星河スバル(偽)の戦闘録   作:星屑

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ストーリー進行してから執筆したので遅れちゃいましたね。すいません。


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 ーーコダマタウンのウェーブロードーー

 

 ……ふぅ、今日はこのくらいでいいかな。

 

「中々鬼気迫ってたぜ、スバル」

 

 ロックが茶化すように感想を述べてくる。

 だって残弾が足りないんだから、仕方ないじゃないか!

 回転数が全てだからね…あ、でも良いことはあったよ。

 

「それよりどう、ロック?新しい装備データの性能は」

 

 そう、コダマタウンでメットリオ狩りをしている途中、まだ散策していなかった電脳やウェーブロードに、ミステリーウェーブが残ってないか、調べに回ったんだ。

 そうしたら、見事ロックの装備データ『ベアーリング』を発見、早速装備してもらったってわけ。

 

「コイツはいいぜ!今までとは、段違いの安定感ってヤツだな」

 

 確か、『ベアーリング』の性能はアタック、ラピッド、チャージの全てが2で、安定性に重きを置いた装備だったハズだ。それでも今までの『ヒキサクツメ』や『スルドイキバ』に比べたら、はっきりとした性能差がある。

 ロックの機嫌も上々だ。

 

「さ、そろそろ天地研究所に行こうか」

 

「おう!」

 

 相棒がご機嫌だと、こっちも調子がいいってモンだよ。

 

「んじゃ、ウェーブアウト!」

 

 いつものように展望台のウェーブホールへウェーブアウトし、バス停に向かう。バスを待っている間にメールの確認でもしておくか……あ、ミソラちゃんからメールが来てる。

 早く返信しないと。……またテレビから乗り込んでくるなんてコトになったら大変だ。

 そっちのほうが嬉しそうだったけど……

 

 ーーコダマタウン・バス停ーー

 

 ……天地研究所行きのバスは……あと、10分か……

 

『ちょっと、待ちなさい!』

 

 おおっ!久しぶりに聞いたぞ、この声は……

 

「やっぱり、委員長さんだ……オーイ!どうしたの?」

 

「オーイ!どうしたの?……じゃないわ!全く、もう……!ところで、どこかへお出かけの様子かしら?」

 

「うん。今から天地研究所に行こうと思って……」

 

「何よ、その苦笑いみたいな顔は……!」

 

 あんまり都合が良くないんだけど……

 

「(へっ!そりゃ、このオンナが来るときは大抵ヤッカイゴトが起こるからな!)」

 

「(そこは別に気にしてないよ)」

 

「アナタねぇ……一体、いつになったら学校に来る気なの?」

 

 ……うーん、どうしようか。正直ティーチャーマンで勉強は足りているんだけど、あかねさんのためを思うと……いや、リブラもいるし。

 確かジェミニ関係のジャミンガーも出たような……

 まとめて対処するには、ちょうど良いってコトかな?

 

「そうだね……今少し、復学については考えていたとこなんだ。でも、久しぶりだから……」

 

 ここで委員長さんが喜色満面になり、心なしか興奮しているように見える。まぁ、苦労してたしねぇ……

 

「……そう!やっと来てくれる気になったのね!?」

 

「うーん、まだ決心がついてないと言うか……」

 

 心にもないことを言っている自覚はあるけれど、コレは確かスターフォースに繋がる……ハズ。一応ミソラちゃんに連絡しておくべきかな?メール辺りで。FM星人関係なら、ハープだって無関係とはいかないだろう。

 ちょうど、さっき確認したメールの返事にでも綴ればいい。

 

「なら、今度の学芸会でワタシたちのクラスがやる演劇のセットでも見に来ないかしら?……アナタにもちゃんと役があるんだからね!」

 

「学芸会?」

 

「ええ!もちろん委員長の全面プロデュースです!」

 

「かんとく、きゃくほん、しゅえんもぜんぶいいんちょうだ。……スゲェだろ!!」

 

 ゴン太とキザマロがまるで自分のコトのように誇らしく語ってくる。二人の中心に立っている委員長さんも満更では無さそうだ。

 

「……ボクにも役があるの?」

 

