星河スバル(偽)の戦闘録   作:星屑

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いやぁ、ブライは強敵でしたねぇ……(描写難度的に)


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 ーーコダマタウンの電波ーー

 

 改めて、相対しているブライを観察してみると、右腕が紫色のオーラに包まれていること以外には、左腕と両足首に赤色の機械的なパーツが装備されているくらいしか、こちらとの大きな違いは見受けられない。

 やはり近接重視の電波体なのだろう。なら……その近接で意表を突かせてもらう!

 

「ロォォック!!」

 

「オラァァッ!」

 

「…………ッ!」

 

 渾身の踏み込みによって得た加速力をウォーロックアタックの突進スピードにプラスし、左腕に展開したソードを突き込む。距離感を悟りにくいように、ブライの目線に合わせた角度の突き込みだ。

 

「フン……疾ッ!」

 

「クソッ……!」

 

 読んでいた!とばかりに、オーラを纏った右腕でソードを弾く。……硬い!ガード性能があったようで、ブライのHPに変化は見られない。それよりも……!既に左腕は脇を締め、パンチングの構えに入っている。やはりコイツ……手慣れているぞ!

 

「フッ!……ハァッ!」

 

「ウグッ……うわぁぁっ!」

 

 素早くジャブを懐に叩き込み、振り払った右腕を引き戻す流れのまま強烈な右ストレートを打ち込んでくる。

 左腕を弾かれてシールドを張ることの出来ないボクは、為す術なく受けることしか出来ない。

 

「……ハァ、ハァ……!」

 

 右ストレートの勢いのまま数メートル程吹き飛ばされつつも、なんとか着地に成功する。……ブライさん、マジで強いんですけど!?

 

「…………ブライナックル」

 

 休ませる気もないようで、ブライは右腕を大きく振りかぶった後に、こちらへと思いっきり突き出してくる。突き出した右腕からは、ドッジボール大の拳型エネルギー弾が多数発射されるため、中距離にも対応出来る技のようだ。

 ……これは大丈夫。ブライナックルは、シールドで防ぐことができるハズだ。

 

「……うおぉっ!」

 

 シールドでブライナックルを防ぎながら、ブライの元へと突貫する。どうやらアドレナリンのようなモノが出ているようで、攻撃の痛みは既に消え去っていた。

 

「……しぶといヤツだ」

 

「ここは退けないんだァッ!」

 

 左腕はシールドを展開しているため、右腕にヒートアッパーを構成する。流石にヒートアッパーを素手で弾いたり、掴もうとは思わないハズだ!だって凄く熱いもの!

 

「……ッ!」

 

 シールドを一度解除して繰り出したヒートアッパー(フック)を、ブライは背後へとバックステップすることで回避する。……この瞬間を待っていたんだァッ!

 

「うおぉぉらぁぁぁッ!!」

 

 再びシールドを展開し、今度は即座にウォーロックアタックでシールドバッシュを行う。跳躍中なら、ガードブレイク性能のキックを放ることは出来ないので、返り討ちに遭う可能性はない!

 

「……ッ!?ググッ!」

 

「ハァ、ハァ……!!」

 

 よし、ワンヒット。無理に機動したせいで、どうにも息が続かない。ただ、オーパーツの影響でパワー切れはありえないので、存分に暴れ回ることが出来る!やっぱりコイツはスゲェ!とんでもねぇ兵器ってヤツだ!

 

「あまり調子に乗ってもらっては……困るッ!」

 

 首を振って調子を取り戻したらしいブライが、大地が揺れる程の踏み込みのまま突っ込んでくる。さっきの超スピードの正体はコレか!クソッ、シールドを……!

 

 展開したシールドで身を固めることを読んでいたのか、ボクの直前で両腕を引き締め、体を捻る。回転……?いや、キックか。ガードブレイクを狙っている!?

 

「……なっ!?うわぁっ!」

 

 案の定右足による強烈なキックにより、シールドを割りながら回し蹴りを食らってしまう。しかも構えていた腕の下部……ボディに食らってしまった。……痛みが半端じゃない!これが打撃系の痛覚攻撃か……

 

「ッ!!…………フン」

 

「…………ゴホッ!まだ、まだまだまだァッ!おぉぉぉぉぉッ!」

 

 体の底に眠るオーパーツを意識して、腹の中心にチカラを込める。そうでもしないと、痛みで気を失ってしまいそうだ!

 

 

『ソウダ……モット、モット……トウシヲモヤセ……!』

 

 

 何か聞こえるけど、今は聞く耳持たぬ!いいから黙ってチカラだけ貸してろこの亡霊どもがァッ!

 

 

 ーードクン!ドクン!ドクン!ドクン!

 

 

「何だ……このプレッシャーはッ!?」

 

 どうやらオーパーツから放出されている闘気が、凄まじいプレッシャーとなってブライに向けられているらしい。向こうが及び腰なら、こちらにとっては追い風だ。今が畳み掛ける千載一遇のチャンスとなるハズだ!

