星河スバル(偽)の戦闘録   作:星屑

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電波世界の表記は真ベルセルク編より、○○の電波と表記させていただきます。


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 ーーコダマタウンの電波ーー

 

 スタタタッと素早くコマーシャルシップが落ちた場所まで移動する。既に電波化しているのでウィルスは可視状態なのだけど、地面の上に立っているウィルスと戦うってのはどこか、不思議な気分にさせる。違和感なのだろうか。

 

「よぉーし!新生ロックマンの初バトルといこうか!ロック、準備は?」

 

「いくぜ!」

 

 気分は最高潮!いいね……この感じ!トランサーの時とは、感覚が微妙に違う……というかパワーアップしている?端末がバージョンアップされると、電波体にも影響が出るのか。いや、道理だね。

 

「ファーストバトル!ライドオン!」

 

「オマエがファーストバトルって言うのは、チョット違和感があるよな……クククッ」

 

 ま、割と最近までバトル漬けだったからねぇ。今更言ったら、ちょっと滑稽だったかな?

 

「ほら、来るよロック!」

 

「おうよ!」

 

 改めて……ウェーブバトル、ライドオン!

 

「(さて、初期フォルダの中身は……)」

 

 スターキャリアーには、購入した時点で初期フォルダが搭載されている。これはサービスのようなもので、比較的入手しやすいものが入っている傾向だろうか。

 

 見た感じだと……ワイドソードが二枚来ているので、中近距離戦闘用の安価カード群といったところかな。ワイドソードとか、懐かしいなぁ!でも初期フォルダにワイドソードみたいな近接系を入れるのは、サービスとしては酷いと思う。大部分の人間は遠距離系のカードじゃないと攻撃出来ないんだから。

 

「よし……セレクト完了。いくよ!」

 

 敵はメットリオが7体。数は多いけど、基本は雑魚の群れなのであんまり脅威だとは感じない。精々死角から攻撃されないように、って警戒するくらいかな?

 

「ロック!」

 

「おう!」

 

 ウォーロックアタックの後押しを受け、一足跳びにメットリオの群れへ接近する。やはり反応が遅い!

 

「セァッ!」

 

 ワイドソードを横一文字に振り、2体のメットリオを同時にデリートする。あと5体!

 

「次!」

 

 展開時間の限界が迫っているワイドソードの刀身を飛ばし、メットリオに突き刺す。あと4体。

 

「ワイドソード!」

 

 メットリオたちがピッケルを振り上げ、地面に叩きつける前にウォーロックアタックで接近し、再び展開したワイドソードで2体のメットリオを葬る。そして……

 

「うおぉぉっ!」

 

 残りのメットリオを……斬ッ!

 

「……よし、終わり。どうだった?」

 

 勿論バトルの感触だ。こういう確認って、結構大事なんだよね。感覚がズレてると、ウォーロックアタックの精度にも響くし。

 

「悪くはねぇな。スターキャリアーの影響か……?」

 

 だろうね。ウォーロックアタックも、かなりスムーズに動けた気がする。

 

「かもね」

 

「まぁいい。兎に角、これで騒音は止まったハズだぜ。早いとこウェーブアウトしちまおう」

 

 はぁーい……

 

 

 ーーコダマタウンーー

 

 

 電波変換を解いたボクたちは、再びコマーシャルシップを調べていた。調べるといっても、騒音の有無くらいだけど。

 

「よし、騒音は収まったね」

 

「コイツの寿命も来ちまったみたいだがな」

 

 確かに。ウンともスンとも言わない。ヤバッ、弁償とかないよね……?い、いや、ビジブルゾーンじゃないんだ。見られるということはない、ハズ。

 

 

『アラ……奇遇ね!』

 

 あ、委員長。昨日ぶり。ゴン太とキザマロもいる。

 

「こんにちは、スバルくん。ご機嫌いかが?」

 

「清々しいくらいにいい気分さ」

 

「?……どういうコト?」

 

 あれ、わからないか。

 

「さっき、コマーシャルシップが落ちて来たでしょ?」

 

 というか、すぐそこにあるんだけど。

 

「そうだぜスバル。それでさっきから委員長はご機嫌ナナメなんだ」

 

 あれ?あんまりそうは見えないけど……

 

「でも今の委員長、結構機嫌良いように見えるけど……」

 

「それはですね……この騒音の原因を確認しに来てみたら、なんとスバルくんがいるじゃないですか!……そんなワケで、委員長は機嫌が良くなったんですよ」

 

「?……キザマロ、どういうこと?」

 

「フフフ……いいですか?委員長はスバルくんに会えてうr『キザマロ!』ッハイッ!」

 

 ???全く話の流れがわからない。別に昨日も会ったじゃないか。別段、不思議なことでもないよね?

