星河スバル(偽)の戦闘録   作:星屑

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 ーードンブラー湖面の電波ーー

 

 ここでブラキオ・ウェーブについて少し、考察してみようと思う。電波体にしてはかなり巨大な部類に入ると思われるその体は、水中での活動に特化しているということを、否応にも理解させられる。

 ……というか、ボク程度の体躯なら簡単に丸飲み出来てしまいそうだ。怖い。先ずはぱっくんちょされない程度に距離を取るべきか。向こうはあまり長く水面下に潜りたくないようなのだから。何せ、カメラ映りが悪くなるからね!

 

「じゃ、いくぞ!……ブクボン!」

 

「了解、ブク!」

 

 こちらの意図を汲み取った潜水マシーンのブクボンが、全速力で動き出す。離れすぎない程度の距離を意識しているらしく、ブラキオ・ウェーブの周りを回転するように距離を取ってくれる。

 ただ、今のボクはブクボンの上に支え無しで乗っているようなものなので……

 

「……うわっ、うわわわっ!?」

 

「オ、オイ!……大丈夫かよ!?」

 

 何せ全速力だ。激しく揺れる。湖底ではブクボンの背中に付いている取っ手を掴んでいたので、今は不安定でしょうがない。クソッ、こんなんでまともに戦闘なんか出来るワケが……ッ!

 

「ッ!?」

 

 ……もたついている間に、ブラキオ・ウェーブを見失ってしまった。……どうやら水面下に潜ったらしい。一体何処から……いや、直下に巨影!?……まさか!?

 

「……オラァッ!」

 

 デマキューの雄叫びと共に、水面下から巨大な顎を開いたブラキオ・ウェーブが飛び出してくる。ヤバい、避けられるタイミングでも……無い!

 ……こうなったら!

 

「…………ブクボン、ゴメン!……タァッ!」

 

「……ご主人!メンテナンス代は、高くつくブクよ!」

 

 唯一の足場であったブクボンの背から跳躍し、展望台の壁面に着地する。ずり落ちないよう、突起物に手を掛けるのも忘れない。

 

「な、なんとか助かった……」

 

「ああ、だがヤツ(ブクボン)は……」

 

 ブラキオ・ウェーブの噛み付き技『アクアファング』によって噛み砕かれ、データの塊となってボクのスターキャリアーへと収納される。こうなってしまっては、天地さんにでも頼まない限り、再びマテリアライズすることは不可能だろう。

 ……ホント、ゴメン!

 

「…………ん?歯応えが消えた?……いや、マテリアルウェーブか。オイオイ……罪の無いマテリアルウェーブに、この仕打ちはちょっと酷いんじゃねーのぉッ!?」

 

 コイツ……ここぞとばかりに煽ってやがるな……!?

 挑発は万死に値すると、ボクはそう決めている!覚悟しろよ……もう、電波変換を強制解除させるくらいじゃ、許さんからなッ!絶対にだ!

 

「水面がダメなら……水上だ!マテリアライズ!スカイボード!」

 

 素早くヘッドパーツからスターキャリアーの画面をエア・ディスプレイで呼び出し(電波体はブラウズと叫ぶ必要がない)、マテリアルウェーブの欄を開く。

 スカイボードのマテリアルウェーブ、スタンバイ!

 

『……おっと!中々珍しいコトもあったもんだ!だがオレのノリは、何時でもクライマックスだぜ~ッ!』

 

 久しぶりにマテリアライズしたスカイボードの『オーリー』は、以前と変わらぬノリを見せてくれた。正直怪物相手もいいとこだから、ビビってしまうかもと思ったけれど、このノリの良さはありがたい!

 

「……よっ、と!」

 

 壁面でマテリアライズしたため、浮遊した状態での登場だ。慎重に展望台の突起物から手を離し、スカイボードの上へと着地する。やはり乗ることを前提に構築されているせいか、抜群の安定感だ。……これなら!

 

「いくぜスバル!オーリー!」

 

「ロックこそ!……乗り遅れないでよォッ!」

 

「おお~ッ!いいねぇ!この、二人で一人ってノリ!最ッ高に上げまくるぜ~~ッ!」

 

 どうやらアクセル/ブレーキを定める明確な決まりは無いようで、意識すればするほど上昇・加速が可能だが、冷静になり過ぎると出力まで下がってしまうらしい。

 ……要はノリで動かせってことだ!今のボクには、おあつらえ向きの仕様なんだよッ!