 

「……痛みが引いてきた。よし、これならァッ!」

 

「クッ!コイツ……ゾンビか何かか!?」

 

 ソロ……ブライが戸惑っているのがハッキリと知覚できる。むしろ眉間に刻まれている皺だって見えるぞ!これがオーパーツによる感覚拡張。……スターフォースにだって負けていないレベルの強化だ!

 

「ロックッ!」

 

「ああ、わかってる!うおぉぉぉぉぉらぁぁぁッ!」

 

 ーードシン!

 

 まるで本物のダイナソーもかくやという踏み込みによって、先ほどとは比較にならない速度・勢いでブライに向かって突進する。両手にはヒートアッパーを展開済みだ。……これなら殴り合いだって!

 

「ただのスピードでこのオレを翻弄出来るとでも思ったかッ!!……セァァッ!」

 

 目を見開きながらも、超高速で移動してくるボク達の姿をハッキリと捉えているらしいブライ。完璧なタイミングで全力のボディブローを放ってくる……が、元よりこちとら避ける気は全くないんだよ!肉を切らせて骨を断つってヤツだ!

 

「……ゴホッ!」

 

「フン……ッ!!何だと!?」

 

 腹部に貰った渾身の一撃を、オーパーツによる超絶的な身体能力の強化で耐えきり、更に踏み込む。ヒートアッパーの射程上、もう少し近づかないまともに威力を発揮することが出来ないからだ。

 

「うおぉぉぉぉぉぉっ!ぶっ飛べぇぇェッ!!」

 

 全力で引いた炎拳を、ブライのがら空きなボディへと右ストレートの要領で叩き込む。どうにもベルセルクのパワーが宿ったらしく、炎拳なのに荒々しい黄金のオーラを纏い強化されている。ちょっと人に向けるにはヤバい威力だけど、ソロならヒットの瞬間に後ろに跳んでいるとか、その辺しっかりしているだろう。周りの被害?そんなん知るか!

 

「…………グハァッ!?」

 

 黄金の右腕による一撃は思ったより勢いがあったようで、一直線に吹っ飛んでいく。……死んでないよね?

 

「ハァ、ハァ……!よし、やったぞ……!」

 

 終わったと安心していたら、急に脱力感が湧いてきたな。やっぱりアドレナリンがドバドバだったらしい。戦闘中に受けたダメージによる痛みも凄いし、ブライってかなりヤバい相手だよね、ホント。

 

「………………チッ」

 

 なんて考えている内に、若干フラつきながらブライがこちらに歩いてくる。やはり後ろにバックステップしていたらしい。コイツ軍人家系の出身って言っても違和感ないくらいタフなんですけど。こっちもゾンビゲーマーはもうやりたくないなぁ……オーパーツで、実質ライフ無限みたいなモノだけどね。痛みが酷すぎる。

 

「まさか、このオレが手傷を負うとはな。……だが、勝つのはオレだ。オレの中の"血"にかけて、オマエのようなヤツは完膚なきまでに叩きのめさせてもらう!」

 

 そう言って再びファイティングポーズを取るブライ。コイツやっぱりやべーよ。

 

「チッ……まだチカラが残ってるって言うのか!?コイツ……まるで底無しだぜ!?」

 

 底無しは今のボク達だと思うよ。だって完全にゾンビ状態だもの。オーパーツからのエネルギー供給が途切れたら、30秒と持たないって断言出来るまである。

 

『……そこまでだ』

 

 気品のある女性の声……オリヒメか。なるほど、中々に威厳があるらしい。ブライが戦闘を中断する程となれば、よっぽど無視出来ない影響力があると予想出来る。

 

「……!その声は、オリヒメか?」

 

「女性の……声だ」

 

『今はまだ、事を荒立てるな。その辺にしておくがよいぞ』

 

 今ばかりはオリヒメ様々だ。初見でブライ完全討伐は難易度がハード過ぎる!対策を練っておかないと、ナンスカで完璧に負けてしまうだろうな。

 

「オレに引き返せと言うのか?」

 

『まだ全力ではないと言っても、そなたも傷を負っているではないか……今は無理をするでない』

 

「……運がいいな。青い男よ」

 

 ファイティングポーズを解き、ブライは撤退するようだ。……助かった。これ以上はキツかったしね。

 

「逃げるつもりか!」

 

「……っ!待て!皆を元に戻すんだ!」

 

「いずれ決着は着けてやる……覚悟しておけ」

 

「待て!……うっ!」

 

 辺りを閃光が覆う。どうやら電波変換を解いたらしく、そのままカミカクシで撤退する腹積もりのようだ。

 

『オレの名はソロ……次に闘うその時まで覚えておけ』

 

 今更君の名は。なんてやるつもりはないっての!

 

「……逃げられたか!」

 

 閃光が晴れた先には、既にブライの姿もカミカクシの姿も確認することは出来なかった。

 

 ーーズォォォォ……

 

 ヤバい!黒い穴が閉じてしまう!

 

「クソッ!間に合えェッ!」

 

 ズポッと異次元空間へと右腕を突っ込み、手探りで感触がないか探し回る。……あった。この柔らかい感触……間違いなく委員長の手だ。あとはこれを引っ張れば……!