 正直面倒臭いが、委員長さんも本気ってコトは伝わってくる。人の本気にはちゃんと応えられる、そんな人間でボクはありたいんだ。

 それに、そろそろティーチャーマンの授業には退屈してきたんだよね。確か担任の育田先生の授業では、普通じゃ中々聞けない話が聞けたハズだ。

 リブラを警戒する意味でも、通う価値はあると思うけど……

 

「ええ、そうよ。……こういう行事は皆でやることに意味があるの。アナタもクラスの一員だし、参加して当然だわ。それに、アナタの役はとっても大事なのよ…………と~ってもね」

 

 それって路傍の木の役ですよねぇ……ドヤ顔委員長さん可愛い。

 いや、確か全身を覆うタイプのセットではなかったハズだから、クラスの輪に入りやすくするための配慮だったとか?全校生徒に顔を売るっていう意味として考えれば、まぁ……

 

「まぁ、すぐに終わるなら見ていってもいいよ……委員長さんの全面プロデュースなんでしょ?……ちょっと気になるしね」

 

「ふふっ……楽しみにしてなさい!」

 

 ニヤケ顔が止まらない委員長さんも、ボクは嫌いじゃないよ。 それにスターフォース関係もあるしね。

 

「そうですよ!あのセットを見れば今回の劇がいかに素晴らしいか、わかるハズです!」

 

「きっと、アナタだってやる気になるわ……学校にも来たくなるでしょうね!さぁ、セットがある体育館に行くわよ!」

 

「(良い流れだな……これでやっと学校とやらをこの目で拝めるぜ!)」

 

 ロックも学校に興味があったのか……

 ちょっ、ちょっと委員長さん!?腕を引っ張らないで!

 小学生女子の腕力、侮れないな……

 

 ーーコダマ小学校・玄関ーー

 

「……どう?三年ぶりに学校に足を踏み入れる気分は?」

 

 中々キレイな学校だ。それにしても学校に購買なんてあっていいのだろうか。あ、3でソロ(笑)に斬られる職員室があるぞ!結構分厚い扉だったんだなぁ……

 それに、スバル君の中にある記憶とは若干の相違がある。

 

「どうって……結構変わってる、かな?」

 

「さいきん、かいそうしたんだぜ!なんでもこうちょう先生のいこうとかで……」

 

『オーイ!何やってるんだ~?』

 

 おお!あのツインフラスコシステムは!育田先生だ!フラスコの中にある牛乳とコーヒーを混ぜることで生み出されるコーヒー牛乳の味は二乗化される……

 

「まったく、こんな時間に何をやってるんだ?」

 

 咎めるようなセリフなのに全然嫌味に感じない。これも育田先生の持つ人徳というヤツか。

 こんな先生が疎まれているなんて、世も末ってヤツだなぁ……やはり集団心理とは恐ろしい。確か学習プログラムを導入していないから、だっけ?

 

「あら、育田先生」

 

「もう、下校の時間はとっくに過ぎてるぞ」

 

 やはり良い先生だ。

 

「先生、今日は特別なんです」

 

「先生たのむ!ちょっと多目に見てよ」

 

「特別って言ったってな……ん?おやおや……そこの子は……キミは……」

 

 わざわざ委員長さんたちを迂回してこちらに近づいてくる。ホント良く出来ているなぁ。どれだけボクからの評価を高くする気なんだろうか。

 

「スバル君ですわ、先生」

 

 委員長さんが誇らしげにボクを紹介する。珍獣か何かの扱いなんだろうか、ボクは。

 

「おお!やっぱりスバル君か!奇遇だね!実は先ほどキミのお母さんと話をしていたトコロなんだよ」

 

「ええ、それは母さんから聞きました」

 

「おっと、私の自己紹介がまだだったね。私は育田、キミのクラスの担任だ」

 

「先生!スバル君は遂に学校へ来る気になったそうです……このワタシの説得のおかげで!」

 

 委員長ェ……いや、間違ってはいないけど。

 

「えぇと、少し、考えているんです」

 

「何と……!委員長が強引に連れてきたのかと思ったよ」

 

「そんな……酷いですよ、先生!ワタシが強引に、なんて!」

 

「(ウソだな)」

 

「(ウソですね)」

 

「(嘘乙)」

 

 この瞬間、ボクらの心は一つになった。これが、ブラザーバンドか……ダイゴさん、ボクやっとわかった気がするよ……!

