星河スバル(偽)の戦闘録   作:星屑

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また長くなってしまいました……

ちょっと誰視点かわかりにくいかもしれません。
地の文の一人称で判別していただけると、幸いです。


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 ーーその日の夜・白金家ーー

 

 騒動のあった夜、白金ルナが寝静まった頃を見計らって、娘の身を案じる両親は話し合っていた。

 

「ルナのことだが、また何かトラブルに巻き込まれたらしいな。この忙しい時期に……やはりあのような公立の小学校に通わせたのが間違いだったようだ」

 

「そうね……やっぱり育ちの悪い友達と一緒にいると、ルナにも悪い影響があるかもしれないわね……」

 

「あぁ、このままコダマ小学校に通い続けてまたおかしな事件に巻き込まれたら、ルナの経歴にキズがついてしまうかもしれん」

 

「ええ……早いウチに私立の小学校へ転校させたほうがいいかもしれないわ」

 

「そうだな、来週の月曜日にでも学校に行って転校の話をするか。どこか全寮制の躾の厳しい小学校に転校させよう。ルナにはエリートコースを歩んでもらわなくてはな」

 

「そうね、いい学校に入って一流の企業に就職するのが、幸せになるための最短ルートだものね……ワタシは転校先の小学校を探してみるわ」

 

「そうか、頼んだぞ……あ、そうだ。仕事の話で悪いんだが、今回の催しものの会場についてだが……あそこのレイアウト、もう少し奥に寄せればいいと思うんだが、どうだろう?」

 

「そうね、あそこはそうしましょうか。だとすれば、あの木のオブジェはもっと手前がいいわ」

 

「そうだな……」

 

 委員長……白金ルナの両親は娘のことを思っての会話であったが、それを娘が聞いているなどとは、露ほども思っていなかったのだ。故に、白金ルナにより大きなショックを与えることになってしまった。

 

「て、転校……ワ、ワタシが……?」

 

 二人が話している部屋の外で彼女は、体を掻き抱いて震えていた。幼い頃と同じように、たった一人で……

 

 ーー日曜日・白金家ーー

 

「さて、今日は何をして過ごそうかしら……」

 

 パパとママの話を聞いてから、数日。ワタシはある種の諦めと、それを諦めきれない反感に思考を支配されていた。

 反感と言っても、僅かな二人との時間でそれを表に出したりはしない。こんなこと、ワタシが幼かった頃からの慣れっこというものだ。そう、慣れて、しまったのだ。……時々、こんなワタシが嫌になる。学校でみんなに見せている、気丈で頼れる委員長の姿とやらを、あの二人に出せないワタシの情けなさが。

 

「そうだ、ゴン太とキザマロでも呼んでやろうかしら。どうせ来週には、何処か全寮制の私立小学校に転校だしね……グスッ」

 

 そうだ、あの二人にも会えなくなる。頼りないし、イライラさせられることも多いけれど、両親を除けば一番長い付き合いでもある。それに、スバルくんとも……。

 あぁ、胸が痛い。キリキリ締め付けられて、今にも決壊するダムのような不安定さを感じる。

 

「さ、ゴン太にでも電話しようかしら」

 

 一頻り胸の痛みをこらえ、何とかいつものワタシを彼らに見せられる自信が出来た頃、ワタシはゴン太に電話をかけることにした。

 

「ゴン太の番号は……これね」

 

 ピポパポピっと、何処か前時代的な音が鳴り、数秒後。眠そうな欠伸とともにゴン太が電話に出た。

 

「ファ~……もしもし、あっ!いいんちょう!どうしたんだよ、こんな朝早くから」

 

 随分リラックスした声だ。ワタシは、震えそうな声を必死に押さえているというのに。八つ当たりとわかっていても、腹が立ってくる。ワタシは!来週には……

 

「アナタ、今日ヒマでしょ?キザマロを連れてウチに来なさいよ」

 

 ついでにスバル君も呼んであげようかしら。ゴン太とキザマロ、きっと驚くでしょうね。フフッ、何だかちょっとだけ元気が出てきたわ。しかし、ゴン太から聞こえてきたのは、信じられない言葉だった。

