ーーコダマ小学校・体育館ーー
さて、ウェーブホールは……あ、あった。バスケットボールが山積みのカゴの裏だ!
ここならバレないだろう。たとえ見られても、一瞬の幻にしか見えないだろうさ。(カーディアス感)
「(さ、ロック行くよ!)」
「(ちったぁ手加減してやれよ……余裕があったらオレたちを探し当てた情報源も知りたいからな)」
あれ?ゲームでそんなこと言ってたっけ?
……あぁ、ロックも成長しているってコトなのか。
…………電波変換!
ーーコダマ小学校のウェーブロードーー
おぉ!このウェーブロードのつくりは……BIGWAVEのモノに似てるような気がする。直接ウェーブロードが繋がってない嫌らしさとか、まさにそっくりだとボクは思う。ギミック面倒臭いんだよなぁ……デンパくんとか迷ったりしないのだろうか。
「……あっ、アイツ、体育館のウェーブロードから出ていったね」
あのニヤけた顔は忘れられない……ヤロウ、血祭じゃあッ!だが、落ち着こう。焦っちゃあいけない。
星河スバルは狼狽えないッ!
「ま、ワナってトコロだな」
「あれ?あんまり警戒してないね。ワナなんじゃないの?」
いやに冷静なロックだな……
「そりゃ、今更ジャミンガーごときに手こずってらんねぇだろ。……追うぞ、あっちは多分玄関のウェーブロードのほうだ」
信頼……なのかな?
……えーっと、コダマ小学校玄関のウェーブロード、っと。
ーーコダマ小学校玄関のウェーブロードーー
玄関のウェーブロードも体育館と同じように、複雑化している様相だ。移動ギミックがあるのは良いけれど、ウェーブロード自体の規模を大きくしてもっと単純化したほうがいいんじゃないかなぁ……
「さっきのヤツは……」
「……こっちだ……ハッ!」
…………あ、天井に張り付いてる!どれだけ上が好きなんだ、コイツ……?……降りてきた。やっぱりビルドアップするなんて信じられないくらいだよ。
「オイ、オマエ!オレたちにケンカ売るとは、中々いい度胸してるじゃないか、えぇ?」
ロォーーック!それはチンピラっぽいって!
「……キサマ、ロックマンで間違いないな」
何か出来るヤツっぽい会話をしている気がする……
「やっぱりオレたち、有名になってきてるみたいだな……クク」
「(後々世界規模の有名人になるんだけどね)」
「何か言ったか?」
いえ、何も。
「何でもないよ……それで、コイツを倒せばいいのか…」
「こんな安っぽい挑発に乗せられてノコノコやってくるとは……思ったより大したことなさそうだ」
がっつり侮っているのが伝わってくる。ボクは言ったハズだ……挑発には死をもって遇すると!
「よし殺ろう」
「待て!待て!スバル落ち着け!」
「ロック、ボクァ、久しぶりにキレちまったよ……今宵のロックバスターは血に飢えている……!!」
「ロックバスターはオレだぞ!?」
何だか楽しくなってきたな。
「フン……!並みいるFM星人を倒したそのチカラ、見せてもらおう!」
うおっ!やっぱりデカくなった。
「っ!?どういうコトだ!?急に別人みたいになりやがった!……来るぜ!」
「ライディングバトル・ア↑クセラレェション!」
ヒャーハハハッ!満足させてもらうよ!
……来る!さぁ、新バトルカードのお試しと行こうか!
ジャミンガーGタイプが襲ってくる!でもパターンというか武器は、以前戦った時に覚えたんだよね……
まずは連射してくるジャミングマシンガンをシールドで受け、威力を確認する。……ざっと三割増しの威力ってトコロか。あとはジャミングナックルだけだけど……
アレはシールドでは受けきれなさそうだ。回避の方向でいこう。
「ケケケ……防戦一方だな」
なんか前にやったジャミンガーともこんな会話してた気がするぞ……何だ?星座モチーフのFM星人に劣等感でもあるのか、ジャミンガーは?