 

「上、が……れェェェッ!!」

 

 心臓の鼓動(ビート)に従い、スカイボードは高速で上昇していく。どうやら垂直に上昇するよりも、滑るように少しずつ上昇していく方が得意らしい。

 ……サーフボードがモチーフの、オーリーらしい特徴だと思う。

 

「ヒューッ!!コイツはスゲェッ!」

 

 海上百メートル程まで上昇し、一旦停止する。これ以上離れると、向こうに戦闘を放棄したと判断されそうだ。それに離れすぎると、こちらの攻撃も当たらない。

 

「ブラキオ・ウェーブの位置は…………ッ!」

 

 索敵をしようとした所に、急浮上してマヒ効果を含む厄介な技、『サンダーブレス』を吐いてきたので高度を調節し、シールドで防ぎきる。電子機器の類いに対して、高圧電流のサンダーブレスは致命的過ぎる!

 

「チッ、流石に当たっちゃくれねーか……だが、そっちの攻撃も当たらないんじゃ、意味ねぇぜッ!」

 

「確かにこれじゃ、ジリ貧だ……」

 

 あんまり焦らすと、降りてくることを条件に再び津波を引き起こしかねない。オーパーツのチカラをもってしても、一人でカバー出来る範囲には限りがある。それに、庇ったら庇ったで、マヒ付与のサンダーブレスによる狙い打ちは免れないだろう。

 

 ……なら、やはり短期決戦しかあり得ない。というか電波体の戦闘って、大体が短期決戦なんだけどね。3で行ったバトルウィザード大会で、アシッドが全バトル5秒以内に終わらせていたけど、ぶっちゃけ正面からやったらそんなもんだ。回りくどくやっても、2~3分が関の山だ。

 

「……よし、それじゃあ突貫する!」

 

「オ、オイ……マジか!?」

 

 マジもマジ、大マジさ!クロスレンジさえ避けられればこんなヤツ、どうってことないだろう。サンダーブレスと、戦闘用にスケールダウンした『ゲキリュウウェーブ』にだけ気をつけていればいい。

 

「うおぉぉぉっ!!」

 

 牽制にマッドバルカン2を撒き散らしながら、滑るように降下していく。半身になりながらのバルカン連射なので、中々のバランス感覚を要求される。まぁ余裕なのだけれど。

 

 ブラキオ・ウェーブの首辺りの高さまで降下した(のち)、遠距離系のバトルカードを中心に攻めていく。ベルセルクはまだ、温存するべきだ。あからさまに電気タイプですよ、と言っているようなものだからね。

 スパーキングギガボルトを前にしたオレンジ色のラプラスは、マッハで水中に引っ込まざるを得ないのである。Zワザ怖い。

 

「コイツ……ちょこまかと動くなっつーのッ!」

 

 連続して放たれるサンダーブレスを、スカイボードらしく空中を滑るように回避する。こりゃ、ヤバいな。楽しすぎる。一発当たったら、マヒからのコンボ食らってジ・エンドのデスゲームなんだけどね。

 

「ヒューッ!!コイツはヤベェ!」

 

 オーリーもノリノリでサポートしてくれているのがわかる。微妙な位置操作はオートでやってくれる仕様らしいけど、戦闘機動に対応出来るのはさすオリとしか言いようが無い。

 

 それにしても……さっきから結構な数の砲撃を叩き込んでいるのだけど、巨体故のタフネスなのか一向に乱れる様子がない。ディレクター稼業で培った、演技力()なのかもしれないけどね。人はそれを、痩せ我慢とも言う。

 

「このッ!……調子乗んなっつーのォッ!!」

 

 ブラキオ・ウェーブの爬虫類然とした目が見開き、海中から前足と思わしきヒレを引き上げる。どうやら件の戦闘用にチューンされたゲキリュウウェーブらしい。

 ヒレの動きに合わせて、電波体にもダメージを与えうる特殊な津波を発生させる。どうやら、津波自体に微弱な電波を纏わせているようだ。

 

「ッ!オーリィィッ!」

 

「ラジャァァッ!コイツはオレのマテリアルウェーブ生、最大のビッグウェーブだぜェッ!」

 

 タイミング・位置的に回避は不可能と踏み、迫り来るゲキリュウウェーブの流れに乗るようにスカイボードを滑り込ませる。電波体に干渉しやすい性質を逆手に取り、流れに飲み込まれないようオーリーと協力して角度・姿勢を微調整し、ゲキリュウウェーブの範囲外を目指して爆走するッ!

