星河スバル(偽)の戦闘録   作:星屑

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 ーーBIGWAVEの電波ーー

 

 一度BIGWAVEから出たボク達は、近場のウェーブホールで電波変換した後に再び店内に戻ってきていた。

 

「んじゃ、手早く仕留めちまおうぜ!」

 

「なるべく被害は抑えたいし、出来るだけ慎重に、だよ」

 

 どうしようか。もしかして、ウェーブロードにでも誘導した方が良かったりするかな?一応『ホイッスル』は持っているけど……

 

「今騒ぎを収められるのは、オレ達しかいないんだぜ?あんまり慎重になりすぎて手が回らなくなるってのは避けたいが……」

 

「それじゃ、一旦ウェーブロード上に誘導しようか」

 

 やっぱりそっちの方が安碑っぽいな。暫く休業中だったのに、開店早々臨時休業だなんてちょっといたたまれないしね。

 

「……ホイッスルか?」

 

「うん、いくよ………!」

 

 

 ーーピーーーッ!!!

 

 店内を、バトルカードによって発生した行動強制の効果を持つ笛の音が鳴り響く。ホイッスルの効果、それはウィルスの引き付けだ。よくわからないけど、ウィルスの注意を集めて襲いかからせるプログラムということ、らしい。多分だけどね。

 

「よぉし、集まってきた……そら、コッチだ!」

 

 BIGWAVE天井付近に広がっているウェーブロードへと飛び乗りながら、更にウィルスの注意を引くように発破をかける。恐らく、意味は通じていないのだろうけど。

 

「ウェーブロードは一本道だからな……一気に斬り倒していけよ!」

 

「わかってる!……うおぉぉっ!」

 

 ウェーブロード上に集まってきたウィルス達を、小刻みにウォーロックアタックを繰り返しながらソードで斬り進んでいく。バルガンナーやメットリオ2等の、機動性に優れていないタイプのウィルスしかいなかったのも大きいと思うけれど、やっぱり誘引って強い。電波人間には通じない可能性大だろうけど。

 

「……っと、よし。終わったな」

 

「うん、早いとこウェーブアウトして南国さんを起こさないと……」

 

 ロックマン相手ならサービス価格で売っちゃう的な感じだよ~!とか言われたらそのまま対応する気はあるけど。

 

「う~ん……ハッ!!」

 

 あ、起きてしまった。別に正体がバレるワケでもないし、取り敢えずバイザーの赤色を少しばかり、濃い目にしておく位だろうか。

 

「あ、あれ……?ボクは一体何を?」

 

「大丈夫ですか?」

 

「ワッ!!」

 

 ワッ!!とはなんだ、ワッ!!とは。こちとらお助けに参上したってのに。そんなに驚かれても、コッチだって困惑するだけなんだけど。

 

「ホントに大丈夫ですか?……因みにウィルスは、全てボク達が倒しておきましたよ」

 

 気絶している南国さん以外誰も居なかったからこそのホイッスル作戦だしね。多分この空間なら、ホイッスルの音は普通の人間にも聞こえていただろうし。

 

「……え?ホントだ……キミは一体誰だい?」

 

「ええっと、最近お茶の間を騒がせさせていただいているような……」

 

 どう説明すればいいんだろう。話題の青いヒーロー様です!とか?普通に痛いような……

 

「……あっ!もしかしてキミ、ニュースで言ってた青いヒーロー!?」

 

「……まぁ、ヒーローって柄ではないんですけどね」

 

 苦笑しながら言うと、南国さんは少しの間呆けた顔をボクに見せた。なんだろう、もっとオレオレ~っていう積極的なタイプかと思っていたのだろうか?

