ということで、アナタも流星小説、書いてみませんか!?(必死)
ーー1時間前・ヤシブタウンーー
実は、星河スバルが来る30分前には既に、響ミソラは待ち合わせの場所に来ていた。一応、映画館の混み具合と、他に気になる店がないか下見をしに来たのである。響ミソラはデートに妥協しなかった。凄い。
「フゥ……取り敢えず、これくらいでいいかな。ハープはどう?何か気になるお店とか、あった?」
「(ポロロン……そうね、強いて言うなら……今日は103デパートには近づかない方がいいわね」
女の勘恐るべし。今日は白金百合子……つまり、委員長の父母がイベント会場の調整に来ていた。イベント自体が始まっても、仕事というのは結構あるものである。
「うん、ワタシもちょっと感じてた。何だか凄くイヤな予感がするんだよね、あのデパート……」
女二人で自分たちの勘が正しそうだということを再確認している最中、不意に聞きなれた声が聞こえてきた。聞きなれたと言っても、ハープにとってだが。
『見つけたぞ……FM王を裏切り、地球側に与した大罪人……ハープよ』
「これは……!ハープ!」
「わかってるわ!」
お互いに言わずとも、電波変換の体勢に入っていた。阿吽の呼吸というヤツである。
「電波変換!響ミソラ、オン・エア!」
ーーヤシブタウンのウェーブロードーー
咄嗟の電波変換の後でも、ミソラたちは油断しなかった。声は聞こえど姿は見えず……そんな存在と暮らしているミソラにとっては敵が電波体か、それに関する類いだということはわかりきっていたからだ。
「ハープ、周囲は……?」
「そうね、イヤな感覚が5つ……」
「(思ったより多い……!)」
顔に苦渋を滲ませたミソラに追い打ちをかけるようにそのイヤな感覚の持ち主が5人、姿を表した。
「やはりオックス、キグナス、リブラ、オヒュカス……そしてジェミニ!」
「オレたちの存在に気づいていたのか……?」
ジェミニの疑問に答えるつもりはなかったが、この状況だ。あまり彼らを刺激してはいけないだろう。
「ポロロン、忘れたのかしら?ワタシは音波を操るFM星人……音を扱う故に、耳は効く方なのよ」
本当は耳が効く、程度ではないがあまり敵に情報を与えるのも良くない。恐らく、この後は……
「フン、まぁいい。オレたちはFM王の手により蘇った。そしてFM王の配下であるオレたちが、オマエたちの前に現れた理由、まさかわからないハズはないだろう?」
代表してジェミニが話しかけてくるため、他は黙っている。まさか戦闘時にも静観、というわけではないだろうが。
「ええ、そうね。ところで、こんな場所でレディに襲いかかるなんて、いささかマナーがなっていないのではなくって?」
挑発のように言うと、ニヤリとジェミニが笑ったことがはっきりとわかった。この反応を読んでいた……?
「だろうな。オレたちも、オマエのFM星の戦士としての最後の矜持くらいは保たせてやる。……ついてこい」
そう言ってジェミニたちは、ワタシを囲むように並び、飛行するように促してくる。音符のサーフボードを出して乗れってことね、これは。
「ミソラ……」
「……わかってる」
あの方向には、確か……ドリームアイランド、だったかしら?前に地図で見たような気がするわね…… この状況では、迂闊に助けを呼ぶことも出来ない。
早く来なさいよね、ロックマン……!ミソラにケガさせたら、責任とってもらうわよ!
ーーヤシブタウンーー
『と、いうワケだ。ハープ・ノートの身柄はこちらで預かっている。……取引といこうじゃないか』
ジェミニ……!クソッ、原作通りに進まなかったことが裏目に出るなんて!
「こちらからは、何を出せばいいんだ……?」
分かりきっている。アレだろう。
『クククク……わかってるだろ?「アンドロメダのカギ」だよ。まぁ、こっちで預かってる裏切り者の命が惜しくないっていうのなら、別に来なくてもいいぜ?』
こ、この野郎……!
「『アンドロメダのカギ』とハープ・ノートを交換しろって、そう言ってるんだよね?」
『まぁ平たく言うとそうだ。場所は廃棄物置き場の奥。……なるべく、早く来た方がいいぜ?オレは親切だからなぁ、忠告はしといてやったぞ』
ーーガチャッ!
「オイ、スバル。どうするんだ……って、決まってるよな!行くぜ、ヤツらのトコロへ!」
何だよ、ロック。ボクまだ何も言ってないじゃないか。でも、そうだね。行こうか、廃棄物置き場へ!