 しかし委員長さんが、心外とばかりに憤慨する。いや、かなり強引だったよ、今までは……

 

「……確かに学校は大事だが、ホントのコトを言うと学校なんてムリしてまで来ることはないんだ」

 

 おう、育田先生ぐう聖……

 

「え?いいんですか、教師がそんなこと言って」

 

 キザマロが信じられない!とばかりに聖人育田へ疑問を投げ掛ける。

 

「人生には……ね、学校で教わる公式なんかより、よっぽど大事なコトが山ほどある。……私はいつもそう思ってる」

 

 ここで一度話を切って、ボクを見つめてくる。

 暖かい目だが、真剣でもあるんだろう。

 

「だから、キミが本当に来たいときに、学校に来ればいいんだ。私はそれを待っているからね」

 

「さ、さすが先生……いいこと言うぜ……!」

 

「ハハ、ちょっとカッコつけすぎたか?……おっと、私はそろそろ行かなくちゃな。今日は早く帰って子供と遊んであげる予定なんだ」

 

「子供はたしか……6人兄妹だっけ?」

 

「違うよ、7人だ!」

 

 ゴン太の間違いを断固として訂正する、育田先生(ルーラークラス)。

 

「職場でも、家庭でも子供に囲まれて……本当に子供好きなんですね」

 

「子供は『宝』だよ!目に入れてもきっと痛くない……そう思えるくらいさ。……もちろん、私の生徒であるキミたちも同じだよ……じゃあ、私は行くからみんな、出来るだけ早く帰るんだぞ」

 

 そう言って去ろうとする育田先生は、最後にボクを向いて相談事があったら何時でも言うように言ってくれた。

 シーユーアゲイン、育田先生!

 

「さぁ、劇のセットを見に行きましょうか」

 

 さっきまでの威勢を取り戻した委員長さんが号令をかけ、一同は体育館に向かう。

 見せてもらおうか、委員長さん全面プロデュースの演劇とやらを!

 

 ーーコダマ小学校・体育館ーー

 

 時代が違ってもやることはあまり変わらないのか、体育館の造り自体に現代校舎と大した違いはなさそうだ。

 しかし、壁面には電子パネルが多数配置されており、様々な操作が出来そうだ。

 今はバスケット用のラインが引かれているが、恐らく他の競技をするときにこのパネルを操作することで、対応するのだろう。

 そして、肝心の劇のセットは……

 

「青い衣装に角が付いた被り物。それに……トラック、折れたポスト……」

 

 間違いない、ボクの劇だ。()

 

「いいんちょうの全面プロデュースの作品なんだ。……コイツはでんせつになるぜ……」

 

 意気込みを語ってくれるゴン太(怪物役)。

 

「きっと驚きますよ」

 

 キザマロ(照明役)も鼻が高そうだ。

 

「フフ、よーく聞きなさい。一度しか言わないからね。……今回の劇のタイトルは……『ロックマンVS牛オトコ』よ!」

 

 ルナルナ団のネーミングに通ずるモノがかいまみえる。

いや、犬にネコ太郎とか付けるレベルだからなぁ……

 まだearth satelliteとかのほうがマシなレベル。どっちも月だけど。ルナさんだからね、しょうがないね。

 

「ロックマン、ねぇ……」

 

「アラ、アナタロックマンを知ってるの?」

 

「この角が付いた被り物が牛オトコだとしたら、こっちの青い衣装がロックマンなんでしょ?この前のアマケンで見なかったっけ?」

 

 取り敢えず惚けておく。

 ……何か正体を隠すヒーローって響きがいいね。仮面ライダー何かも、こんな気持ちだったのだろうか。

 

「ロックマンはよぉ、ナゾのじんぶつでよ、オレたちがピンチの時にさっそうとあらわれて、バケモノを退治して風のようにさって行く……オレのあこがれのオトコなんだ!!」

 

 キミのせいで、終盤にブラザーバンド画面が暑苦しくなるんだよね……

 いや、別に嫌がってないけど。スーパーアーマー便利だし。本気には本気で応えるよ、ボクは。うん。

 

「忘れもしないわ。ワタシはロックマン様に危ないトコロを2回も助けられたの。……一度目はトラック暴走事件の時……二度目は天地研究所で光の尾を引いて現れる姿はまさに流星……」

 

 それは回転していたからじゃないの……?