 

「へぇ……中々好青年?だね。まさかあのニュースがホントだったなんて、思いもしなかった感じだよ……ま、兎に角!お店的なモノを守ってくれて、ありがとう!」

 

「いえ、気にしないでください。ボクも好きでやってることですので……」

 

 具体的にはカードトレーダーの死守!とかね。これでカードトレーダーが故障でもしていたら、普通に号泣していた自信がある。

 

「ほうほう……ん?そういえば、スバル君はどこ行ったんだろ?ま、まさかウィルスにやられちゃったんじゃ……」

 

「スバル君、ですか?スイマセン、ボクがここに来た時には既に、店内にはアナタしかいませんでしたし……」

 

 別に嘘は付いてないからね。

 

「ええっ!?」

 

「ただ、ボクが店内に入る前に住宅街へ走り去っていく赤い服を着た少年なら見ましたが……もしかしてその子ですか?」

 

「…………そ、それだよ!ホッ……良かった」

 

 この人って結構いい人だよね。普通ここまでただの客を心配できるかな?いや、客商売だから普通なのかもしれないけれど。

 

「それにしても……っと、何ですか?」

 

 さっきから南国さん、ジロジロ見てくるな。なんだろう、バイザーを調整しているから、半ばマジックミラーみたいに見えているハズだけど。

 

「キミ……誰かに似ている気がする……」

 

「あはは……気のせいですよ。それでは、ボク達はこの辺で失礼しますね」

 

 察しのいい大人は嫌いだよ……

 

「ボク達……?っと、あ、ちょっと待って!せめて、何かお礼を!」

 

 そ、それじゃあHPメモリをありったけ……!

 

「(オイ、スバル。今余計なコト考えてねぇか?)」

 

「(き、気のせいだよ!)……結構ですので!」

 

 兎に角今は、店から出るべきだ。天地さんの所にも行かなきゃいけないし……

 

 ーーコダマタウンの電波ーー

 

「う~ん、南国さんの勘って結構、侮り難いものがあるよね……」

 

「いっそバラしちまおうぜ。青いヒーローの正体がオレ達だと知れたら、きっとチヤホヤされるに違いねぇ。皆オレ達の言うことを何でも聞くようになったりしてな……ククッ」

 

「ロック、地球侵略の気はないんじゃなかったの?」

 

 前にオヒュカスとの問答で言っていたハズだし。オレは地球侵略なんざ、これっぽっちも興味ないね!的なコトをさ。

 

「ヘヘッ、ジョーダンだよジョーダン!」

 

「まったくロックってば、冗談キツイよ……」

 

「まぁいいじゃねぇか!それよりよ、とっととウェーブアウトして天地のヤツの所に行こうぜ!オレ、もう待ちきれねぇよ!」

 

 うーん、考えたんだけど、やっぱり今日はやめておいた方がいいんじゃないかなぁ……FM星人による地球侵略は終わったし、オーパーツにチカラを回収されてしまうかも……って考えると、暫く天地さんに預けた方がいいような気もしてきたぞ。

 

「はぁ~い……」

 

 ウェーブアウト!

 

 

 ーーコダマタウンーー

 

 都合よく配置されている、自宅脇のウェーブホールでウェーブアウトしたボク達。多分そろそろ……

 

『スバルく~ん!!』

 

 やっぱり。

 

「あ……久しぶり?」

 

 大体、二週間位会ってないような気がするな。まぁ、その気になれば何時でも来れるんだろうけど。今は作曲なり、ライブなりも凄く楽しんでいるらしいし以前に比べたら間違いなく成長していると思う。精神的にね。

 

『人の顔を見て、そんなに苦笑いしないでよぉ……!』

 

 相変わらず元気だねー。って感想しかないけれどね。兎に角、道路を渡ってこちらに向かってくる大人気歌手は……

 

「こんにちは、ミソラちゃん!」

 

「うん!久しぶり~!」

 

 一体この元気は何処から湧いてくるんだろうか。滅茶苦茶ニコニコしてるし、尻尾でも振っていそうな勢いだ。ミソラちゃんに犬コスチューム……イイネ!おっと、なんだか思考が乱れていたような気がする。まぁどうでもいいや。

 

「久しぶりって程でもないかもだけどね」

 

 自分で言っておいてなんだけどさ。

 

「そんなことないよ!ワタシは一日千秋のような気持ちで日々を過ごしていてだね……」

 