「ゴメンねロック。せっかく守ってきた『アンドロメダのカギ』を、こんなカタチで……」
ボクの言葉に目を丸くしたロックだったけど、すぐに好戦的な笑みを浮かべてボクの片を叩いてきた。
「ヘッ、よく考えればよ、あんな古くさいウスノロなんてぶっ壊しちまばいいって気づいたのさ。あーあ、何で今まで思い付かなかったかねぇ……」
「うん、うん……ありがとうロック……」
クソッ、前がよく見えないじゃないか……!
「ほら、行くぜ!」
「わ、わかってるよ……」
ーー廃棄物置き場ーー
この先に、ミソラちゃんが……!
「ロック、いい?」
「ヘッ!誰に聞いてんだ?」
オッケー、じゃあいくよ。電波変換。星河スバル、オン・エア……!
ーー廃棄物置き場・最奥ーー
以前ツカサ君とブラザーバンドを結んだ場所には、今まで倒したFM星人たちが勢揃いしていた。ミソラちゃんは……いた。電波変換した状態で、オックスが肩に抱えている。どうやら気を失っているようだ。コイツら、女の子に対する扱いじゃないぞ……!
「待っていたぞ、ロックマン。いや、ウォーロック。さぁ、『アンドロメダのカギ』を渡して貰おうか」
ジェミニ……お前はボクを、怒らせた。
オラオラじゃ足りないからな!
「……ロック」
「あぁ……ほら、コイツだ。触らないなら、確認してもいいぜ」
やけに穏やかなロック。いや、堪えているのか?怒りを……
「いや、いい。確かに『アンドロメダのカギ』だ。オレはFM王の右腕だからな、一度見たことがある。……確か、AMプラネットを滅ぼす時だったっけなぁ?」
「…………ッッ!!」
ロックが震えている。怒りを堪えるのも限界か……。もう少し、待ってくれ。ミソラちゃんを取り戻すまでは……
「ほら、早くミソラちゃんを此方に。無駄話をしに来たワケじゃなんでしょ?」
「クククク……おっと、そうだったぜ。さぁ、交換といこうか……」
オックスがミソラちゃんを抱えて此方に歩み寄ってくる。良かった。ちゃんと息はしてる。キズも少なく、痕にもならないだろう。
ミソラちゃんと『アンドロメダのカギ』の交換は、粛々と行われた……。まぁ、流石に『アンドロメダのカギ』を奪還するチャンスをふいにはしたくなかったのだろう。返還された『アンドロメダのカギ』は、上空へと飛んでいってしまった。FM王の下にいったのか……?
「ミソラちゃん……」
「……う、う~ん…………ハッ!」
「大丈夫、ミソラちゃん!?」
腕の中で目を覚ましたミソラちゃん。取引の最中に目覚めなくて、よかったよ、ホント。
「あ……スバルくん?エヘヘ……また、お姫様抱っこだね……?」
ミソラちゃんは笑うけれど、いつもの覇気がない。早く休ませなければ!
「いいから!取り敢えずジッとしてて。ちゃんと、家まで運んであげるから……ハープも、ありがとね」
「ポロロン……この子を褒めてやってほしいわね。この子、あんな状況でアナタに心配かけまいと、5対1で立ち回ったのよ?ワタシがキズついたら、スバルくんもキズつくんだって、そう言って……」
「ハープ、恥ずかしいってば……」
ミソラちゃんが恥ずかしそうにハープを制する。
ボクのことなんか、気にしなくていいのに!
「さて、感動の再会は済んだか?」
「ジェミニ?何だよ、取引はもう……」
いや、ちょっとまさか……!?やるってのか!?
「ああ、取引は終わったぜ。しかし5対1だ。ハープという足手まといを連れた状態で、これ以上の条件もないだろう。この状況で、オマエを潰さないってのも非合理だからな。悪いが、全員でかからせてもらうぞッ!」
……汚ねェッ!ま、負けられるかァッ……!!
「ミソラちゃん、ちょっとゴメン!」
「うん、ワタシのことは、気にしないでいいよ……?」
気にするに決まってるでしょォッ!
「ロック!」
「おうッ!」
即行でカタを着けなきゃ、ミソラちゃんが!
「スタァフォォスッッ!!!」
ーーバチバチッ!
何だ?これは……反応している?ベルセルクの、カードが……!?
ーーバチバチバチッ!
「何だ、あの形態で帯電している、だと?」
「どういうことだ!?データにはあんな状態は……!?」
FM星人たちが何か言っているが、どうでもいい!
ヤツらを氷漬けにするまで、ボクは戦うからな!
