星河スバル(偽)の戦闘録   作:星屑

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この世界に、神は居ないっ!(ラ・ムーから目を逸らしつつ)
というわけで、転生・憑依モノによく出てくる好好爺だったり、チャラかったり、ロリだったりするような超次元的な『神』はこの作品には出しません。
だってワンパターンなんだもの。


10

 ーートラック事件の前日ーー

 

「ねぇ、ロック。さっきから妙にソワソワしてるけど、どうしたの?」

 

「オイオイ、どうしたの?は、ねぇだろう!?せっかくスゲェチカラが手に入ったんだぜ、早く試してみたくならないのかよ!」

 

 ああ、そういうこと。ボクはゲームのベルセルクを知っているから、何が出来るかわかるけど、ロックはそうじゃないんだよね……ゲームではオーパーツを飲み込んでいたから、ベルセルクの意識に説明を受けていたんだっけ。

 

「うん、そういえばそうだね……そうだ。今日の行き先が決まったよ、ロック」

 

「おう、どこに行くんだ?」

 

 ええっと、水属性のバトルカードを落とすウィルスが出現し、且つ一般人が簡単に行けるトコロ……ドリームアイランドしかないね。

 …………しかもバトルカード『バブルフック』なら単体で敵の行動を封じることが出来る。これから闘うオックス・ファイアに対しては、かなり有効なハズ、だ。

 

「さっき調べたんだけど、ドリームアイランドはどうかな?……ベルセルクは雷を操る能力を持っているから、海岸沿いに出現する水属性のウィルスに相性がいいんじゃない?」

 

「へぇ……いいな、そのドリームアイランドってとこは。……ベルセルクのお試しにはぴったりの場所だぜ!」

 

「うんうん、ロックが気に入ってくれて嬉しいよ」

 

 さて、出発する準備をしないと……

 

「ええっと、ドリームアイランド行きのバスは10時出発だね……」

 

「あと一時間か……」

 

 昨日はホント疲れたからねぇ……誰が倉庫に忍びこんだら人狼に襲われると思うんだよ。

 ……それにこのベルセルクのチカラ。体感では、ロックマンの基本スペックと比べて200%位の出力があったのを感じたけれど、急激に上がった身体能力に感覚が着いていかなかったら意味がない。まずはベルセルクのパワーや感知能力に慣れないと……。

 

 ーー30分後ーー

 

「さぁ、展望台に行くよ、ロック」

 

「ハァ?バス停じゃねぇのか?」

 

「あのね、ロック。ボクは不登校児なんだ。向こうで補導なんてされたら堪ったモンじゃないよ」

 

「なるほどな……だが、今の話と展望台がどう繋がるんだ……?」

 

 鈍いなぁ、昨日のやり口をもう忘れたのか……

 

「人目、ウェーブホール、バスの電脳、フード付きのローブ……もうわかった?」

 

「……まさか、また忍び込むつもりかぁ!?」

 

「今回はバスの電脳だけだよ」

 

「オイオイ……じゃあ展望台ってのは……人目につかない場所にあるウェーブホールから電波変換するためかよ……」

 

「そう、展望デッキの下なら人目に付きにくいし、ウェーブアウトで帰って来たときにだって安心なんだ。あそこには滅多に人が来ないことを 、この3年間で学んだからね」

 

 ……ぶっちゃけ、ウェーブホールの場所って割と死活問題なんだよね。

 電波変換するときは、人目がないことを確認すれば正体がバレることはないんだけど、ウェーブアウトして帰ってくるときは確認出来ないからね……

 

「それじゃあ、ドリームアイランド行きのバスへ、レッツゴー!」

 

「やけにテンション高いな、スバル」

 

 それはさっきまでのロックでしょ!

 

 ーードリームアイランドーー

 

「やっと着いたか……」

 

「これでも、昨日よりはかなり短いはずだよ」

 

 なにせM県S市まで長距離バスで強行軍だったんだ、これくらいはどうってことないはずだけど……?

 

「わかってはいるがよ、同じ景色をずっと見てるってのは飽きるんだ」

 

 ああ、バスの電脳内部の景色っていえば確かに動く壁紙みたいなモンだから、ロックには飽きちゃうかな……

 

「そっか……じゃあ今度は、土曜日か日曜日にバスに乗って景色をゆったり見ながら来ようか?」

 

「そりゃあ、いいぜ!ダルい長旅も楽しめるってモンだ!」

 

 うんうん、相棒が元気そうでよかったよ。

 ……今日はカニ狩りじゃあ!

 ……駆逐してやる!一匹残らずだ!

 

「狩り尽くすと資源がどうたら、テレビでやってたぜ?」

 

 わかってない、わかってないよロック!というか心の中を読まないで!

