星河スバル(偽)の戦闘録   作:星屑

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 ーー翌日・ナンスカの地上絵ーー

 

 突然の不届き者による夜襲(ナイトアタック)を受けたが、よく考えると週2で電話をかけると言ったのはボクの方であった。よって今回は不問にする……と、不遜な言い方をしてしまったが、どう見ても全面的にボクが悪いので、しっかりと謝罪はしましたとも。

 スターキャリアー越しに、ヒカルの愉悦がありありと感じられたけど。星河スバル、一生の不覚……!

 後で確認してみたら、なんと悔しさのあまり唇を切っていたらしい。こんな時こそ、用意してきた『ワクサミンEXターボ』の面目躍如だと言えるだろう……!

 骨折でも、瞬く間に直るらしいよ!

 

 

 

『グッモーニン』

 

 

 

 テントのマテリアルウェーブが、持ち前のダンディーボイスで起床時間を告げてくれる。委員長とキザマロも目覚めることが出来たようだ。ボクは環境故に眠りが浅かったのか、既にしっかりと目が覚めている。昨日は遅くまで、ツカサくん(序でにヒカル)と話していたので、ナンスカの猛暑に倒れたりしないといいが。

 

 ツカサくん曰く、実は精神修行の一環でこの辺りに訪れているらしい。確かゲームでは、エンディング後にナンスカの遺跡の電波に現れていたような。となると、もしかしたら会えるかもしれない。スカイウェーブで密入国してきたらしいが……なんでも、敢えて生身で過酷な環境に身を晒す修行(苦行?)なんだとか。もしかして人間辞めるつもりじゃないよね……?

 取り敢えず、ボクから言えることは一つだけ。

密入国はいけないことだと思います()

 

 ーー十分後ーー

 

 うとうとしていた委員長(不覚にもときめきかけてしまった)とキザマロも、すっかり身支度を整え終わったので、さぁ、今日もがんばるわよ!……とやる気を見せていたボク達の耳へと、にわかに騒がしい音が入ってくる。これは……ナンスカ村の方からだ。

 

「……何かしら? どうも村の方が騒がしいようね……こんな朝っぱらから。情報収集がてら、ちょっと見に行ってみましょうか?」

 

「これは……ナンスカ民族独特の演奏か何かかもしれませんね。マロ辞典にも載っていませんし、ボクも行ってみるべきだと思います」

 

「また何か、お祭りでもやってるのかもね……」

 

 確か、朝っぱらからお祭り騒ぎをやらかしていて、そこをソロに介入されるとか、そんな流れだったような気がする。ゴン太が酷い目に遭うんだけど、これが切欠で記憶が戻るんだっけ?いや、委員長の黒歴史(お色気ポージング?)が云々だったような気もする……

 

 

 ーーナンスカ村ーー

 

「……あれ? なんだか、昨日よりもやけに賑やかだ」

 

 ナンスカ村の中心、例の舞台型祭壇が近くまで寄ると、凄い熱気の村人達が、昨日よりも更に激しく歌い、踊っているのが見てとれる。その中には当然、煽動家としての才能を如何なく発揮させるアガメさんの姿も確認出来た。

 

「さぁ、皆の衆! 歌え!! 踊れ!! ムー大陸より降臨なされたゴンターガ様が、我らがナンスカの新たなる支配者となった記念祭だ!」

 

『ナンスカー!!ナンスカー!!』

 

 熱狂するナンスカ民族を他所に、支配者として祭り上げられたゴンターガ様……ゴン太は、両手に保持した骨付きカルビを一心不乱に口の中へと運んでいる。

 ……人前で肉をかじるのって、結構恥ずかしくない?

 

「これ、明らかにお祭りしてますよね」

 

「ダメだアイツら、早くなんとかしないと……!」

 

「そうね。取り敢えず、もっと近付いて…………?」

 

 委員長が言葉の途中で口を閉じ、辺りを不思議そうに見渡し始めている。何だろうかと思った刹那、ボク達にもはっきり知覚出来るレベルで空気が激しく揺れ出した。

 これは…… カミカクシの移動エフェクトだろうか。となると、遂にソロのお出ましってことになる。

 

「これは…………」

 

「(…………このヤバい感じ……前にも一度、あったような気がするぜ……!)」

 

 ロックの確信の籠った呟きと共に、プレッシャーに満ちている大気の振動が、より激しさを増していったことがわかる。

 

 

 ーーヴィィィーン!