「そっちも、当たって、ない、みたいだけどっ!?」
そろそろこっちも攻めるべきか。リュウエンザンをセレクトし、ロックオンを開始する。草生やせたらもっと大ダメージなんだけどね。
「ロック!」
「おう!イクゼェッ!」
ジャミングマシンガンを左に回避して、射撃中の無防備な側面にウォーロックアタックで一気に接近する!
ダメだ……リュウエンザンがヒットしてもまるで効いた様子が見えない!……これが負けイベントというヤツか……あーベルセルク使いたい。
「(オイスバル、ベルセルクを使え!パワーが足りてねぇぞ!)」
「(これをワナって言ったのはロックじゃないか……他にも見てるヤツがいるかもしれないよ、いいの?)」
あんまりジェミニに、ベルセルクのデータは渡したくないんだよね……警戒させそうだし。
なりふり構わなくなったら大変だ……
……それにしても全然効いた様子がないな……HPの減りも鈍い。何かアビリティでも装備しているのかな?
「コイツマジでタフだぞ!」
「クックックック!!……そんな程度か。パワーが足りないなぁ……?」
ゲェッ!やっぱり効いてなかったのか!
マズイぞ、このままじゃあ……!(棒)
『ハアッ!』
この、音は!
「クッ!なんだコレは……音符?」
「ヘルプと聞いて、直ぐ様参上!ロックマン専用・愛と音楽の戦士、ハープ・ノート!」
ミソラちゃぁぁぁぁん!?それは恥ずかしいから止めてって言ったじゃないかぁぁぁ!
「チッ!二対一か……流石に不利だ。……ここは撤退させてもらう」
あっ!ウェーブアウトしやがった!妨害できる距離でもなかったし……き、今日は見逃してやる(震え声)
「…………行っちまったか。ケッ!別に助けなんて要らなかったぜ、ハープ!」
ロックは少々お冠のようだ。いや、ベルセルク無しじゃ勝てないから。ああいうタイプもいるってわかっただけでもラッキーってことで。
「クスクスクス……その助けも要らない相手に手を焼いていたのは……誰かしらね?」
「グヌヌ……」
「まぁまぁ、落ち着いて。……ありがとう、ハープ・ノート。助かったよ」
「ワタシが、スバルくんのピンチに駆けつけないわけがないじゃない!」
いや、うん。あの掛け声さえ止めて頂ければ……
「あの、ところでさっきのセリフは……」
「やっぱりこういうの大事かなって!」
かなって!じゃないよ、ホント……
「ち、ちょっと恥ずかしいかなーって、思ったり…?」
「え……?」
そんな悲しそうな顔しないでよ!ざ、罪悪感が……
「い、いや、何でもないよ」
「そう?……なら良かった!あ、トコロで今日ってこれから時間ある……?」
う、上目遣いだと……!いや、凄く可愛らしいけども。
「ええっと、学芸会の演劇のセットを見ていたトコロだったんだ……そしたら照明が落ちて来ちゃって。その犯人を追っていたんだけど……」
「……え?照明……スバルくんが、死んじゃうトコロだった……?あの、ジャミンガーのせいで……」
ヤバい、何かわからないがとにかくヤバい!
ハープ・ノートの体から黒い障気が……さっきのジャミンガーさん、大丈夫かな……逆に心配になってきたぞ。
「いや、うん。大丈夫だったから!ゴメン、呼び出しちゃって。後で埋め合わせはするよ」
「埋め合わせ……?じゃあ、考えておくね!」
なんとか機嫌を直したぞ……ロックもたまには助けてよ!
「そーいうのはオマエの役目だろ?」
ええぇ……
「それじゃ、ボクは劇のセットを見に行くから……気をつけて帰ってね」
「そういえば、学芸会?なんていきなりどうしたの?」
「あぁ、実は学校に復学してみようかと思って……」
「ホント!?」
やけに食い付くなぁ……
「う、うん。委員長さんたちに誘われたんだけど、そろそろいい機会かなって」
ここでミソラちゃんの雰囲気が一変する。さっきも見たぞ、これはあの黒い障気……マズイ!
「委員長……?誰ソイツ」
ヒィッ!怖いよ!