「オマエたち、覚悟してもらうからな!」
「ああ!ここからは、ずっとオレたちのターンだぜ!」
変なネタを挟むな!
「チッ、いい気になるなよ!数はこっちの方が上だ!ここでくたばってもらうぞ……!」
『……余の下へ集え。……我が戦士たちよ……』
この声……FM王か!要らぬ横槍をッ!
「ハッ!……悪いがこの戦い、お預けだ。アンドロメダが、遂にお目覚めだぜ……!」
クッ、フラッシュ!?ジェミニの仕業か!
「待てェッ!」
『慌てるない!おめぇの相手はこのオレがしてやるぜ!』
何だ!?ジャミンガーのGタイプ?今更こんな雑魚に構っていられるか!だけど、放っておくわけにも……!しょうがない。ミソラちゃんの安全はほとんど保証出来たんだ、十分だろう。
「いいの?ボクは今、とてもキレている。とばっちりだよ?」
「ヘヘッ、アンドロメダに食われる前に、オレがおめぇを葬ってやるぜ!!」
「後悔すんなよ……?今のスバルはつえぇぞ……!」
そうだ!ロックと一緒なら、負ける気がしない!
「行くよロック!ウェーブバトル・ライドオン!」
「ヘッ!FM王までぶっ飛ばしてやるぜ!」
それはちょっと無理かな……
「くたばるのはおめぇのほうさ!行くぜ!」
お決まりのジャミングマシンガンを乱射しながら此方に向かってくるジャミンガーG。流石にGタイプだけあるのか、ジャミングマシンガンを撃ちながらでもパワフルに動けるらしい。さて、バトルカードは……って、これは、さっきの……!
いいじゃないか!御披露目にはおあつらえ向きだ!
「今日は最初からクライマックスで行くよ、ロック!」
「大歓迎だぜ、スバル!」
「じゃあいくよ……!」
ギガクラスカード『ペガサス・マジックGX』発動!
って、何だ!?トランサーからオーラみたいなモノが……
「うわわわっ!」
すっぽりオーラで覆われてしまった!でも別に、何がどうってわけじゃないぞ?
「そ、そのオーラ……まさかペガサス・マジック!?」
敵のジャミンガーがボクの姿に反応する。確かにアイスペガサスのフォームではあるけれど、そこまで似通ってはいないはず……って、このオーラがペガサス・マジックのカタチってことなの!?中からじゃわかんないよ……
「まぁ、いいや!そういうことなら……うおぉぉぉっ!」
ボクの雄叫びに合わせ、普段の二倍近い大きさの魔方陣がジャミンガーの真下に出現する。凄いぞ、コレ!
「な、何だ……!?ッ!……グアァァァァッ!」
完全に氷漬けになってしまったジャミンガーG。いつか溶けるって。多分、きっと、メイビー。
「フッ、また愉快なオブジェを作ってしまった……!」
「あんまりキマってねぇぞ、その決め台詞」
ありゃりゃ?そうだった……?
「じゃあ、とんだインチキカードだったよ……で、どう?」
「羽が黒けりゃあ、完璧だったな」
チクショウ!って、こんなことやってる場合じゃないぞ!ミソラちゃんが!
「ミソラちゃん!」
「あ、お疲れスバルくん」
なんか元気そうなんですけど!?
「あれ、ケガは……?」
「そりゃあ、あれだけ時間あったらリカバリーだって使ってるよ」
さ、左様ですか……
「まぁ、元気ならいいんだけど……」
「フフフ……でもスバルくん、送ってくれるって言ったでしょう?」
あ、そうだった……
「ほら、行こっ!」
ボクの手を引っ張ってバス停まで向かうミソラちゃん。ちょっ、ちょっと!指が絡んでるって……!
「ケッ、一件落着と言ったトコロか。今日は随分素直だったじゃねぇか、ハープよぉ?」
「ポロロン……まぁ、今日はワタシも疲れたわ……。もしもミソラがホントにケガしたら、ボウヤに責任取らせるつもりだったのだけど……電波体が仇になったわね」
「責任ってなんだよ……?」
「ガサツなロックにはわからないわ……。複雑な乙女心なんて、ね」
「まぁ、別にどうでもいいが……そろそろアイツらのトランサーに戻らないと、置いていかれちまうぜ?」
「そうね、戻りましょうか……」
「ちょっと、ミソラちゃん!?早いってば!」
「♪~♪~」
「ああ、もう、聞いてよぉ……!」
何だよもう!突然元気になってさぁ!
あれ、おかしい。シリアスだったはずなのに。
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