「うぉおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉっ!!」
「っ!?」
空を飛んで待機していた私は声が聞こえた方をみる。すると、緑谷君が装甲板で地面の地雷を叩いて吹き飛んできた。普通なら有り得ない爆発量からして、おそらく集めたみたい。こちらが張っている雷よりも遥かに上に飛んでいる。これは放置するしかない。そこまで対応したら流石にだめだと思う。
軌道計算をしたら問題ないので視線を下にもどす。下では相変わらずシュテルが妨害している。
「やばっ!? 避けてぇぇぇぇっ!」
「え?」
振り向くと緑谷君が凄い速度で飛び込んできていた。彼の後ろでは空中でピンク色の爆発がある。地雷を空中で爆発させたみたい。そのせいでこちらの計算がくるったみたい。
考え事をしていると、目の前に緑谷君の顔があってもうキスしそうになっていた。冷静に電子信号を加速させ思考を加速。同時に身体の一部を加速させて背後に回って抜刀してそのまま攻撃しそうになる直前で止める。同時に足掻いてた緑谷君の手が私の腕を掴む。攻撃していたら何の問題もなかったけれど、流石にそういうわけにはいかない。私の速度のせいで腕に傷ができて、血しぶきが舞う。血しぶきは緑谷君の驚いた顔にべったりとついていく。その一部は驚いて口をあけている中へと入っていく。
ゆっくりと吹き飛ぶ緑谷君は私を申し訳なさそうにみる。現状を考えるとこちらは問題ないのだから、手で行くように指示する。すぐに身体が再生するので、軽く見せる。
「行って」
「わかった。ありがとう」
落下しながら緑谷君は更に地雷を取り出してそれを装甲版で叩き、爆風を利用する。どうやら、シュテルとの闘いを避けるために地雷の予備を持っていたみたい。そのまま地面をうって更に加速。シュテルを抜けていった爆豪さんと轟さんに追いつき、そのまま追い越していく。そして、そのままゴールして一番になった。
「彼、一番ですね」
「お父さんの力を継いだのなら、これくらいはしてくれないと」
「そうですね。しかし、フェイトの血を飲みましたか」
「うん」
「では、経過観察が必要ですね」
「適応するのかな?」
「可能性はありそうですけどね」
私の遺伝子情報を取り込んだということは私の"個性"を習得している可能性がある。というのも、お父さんの傷を治すために自己進化を行って、超再生を私のDNAをもつ存在に与えられるようにしてある。といっても、まだまだ実験が必要。そして、そういう意味ではワン・フォー・オールをお父さんから受け継いだ緑谷君は可能性がある。お父さんのDNAを取り込んでいるんだから。まあ、多分発現なんてしないと思う。
「しかし、あれですね」
「なに?」
「感染兵器ですか、フェイトは」
「違うよ! 私はただの女の子だから」
「フェイトがただの女の子なら、人類は危ない人……平和を願う人だらけですね。お父様の弟子なのですから。笑えない冗談です」
「酷いよ、もう」
っと、そろそろ戻らないと。次は騎馬戦の予定だけど、これは見ているだけでいいし、次のトーナメントも同じ。ここからは二人で楽しんだらいいだけ。
「出店周りしようか」
「そうですね。タコ焼きとか食べてみたいです」
「じゃあ、行こう~」
体育祭とはいえ、お祭りだから楽しまないとね。