 

「よくわからないけど、ボクは委員長と会えて嬉しいよ。だからキザマロに当たるのは……」

 

「~~ッ!わ、悪かったわねキザマロ!」

 

 顔を真っ赤にしてキザマロにキレながら謝る委員長。まぁ、人前で指摘されると恥ずかしくなるからね。仕方ないね。

 

「それで、騒音が酷かったからそこのコマーシャルシップをビジライザーで覗いてみたんだ。そうしたらウィルスがいてさ、電波変換してみたんだけど……」

 

「コマーシャルシップかぁ……オレはてっきりデカイ卵焼きかと……」

 

 さすゴン。安定のクオリティで少し安心する。取り敢えず、コマーシャルシップは食えないからね。

 

「た、卵焼きが空を飛ぶわけないじゃないですか!」

 

「ええ!?じゃ、じゃあ……ロックマン様になったの!?」

 

 え、あ、はいそうです。

 

「うん。そのロックマン様になって原因のウィルスをデリートしたんだけどさ、新しい端末になったからか電波体の調子も最高に良かったんだよ!」

 

「おお!じゃあスバルがあの騒音を止めてくれたのか!助かったぜ……」

 

「委員長がピアノのお稽古中だったそうで、あの騒音に折角ノっていた気分を台無しにされたんですよ」

 

 あー、そういえばそうだっけか。それでピアノのお稽古中だったのに、ゴン太たちが動員されたってことなのか。苦労してるなぁ……

 

「そう……流石はロックマン様ね。ま、まぁ?アナタも少しは頑張ったんじゃないかしら?」

 

「委員長、顔赤いままですよ」

 

 ここでキザマロの的確な突っ込みが委員長に突き刺さる。もうオーバーヒートしそうだ。

 

「ワ、ワタシは……スバルくんに……いえ、ロックマン様が……あ、でもどっちもスバルくんで……」

 

 何か葛藤があった後、耳まで真っ赤にして俯いてしまった。両手で赤い顔を覆い、アワアワしている。

 

「あ、そうだ。ゴン太、キザマロ」

 

「何だ?」

 

「何ですか?」

 

「今度さ、新しいゲームセンターが出来るらしいんだ。一緒に行かない?」

 

 たまには、男だけで遊びたい時もある。うん。

 それに二人ともブラザーだし。今はフォーマットされてるけど。

 

「おっ、いいなそれ!パンチングマシンなら、まかせろよ?」

 

「フフフ……クイズゲームでボクに勝てると思わないことですね……!」

 

 よし、二人とも好感触。

 

「じゃ、そういうことで……」

 

 そろそろ委員長も落ち着いたかな?

 

「ほら委員長、落ち着いて……」

 

「……え、ええ。もう大丈夫よ」

 

『あーー!!』

 

 っ!何だ!?向こうから来る二人組……あ、関係者か。

 

「こ、こんなトコロに落ちたのか!!これじゃあホントに費用の無駄遣いだよ……。弱ったぞぉ、ああ、弱ったぞぉ……費用が……費用が……」

 

 何か責任者の物悲しさを感じる……大変なんだね、管理者って。

 

「弱ったぞって……なんか、困ってるみたいですけど……」

 

 キザマロも困惑しているようだ。

 

「そうね……ちょっと話を聞いてみましょうか」

 

「おお!流石!委員長は委員長の鏡だぜ!」

 

 ゴン太の賛辞にドヤ顔で応えると、早速事情を聞き始める委員長。中々出来ることじゃないよ。

 

 

 

「失礼ですが、どうかいたしましたか?」

 

 委員長の外向き?の言葉遣いを聞くのは久しぶりだ。まぁ、見知らぬ大人だし仕方ないか。

 

