は正しいかもしれないが正しいだけだ、感情的になる事も多いし何より言葉に対して態度が追いついていない

 

何より、私には可愛い大天使一夏ちゃんがいるのだから

 

「さて、ゴーレムI の無力化も済んでしまったし、暇だし説明をしておくとするか」

 

投影されたコンソールを操作して管制室と会話を同期させる

 

「では改めて、私の名は篠ノ之箒。所謂 別世界の箒です、更に言えば数ヶ月先の未来から来ました。放送室辺りに此方の篠ノ之箒がいると思いますので確保するならご自由に」

 

同期した事で管制室の声も聞こえてくる訳だが、少し騒めいている

 

「・・・俄かには信じがたいが、その様だな」

 

私からしたら大分珍しく戸惑った声色の千冬さんの声が聞こえる

 

「一先ず、このアンノウンは私が無力化しましたので安心して下さい。序でに逆探知もしてみましたが逃げられてしまいました」

 

途中で気付いた様で追えなくなってしまった、流石は篠ノ之束と言った所だろう

 

ゴーレムI って自爆装置なんて付いてないよな?付いてたら嫌なんだが

 

 

「はぁ・・・おウチに帰りたい」

 

私の一夏に膝枕して甘えたい、癒されたい、最終的にはイイコトしたい

 

泣けるぜ

 






この期に及んでコレを書いてしまった

相当ストレスが溜まった様ですw


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