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後書きについては、深夜テンションで思い付いたので好評なら続けます。
6/22、修正しました。
ーー展望台ーー
「ヒッ!バ、バケモノ……!!」
夕暮れに一人、展望台では白金ルナに反省を促され、孤独に恐怖する少年がいた。
少年ーー牛島ゴン太は、乱暴で嫌われものだった自分に手を差しのべてくれた白金ルナに大きな恩を感じている。
そんな少年が、いくら興奮して、本気で言ったわけではないとはいえ、恩人との繋がりが断たれるかもしれないという現実は、何よりも恐れていることだったと、少年自身がよく理解していた。
「もしかして幽霊か何かか……?うわぁっ!こっちに来るなッ!」
「オレ様は幽霊じゃねぇ!……とにかく、落ち着いてオレ様の話を聞け、牛島ゴン太……」
「オレの名前を……?」
「ブルルルッ!!オレ様はオックス……FMプラネットから来たFM星人だ。お前の孤独の周波数に引き付けられて、やって来た……」
「コドクのしゅうはすう……?」
この少年、孤独に関しては理解があるが、基本的に残念な頭なので周波数についての知識はなかった。
「……ゴン太、お前には素質がある……。お前の心のスキマにオレ様を受け入れれば力を与えてやる……委員長とやらに力を示してやれば、お前も居場所を無くすことはなくなるはずだ」
「力を示す……?それにFMせいじん……星人!?宇宙人なのか!?」
「そんなことはどうでもいい、どうなんだ?力を受け入れるのか?あの委員長にチカラを示すことが出来るぞ……?」
「力を示すったって、そんなこと、どうすれば……」
「ブルルルッ!!心配するな、お前はオレ様に全てを委ねればいい……さぁ、オレ様を受け入れろ!!それともまた孤独な生活に戻るか!?」
少年は自分が頭の悪い人間だと理解している。
かつての自分がケンカだけを取り柄としていたとしても、それを活用する機会さえ見誤らなければ、少なくとも荒事を任せられる……という立ち位置は確保できていたであろう。
もちろん、無闇に暴力は奮わないという前提はあるが。
これは委員長の受け売りであったため、少年は自分の頭の悪さに、より一層辟易することになったが解決策を見出だしてくれた委員長には感謝している。
そんな少年が大恩ある白金ルナとのブラザーバンドを切られるということは、過去の再来を意味していて…………
「……コドクは、イヤだ」
ーーーとある事件を引き起こすことになる。
ーーー星河家ーーー
「やっちゃった……わざわざ誘いに来てくれた人にボクはケガをさせたかもしれないんだ……」
「ちとやり過ぎだったかもしれないが、究極的には降りかかる火の粉を払っただけだろ?オマエも迷惑していたんじゃないのか……?」
「いや、でもあれはちょっと……足が滑ったじゃすまないよ……」
「そうだな、あのでっかいヤツの足が滑って転けてやがったぜ!」
ガハハハ、と笑うウォーロックに眉をひそめつつ、ボクは改めて後悔していた……。
「やめてよホントに……」
「自分の身は自分で守らなくちゃ、誰も守ってはくれない。……オレの育ったFMプラネットではそう習ったぜ?」
ああ、だからFM星人って自我が強いヤツが多いんだね……まぁロックはFMプラネットにいたころからケンカっぱやかったけど。
よくロックをボコボコにしてたっていうコーヴァスとヴァルゴはもう地球に来てるのかな……?
彼らも追われる身だから、わざわざロックを追ってきたりはしないはずだけど……
「ああ……うん、もういいよロック。あの子には今度謝らなくちゃ……」
なんかもう、今日はドッと疲れたよ……シャワー浴びて早く寝よう……
ーー次の日ーー
何か忘れているような気がする……何だっけ?