 

 

 ナンスカ村の上空、恐らくはゴン太の直上に美術館やコダマタウンで発生した、黒い穴……カミカクシによる異次元空間を行き来するためのゲートが現れる。ソロ一人を通すために、随分と巨大なゲートを使ったもんだよ……

 

「な、何事だ!!」

 

 アガメさんの上げた驚愕の声も、現在の異常事態においてはなんの意味を果たすこともない。先程まで歌い、踊っていたナンスカ族の人達も、何が起こるのかと固唾を飲んで見守っている。場の空気に飲まれた……とも言うのだろうけど。

 

「(スバル、上だ!!)」

 

「例の黒い穴……」

 

 

 

『これははっきり言って、目に余るぞ……ッ!!』

 

 静かだが、確かな怒りを含んだ声がナンスカに木霊した直後。黒い穴から一筋の光線のようなモノが祭壇へと降ってくる。

 気がついた時には、既にゴン太の側にはえらく不機嫌そうなソロが立っていた。恐らく、あの光線がクッション兼射出レールのようなはたらきをしているのだろう。

 

「ムーを崇め奉る民族だとは聞いていたが……よもや真っ赤な偽物を崇めていたとはなァッ!!」

 

「ヒィィィィッ!! なな、何者でおじゃる~!?」

 

 怒り心頭、怒髪天も辞さない……と言った様子だ。

 いや、まぁ……気持ちはわかるけどね。

 

「オマエの愚かな振る舞い……まさにムーを侮辱する行為だッ! その罪……決して軽くはないと知れッ!!」

 

 憤怒の表情を浮かべたソロが、ゴン太に詰め寄っていく。祭壇型の舞台なので、端まで追い詰められると逃げ場がないのだ(飛び降りれば別だけど、中々に高い)。

 

「たたた、助けてほしいでおじゃる~!!」

 

「ゴンターガ様!!」

 

『ゴンターガ様ーーッ!!』

 

 ゴン太の悲鳴を聞き取ったアガメさんはゴン太を心配するようにその名を叫ぶが、頭に血が昇っているらしいソロは一瞥すらしない。

 

「…………ソロ」

 

「(あの野郎……こんな辺鄙な場所にまで!)」

 

「スバルくん! あれ……このままじゃ……ゴン太が!」

 

 電波人間達のチカラを、身をもって(何度も)体感している委員長は、この後の展開を予測してしまったのか、既に泣きそうな表情になっている。

 ……さて、真打ち登場と行きますか!この前のようにはいかないってことを教えてやらぁ!

 

「わかってる!ゴン太はボクが何とかするから、一先ず委員長達は安全な場所に避難してて欲しい。またソロに見つかったら、今度は何をされるか……だから全部終わるまで、出てきちゃダメだからね!」

 

「わ、わかった! ……ほら行くわよ、キザマロ! ワタシ達がいたら、ロックマン様が満足に動けないわ!」

 

「ハッ、ハイです!」

 

 委員長はキザマロを伴ってナンスカの地上絵エリアへと走り去っていく…………って、振り返った?

 

「いい? くれぐれも気をつけるのよ」

 

 心配そうに俯きながら、ボクへ激励?の言葉をかけてくれる委員長。

 ときめいちゃいそうなんで、そういうのは無しにしてもらえると嬉しいです……

 

「……もちろん!」

 

 多少なりとも安心したのか、もどかしいような表情になりながらも委員長は先に地上絵エリアへと駆けたキザマロを追いかけていった。

 

「………………もしかして、デレてた?」

 

「(オイ!今はオンナにかまけてる場合じゃねぇぜ!……早くソロの野郎をなんとかしねぇと!)」

 

 ビジライザーはかけていないけれど、緊迫した空気に充てられたのかいつもよりロックの気が荒い。いや、いつもこんな感じだったような気もするけど。

 

「うん……まずは電波変換しなくちゃ!」

 

 微妙に寝不足だけど、まぁなんとかなる……よね?