いきなりソイツ扱いですか、そうですか。
かなり地雷だったか……?
「え、えっと……よく学校に来るように誘ってくれるんだ。中々面白い子でね、ゴージャスな髪型してるんだけど、からかうと面白くって……」
本心だぞ、本心。
「へぇ……そうなんだ。学芸会のセット、だっけ……それはその委員長さんと一緒に見てるの?」
「う、うん」
何だか今日のミソラちゃんは怖いぞ……
「そっか、じゃあ邪魔しちゃ悪いね……ワタシは帰るよ……あ、そうそう。学校にいる間はビジライザーを掛けないほうがいいよ。そのメガネ、特徴的なデザインしてるから」
えぇっ、やっぱりビジライザーって奇抜なデザインなんだ……こんなので連絡を取ってた星河ダイゴってかなり変人だったんじゃ……
「(ミソラの顔を見るに、ウェーブロード上でそのコを……ポロロン……悲しいわね)」
ハープの呟きを拾った者はいなかった。
ーーコダマ小学校・体育館ーー
……結構時間が経ってしまった。
委員長さん、怒ってないかなぁ……
「どこ行ってたのよ!」
「いや、その、トイレ何処かわからなくって……トイレも委員長さんに案内してもらったほうが良かったかな?」
「そんなコト、出来るわけないじゃない!……おかげで随分遅くなってしまったわ。もう今日は帰りましょう。いいこと、スバルくん。早く学校に来なさいよね!アナタがいないと劇の役もそろわないんだから!」
「(いつものテンションだったな、このオンナ)」
学校では猫を被ってると思ってたのか、ロック……
ーーコダマ小学校・玄関ーー
「(そういえば、アイツ何者だったんだろうな、オレたちのコト、知ってるようだったが……)」
ジェミニの回し者です、何て言えないよね。
『……ねぇ』
この、声は……
「……?」
「今日はとても、いい天気だね。こんな日は気持ちも晴れやかになる……毎日こんな日が続けばいいのにって……そうは、思わないかい?」
カヲルくん!じゃなくて、ツカサ君……
「そうだね……ボクは結構晴れやかな天気、好きだよ」
こちらに近づいてくるツカサ君……優しそうな顔をしている。
確か二重人格者だったんだよね。ヒカルだっけ?
「……キミはスバルくんだろ?」
「ボクを知ってるの?」
「もちろんさ。ボクはキミのクラスメートだからね……生徒の名簿でキミの写真を何度か見たことがあるんだ、だから直ぐわかったよ。……初めまして、ボクの名前は双葉ツカサ」
正直クラスの名簿なんて見ても覚えないと思う。
「初めまして、双葉君」
「ツカサでいいよ。呼び方は大事なんだ、呼び方次第でその相手と親密になれたりすることもある。だから……」
なんかアヤしいオーラ出すのは止めてくれ!
「そういうことなら。初めまして、ツカサ君」
「フフフ……ねぇ、知ってるかい?毎朝出席をとる時、先生は必ず居ないとわかってるキミの名前を呼ぶんだ……で、もちろん返事は返ってこない。その度にボクは想像したんだよ、スバルくんって一体どんな子なんだろうって。良かったよ、キミはとてもいい人そうだ」
「そうかな……?あんまり考えたコト、なかったよ」
「控えめな部分もあるんだね……ボクはそんな性格が嫌いじゃないよ。これは予感だけど……キミが来てくれればもっと学校が楽しくなりそうな気がする。ボクらは気の合う友達になれるかもしれない」
「友達、か」
「おっと、もうこんな時間か……ボクは行かなきゃ。じゃあここでお別れだけど、キミとはまた会いたいな。それじゃ」
……行ってしまった。なんだかなぁ……変な邪推をされそうな子だったような……気のせいかな?
……さて、天地研究所に行くか。
スターフォース!スターフォース!念願の飛行能力!
その頃、体育館のウェーブロード上では……
「ふーん……」
「ミソラ、もう帰りましょうよ」
「もう少しだけ……」
まさか後書きを訂正するハメになるとは……