…まぁ、いいか。さて、二日後の夕方まで時間はある。
その前にオックスを倒してもきっとゴン太自身の件は解決しないだろうし……
「おはよう、ロック」
「おう、ところで今日はどうするんだ?」
「うん、今日は夜からとある倉庫に忍び込もうと思うんだ」
「…………何かワリぃことでもするのか?目立つなら止めるぞ……?」
いや、うん。わかるよ、ボクだっていきなり相棒に犯罪の片棒を担げって言われたら疑うし……
「うーん、僕たちってまだ電波体になれるようになって3日目なんだけどさ……パワーアップって興味ない?ロック」
「何、パワーアップだと?」
おお、興味持ったかな?まぁ、(狂)戦士だからねぇ……
「そうだよ、FMプラネットから来たFM星人って凄く強いんだろ?なら手札を増やしておいて損はないと思うんだけど……FMプラネットにいた頃のロックの力は知られているだろうし、向こうも対策してくる可能性はあると思うよ」
そういえば、何でゲームでは追ってきたFM星人はロック対策をしなかったんだろう……?舐めてたのかな?ソロなんて、クソうざい電波障壁(笑)
「……当てはあるのか?電波体であるオレをこの地球の技術で弄ったりできるとは思わないがな」
「そうだね……現在では出回ってないモノだから、ボクたちの強化に使用しても問題ないはずさ……それに、どうなるかは見てみないとわからない」
何せ古代の技術で製作されたオーパーツなんだから。
「フン……場所はわかっているのか?」
「うん、M県S市の発掘品用の倉庫に眠ってるってことまではわかってる」
「移動手段は?」
「今の時代、移動用のバスにだって電子機器は使われている。だからM県S市行きの長距離バスの電脳に入って、現地入りしたあとは、ウェーブロードを伝って倉庫に忍び込もう」
この時期のサテラポリスには電波体が不正にアクセスしてきても、その姿を映像で出すことは出来ないはず……!
「ただ、準備が必要なんだけど……ロック、電波変換時に体全体を覆うフードつきのローブは用意できるかい?」
「ああ、ある程度なら融合体の意向に沿ったカタチに変身できるからな……ローブ程度なら可能だと思うぜ」
…よし、これで万が一見つかってもウェーブアウトするまで正体を隠すことができる。
「なら大丈夫……しっかりごはん食べてからいくよ……長丁場になるかもしれないからね」
ーー20:00ーー
『それでは、M県行きの当長距離バスは発車いたしま~す』
電波技術の進歩の賜物か、いやにリアルな人工音声が車内に響く。それはバスの電脳に忍び込んだボクたちにもはっきり聞こえている……
「ところで、スバル。勝手にバスの電脳に忍び込んで大丈夫なのか」
ロックから慎重な発言を聞くことになるとは思ってなかったよ……
「大丈夫だよ、ロック。昨日の自動車の電脳にいたデンパを見たでしょ?あのデンパは何か良くないものが電脳に入ってきたことを認識していたけど、その形状なんかはわかっていない様子だった。つまり、ボクたちがしっかり隠れていれば見つかりっこないし、逆にこの電脳内でボクたちを見つけたウィルスをこっそり倒していれば、リザルトデータからこの電脳のウィルス退治するために依頼されたって言い訳が立つしね」
…あとはアドリブでなんとかなるでしょ……!
「そこまで考えているならオレから文句はないぜ」
ーー3時間後ーー
『目的地に到着しました、お気をつけてお降りください』
やっとついた……帰りはウェーブアウト一発で帰れるとはいえ、中々退屈な時間だったね……
「倉庫の場所は調べてあるから……っと、こっちだね」
「なんか今日のスバルは頼りになるぜ!まだ出会って3日目だがな!」
「はいはい、この先一キロだから、もう少しだよ」
「……!(この気配は……イヤ予感がするぜ)」
ーーM県S市とある倉庫周辺のウェーブロードーー
「……着いたよ、ここがその倉庫だ」
「…………(やはりこの気配は……)」
…さっきからロックが喋らない……どうかしたのかな?
「それじゃあ内部のウェーブロードへ……ロック、準備はいい?」
「ああ、だが気を付けろよ……何がいるかわかったもんじゃねぇからな」
それじゃ、GO!とっとと終わらせようか……
ーー倉庫内部のウェーブロードーー
…なんか、いるんですけどォ………!?
「(ロック!何かデッカイ狼みたいなヤツがいるんだけど!?)」
…あれってもしかして……?植木職人じゃなかったの!?何でココにあの電波体がいるんだよ……!?