 ドーピング(オーパーツ)もあることだし、障壁無しなら余裕、だといいんだけどなぁ……

 

 

 ーーナンスカ村の電波ーー

 

 急いで祭壇の上へと足を運んだのだけど、ソロはゴン太に詰め寄ったままであり、何か手を下したりということは無かったようだ。どうにも、小声で何かを確認している……?電波を視認出来るソロが、あれだけ派手な電波変換のエフェクトを見逃すという失態を犯したのは、恐らくこの問答に夢中だったからに違いない。

 兎に角、ゴン太に(予期せぬ類いの)危害が加えられることを防げたのは僥幸だと思っていいはずだ。

 

「…………ソロ!」

 

「…………!」

 

 語気荒く詰め寄っていたソロに声をかけると、一瞬の硬直の後にゆっくりとこちらへと振り向き、いつものように睨み付けてくる。その全方位に喧嘩を売っていくスタイルは止めた方がいいと思うんだけどなぁ……

 

「オマエか……何故ここにいる?」

 

「オマエこそ、毎度心臓に悪い登場してんじゃねぇよ!……普通にスカイウェーブを使え!」

 

 ロックのよくわからない罵倒?にフン、と鼻を鳴らして聞き流すソロ。マズイ、左腕が疼いてきた。

 ……熱くなりすぎなんだってば!

 

「ゴン太に、何をするつもりだ!」

 

「オマエには関係のないことだが、都合がいい。オマエが所持しているオーパーツ、ここで渡してもらおうか……!」

 

「……上等ッ!」

 

 雲一つないナンスカの空に、雷鳴が鳴り響く。轟音と稲光が晴れた時、ボクは既にベルセルクによる強化の恩恵をトライブという形で享受していた。

 ヒャッハーッ!斬り刻むぜぇッ!

 

「ソイツは欲張り過ぎってヤツだぜ!」

 

 背中の大剣を右手で保持し、切っ先を電波変換もしていないソロへと向ける。ぶっちゃけ戦闘が始まって後に、あのソロがトライブする隙を与えてくれるワケがない、というのが本音なのだけど。

 

「引きずり出せるモンならやってみろ!ボクの友達にこれ以上、被害を被らせるワケにはいかないんだよォッ!」

 

「友達、だと……? そうやって、またヘドの出そうな言葉を平気で口にする……オマエは相変わらず、オレの感情を逆撫でさせるのが得意なようだな」

 

 ベルセルクブレードの切っ先を向けられていても、その眼光には微塵の恐れも見えてこない。ボクが生身の人間相手にチカラを振るうことはない……とたかを括っているとも思えないので、本当に全く恐怖を感じていないのだろう。それとも、恐れを抱くのを忘れる程の怒り……ということなのかもしれない。

 

「いいだろう……そちらがその気なら、チカラづくで奪取するまで。電波変換……ソロ! オン・エア!」

 

 そう言うと、ソロは懐から古代のスターキャリアーを取り出し、以前と同じように空中にムーの紋章を描き出す。変身プロセスは固定なようで、正面に描かれた紋章が光輝き、ソロの周囲を覆っていく。物凄くチカチカしているのだけど、電波に過敏なソロの目には悪くないのだろうか。バイオライト?

 そして、高速で動く紋章が遂に電波体の動体視力でも捉えきれなくなった瞬間、辺りを電波変換に際して発生する特殊な閃光が埋め尽くす。

 

「オマエに一つ名乗りを上げておくが……オレが電波変換したこの姿は、『ブライ』と呼ばれている。何者にも頼らないという意味…………そう、『ブライ』とな」

 

 右腕に暗黒の闘気を纏わせたソロ……いや、ブライが堂々と名乗りをあげる。正直に言うと、無頼ってあんまり孤高ってイメージがないんだよなぁ……多分、頼り無いハンドのせいだと思うけど。

 おのれクソ雑魚ブロッコリーめ!