 

「ええっ、今日?ちょっと無理だよ!!今日はこれから母ちゃんと船上タコヤキパーティーに行くんだ」

 

 船上、タコヤキパーティー?何よ、それ。

 

「何よ、船上タコヤキパーティーって!ワタシの誘いより、タコヤキの方が大事なの!?」

 

「そ、そんなムチャな!半年前からヨヤクしてたんだぜ!そ、そうだ、来週なら何時でも空いてるけど……」

 

「もういいわ、アナタには頼まないわよ!精々タコヤキを頬張ってなさい!」

 

 多分、今のワタシの声は情けないくらい震えていると思う。そんな声をこれ以上聞かせたくなくて。ゴン太の態度に激情を押さえきれなくて。

 

「あ、ちょっと、いいんち……」

 

 ーーブツッ!

 

 通話を切った。何だか気持ちが悪い。

 ワタシたちはブラザーバンドで繋がっているハズなのに、今はこんなにも遠く感じる。あぁ、胸が痛い。

 

「バカなゴン太……来週なんて遊べるかどうかわからないのに……次は、キザマロよ」

 

 ピッピッピっと……再び数秒後。キザマロが通話に応じてきた。流石にこの時間には、起きているらしい。

 

「もしもし……あ、委員長?どうしたんですか?」

 

 ゴン太と同じような、のんびりとした声。きっとワタシが今どんな状況かなんて、考えてもいないんだろう。

 

「キザマロ、アナタ今日ヒマでしょ?ウチに遊びに来なさいよ」

 

 仕方がない。キザマロとスバルくんだけでもいいだろう。ゴン太には夜に電話をして、少し話でもしておこうか。あのゴン太に限ってワタシの転校を悟るなんてコトはないでしょうし。

 

「あ、あの……申し訳ないんですけど、今日はこれから身長伸び伸びセミナーに出席しますんで……あ、そうです。ゴン太くんを誘ってはどうでしょうか?」

 

 キザマロに関してはもう諦めなさいと言いたいところだけど、本人にとっては大きなコンプレックスだ。努力を邪魔するつもりはない。……けれど!

 

「わかったわよ!もう、結構よ!背が伸びるといいわね!」

 

 ーーブツッ!

 

 もう知らないわ!

 

「何よ、ドイツもコイツも……そうだわ。スバルくんだけでも、誘いに行きましょうか。きっと泣いて喜ぶに違いないわ……グスッ」

 

 スバルくんとはまだブラザーバンドを結んでいないから、通話をすることが出来ない。番号も知らないし……

 でも、とても楽しみだ。フフッ、ちょっと違うけど、最後の晩餐ってヤツなのかしらね?

 

 ーー星河家前ーー

 

 つ、遂にスバルくんの家まで来てしまった。

 

「よし、チャイムを押すわよ……」

 

 なんだろう。ドキドキする。顔が赤い。動悸が早い。ソワソワする。指が震えてきた。頭がカーッとする。

 ホントにどうしたんだろう。こんなのドラマで見たヒロインが好きな人に……い、いえ、何を考えているのかしら、ワタシは。

 

「ば、バカバカしい!毎朝来てるじゃないの……押すわよ」

 

 情けない自分の背中を押すように呟き、インターフォンに手をかける。何だかフワフワするような気分で、ワタシはインターフォンを押しかけて……

 

「母さん、行ってきます!」

 

 え?

 

「えっ?」

 

 ま、マズイ。何がマズイのかわからないけど、今はマズイ。

 というか、スバルくんにも用事があったんだ。

 ばか。ドキドキを返せ。いや、違う。隠れないと!

 

「遅れちゃダメよー!!」

 

 あ、おばさまの声がする。

 

「わかってるよー!!」

 

 ーーガチャッ!