「(……ああ、アレは多分、FM星人に取り憑かれた人間だ、しかしアイツはそんなことするヤツだったか……?)」
…うわっ、こっちに気づいた!
「怪しいヤツめ……!今日は満月、俺の血が騒いでしょうがねぇと思ってたところに、いい獲物が来たじゃねぇか……コイツはぶっ倒してもいいヤツだよなぁ、ウルフ?」
「そうだな、だがこの周波数……コイツも電波人間だ。今までのウィルスとは格が違うからな……本気でやれよ、尾上」
「ソコんところは気にしなくていいぜぇ……ヒャハァッ!」
うわぁっこっち来る!?ま、まずはシールドを……
ーーガキン!
…凄い威力だッ!クソっ、こんなはずじゃあ……ローブを被っているからあまり激しくは動けない。今回は撤退すべきか……?
「おい、やめろウルフ!」
…ロック?ああ、ウルフとは知り合いだったっけ……
「オレだ、ロック……ウォーロックだよ!」
「何……やはりこの気配、ウォーロックだったか」
「なんだウルフ、知り合いか……?チッ!やっとオレの攻撃に反応出来たヤツに会えたと思ったのによぉ……」
「本当か……?」
「オイ、スバル!ローブを外せ!」
…渋々ローブを外す……いや、デカイ狼が怖かったからじゃないよ?本当だよ?
「……なるほど、オマエも電波人間となっていたのか……だが、どういうことだ?ここは全面アクセス禁止エリアだぞ?」
「目的はオレのパワーアップらしいが……詳しいことはスバルに聞けよ。俺は今回付いてきただけなんだ」
丸投げっ!?いや、確かにその通りだけどさぁ……
「えっと、話してもいいんですけど、アナタは何故このエリアにいるんですか?」
この人も普通にアウトな場所にいたんだよなぁ……
「アァ?俺は本職は植木職人だが、自作のバトルナビを持ってるってことにしてるからな。今回は仕事で倉庫内部のウィルス退治をしてたンだよ」
…ああ、なるほど。そういうやり方もあるのか。
「そうですか、疑ってすみません……実を言うと、ボクたちはこの倉庫に安置されているオーパーツを見に来たんですけど……その、バレないと思って。すいません」
「まぁ、仕事だからな……で、そのオーパーツを盗もうってか?」
「いえ、違います!電波体の姿で触れるだけでいいんですけど……」
「何か盗っていくってわけじゃないんだな?……ならいいぜ。俺が案内してやるよ……ウルフのダチらしいからな……信用できる」
「尾上……」
ウルフの感動が伝わってくるようだ……
「それじゃあ、お願いし「だが待ちな」ます。ってええ……」
「ウルフのダチのウォーロックっつったか?ソイツは信用できるがな、オマエはまだわからねぇ」
「……どうすればいいんですか?」
…この流れは、マズイ気がする……
「簡単だァッ!俺とバトルしてもらうぜ!」
戦闘民族かよぉっ!満月に反応するし……
「ちなみに断ったら……」
「そりゃあ、お縄を頂戴させてもらうしかねぇな」
うわぁ……ボクが悪いのはわかるけどタチが悪いよ……
「……わかりました。お受けします。……ここでやるんですか?」
今ボクたちは倉庫のウェーブロード上、電脳世界にあった50メートル×50メートルと同じ程度の正方形のパネルの上にいる。
「ちっと狭い気もするが、まぁ十分だろうよ」
「うう……では、いきますよ……!」
「おうよ!思いっきり戦おうぜぇっ!すっかり高ぶっちまったからな……俺の血を静めてくれぇっ!!」
「勝つよロック!ウェーブバトル、ライドオン!」
まさか最初に敵対するFM星人憑きの電波人間がウルフ・フォレストだとは思わなかったよ……
絶望の果てに手に入れた繋がり……赤き猛牛の雄叫びが電脳世界に轟く時、青き伝説の幕が上がる!漢の意地と覚悟を前に、スバルの新たな力が解放される……
次回、流星のロックマン VRAINS 第6話
Into the VRAINS!(大嘘)