 

「ブライ…………『無頼』、ね」

 

「そのオレから言わせて見れば……オマエのように絆だの友達だのと唱える人間は、他人にすがらないと生きていけない、卑しくて浅ましい存在にしか見えないんだよ」

 

 突きつけられた身の丈程の雷剣が、もしかして目に入っていないんじゃないかとこちらが疑ってしまうくらいに、ソロの心身に動揺は見られない。

 正直言って、ブライ相手じゃ剣を突きつけていても大したアドバンテージにはなり得ないか……と自己解釈し、向けていた大剣を下ろしつつブライアーツに対処出来るように距離を取る。

 

「フン、エンプティーよ……この程度の男が、オレと互角に張り合えるだと? このブライのチカラ、随分と軽く見られたものだ……!」

 

 大剣を下ろしたことで気圧されたと思ったのだろうか。……正直、あんまりいい気分はしない。何か言い返してやろうかしら。

 

「……そっちこそ、この前のケガは大丈夫なのかい?随分とフラついていたようだけど、もしかしてアザに…………って、ッ!?」

 

「………………」

 

 以前ヒートアッパーで殴り飛ばした箇所を指で示しながら、なるべく煽るように体調を心配してあげると、ソロは無言で闘気を纏った右腕から発生させた衝撃波『ブライナックル』をこちらに向けて飛ばしてくる。

 ……何とかシールドを間に合わせたけど、ちょっと短気過ぎないか?

 

「疾ッ!」

 

「ッ!……うわぁッ!?」

 

「スバルッ!?」

 

 ブライナックルを防いだために硬直したボクの眼前まで流れるような足さばきで接近した後、ブライは展開したシールドの上から押し出すように強烈なアッパーカットを繰り出すことで、シールドごとウェーブロードの下へ吹き飛ばされてしまった。

 なるほど、ゴン太に制裁を加える時間が欲しかったのか。イラつくが、ゴン太の記憶を復活させる為だと思えば……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「オーパーツは後で確保する。だが今はそれよりも……」

 

 ある程度の距離まで厄介な邪魔者を吹き飛ばしたブライは、ムーを騙る偽物へと振り向き、このナンスカの地へとわざわざ足を踏み入れた本懐をようやく遂げようとしていた。

 あの男もムーの"血"を騒がせるが、今のソロを支配する激情の元凶、ゴンターガとやらを成敗しなければこの"血"は収まるまい。

 

「ひ、ひぃ!!」

 

 ブライから発散される強大なプレッシャーに充てられたゴンターガには、もはや先ほどまでの支配者然としていた調子の良さを全く感じることが出来ない。ブライにとっては、ただの顔を青くした肥満体で同年代の少年程度の脅威度であった。無論、同年代だからといって手心(妥協)を加える気は毛頭なかったのだが。

 

「今は、オマエが先だ。偉大なるムーを侮辱した罪……その身であがなわせてやろう!」

 

 彼が掲げる孤高のチカラを証明するかのようにメラメラと、まるで燃え盛る紅蓮の炎を彷彿とさせる暗黒の闘気がより一層強まっていく。ブライナックルのように巨大化はしない。されどもしっかりと握り混んだ拳には、彼がこれまで歩んできた修練の道が凝縮されているかのような力強さを放っていた。

 

「ほぎゃああああああああ!!」

 

 人間相手にしては手加減したと思われる右ストレートを左頬に食らったゴンターガは、巨体故に吹き飛ばなかった体から急激に力を失い、その場に倒れこんでしまう。PERFECT KNOCKOUT!

 

「う~ん…………」

 

 気を失ったゴンターガを怒りに染まった瞳で見下ろしながらも、その歩みは再びゴンターガへと向かっていた。一撃入れたばかりだと言うのに、その体から発散されるオーラには微塵の緩みも感じることは出来ない。ゴンターガとナンスカの民が犯した失敗はたった一つ。たった一つである。

 ……テメー(お前ら)オレ(ソロ)を怒らせた。ただそれだけである。とんだとばっちりと言えるだろう。彼に、ムー大陸の地上絵側で毎日祈っていたおじさんの姿を見せてやったら、一体どのような反応を見せるのだろうか。しかしそれは、神のみぞ知ることである。

 

「……この程度で済ますものか。永遠の恐怖と苦痛をその体に刻み込んでやるッ!!」

 