 

 玄関が開いた音だ。ワタシはスバルくんの死角から出て頃合いを見計らい、目で追う。ゆっくり歩いているらしく、ワタシでも追い付ける。

 

「外出する予定があったのね……」

 

 何処に行くのかしら。……気になるわ。あ、もしかしてブラザーの人に会いに行くのかしら。話を通す……といったところでしょうね。

 

「では、追いましょうか……」

 

 誰に話すでもなく、行動を口に出す。急がないと、見失ってしまう。

 

 ーーバス停ーー

 

 スバルくんが乗ったバスの時間と時刻表からヤシブタウンに行ったのだと推測する。あそこには確か、ショッピングセンターがあったハズ。男の子がわざわざショッピングセンターでショッピング?

 何かがおかしいような気がする。別にあそこじゃなくても、コダマタウンの近くに品揃えの良い店はある。なのにわざわざヤシブタウンに足を運ぶとすれば、それは……

 

「(会っているところを、学校の人に見られなくない?もしくは、ショッピングが好きな……女の子)」

 

 なんだろう。モヤモヤする。いや、三年も引きこもりだったスバルくんに限ってそんなこと、あるハズが……

 

「(しかし、スバルくんは客観的に見ても美男子に入る。ツカサくんに近い、優しげな顔が女の子にウケる可能性は捨てきれない)」

 

 何でこんなに真剣にスバルくんのことを考えているのかしら?あぁ、このことは後回し!とにかく追わないと!

 

 ーーヤシブタウンーー

 

 あかねさんに見送られ、遂にヤシブタウンにたどり着いたボク。行きのバスに委員長は乗っていなかったから、きっと次のバス辺りで来るのだろう。委員長の問題を解決するためには、委員長自身の声をはっきりご両親に言ってやることが大切だから、あんまり干渉は出来ない。

 ま、小学生同士なんだから、気を楽にしてデートを楽しんでいこうか。

 

「さ、頑張れ星河スバル!」

 

「(何だ?自分で頬を叩いたりして)」

 

「(己を鼓舞してるんだよ)」

 

「(地球人の習性はわからないぜ)」

 

 気合いって大事だと思うんだよ。

 

 ーーヤシブタウン・バチ公像前ーー

 

「あっ、ミソラちゃん!ごめん。待たせちゃったね」

 

「ううん、ワタシも今来たトコ。それじゃ行こっか、103デパート!」

 

「うん。荷物持ちは任せてよ!」

 

「それじゃあ、頼りにしちゃおっかな~?」

 

 イタズラを思い付いたような顔で冗談のように言う。ま、まさかそんなに買わないですよね……?

 

「アハハ……じゃあ、行こうか」

 

「エヘヘ……うん!」

 

 ボクたちは連れだって103デパートへの道を進んだ。

 近い、近いですよ、ミソラさん。

 

 

 ーーヤシブタウン・スバルたちが行った後ーー

 

 驚愕を押さえられない。

 

「今のは、響ミソラ……?」

 

 ま、まさかスバルくんのブラザーというのは……

 

「この際、小さなプライドは捨てる!見つからないように後をつけてやるんだから!」

 

 このままじゃ、この白金ルナは終われない!絶対に真相を突き止めてやるんだから!

 

 ーー103デパートーー

 

 103デパートの中は結構広く、オープンな感じだ。来る途中に映画館があるのも確認している。今度ボク一人で来てみようかな……

 

「見て見て!ステキな服ね!ワタシももう少し大人になったらこんなの着たいなぁ!」

 

「ミソラちゃんは素材がいいから何でも似合うと思うけど、やっぱりこういう明るい服が似合うね」

 

「そう!?じゃあ、こんな服を着れるようになったら、一番に見せてあげる!」

 

 今日も元気溌剌なミソラちゃんが眩しいです。

 しかし、ここからだ。女の子のショッピングの長さを舐めてはいけない……!

 

「あ、このアクセサリー、ステキね!」

 

 なるほど……星を象ったペンダントみたいなヤツだね。

 

「へぇ……良くできてる」

 

「でしょ!?お揃いで付けたら……エヘヘ……!」

 

はい、星を象ったペンダント2つ、お買い上げでーす!

