星河スバル(偽)の戦闘録   作:星屑

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日が変わったので投稿します。
今日は執筆出来るかわかりませんので。(フラグ)


5

 ーーロッポンドーヒルズーー

 

 取り敢えず何処かに引っ掛かっていたりしないか、しらみ潰しに探すことになったのでボクはまず、ゲーム通りにゴン太が落とした場合に発見した場所へとやって来ていた。ロッポンドーヒルズに来てすぐに見た、スカイボードが飛んでいた空間である。地上200メートルなので落ちたら命はないだろうに、よくやると思う。ボクもやりたい。

 

「この辺りに引っ掛かっていればいいんだけど……」

 

「(スバル、オレがちょっと飛び回って、この辺を調べてやろうか?ロックマンじゃ無理だが、オレ単体ならいけるぜ、どうだ?)」

 

 渡りに船ってヤツか。助かった。

 

「ありがとう、頼むよロック」

 

「(お安いご用ってことさ…………よっと)」

 

 ビジライザーでロックの動きを確認しながらボクも目を凝らす。頼む、あってくれよ……

 

「(……あったぜスバル!)」

 

「ホント!?よかったぁ……」

 

 ここからじゃ見えないけど、奥の方にそびえる電波の中継ステーションに引っ掛かっているらしい。

 

「じゃ、ロック、そのまま……」

 

「(だがよ、何故かわからねぇがウィルスがいやがるぜ。ウジャウジャとだ。オレ一人じゃ無理とは言わねぇが、ちょっと厳しいぜ。ロックマンで行くにしたって、ウェーブロードがそこまで繋がってねぇんだよな……)」

 

 な、なるほど。つまりスカイボードか。電波世界の影響もあまり受けないし合理的、かな?

 

「う~ん、さっき見たスカイボードならなんとか出来そうだけど……」

 

「あぁ、あの宙に浮く板切れか」

 

 酷い例えようだ。確か、マテリアルウェーブには自意識があるものもあるって話だし、スターキャリアー内でケンカとかは止めてほしいんだけどな……

 

「さっきの、ナンパしてた人にでも頼んでみようか」

 

「(頼むんじゃなくて、奪っちまえよ。時は一刻を争うんだろ?)」

 

 デジタル時計では……まだ大丈夫だ。あと一時間弱はある。そこまで焦る時間じゃない。

 

「まだ時間には余裕があるから大丈夫。それにそんな方法で取り戻したって、ゴン太は喜ばないよ」

 

「(まぁ……そうだな。よし、決まりだ!さっさと借りに行こうぜ!)」

 

「うん!」

 

 さてと、あのチャラ男はどこだろうか……

 

 

 ーー五分後ーー

 

 あ、いたいた。帰られてたら、流石にお手上げだったしね。

 

「あの、すいません」

 

「ん?何だ?」

 

「実は……」

 

 ーー少年説明中ーー

 

「え?スカイボードを貸してほしいのかい?」

 

「ええ。何とか出来ませんか……?」

 

「う~ん、どうしよっかなぁ……」

 

 この人、普通にしていたら結構いい感じだったんじゃないか?いきなり現れた子供の話を聞いてくれる人なんて、中々いないように感じるのは気のせいだろうか。

 

「お願いします!」

 

「結構高価なんだよねぇ、アレって……。簡単には貸せないなぁ……」

 

 だよね。全くもって常識的な対応だよ。

 

「あ、でも……オレのお願いを一つ聞いてくれたら貸してあげよう。どうだい?ギブアンドテイクってヤツさ」

 

 アッーー!!……………………冗談です。

 

「お願いって、何ですか?」

 

「実は、さっきからずっと声をかけてる女の子がいるんだよ。その子がまた、スッゴいマブいんだ」

 

 マ、マブい?なんだっけ、それ。結構古い言い回しのように感じる……

 

「マブい……?」

 

「カワイイって意味さ。でも、中々ガードが固くてねぇ。オレとしては、その子の好みのタイプが知りたいんだよ。キミが聞いてきてくれない?」

 

 うーん、積極的ですね……

 

「はぁ……」

 

「相手が子供だったら油断して喋ってくれるかもしれないじゃん?」

 

 いや、知らないよ。

 

「それじゃ、わかりました。聞いてきますね……」

 

「アレ?でもキミ、ナンパの経験あるの?」

 

 ねーよ!困ってねーよ!