 それは捉えようによってはヤンデレ認定されそうなんですけどね……

 

「大袈裟だなぁ……」

 

「フフフ、響ミソラは何事にも全力なのです!スバルくんも少しはワタシのこと、見直した~?」

 

「見直したも何も、ミソラちゃんはボクのブラザーじゃないか。キミがいつも頑張ってることは知ってるよ。ボク、とっても凄いと思う……」

 

 今はブラザーバンドがフォーマットされているけれど、機種変する前はトランサーの情報自体を共有してたんだ。いろいろと、わかっちゃうことだってあるし……

 

「エヘヘ……そう言って貰えると嬉しいな。……うん、ワタシもっと頑張るね!」

 

 キラキラキラ……という感じだ。ま、眩しい……!やっぱり先週会ったアイちゃんなんて目じゃないね。流石は有名人、手慣れていらっしゃる……のだろうか?ボクには自然な笑顔にしか見えない……ので、多分そういうことなんだろう。ブラザーを疑うのは良くない。 反省反省……

 

「そっか、それじゃあ頑張ってね!」

 

 手を振りながら帰宅するべく足を進める。そういえば、まだお昼ご飯食べてなかったな。どうしようか……

 

「ストップ!ストーップ!」

 

「あはは、ゴメンゴメン……っと、それでどうしたの?」

 

 ちょっとした冗談のつもりだったんだから、そんな必死にならなくても……ボクがブラザーを蔑ろにするワケ、ないでしょうに。

 

「オ、オイスバル……ビジライザーをかけてくれよ」

 

「え?いいけど……」

 

 珍しく慌てた様子のロックに、ついつい応じてしまう。どうせハープが苦手だー!とか言い出すのだと思ってたんだけど……

 

 ーーカチャッ!

 

「よし……かけたよ。一体どうしたってのさ?」

 

 ビジライザーをかけても、ミソラちゃんの側に誰かを確認することは出来ない。あれ、もしかしてスターキャリアーの中?

 

「このオンナがいるってコトは『アイツ』も近くにいるってことだろ……!」

 

 そんな戦慄したように言わなくても……

 

『ポロロン……その通りよ』

 

 ーーバシュッ!

 

 ピンク色の炎が燃え上がるような演出とともに、ハープに顔と手が付いたようなFM星人……ハープが現れた。よく思うんだけど、ハープにハートを意図した飾り?が無かったら、凄く性別がわかりづらかったような気がする……いや、女性相手に失礼なんだけどね。

 

「お久しぶりね、ロック。クスクスクス……」

 

「ゲッ!ハープ!!」

 

 何でそんなに恐れるのだろうか。

 

「アラ……連れない反応ねぇ。私達、同じFM星人同士じゃない。仲良くしましょうよ、クスクスクス……」

 

 い、いつも通り内心が全く読めないハープさんはマジハープさんだ。自分でもちょっと、何考えているかよくわかってないけど。

 

「オレはFM星育ちのAM星人だ。同じにするんじゃない」

 

「違うと言ってもお隣の星じゃないの。それにAM星人とFM星人も、体が電波というのは共通化してる。だと言うのに、どうしてそんなによそよそしいのかしら?クスクスクス……」

 

 ご近所(の星出身)の幼なじみってヤツなのだろうか、よく考えると。ぶっちゃけハープに気があったり?

 

「……前にも言っただろ。オレはオンナって生き物がイマイチ得意じゃないんだよ」

 

 ボクもです……

 

「ウブねぇ……クスクス」

 

 ハープさんはウブじゃないんでしょうか。というか電波体の恋愛観ってどうなってるわけ?

 

「チッ!」

 

 やっぱりマジに苦手なのかな?