 

「すいません。これ下さい」

 

「ハイ、2つで20000ゼニーです」

 

 高ッ!い、いや余裕で買えるけども……

 

「ダメだよ、スバルくん。お揃いなんだから、一緒に買いたかったのに……」

 

 いや、ミソラちゃんにお金出させるとか、クズ過ぎるから!しかし、通信機のペンダントと被っちゃうな……

 普段は服の下に入れておくか。

 

「いいの、いいの。お礼だよ。キミが連れ出してくれなかったら、こんな場所来なかったと思うしね。こういう場所って、中々来づらくて……」

 

 もちろん嘘だ。後で映画を観に、一人で来る予定である。

 

「フフフッ、ありがとう。大事にするからね」

 

「アハハ……」

 

「さっ!あっちのお店も見に行こうよ!」

 

 戦いはまだ、始まったばかりだ。

 

「(クックック……こりゃ、一日中引っ張り回されるな……精々頑張ることだぜ!)」

 

「(ロックもトランサーの中で結果的に付き合うことになるの、わかってる?)」

 

「(……寝てるか)」

 

 き、汚い!

 

「スバルくん、早くおいでよー!カワイイバッグを見つけたよ!」

 

「ハーイ……」

 

「ねぇ、見て!このバッグ、カワイイよね!?」

 

「ミソラちゃんに、ニアッテルヨ」

 

 だ、段々機械的になってきたような気がする……

 

ーー103デパート・少し離れたショッピングエリアーー

 

 み、見誤っていた!これは……紛れもない、デートだ!

 

「スバルくんの癖に、生意気じゃない……!」

 

 とても、嫌な気持ち。今すぐあの二人に割って入ってやりたいけれど、それをやったらスバルくんに嫌われる、かも。なんでこんな不確かなコトで怯んでいるのだろう。ワタシ、こんなに脆かったっけ?

 

 ーーピンポンパンポーン!

『お客様にお知らせいたします。ただ今、当店屋上にて、亜熱帯のジャングル展を開催しております。ジャングルに生息するさまざまな蛇がご覧いただけます。皆様お誘いあわせのうえ、当店屋上のイベント会場へお越しくださいませ』

 ーーピンポンパンポーン!

 

「亜熱帯ジャングル展……確か、パパとママが中心になって取り仕切っているイベントだわ……」

 

 どうしようかしら。見つかったら、きっと小言を言われるだけじゃ済まないだろう。リスキーだ。しかし……

 

『ジャングル展だって!ちょっと面白そうじゃない?行ってみようよ!ね!?』

 

『いいよ、ボク蛇には結構興味あるんだ』

 

 ま、まさかイベント会場に行くつもりなの……?これでパパとママに出会う可能性は上がってしまった。いえ、取り仕切っていると言っても、常にいるとは限らないハズ。ここは……賭けに、出るしかないわね。

 

「……こっそり、つけてやるわ!」

 

 ーーイベント会場『亜熱帯の館』ーー

 

 103デパートの屋上には、その1/3程のスペースを使い中々立派な建物が出来ていた。外壁には、青いカエルと赤い魚が描かれており、背景色の濃緑と相まって異質な空間と化しているのは、製作者の狙いなのだろうか。ボクにそういったセンスがないことはわかっているから、どう判断したものかわからない。

 

「ここがジャングル展……」

 

 なるほど、中は結構暗くなっているんだね。入り口の案内を見たところ、正式名称は『亜熱帯の館』と言うらしい。亜熱帯か……なるほど、何となくジメジメしているのも納得というわけだね。正直結構不快な湿度なんだけど、ミソラちゃんは平気そうだ。女の子パネェ。

 

「『亜熱帯の館へようこそ!ここには世界各地の珍しい蛇をたくさん集めました。蛇はみんな獰猛で危険ですので、触ったりエサをあげたりしないでください』だって。ここ、本物の蛇がいるんだね……」

 

 と、いうか柵もないのが気になる。危ないでしょう?何か起きたらどうするつもりだったんだろう。

 

「ミソラちゃんは蛇、ダメなの?」

 