 

「いや、ないですけど」

 

「フフフ……それじゃオレがナンパのいろはを教えてあげよう。……………………って感じで声をかけるのさ」

 

 ま、マジっすか!?というか、この人なら普通に知り合いになった方が良くない?パーソナルビューだってあることだし。

 

「えぇ……」

 

「最初は誰だって恥ずかしいもんさ。その女の子、ちょっと目を離した隙に逃げちゃったんだ」

 

「脈無しですね、それ」

 

「え?」

 

 あ。

 

「何でもないですよ」

 

 にっこり。誤魔化せているといいけど。

 

「そう……まぁ、まだ近くにいると思うから、よろしくね~!」

 

 笑顔で送り出されてしまった。やるか?ナンパを!委員長に殺される可能性があるけど……心なしか、ミソラちゃんが映っているディスプレイからも圧力を感じる……ような気がする。

 

「ハァ……それじゃ、さっきのナンパされてた人を探そうか……」

 

「オマエも苦労してんな……」

 

 泣きそう。

 

 

 ーー五分後ーー

 

 取り敢えず探し回って五分、遂に件の彼女を見つけた。

 

「すいません」

 

「あら、何かしら?」

 

 うーん、確かにマブい。でも年齢差が……

 

「(さっき教わった通りやってみろよ。面白そうじゃねぇか)」

 

 ええ……黒歴史モノになりそうなんだけどな……

 

「(さっきそれやってた人が失敗してたじゃないか)」

 

「(やらないよりマシだ!早くしろ!)」

 

 この薄情者!い、嫌だからな!ボクは絶対にやらないぞ!?

 

「あ、あの…………実はボク、スターキャリアーを手に入れたばかりなんですけど、ブラザーバンドの結び方がわからなくって……」

 

(注)嘘です。今はボクのブラザーバンドがフォーマットされている状況を……活かす!

 

「あら、それでワタシを?」

 

「困ったときに、頼れる人を探す目安としてキズナリョクの高い人を探せって、テレビでやってたんです」

 

 これは本当だ。このお姉さん……織幡タクミさんのキズナリョクは300。一般人の中だと高い部類に入る。

 

「なるほど……いいわよ。ボク、時間はあるわね?」

 

「ハイ!」

 

 チョロいな。

 

 ーー説明中ーー

 

「……と、いうワケ。どう、わかった?」

 

 うーん、知ってた……いや、それが目的じゃないんだけど。

 

「ハイ!ありがとうございます!あ、そういえばテレビでやってたんですけど、キズナリョクが高いとモテるって本当なんですか?お姉さん美人だから、そんなの関係ナシにモテそうですけどね!」

 

 本命だ。これで喋ってくれたらな。

 

「ウフフ……お上手ね。確かにキズナリョクが高いと、異性に声をかけられることは多いわ。ワタシとしても、キズナリョクの低い人だと少し、警戒してしまうかも……」

 

「なるほど……ありがとうございました!それじゃボク、失礼しますね!」

 

「ええ、頑張りなさいな」

 

 キズナリョク高そうな人だったな、本当に。

 

「(うーん、微妙に情報が足りないな……)」

 

「(あのオトコが言っていたのは、好みのタイプだからな。そうだ、オレに良い案があるぞ。……コイツのスターキャリアーを覗いちまおうぜ)」

 

「(トランサーと同じ要領でいいんだよね?)」

 

「(ああ、だが最近の技術発展により、スターキャリアーのセキュリティも厳しくなってるからな。かなり近づかないといけないぜ)」

 

 なるほど、直接調べなきゃならないってのはそういう解釈だったのか。

 

「(オーケー、それじゃ電波変換だ)」

 

「(オーライ!待ってましたァ!)」

 

 だから急いでるんだって。

 

「(調べるだけだから、ウィルスは避けるよ?)」

 

「(チェッ、しょうがねぇか)」

 

 ええっと、ウェーブホールは何処だったか……

 

 

 ーーロッポンドーヒルズの電波ーー

 

 よし、流石に電波人間にコマーシャル用のエア・ディスプレイは出てこないらしい。とにかく、ボクたちは割と急いでさっきの織幡さんのところまで戻っていった。

 

「さて、それじゃ入りますか」

 

「おう、さっさと終わらせようぜ」

 

 それじゃ、スターキャリアーの電脳にウェーブイン!