 

「ハープ、あんまりロックくんをからかっちゃダメだよ。……あ、そうそう用事だったね。スバルくん、今日はこれから用事とかあったりする?」

 

「ううん、特にないよ」

 

「(オイ、スバル!天地のヤツはいいのかよ!?)」

 

 別に何時でも来ていいって書いてあったし、オーパーツさんに回収されたくないし……もしかしたら分離しておくことで、ラ・ムーの出力低下を起こせるかもしれないし……と、あんまりいいことがないような……

 

「じゃ、今からロッポンドーヒルズへ遊びに行かない?」

 

「構わないけど……でも、どうして?」

 

「曲作りに忙しくて、最近外の空気を吸ってなかったの。久しぶりにお買い物したり、美味しい物を食べたりしたいなぁ……って」

 

 ああ、なるほどね。ウチには割とよく来るけど、遅い時間がほとんどだからゴロゴロしたり駄弁ってるのが殆どだしね……

 

「その……なんていうかさ、こういう風に誘える男の子って、スバルくんしかいなくて……」

 

 割と何でもない用件なのに、ミソラちゃんが言うと変に意識してしまうのは、アイドル?の為せる技ってヤツなのだろうか?

 

「あはは……それはその、なんと言いますか……光栄です?」

 

「フフフ、スバルくんってやっぱりスバルくんだよね」

 

 それは褒め言葉なんです?

 

「(今のやり取りをあのツインドリルが聞いたら、どうなるんだろうな)」

 

 ロックにしては、よくわからない例えだよね。でも、どうなんだろう。二人してキャッキャしながらボクを荷物持ちにする未来しか見えないような気がする……

 

「(そりゃあ……自分も行きたいって言い出すんじゃないの?委員長だってミソラちゃんのブラザーなんだし)」

 

「(聞いてたのかよ……)」

 

「(聞いてたよ?)」

 

 そりゃあ何時も会話してますし?相棒の言葉を聞き間違えたらアウトじゃない?コミュニケーションは円滑に、は大切だと思う。

 

「じゃ、早速行こうよ!♪~♪~」

 

 ノリノリですね、ミソラさん。あっ、ちょっと、手を引っ張らないで!

 

「ま、待ってよ!ちょっと急ぎ過ぎじゃない?」

 

「オンナのコの時間は短いの!命短し、恋せよ乙女!だよスバルくん!」

 

 ……恋せよ乙女?

 

「あれ、ミソラちゃん好きな人とかいるの?」

 

 結構意外だ。ミソラちゃんは音楽音楽アンド音楽みたいな感じだと思っていたのに。それにしても羨ましい男もいたもんだ。こんな可愛い女の子に想いを寄せられているだなんて。まぁ、犯罪的な絵にならないといいんだけど。

 

「え、あ……ち、違うよスバルくん!」

 

「別に無理しなくてもいいけど……」

 

 ちょっとませてると思えば……別に、ねぇ?

 

「ホントに違うの!えっと……あ、そ、そう!今考えてる新曲がね、ラブソングなんだ!だからちょっと恋するオンナのコの気持ちになってみたり……とか?」

 

 ああ、なるほどね。それは確かに一理ある。作詞するのには成りきるコトが大切だってのは、何処かで聞いたような気がするし。ミソラちゃんも苦労してるってことなのだろうか。それにしても、そんなに焦ることもないだろうに。なんだか顔は赤いし、目もグルグルと混乱しているようにも見える。アワワワ!……って感じだ。

 

「まぁ、別になんでもいいんだけどさ。取り敢えずロッポンドーヒルズに行こうよ。このままじゃあ、向こうに着く前に日が暮れちゃうよ」

 

「う、うん……そうだね!(た、助かったぁ……)」

 

 なんでここで安堵するのだろう。別に何かおかしいことをしたわけでもないだろうに。

 

「ボクも美味しいモノには目がないからね、楽しみだなぁ……!」

 

 確か今は、美味しいスイーツの店がロッポンドーヒルズの中心街で短期的に開いていたはず。あんまり男所帯で行くわけにもいかないし、ここはボクも楽しませてもらおうかな!




ミソラちゃんは可愛いんですけど、私的に凄く書きづらいのが難点です。

感想・評価が私のモチベーションです。

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『マッドバルカン2』『グランドウェーブ2』
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