「ワタシ、爬虫類は大丈夫なほうだけど、これだけたくさんいたらちょっと怖いな……」

 

 ここで袖を握ってくるのは狙っているのでしょうか。

 あ、あざとい。

 

「ま、まぁ、ゆっくり見ていこうか」

 

「うん!」

 

 ーー十分後ーー

 

「へぇ、オオマダラ・アナコンダっていうんだ、このヘビ。世界最大クラスの大きさを誇っていて、人でも丸飲みに出来るらしいよ……」

 

「…………」

 

 無言で腕に抱きつくのは止めて頂きたい。

 

「レプリカだから!別に襲ってきたりはしないよ?」

 

「…………うん」

 

 あ、ウェーブイン用の小さなウェーブホールがある。確か今は通行禁止になってるんだっけ?

 

「でも本物の蛇も結構いるんだよね。さっき会った蛇博士なんか、凄い詳しかったなぁ……」

 

ホントビックリした。この世界の蛇ヤバすぎでしょう。

絶対に王蛇とかいたはず。イライラするんだよ……!

 

 ーー五分後ーー

 

「フゥ、いろいろ見て回って、ちょっと疲れちゃったね。少し休憩しない?」

 

 おお、渡りに船ってヤツだね。もうクタクタだよ……

 

「うん、そうしようか」

 

「よし、決まり!それじゃ外に出よっか!この近くにお洒落なカフェがあるんだ」

 

 あれ?確かここで委員長が……

 

「カフェ?あぁ、103デパートの近くにあったカフェのこと?ボクカフェなんて行ったことないなぁ……」

 

 うーん、ボクが一人、カフェで休憩しているイメージを思い浮かべる。……イッツ、シュール!

 

「フフッ、ワタシについてきたら大丈夫だって!さ、行きましょ!」

 

 ーー亜熱帯の館・白金ルナ視点ーー

 

 マズイ。こっちに来た。偶然を装って挨拶をする?いや、スバルくんはともかく、響ミソラの方は何か勘づきそうな気がする。女の勘だ。間違いない。

 

「(取り敢えず、逃げないと……)あっ」

 

 ……しまった。パパとママが此方に向かってくる。既に見られてしまったようで、今更逃げても後で追及されるだろう。何より、体が動かない。蛇睨みをくらって、金縛りにでもあったかのようだ。

 

「ルナ、こんなところで何をしているんだ?」

 

 パパが咎めるような口調で話しかけてくる。どうしよう、何か、何か言い訳を……

 

「あの……そ、その……」

 

 言葉が上手く紡げない。完全に借りてきた猫のような状態だ。

 

「どうしたの、はっきりおっしゃい?」

 

 ママ、これは、ええっと……

 

「そ、その……」

 

『スバルくん、早く行こうよ!』

 

 あ、スバルくんたちも来る……

 

「あ、委員長。奇遇だね、こんなところで」

 

 不思議そうな顔をするスバルくん。まさか追跡されていたなんて、思いもしなかったでしょうね。

 

「ええ。き、奇遇ね、スバルくん……」

 

「ルナ、この子たちは?」

 

 絞り出すように返事をしたワタシにパパが関係を聞いてくる。ワタシだって二人の関係、知りたいわよ!

 

「お、同じクラスのスバルくん、と」

 

「その友達の響ミソラです」

 

 ワタシの言葉を引き継ぐように、彼女……響ミソラが自己紹介をする。

 

「フン、小学生のクセに大人気取りでデートかね?感心できんな……大人の真似事をする暇があるのなら、より優秀な大人になるために、もっと勉強するべきだと思うがね」

 

 響ミソラが眉をひそめ、反論しようとするのを制し、スバルくんが口を開いた。

 

「ボクは小学生の学習内容は全て自宅で学習しましたし、彼女はミュージシャンでもあります。多くのモノに触れて、より良いモノを生み出そうとすることは、おかしいですか?貴方たちだって、外部からインスピレーションを得たりしますよね?」

 