 

 

「ロック……これからボクたちがするのは、ウィルスバスティングなんだよ?・・・誰に咎められるって言うのさ!」

 

「それもそうだ!スバルは冴えてるぜ!」

 

 ガッハッハッハと笑うロック。

 そんなことで誉められても困るんだけど……

 

「よし、じゃあ行こうか……あ、メットリオ3だ」

 

 

 そういえばドリームアイランドってかなりストーリー後半にならないと行けない場所だっけ……

 

「オイオイ、ここのウィルスのヤツら結構手強いぞ!?」

 

「それはこの近くにゴミ集積所があるからだね……いろんなところからゴミが集まってくるから、当然ウィルス入りのヤツも混ざってるってことさ…………ッ!」

 

 

 おっと、危ない!

 …メットリオも3ともなると、ショックウェーブもかなり早くなっている!幸いにしてまだ一体だ。仲間を周りをうろついているだろうウィルスどもに気づかれないよう、静かに倒す……!

 

「(シッ!)」

 

 軽く前傾姿勢になりながら、足音が響かないように注意してメットリオ3に走り寄る。

 …迫るショックウェーブをシールドで方向をズラすことを念頭に置き、優しく包み込むように受け、流す。メットリオ1と共通なのか、ウェーブロードに突き刺したピッケルを抜こうとしているメットリオ3に、すれ違い様、左腕に展開したワイドソードで切りつける。

 ワイドソードを振り切ったまま、細かくステップし体制を整える。ウェーブロードからピッケルを引き抜いたメットリオ3の、輪郭と目玉しかない顔が心なしか動揺しているのを感じとりながら追撃のロングソードで斬り裂く……。

 

「フゥ……。一撃じゃ削り切れないな……」

 

 デリートに成功して、飛散したメットリオ3からグランドウェーブ3のバトルカードのデータを入手したことを確認し、静かに走り去る。

 

「オイ、スバル。目当てのウィルスはどんなヤツなんだ?まだ余裕そうだが、今のバトルカード群じゃここのウィルスにはパワーが足りないぜ……そのうちジリ貧になっちまう!」

 

「……目当てのウィルスは、カワニガーっていう黄色いカニ型の形をしていて、横歩きをしながらバブルを放って攻撃してくる厄介なウィルス……バブルに当たると泡に包まれて身動きが取れなくなるってティーチャーマンが教えてくれたんだ」

 

 困った時のティーチャーマン……なんかごめんよ……

 

「そうか……なら、ベルセルクで暴れてみるか?」

 

「ダメだよ、ロック。あれは負担が大きいんだ……少しずつ慣らしていかなきゃ体を壊しちゃうよ」

 

「だが、それならどうする?」

 

「カンタンさ……まともに闘わなければいいんだよ」

 

 ーー10分後ーー

 

「オイ、スバル!いつまでこんなところに隠れてるつもりだ!」

 

 ボクたちは今、ドリームアイランド内を巡回しながら掃除しているロボットの電脳の中にいる。さきほどからロボットのカメラの映像を通してウェーブロード上のウィルスの動きを探っているが、早くもロックが痺れを切らしたらしい。

 ……とても合理的な作戦なのに……

 

「まぁ、まってよ、そろそろ来る気がするんだ……………………っ!ホラ!」

 

 ウェーブロード上を悠々と横歩きで闊歩する、あの黄色い体色、なぜか少し細められ、眠そう、人によっては嫌らしいと感じてしまうようなあの瞳……まさしく、カワニガーだッ!

 

「目標のウィルスが現れた……行くよロック!」

 

「オイ、いきなりベルセルクかよ!?」

 

 そう、ベルセルクのカードを読み込ませ、変身を完了。

 …電脳世界からウェーブロードに飛び出し、背中に装備されたベルセルク専用の大剣でカワニガーに斬りかかる!

 リザルトでバブルフック2を手に入れたボクは、早速発動し周りのカワニガーもバブルに包み込んでいく……

 ……自分の攻撃で身動きが取れないなんて……

 ……ねぇ、今どんな気持ち?ねぇ!?

 

「ハアァァァッ!!」

 

 カワニガーたちを包んでいるバブルが割れ、自由を取り戻す前に斬り裂いていく……

 まとめて、オダブツッ!(焼け野原ひろし感)

 

 

 

 その後も、ボクたちは電脳世界に入っては奇襲し、入っては奇襲を繰り返して目的のバトルカードが手に入ったところで意気揚々と家に帰ったんだ。

 ……ロックが少し拗ねちゃったんだけど……

 デリートされないためとは言え、FMプラネットの戦士としては結構辛いらしい。そこで今度からはちゃんと戦闘することを約束して、ボクたちはそこそこに忙しい今日を終わったんだ。

 ……ところで、ロックが変な子を見かけたらしいんだけど……異質な孤独の周波数を放っていた子供らしい。まるで発生源が、二つあるようだ、とはロックの弁。

 

……それってもしかして……?

 

 




今回はオックス・ファイア対策回。
初っぱなからベルセルクを使わない理由の説明回でもあります。
前話では、変身後速攻で『サンダーボルトブレイド』を使っていましたが、本来はKFBなんて使えないので、相応の負担をスバルに与えてこのチカラを発揮しています。

短くてすいません!オリジナルの話は構成が難しいですね……

このスバル君、ストーリーの流れに何となく沿っていれば、FM星人と闘えるんじゃないかと、密かにテンション上がってる戦闘狂(微)です。

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