 再び振り上げた拳を、今度は無防備なアホ面を晒しているゴンターガへと降り下ろそうとして…………

 

「ッ!!」

 

 突如唸りを上げて飛来してきた大剣、『ベルセルクブレード』を右腕の一振りで弾き飛ばし、ウェーブロードの先を睨み付ける。そこには、忌々しいチカラを振るう男、ロックマンの姿があった。

 

「……そこまでだッ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「フン、異次元にでも放り込んでおくべきだったか……」

 

「これ以上、ゴン太を傷つけさせるわけには!」

 

 あ、危ねぇ……!大急ぎ祭壇までかけ上がってきたけれど、割とベストなタイミングだったらしい。

 実は暴行を見逃すのって、割と精神にクるんだけどなぁ……だけど、まぁいいだろう。

 これで必要条件は全て揃った!後はブライ(迷惑なぼっち)に退場してもらうだけなんだけど……やれるか?

 

「ほう……こいつが、そんなに大事か?」

 

 冷えきった目でゴン太を見下ろした後、顔だけを振り向かせてこちらに問いかけてくる。

 キミの出番はもう、終わってるんだよッ!

 

「ゴン太はボク達のブラザー(友達)だ!これ以上、傷つけさせるもんか!守りきってみせる……絶対にだ!」

 

 身に纏うオーラを激しく揺らめかせ、ブライの放つプレッシャーに負けじと凄んで見せる。

 まぁ、ブライ……と言うかソロを気圧せるとは思わないけどね。

 

「…………なるほど。オーパーツのチカラ……か。かつてベルセルク達は、オーパーツによって滅びた。そのまま使い続ければ、オマエも同じように滅びの運命を辿るだろう」

 

 それでもか?と言わんばかりにオーパーツを手放すことを促してくるソロ。誰がこんな便利アイテムを好き好んで手放すかっての!

 絶対ラ・ムーからも回収してやるからな!絶対だ!

 

「知るかッ!……ボクはそんな安い理由で皆のヒーローやってるワケじゃないんだよ!」

 

「他人の為に、その身を投げ出すと言うのか?」

 

 心底信じられないといった表情で更なる問いを投げ掛けてくるが、そんなの決まってる。

 誰かの為なら、人は無限に強くなれる!ボクの為したいコトの為にも!ここで退くワケにはいかないんだよォッ!

 

「そうだ!でも、ボクが傷ついて悲しむ人もいる。……だからこそ!ボクは勝ち続ける!負担なんて軽く耐えてみせるさ!」

 

 ボクが、ボクである為に誰か(知り合い)が泣くことになるなんて、断じて認められるわけがない!

 

「……それは覆し得ない矛盾だ。オマエがオーパーツを使っている以上、いつか必ず破滅の道を辿ることになる。それは逃れようのない運命『なのかもしれない!』…………何?」

 

「それでも!ボクが諦める理由にはならない!

 ……奇跡ってのは!信じ、進み続けた人間の上にだけ降ってくるものなんだよ!覚えとけ!この……人間不信野郎ッ!!」

 

 大航海時代のオカマが似たようなコトを言った気がするけど、まったくその通りだ!理想ってのは、出来ると思ってなきゃ決して実現することはない!

 

「ッ!…………オマエのようなヤツを見ているとな、オレの中の"血"が疼き出すんだよ。仲間……絆……そんな下らないモノ、オマエの存在ごと消し去ってやる!」

 

 ボクの言葉に一瞬だが確かに気圧されたブライは、気分を落ち着かせるためにだろうか、大きく息を吐いた。溜め息だ。そして、以前とは段違いの闘気をみなぎらせてファイティグポーズをとる。

 完全に臨戦体勢だ。……望むトコロッ!

 

「今度は、この前とはわけが違うぞ。……オレの体に流れる"血"にかけて、オマエの全てを否定してやるッ!」

 

「そっちこそ!ボクがこの前と同じだと思ったら、大間違いだ!ゴン太の為にも、ここで果てるワケにはいかないッ!……いくよロック!」

 

「おうよ!ばっちこいだ!!」

 

「ウェーブバトル!ライドオンッ!!」

 




いつも感想・評価ありがとうございます。

GET DATA……無し

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