 スバルくんが、庇ってくれている?いや、連れの彼女を貶されたとか、そんな理由だろう。でも、嬉しい。そしてちょっと羨ましい。ワタシには、パパとママに反抗するなんて、できっこないから。

 

「それを語るには、キミはまだ幼すぎる。せめて社会の荒波に揉まれてからでないとな。言葉に重みが足りんよ」

 

「そうね、こんな子たちが周りにいたのでは、ルナに悪い影響が出てしまうわ。転校の手続きを急いで済ませてしまわないと」

 

 そうね。わかりきっていたことだわ。あの二人が子供の話なんか、まともに聞き入れるわけはなかった。もし本当に聞き入れる耳があったのなら、転校なんて言葉が出てくるハズがない。

 

「転校……委員長、転校しちゃうの?」

 

 スバルくんの問いに答えたのは、パパだった。

 

「それは、私が説明してやろう。ルナの輝かしい将来のために、しっかりと管理された環境で学習できる学校に転校させることにした。転校すれば、キミたちとももう、会うことはあるまい。あまりルナの前にしゃしゃり出て、ルナを混乱させてやらないで欲しいものだ。大体キミらみたいな……」

 

 もう、限界!

 

「パパ、もうやめて!」

 

「黙っていなさい、ルナ。お前はパパとママの言うことを聞いていればいいんだ」

 

 そんなこと!

 

「イヤ!ワタシはパパとママの人形じゃない!」

 

 もう嫌よ!こんなの!

 

 ーー委員長退出後ーー

 

「ルナ……」

 

「放っておきなさい。ウチに帰ったら厳しくいいきかせないとな。もっと早くにルナを転校させておくべきだったよ。キミらもさっさとウチに帰りなさい」

 

 立ち去ろうとする委員長父母。流石にこのまま行かせたくはない。

 

「ボクは、つい最近まで、引きこもりでした」

 

 唐突に元引きこもり宣言をしたボクを、委員長父母は不思議そうに見てくる。話を続けよう。

 

「不登校だったボクの前にしゃしゃり出て、学校に引っ張り出してくれたのが、委員長……貴方たちの娘なんです。だから口を出さずには、いられなかった。覚えておいてください。彼女には彼女の、世界があるんです。彼女が築いた、彼女の世界が。それはきっと、彼女の心の支えになっているハズ。……あまり、壊さないであげてほしいんです」

 

「フン、ならば私たちが、より正しいルナの世界を構築する手助けをしてやるまでだ。それにキミとルナじゃ、事情が違う。キミは、キミの心の問題だったが、ルナの場合は将来がかかっているんだ。こればかりは、譲れない」

 

 行くぞ、と言って二人は行ってしまった。

 

「…………」

 

「何アレ!?アッタマ来ちゃう!!」

 

 ミソラちゃんもお冠だ。

 

「ホント!感じ悪いったらありゃしないわ!」

 

 ハープもお冠のようで、やはり二人は気があっているらしいね。

 

「どうしたんだ?あのオヤジにガミガミ言われてビビッちまったのか?」

 

ロックが意外そうに聞いてくる。

 

「いや、あの二人に言葉を、届かせられなかった……それに委員長の顔、とても張りつめてたんだ。普段からは信じられないよ」

 

「ムムッ、ワタシとしては複雑な気持ちだけど……でも、誰かに自分を縛られるのがとっても辛いってコトはわかるから……」

 

 ああ、あのマネージャーか。そういえば彼、どうしたんだろう。

 

「ミソラちゃん……」

 

「うん。それじゃ、様子を見に行ってみようか?」

 

 そうだね。多分、今頃オヒュカスが……

 

「行くんなら、急いだほうがいいぜ。何かイヤな予感がする」

 

 イヤな予感、ねぇ……大体百発百中だけどね。

 

「わかった。急ごう、ミソラちゃん!」

 

 オヒュカスを利用するようで、何だか複雑な気分だ。でも委員長は一度、両親に思いの丈をぶちまけた方がいいと思うんだよね。

 

さて、委員長を追わないと……




ミソラちゃん回に見せかけた委員長回だったような……
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