 

「うおぉぉぉっ!!……抜けたァッ!」

 

「スゲェ!スゲェぜスバル!コイツは南国のおっさんに自慢出来るかもな!」

 

 確かに。南国さんが乗ったという、十年に一度のビッグウェーブとどちらが荒波か、比べてみたいもんだ。まぁ、これは星河スバルの戦績ではなく、ロックマンとしての戦績になるのだろうけど。

 

「おっさん……まだお兄さんだよ、多分」

 

 正直南国さんって一体幾つなのだろうか。見た目はそこそこ若そうに見えるんだけど……っと、まだ戦闘中だった。気を抜くのは早い。今はサーフィンをしている場合じゃないってのに!

 

 取り敢えず、そろそろ決着を着けないと!なりふり構わなくなった汚い大人程、子供にとって恐ろしい相手はいないんだよ!

 

「オラァッ!」

 

「……ッ!(雷撃の威力が落ちてきている……つまり、弱ってる?)」

 

「(それはありそうだ。いや、大技を出して疲労が溜まってるって線もあるぜ)」

 

 どっちにしろ、今がチャンスってことに変わりはない。あくまで予測が当たっていれば、の話だけど。

 

「よし、一か八かだ。……ここは一気に仕掛ける!」

 

「おう!」

 

 まずは、湖面数十センチまで高度を下げる。決定力のあるベルセルクも、警戒されちゃあ意味がない。出来るだけ悟られないように……

 

 前方のブラキオ・ウェーブがサンダーブレスを放った後の隙を晒したことを確認し、爆発タイミングを調節したヒートグレネードをドンブラー湖の澄んだ湖面へと投擲する。当然、ブラキオ・ウェーブとボク達を結んだ直線上への投擲であり、向こうが巻き込まれないギリギリの場所へと着弾したヒートグレネードは、名前負けしない爆発を引き起こしてくれた。

 

「爆発ッ!?一体なんだっつーの!?」

 

 爆発により発生した大量の水飛沫と、グレネードによって散布された爆煙が、一時的に辺りを埋め尽くす。これで視界は潰れたはず。

 

「(……真・血族内包(トライブオン)!……ベルセルク!)」

 

 声でバレても間抜けなので、小声でロック(と、一応オーパーツに)合図しトライブオンを完了させる。

 後はこのまま、フルスロットルで突っ込めばOKという寸法だ!疲労で注意力が散漫な上に爆煙と水飛沫に紛れて反応が鈍るので、超高速で接近してのKFBには対応出来ないだろう。多分。

 

「(うおぉぉぉっ!!)」

 

 最短距離を、一気に突っ切らせてもらう!

 

「……ッ!な、なんd……」

 

 向こうが困惑している間に、スカイボードの勢いそのまま長い首へと、すれ違い様に斬撃を叩き込む。痛みで仰け反ったことを確認し、オーリーから飛び降りて悶えるブラキオ・ウェーブの背中へと着地する。フゥ……潜水マシーンとは安定性がダンチってヤツだ。

 ……アンタがぶっ壊したブクボンとはなァッ!

 

「サンダァボルトッ!ブレイドォッ!!」

 

「ギャアァァァァァァッ!!」

 

 痛みに嘆くブラキオ・ウェーブの無駄に長い首に、最大出力で刀身を伸ばしたベルセルクソードを横に往復一回、斬りつける。最後に特大の雷撃を頭部に落とし、超過ダメージによってデマキューの電波変換が解除される前に、急いで待機していたオーリーへと飛び移る。

 

「……よっと。助かったよ!ありがとね、オーリー!」

 

「気にすんなよベイベー!こっちこそ、最ッ高のビッグウェーブに乗らせてもらったんだ、お礼を言いたいくらいだぜ!イエ~イ!!」

 

 よかった。突然の戦闘利用にも怒ってはいないらしい。よく考えると、マテリアルウェーブっていいヤツばっかりだよな……ヤエバリゾートのテーブルは除くけど。

 何だよ、モノを乗せたら呪詛を吐いてくるって!