「費用が……費用が問題なんだ!」

 

「費用ですか……あの、詳しく聞かせていただいても?」

 

 完全にデキる女の雰囲気を醸し出す委員長。うっすらと百合子さんに重なるのは気のせいか、否か……

 

「私の肩書きは映画プロデューサー。映画の宣伝のため、このコマーシャルシップを飛ばしたんだ。なのにコマーシャルシップがこの有り様で……」

 

「なるほど……私は機械に関しては素人なのですが、このコマーシャルシップをもう一度、空に浮かべることは出来ないのですか?」

 

 しかし委員長がいると話がサクサク進んでやり易くて仕方ない。助かるなぁ……

 

「不時着の衝撃でプロペラが外れてしまったらしいんだ。どこかに落ちているとは思うのだが、見つからんのだよ。ああ、費用が……費用がぁ……!」

 

 これは酷い。

 

「プロペラ、ですか……ゴン太、キザマロ、スバルくん。手分けして探してみましょうか?」

 

 衝撃で外れたのなら、既に破損しているような気がするのは、ボクだけだろうか。

 

「りょうかいだぜ!」

 

「ボクも探してみますよ!」

 

「よし、それじゃ、見つかったら連絡するってことで。ボクはあっちの方を探してみるよ」

 

「お願いね、スバルくん」

 

 はーい。というか何処にあるかはわかってるんだけどね。確か……

 

 ーー五分後ーー

 

 委員長が住んでいるマンションの屋上、その端に引っ掛かっている件のプロペラを発見した。

 

「……あったよ、ロック」

 

「ああ、だが高過ぎるな……スバル、ビジライザーだ」

 

「了解……お、屋根にウェーブロードが続いてるね」

 

 取り敢えず委員長たちに連絡しておくか……

 

 ーー五分後ーー

 

「それじゃ、取り敢えず電波変換して回収するから、委員長達はコマーシャルシップのところに戻っててもらっていい?」

 

『わかったわ。……すぐに来るのよ!?』

 

 何故そこを強調するのだろうか。

 

「わかってるって。それじゃ……」

 

ーーガチャッ!

 

 さ、とっとと回収しますか……

 

「ロック?」

 

「オッケーだぜ!」

 

 電波変換!星河スバル、オン・エア!

 

 

 ーーコダマタウンの電波ーー

 

 地面の上から繋がっているウェーブロードを伝い、どうにか高級マンションまでたどり着いたボクたち。ウィルスは現れたけれど、メットリオじゃあ足りないような気がする。いや、カードトレーダーの残弾くらいにはなるか。

 

「よし、これがプロペラだね」

 

「そんじゃ、とっととウェーブアウトしようぜ。そんなデカブツを抱えたままじゃあ、万が一ってこともあるからな」

 

 確かに。モンハンで運搬クエでもやってるような気分だ。まぁ、ウェーブアウトっていう個数無限のモドリ玉を持っているようなものなんだけど。

 

「了解!……ウェーブアウト!」

 

ーーバシュッ!

 

 そういえば、思いっきり物に触れたまま飛んでいるんだけど、周りにはどう見えているんだろうか。

 プロペラが高速で空を飛んでる、とか?シュールだね。多分電波体が触ってる間は見えなくなるとか、そんなところだと思うんだけど……

 

 ーーコダマタウンーー

 

「こうしている間にも、費用が……費用がぁ!」

 

 こんな醜態を見せ続ける方が映画の宣伝としては良くないと思うんだけどな。

 

「(委員長!取ってきたよ!)」

 

「(よくやったわ!流石はワタシのスバルくんよ!)」

 

 ……ワタシの?まぁ、深く考えてはいけない気がする。

 

「(それじゃ、このおじさんに、渡すね)あの、すいません」

 

 プロペラをチラつかせながら、頭を抱えるおじさん……費用 減作さんに話しかける。改めて見ると、かなり個性的な名前だよね……

 

「おお!これはもしや……!」

 

「コマーシャルシップのプロペラですね」

 

 口数の少なそうなエンジニアさんが確証をとる。

 助かった。わかっていたとはいえ、違うプロペラとかだったらお手上げだったよ。

 

「おい、キミ!急いでコマーシャルシップを直してくれたまえ!」

 