 

 ーースターキャリアー内部ーー

 

 流石に最新機種、ウィルスの類いもいないし、結構快適な空間だ。確かエグゼに出てきたPETの内部も似たような感じなんだっけ?召し使いプログラムはいないけど。いや、あれは改造だったような……

 

「ほう、ここがスターキャリアーの中か。結構広いじゃねーか!さてと、何か面白そうなデータは……っと」

 

 容赦無いな。そこに痺れる憧れるゥッ!いや、冗談だよ、冗談。

 

「なるべく荒らさないようにね。五陽田さんみたいになったら目もあてられないよ」

 

 データ全消滅は泣いていいと思う。

 

「あれはあのオッサンの自業自得だろ?……お、日記データを見つけたぜ」

 

「読んでみようか。……○月×日、ワタシの趣味がちょっとだけ変わってることに気づく。どうもキズナリョクが高い人が好きみたい!……だって」

 

「なるほどな……ほら、さっきのオトコに教えてやろうぜ。どんな顔するだろうな……クククッ」

 

 趣味悪ッ!因みに、パーソナルビューってのは、持ち主の精神状態によって色が変わるように出来ているらしい。悩みや不安を抱えている人は赤色に変わるとのことだ。以上、ロックからの受け売りでした。

 

「それじゃ、ウェーブアウトしようか……」

 

 

 ーーロッポンドーヒルズーー

 

「あの、さっきの件なんですけど……」

 

「聞いてくれた?あの子の好みのタイプ」

 

「キズナリョクの高い人が好きらしいですよ」

 

「うっ!オレ、キズナリョクはそんなに高くない……だからダメだったのか」

 

 それでも、この男の人のキズナリョクは150。別に低いってワケじゃないんだけどね。

 

「そういえば雑誌でやってたな。最近の女の子は顔や性格なんかより、キズナリョクを男に求めるって……」

 

 うわっ、ボクの魅力低すぎ……?

 

「残念でしたね。でも、もう少しどっしりしてるといいかもしれませんよ」

 

「言うねぇ……よし決めた!キズナリョクを上げてもう一度アタックするぞ!あ、約束は守るよ。スカイボードだったね ……ほら」

 

 そう言ってデータを転送してくる男の人……イケツラ モテツグさん。どうやって漢字充てるんだよ!?

 

「それはキミに譲るよ。さて、キズナリョクを上げて男の魅力をアップだ!」

 

 凄いなこの人。いや、好感は持てるよねって意味で。

 

 

 

「よし、それじゃあいくよ……」

 

『スカイボードのマテリアルウェーブ、スタンバイ!』

 

 うわっ、って合成音声か……

 

「ではでは……マテリアライズ!スカイボード!」

 

 ーーチュイン!

 

 スターキャリアーから放出された目に見える電波が形を持ち、サーフボードのような形へと形状を変化させていく。凄いね、これがマテリアルウェーブ……!

 

「これは……!」

 

『イエ~~~~~~イ!!乗ってるか~~い!!?』

 

 キィエェアァァァシャベッタァァァ!!!

 

「ノってるよ!」

 

「(うわっ、喋ったぞコイツ!?)」

 

「(マテリアルウェーブは皆、意思を持ってるんだ。原理はよく知らないけど)」

 

『オレの名前はオーリー!ノリノリだろ?イエ~~~~~~イ!!』

 

「こっちこそ!フフッ、ついて来れるか?……ボクのノリに……!」

 

 気分は赤い弓兵だ。

 

『イエ~~~~イ!!そのノリで頼むぜェッ!?』

 

「オッケェィ!それじゃ乗るよ!……よっと!」

 

 おおお……これは凄い、確かに浮いてる!ボク、浮いてるよ!

 

「イィヤァッホォォォォッ!!!」

 

『その調子だぜ!ベイベー!?イエ~~~~イ!!』

 

 スピードデュエル!スタンバイ!

 

「(風を掴め!シューティングスター!!)」

 

 ここでボクが使ってるスターキャリアーのハンドルネームとは、わかってるじゃないか、ロック!

 

「うおぉぉぉっ!チケットアクセス!」

 

 このままチケットを回収してしまおう!何か意味的におかしい気もするけど、今はスルーだ!