 

「…………掴んだ!うおぉぉっ!」

 

 この手だけは、離すワケにはいかない!全員で夏休みを終えるためにも、ここで委員長が完全に所在不明になることだけは避けなければ!

 

 ーーズポッ!

 

「委員長!」

 

 なんとかカミカクシの引力を振り払い、引っ張り出すことに成功する。ふぅ、良かった……!

 

 ーーズォォォォ……

 

「閉じてしまった……」

 

 わかっていたことで仕方がないとはいえ、ハッキリ言えば胸糞悪い。 心臓が変なリズムを刻んでいるようで、嫌な汗が流れているような感覚もある。

 

「ボクが……もう少し上手くやっていれば、こんなことには……!」

 

 そもそも、ムー大陸復活からラ・ムーのデリートまでを確実かつ自然にこなせる方法があれば、こんな気持ちにならなくて済むというのに。

 キザマロに限って言えば悪いことばかりではないとは言っても、数多くの人に負担を強いるやり方であることに変わりはないのだから。

 

 

 ーーオリヒメのアジトーー

 

「……オーパーツを見つけた」

 

 カミカクシの空間移動能力によってアジトへと帰還したソロは、今回の顛末をオリヒメに報告していた。

 

「例の青い男が持っている」

 

「ンフフフ……」

 

 ソロの報告を聞き終わったハイドが不適な笑い声を漏らす。むしろ挑発の意味が強いようにも見えるが。

 

「……何がおかしい?」

 

 ハイドの鼻につく笑い方はソロの気に障ったようで、不機嫌そうに眉をひそめてハイドへと問い掛ける。

 

「おっと、気に障ったならあやまろう……深い意味はない。まさかキミともあろう男が手こずるとはな。あのチカラも使ったんだろう?キミが電波変換した姿、『ブライ』のチカラを……」

 

 やはり挑発の意味合いが強かったようで、ハイドは尚も発声せずに忍び笑いをソロに見せつける。他人の不幸は蜜の味とは、よく言ったものである。

 

「…………チッ」

 

『何を苛立っておるのだ、ソロよ?ロックマンとやらが手にしたところで、そやつにオーパーツを扱える程のチカラはあるまい。あれは危険なモノ……チカラの無い者が扱えば、却って身を滅ぼしてしまうだろうさ。かつて、ベルセルク達が辿った運命のように……な』

 

「…………」

 

「…………」

 

 ソロと、いつものようにオリヒメが控える御簾の側で魔術師然とした男……エンプティーは、揃って黙り込む。エンプティーはオリヒメに対しては絶対の服従を誓っているために、特に不自然ということではないが、ソロが黙って聞き入るというのは、それだけオリヒメの言葉が正しいと、ソロ自身が理解しているからだろう。

 

「とはいえ、オリヒメ様。あの青い男に好き放題やらせておくのも、いささか癪と言うもの……」

 

 ここでハイドは一歩前に足を踏み出す。まるで絶対の自信があるように……だ。

 

「ここは、この私めにお任せあれ!見事、あやつの手からオーパーツを奪い取ってごらんにいれましょう!」

 

「なに……!?オマエ、オレの邪魔をするつもりか……!?あれはオレの獲物だ。……手を出すんじゃない!」

 

 ソロとしても、あれだけの名乗りを上げた以上は自らの手で青い男を下したいと思うもの。ハイド程度に譲る気は更々なかった。

 

「オリヒメ様、どうかご命令を……!私には、良い考えがあるのですよ。ンフフフ……!」

 

『ふむ……まぁ、面白そうではあるな。……よい。ハイドよ、やってみるがいいぞ』

 

「ハッ!有り難き幸せ!」

 

 喜色を滲ませた笑みを浮かべたハイドは、ソロから更なる制止を食らう前にその姿を消した。自らの脚本を、更に煮詰めるのだろうというのが、満場一致でその場に居合わせた全員が思い浮かべた考えだった。

 

「……!!」

 

 しかし、ソロはどうしても納得出来なかったために、オリヒメが控える御簾へと続く段差を登ろうとする。しかし、いち早く気づいたエンプティーが、御簾の前に立ち塞がってしまった。

 

「……!」

 

「それイジョウ、オリヒメサマにチカづくことはユルさない」

 

 ソロとしても、電波変換を解いた状態でエンプティーの相手をすることは不可能に近いと理解しているので、憎々しげにその歩みを止める。

 

『ソロよ、そう熱くなるな。なにもそなたの邪魔をしようと言うわけではない。そなたはそなたで、今まで通り一人で好きなようにやればいい』

 

「…………くっ!」

 

 ソロが下がることで、エンプティーもオリヒメの側へと再び移動する。そのスピードは、ソロの動体視力をもってしても読みきることは出来ない。

 

『ただ……我々にも我々のやり方、というものがある。願わくば……今回はそなたにそれを見届けてもらいたい。そなたも、我々のことをもっとよく知りたいであろう?』

 

「…………」

 

 ソロとしても、オリヒメの言葉には頷かざるを得なかった。一人であることの強さを保つ為の手段として、他の情報を軽視することは出来ないからだ。

 

そして、ファントム・ブラックによる恐怖()のショーが、再び幕を開けることになる……




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