 費用さんがエンジニアさんを急かすようにする。時は金なり、ってことなのかな?この人の場合。

 

 ーー数十分後ーー

 

 コマーシャルシップはエンジニアさんの手によって修理され、またコダマタウンの上空で宣伝活動に精を出していた。

 

「おお!直った直った!!」

 

 凄い喜びようだ。費用費用言ってさえいなければ、この人も結構いい人なのかもしれない。

 

「『ゴースト・クライシス』はね、プロモーションにかなり費用をかけているんだ。それが無駄にならなくて済んだよ、ありがとう。プロデューサーとして何か、お礼をしなくてはいけないな、これは」

 

 気前いいよね。

 

「いえ、お気持ちだけで結構ですよ」

 

 委員長が代表して言うところだけど、流石に委員長が断ると何様、みたいになってしまうのでボクが答える。

 

「いやいや、キミのお陰で費用が無駄にならずに済んだんだ。受け取ってくれたまえ」

 

 そう言って差し出してきたのは『ゴースト・クライシス』のチケットだ。へぇ、チケットのデザインも結構凝っている。こりゃあ本当に面白いかもしれないね。

 

「これは『ゴースト・クライシス』のチケットだ。この映画はね、最新技術で描かれたリアルなオバケたちが見所なのさ。お友達も誘って、是非来てくれると嬉しいよ」

 

 最新技術で描かれたオバケ……!こ、今度一人で見に行ってみようかな……

 

「ありがとうございます」

 

「それじゃあ、私たちはこれで……」

 

 満足そうにしながら、費用さんはエンジニアさんを連れて行ってしまった。

 

「行っちゃったね。チケット貰ったけど、どうする?」

 

 ほら、と三人にチケットを見せる。

 

「へぇ……」

 

「場所は……TKシティにあるロッポンドーヒルズですね」

 

 ロッポンドーヒルズ、六本土ヒルズ……いや、何も言うまい。

 

「ああ、結構な大都会だったよね、確か」

 

「アナタ行ったことないの?」

 

「人が多すぎるところに一人で行くのははちょっとね……」

 

 というか、人目が多すぎてロクに電波変換できる場所もないのがいけないと思う。

 

「!じゃ、じゃあ……今度二人で……」

 

「その前にさ、このチケットのコトなんだけど……」

 

「…………そ、そうね。チケットもあることだし……決めたわ!明日にでも、皆で行きましょうよ!ロッポンドーヒルズに!」

 

 いいね。賛成だよ。噂のロリコン(ファントム・ブラック)とやらのチカラ、篤と見せてもらおうじゃないの!

 

「それじゃあ、ロッポンドーヒルズで美味いもんたらふく食べようぜ!」

 

「賛成!」

 

「だろ!?」

 

 そうだそうだ!

 

「ゴン太くん、目的は映画ですよ……って、スバル君もですか……」

 

 だって、気になるじゃない?

 

「おっ、そうだったな」

 

「テヘッ!」

 

「それじゃ、映画館でポップコーンを山程食べてやる!」

 

「あ、ボクはハーフ&ハーフがいいな!キャラメルと塩のヤツでさ……」

 

「何!オマエ結構わかってるな……!じゃあオレは、ハーフ&ハーフの最大サイズだ!」

 

 それは流石に無理だよ……

 

「ボ、ボクはキャラメルオンリー派です!」

 

 キザマロって、結構甘党だったのか。なら今度、パフェの美味しい店でも紹介してあげようかな。

 

「アナタたち、仲良いわねぇ……」

 

 呆れたような顔でボクたちを見る委員長。ポップコーンの味とか、拘らないタイプなのだろうか。

 

「まぁいいわ……兎に角、明日はバス停前に集合!集合時間は時刻表を調べて後で送るから。いいわね?」

 

「うん、それじゃまた明日!」

 

「あ……二人でロッポンドーヒルズ……」

 

 背後で委員長が何か言ったような気がするけど、小さい声だったし、多分どうでもいいことなんだろう。何にせよ、明日はファントム・ブラック戦だ。

 寝る前には暖かいミルクを飲んで、20分ほど体を解してからベットに入らないと。そうすればほとんど朝まで熟睡さ。




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