 

『何やってるかわからねぇが、コイツは最高にノってるぜぇ!イエ~~~~イ!!』

 

 ヒャッホォォォォウ!!Into the VRAINS!

 

 

 ーー二分後ーー

 

「イヤッホォォ……っと、よし終わり。ありがとうオーリー」

 

『お安いご用だぜ!イエ~~~~イ!!』

 

 ふぅ、何とか回収には成功したし、早くゴン太に届けてやらないと。

 

「(いやぁ……最高だったな!)」

 

 

 ーー五分後ーー

 

「お?おお?おおお!?それはオレのチケット!!」

 

「ちょっくら風になってきたのさ」

 

「よくわからねぇが、助かったぜ!ありがとな!!」

 

 フッ、いいってことよ。なんかまだ、さっきのノリが抜けてないな。自重自重。

 

「よく見つけたわね、スバルくん。ゴン太も!よかったじゃない!」

 

「心配してくれて、ありがとう委員長……」

 

「もう手放さないように、気をつけなさいよ。さて、改めて映画館に向かいましょ」

 

 委員長マジカッコいいよね。惚れそう。

 

『おお~っ!』

 

「だから大声出さないっ!」

 

 ごめんなさい……

 

 

 ーーショッピングプラザーー

 

 映画館はショッピングプラザの内部にあるとのことなので、取り敢えずエレベーターにて上がっていくボクたち一行。三階構造らしいので、先ずは二階へと上がる。このエレベーターは、フロアの両端にあるため、移動するのが多少面倒ではある。そして二階にいるのは……

 

「天地さん、お久しぶりです!」

 

「おやおや!キミはスバル君じゃないか!久しぶりだねぇ……暫く見ないうちに、また父さんに似てきたんじゃないかい?」

 

 それは流石に違うと信じたい。だって中身が違うもの。

 

「あはは……ところで、天地さんはここで何を?」

 

「ボク、実はスターキャリアーの開発に少し関わっているんだ」

 

 それってかなり凄いことじゃないの……?

 

「凄いですね!」

 

「そんな大したことじゃないさ、ムフフ!このショッピングプラザの二階はスターキャリアーのオフィシャルショップになっていてね。ユーザーにどれくらいスターキャリアーが受け入れられているか、ここでリサーチしてるんだよ。やっぱり気になるでしょ?自分が開発に関わった製品は、ね」

 

 プロ意識ってヤツかな?

 何にせよ、頼みたいことがあったんだった。

 

「天地さん、実は頼みたいことが……」

 

「おや。どうしたんだい?珍しいね、スバルくんが頼みごとなんて」

 

 そりゃあ、重大案件ですから。

 

「このカードのデータを、スターキャリアーでも使えるように調整してほしいんです。……出来ますか?」

 

 そう言ってベルセルクのカードを取り出し、天地さんに渡す。

 

「へぇ……なるほど、興味深い。いいよ、任せておいて!そうだね……結構かかるから、終わったらメールするよ。それでいいかい?」

 

 流石はスーパーハカー!キズナリョク650の男!頼りになるね。

 

「はい、ありがとうございます!それじゃ、ボクたちはこの上に用事があるので……」

 

「ああ、『ゴースト・クライシス』か。あれは結構怖いらしいからね、気をつけておくといいよ」

 

「見たんですか?」

 

「違うよ。ここは映画館へ行くための通路でもあるからね、通る人の顔色でわかるのさ」

 

 へぇ~、っというかそれ、結構暇なんじゃないの?

 

「はぁ……それじゃ……」

 

 

「ええ……そんなに怖いの?ワタシ大丈夫かしら……?」

 

 袖を掴むな袖を。

 

「委員長の方が怖いかr……何でもないです、ハイ……」

 

「…………ワタシって、スバルくんに怖がられてたのね……もう少し、素直に……いえ、恥ずかしいし……」

 

 ギロリと睨まれてしまった。しかし、今度は頭を抱えてしまったぞ。今日の委員長も変だな。別に飽きないけども。

 

「そろそろ行かない?始まっちゃうよ?」

 

「アナタのせいでしょうッ!?」

 

 酷いなぁ、もう。

 

「(実際オマエのせいだがな)」

 

ロックまで!?




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