 その後にやったサンダースラッシュによるハメはスルーなのね……

 

「あぁ、ロックマン様、アナタは今どこに……」

 

 ………………………………ブフッ!吹きそうだ……

 いや、うん。委員長さんがやると絵になって良いと思うよ、うん。

 

「今回はロミオとジュリエットのオマージュなのかい?」

 

「……何か言った?」

 

 ヒィッ!ちょっと、人でも殺しそうな目だったよ!?

 

「……で、今回はトラック暴走事件の時をモデルにしてるの。主演女優であるワタシがナゾの牛オトコに襲われ……そこに颯爽とロックマン様が助けに来てくれるっていう感動のストーリーよ」

 

 ……いや、あんなハメ技しても慕ってくれる辺り、彼女の中では半ば神格化してるんだろうなぁ……

 

「脚本はとっても評判がいいんです。ただ、クラスメート全員、ロックマンを架空の人物だと思ってるんですが……」

 

「そりゃ、そうでしょ」

 

 青いピッチリしたスーツを来たヒーローなんて、誰だって疑う。ボクも疑う。

 

「キザマロ、もしかしてアンタまで疑うつもりじゃないでしょうね?アンタだってロックマン様に助けられたのよ!」

 

「で、でもトラックの時も研究所の時も、ボク、イマイチ何が起きてたのか覚えてないんです」

 

「オ、オレは……よくおぼえてるぜ。アマケンでアイツが助けてくれなきゃ、オレたちはどうなっていたか…」

 

「ロックマン様は絶対にいるわ!ワタシは信じてる!……困ってる人がいたら絶対に助けてくれる。そう、あの方はヒーローなの!」

 

 努力はするよ、努力はね。ボクだって必死なんだ。

 死にたくはない。……出来るのは精々、ウィルスを倒すことくらいさ。あ、でもミソラちゃんのためなら火の中、水の中だよ!なんたってブラザーだからね!

 

「そうだね。ボクもあの事件が偶然解決したとは思えないよ。……何か超常の存在がいたとしても、不思議ではないんじゃないかな」

 

 ……そろそろ上を警戒しておくか。油断してエリック上田になったら嫌だし。

 

「(オイ、スバル上だ!危ない!)」

 

「……ッ!」

 

 ーーガッシャーン!!

 

「ふぅ……危ないトコロだった」

 

 流石ロック、ネタがわかってる……なんて言ってる暇もなかった!照明はヤバいよ、照明は……

 

「な、なに……照明が落ちてきたの?」

 

「(スバル、ビジライザーだ)」

 

「(うん、わかってる)」

 

 ……いた。ジャミンガーだ、間違いない。

 

「(アイツは……ジャミンガーだね)」

 

『…………………………ニヤッ』

 

「(オレたちを見て笑いやがった……ってことは、狙いも恐らく……)」

 

「(挑発には死をもって遇するよ、ロック)」

 

 まぁ、ベルセルク使わないんですけどね。ジェミニにデータ録られるかもしれないし。

 

「(よし、スバル、ウェーブインだ!経験的に言って、ああいった不意討ちをするタイプはすぐに倒さないと厄介なコトになるぜ。もし、ここで逃がせば……オレたちは当分不意討ちに怯えながら生活しなくちゃならない……正面対決ならスバルが勝てるだろうけどな)」

 

 ふふっ、ロックの信頼が厚くて困っちゃうよ……

 秘密を明かしたからかな?何だか高揚するようだ。

 大丈夫、何だって勝てるさ。

 

「さっきから何をブツブツ言ってるの?もしかして頭でも打った?……今日のアナタは素直過ぎて、何だか変ね」

 

 委員長さんからの信頼が厚くて辛い……

 

「ボク、ちょっとトイレに行ってくるよ……」

 

 さぁ、ショータイムだ!スターフォースのための踏み台になってもらうぞ、ジャミンガー!

 まだスターフォースもってないけどね。




明日は全休なので書きまくる予定()

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