 

「オ、オゲェェェェーーーーッ!!!」

 

 ブラキオ・ウェーブの体を構成している電波が、蓄積したダメージによって耐えきれなくなり、崩壊していく。電波変換が解除されたことを示す閃光が晴れた先には、広大なドンブラー湖で必死に犬掻きをするデマキューの姿があった。お、泳げなかったのね……

 

「うひゃぁぁぁっ、たたた、助けてくれぇぇっ!!」

 

 

 

『おい、あれ……ミステリーワールドのディレクターだぜ!?』

 

『本当だ!……ってことは、まさか!』

 

『あの「ドッシー」は、番組のヤラセだったのか!?』

 

『な、なんてヤツだ!!オレ達をバカにしやがって!』

 

 

 

 ……まぁ、これを期にフィクション系のプロデューサーとして心機一転、ニホンで活動してみてはどうですか?ニホン語もお上手なようですし。……としか言えないな。あまりにも、自業自得の部分が多すぎる。

 

「ひ、ひぃぃぃぃっ!!」

 

「……よし、キザマロを助けに戻ろう!あ、でも潜水マシーンは……」

 

 どうしよう、湖底へ潜る為の潜水マシーンはあの有り様だし……

 

「おうおう、別に短時間なら水中でも動けるぜ?イエ~イ!!」

 

 そう言ってオーリーは、足を固定するためのアタッチメントをマテリアライズする。どうやら多少の追加装備の操作権が、マテリアルウェーブにはあるらしい。

 

「……ホント!?いやぁ、助かったよ……」

 

「お、コイツは放っておくんだな?まぁ、ブクボンの仇ってヤツだしな。……オレも賛成だぜ!」

 

「……流石にそれは可哀想だね。よし、その辺の漂木でも持ってきてあげようっと……」

 

 さっきの津波で流された木材とか、探せばありそうだ。兎に角、デマキューにはもう少し痛い目を見てもらおう。そうじゃなきゃ、ブクボンの魂も浮かばれないよ。別に死んだワケじゃないけどね。

 

「……そっちの方が鬼畜じゃねぇか!?」

 

 

 ーー数時間後ーー

 

 展望台の入り口では救助されたデマキューを問い詰めようと、多くの野次馬達が集まっていた。当然、現場に居合わせたカメラマンの姿もある。

 カメラが●RECになっているのは、今まで散々やってきたことの因果応報なのかもしれない。

 

「だ、だから……これはその……オイ、何映してんだ!!カメラを止めろっつーの!!」

 

 

 

 ーーその、少し離れた場所で……

 

「ホント、無事で良かったわ……」

 

 潜水艦から無事に救出されたキザマロと再開した委員長はまず、叱らずに心の底からの安堵を漏らした。まぁ、これが委員長クオリティだよね。カッコいいです。

 

「う、う、う……うわぁぁぁぁん!!怖かったですぅぅぅぅ!!!」

 

 委員長に心配されて気が抜けたのかキザマロは、堪えていたものを全て吐き出すように、大号泣を始めてしまった。

 

「もう、いい加減に泣き止みなさい!こうして、ちゃんと助かったんだから!」

 

 口調は怒っているようだけど、その顔は穏やかだ。

 

「う……ひ、ひっく…………いいんちょう……ご、ごめんなさい…………です。ボ、ボク……ボク……ひっく」

 

「まったく…………アンタがあんなに頑固者だったとはね!長い付き合いだけど、全然知らなかったわ!」

 

「えっと……委員長、そのコトなんだけど、実は……」

 

 ーー少年説明中ーー

 

「…………え?何か誇れるモノが欲しかった、ですって……?」

 

 キザマロの事情を聞いた委員長は、何か不思議なモノでもみるような顔になってしまった。まぁ、委員長にとってキザマロは、当たり前のブラザーなのだから、そんなモノを気にするとは思っていなかったのだろう。

 

「うん。キザマロの気持ちもわかってあげてほしいんだ」

 

「…………フン。わからないわよ……そんな気持ち」

 

「…………!」

 

 委員長の、字面だけ見れば心無いとも言える発言に、泣いていたキザマロがピタリと動きを止めた。恐らく、デマキューのコトを思い出しているのだろう。また裏切られるかもしれないって、考えるだけでも辛いから。

 

「何か誇れるモノ?下らないわよ。だって…………ワタシは、今のアンタを大事な友達だと思ってる。……それだけじゃ、不満?」

 

 途中まで言って恥ずかしくなったのか、最後はそっぽを向いてしまった。横顔しか見えないので、赤く染まった頬がよく見えている。

 

「……い、委員長!ご、ごめんなさいです!ごめんなさいです~~っ!!うわぁぁぁぁん!!」

 

「ホラ、泣き止みなさいってば!」

 

 面倒臭そうな顔で泣き止むように促すが、その口元は笑みを浮かべている。いや、うん。ボクもさっきからニヤケ顔が止まらないです、ハイ。

 

「い、いいんちょう……う、う、う……うわぁぁぁぁん!!」

 

 

 ーー30分後ーー

 

 一頻り泣いたキザマロも、漸く落ち着いて早数分。因みにそのポケットは、委員長が差し出したティッシュのゴミでパンパンだ。

 

「落ち着いた?」

 

「は、はい……あの、スバルくん!助けてくれて、ありがとうございました!」

 

 落ち着いたキザマロが最初に告げたのは、今回の事件に対するお礼だった。まぁ、こちらも謝罪よりは気分がいいってモノだ。ボクの都合に付き合わせちゃった感は否めないけど……

 

「どうしたのさ、改まっちゃって……」

 

「ボクは潜水艦で震えているだけでしたからね……でもキミは、危険な敵に、たった一人で立ち向かった。ボクの為に……」

 

「違うよキザマロ。ボクは一人じゃない。今回のコトは、色んな人やモノの助けが無きゃ、到底解決出来なかったんだ。だから、ボクが頑張ったと言ってくれるのは嬉しいんだけど、それは間違っているんだよ」

 

「……そういうところも、ボクは尊敬しているんですよ。謙虚さは大事だと思いますからね」

 

 まるで凪のように穏やかな表情だ。本当に、心からそう思っているのだろう……って、冷静に分析してみたけど……

 

「な、何だか照れくさいなぁ……」

 

「それで……あの、ボクとブラザーバンドを結び直してほしいんです…………けど……」

 

「もちろん喜んで!これからも宜しく、キザマロ!」

 

 そうと決まれば、早速ブラザーバンドの契約だ。結構久しぶりにブラザーバンドを結び直す気がするのは、最近の多忙さ故だろう。ええっと、ここをこうして……こう。よし、完了。

 

「でへへ……これからも宜しくお願いしますです!」

 

「こちらこそ、だよ!」

 

 一通り親交を再確認したボク達を満足そうに見た委員長は、身振り手振りでボク達の視線を集める。どうやら、これからの方針を決めるようだ。と言っても、ニホンに帰るくらいしか無いのだけどね。

 

「さて、と!やっとニホンへ帰れるワケね!帰ったらじっくり話を聞かせてもらうわよ、キザマロ~……!」

 

「ひ!?スバルくんの言っていたことは、やっぱり本当でした!?ひえぇぇぇっ!ゆ、許してくださぁぁい!」

 

「……ジョーダンよ!そ、そんなに怯えなくてもいいじゃないの!」

 

「あはは……」

 

「あ、スバルくんは冗談じゃないわよ?キザマロが言ってた『やっぱり』がどういうコトなのか、たっぷり聞かせてもらおうかしらね……!」

 

 唐突な絶望へのカウントダウンに、ボクの思考は一瞬、完全に停止した。だってこっちに飛び火するとか、普通思わないでしょう!?

 

「え?……嘘!?疲れてるのに、勘弁してよぉ……そ、そうだ!……これは何かの勘違いなんだよ!ね、ねぇ、キザマロ!?」

 

「さて、どうでしたかね……」

 

 途端に眼鏡の位置を調整し出すキザマロ。コイツ、露骨に惚けてやがるな!?ヤバいよ、委員長の顔がどんどん激おこになっていくんですけど!これ、絶対ボクが単体で折檻を受けるパターンだよね!?

 

「ちょっと、ここで裏切るの!?」

 

「スバルくん。……ブラザーなら、言ったことには責任を持ちましょうよ。ね?」

 

 優しく諭してくれるけど、それってつまり死刑宣告と同じってコトじゃないか!?

 嫌だァッ!まだ死にたく無いッ!!

 

「ス~バ~ル~くん?」

 

 

 あぁんまぁりだぁぁぁぁっ!!

 




皆さんの温かい言葉に、いつも励まされております。

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