落第騎士の英雄譚~銀翼は舞い降りた~(現在凍結中)   作:C03-HELIOS

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ハーメルンでは初めて投稿するフレースヴェルグの翼と申します。

では、物語をお楽しみください。




プロローグ 騒がしい日々の始まり

 それはとある朝の事。

 魔導騎士となるための伐刀者専用の学舎の1つ《破軍学園》

そこに所属する俺――十文字星瑠は自分の友人である黒鉄一輝の部屋の前にいた。

 今日の鍛錬のことについて聞きたいことがあったからだ。

 トントン、とドアをノックする。

 だが、反応が無い。

「留守か……?」

 耳を澄ましてみると何やら大騒ぎしているような声が部屋の中から聞こえてくる。

 珍しいな、アイツが部屋の中で大騒ぎしてるなんて……

――って待て、片方の声、女の子じゃね?

「おーい、入るぞー」

 何があったか知らないが、確認する必要がありそうだったから、俺はドアを開ける。

 中では二人の男女が口喧嘩……いや、痴話喧嘩か? をしていた。

 片方は黒髪の優しそうな好青年感を漂わせている少年――黒鉄一輝。まあ、コイツは良い。顔に綺麗な紅葉模様が出来ているのは別として。

 問題は目の前で怒り狂っている少女の方だ。炎を思わせる鮮やかな紅い髪をした美少女で、シルクのようなきめ細かい白い肌と高校生とは思えないほどの凄まじいナイスボディが惜しげもなく晒されている。

 そう晒されているのだ。……うん、なんでこの娘、男子の部屋に下着一枚でいるんだよ!? いや、それ言うと一輝の野郎もなぜか服脱いでるんだけどさ!

 髪とかなんか濡れてるところから見るとシャワー上がりか!? 男子の部屋でなんという豪胆な真似を……! この部屋の主が剣術バカじゃなかったら襲われててもおかしくないぞ。

 うん? ってかこの娘、どっかで見たことがあるような……

 で、そんな感じでじろじろ見ていたもんだから二人に気付かれた。

「星瑠!?」

「きゃあ!? 誰よアンタ!?」

 二人ともすっごいビックリしている。一輝は単に驚いているだけだが、少女の方はタオルで自分の身体を更に隠していた。

 とりあえず何があったか聞いてみるか。

「おい、とりあえずコレはどういう状況だ一輝。お前が無理やり女性と関係を持ったり、エロいお姉ちゃんたちと遊ぶような奴とは思わないが、どうしてこんな素晴らしい美少女がお前の部屋でシャワー浴びているんだ」

「い、いや、僕にも何が何だか……」

 一輝は本当に困惑しているようだ。

 だが、その答えは少女の逆鱗に触れてしまったらしい。羞恥で赤くなっていた顔を更に真っ赤に染めながら少女は叫ぶ。

「な、何が『何が何だか』よっ! アンタが勝手にアタシの部屋に入ってきたんじゃない!!」

 え? ここって一輝の部屋だよな。

「すまないが、そこの少女「ステラよ!」……ステラさん。俺が知る限りこの部屋はコイツの部屋だ。貴女が間違っているのでは?」

「間違っているはずないわよ! アタシだけならともかく、アルも確認したのよ!」

 心外とばかりに怒った表情を見せるステラさん。

 ふーむ。ステラさんにアルさんか……。

 ……って、待てい。確か今年からここに留学してくるヴァーミリオン皇国の皇女様姉妹の名前がステラとアルクスだったよな!? そう言えば容貌もソックリじゃないか!

 やっべええええええ、下手すりゃ国家問題になるだろコレエ!?

「姉さんから離れなさい!」

 突然、ドアの向こうから紅い髪をポニーテールに纏めた少女が飛び込んできた。

 顔立ちはステラさんによく似ているが、ステラさんと比べて強気そうな雰囲気がやや薄く、より物静かそうな印象があった。ふむ、個人的にはこちらの方が好みだな。

 って、そんな事、考えている場合じゃねえ! 少女は閃光のような速度で俺たちとステラさんの間へと割り込む。

「アル!」

「貴方たち、姉さんに何をしているんですか!」

 少女は手に持った棒を俺たちに突き付けてくる。

「返答によっては実力行使も躊躇いませんよ!」

 ああ、もう、これは本当にどうなってるんだよ! クソっ、こんな事になるなら聞きに来るんじゃ無かった!

「姉さん、これはどういう状況?」

「コイツら変質者の侵入者よっ!」

「……! なら容赦の必要はないね……!」

 ポニーテールの少女――おそらくアルクスさん――はさっきよりも殺気と闘気を数倍にまで膨れ上がらせた。あ、コレやばい。

「姉さんに手を出そうとした罪――その身で贖いなさい!」

 そう言うやいなや、ルナさんは閃光のような速度で棒を振るう。

「ちょっと待っ」

「俺、巻き込ま」

 轟音が朝の寮に響き渡った。

 

 

 

 

 

 30分後 理事長室

 

「一輝よ……お前は馬鹿か」

 さっきしこたま殴られた頭をさすりながら、俺はその場で正座する一輝を睨んだ。

「あ、あはは」

 誤魔化すように笑うけど、それで誤魔化されると思うなよ?

「……なんで、女の子の下着姿を見てしまったから、自分も見せるという考えに至ったんだこの馬鹿はあああああああ!!!!!!!」

「うわっ!」

 一輝が少しだけ驚いたような表情を見せる。

「ああ、もう、お前が色々と常識が欠けている事は知っていたが、ここまで欠けているとは思わんかったぞ、この修行狂い馬鹿めが!」

「じょ、常識が欠け」

「自覚無かったのか! 『シャワーから上がったら見知らぬ男が突然部屋に入ってきた上に服を脱ぎだした』って普通に不法侵入とわいせつ行為で通報案件じゃボケェ! 下手すりゃトラウマもんだわ、この性犯罪未遂者がああああ!」

 下手すりゃ一瞬で人生が終わっていたぞ!

「せ、性犯罪未遂者って……」

 性犯罪未遂者という言葉に大きなショックを受けたのか崩れ落ちる一輝。

「ショック受けるくらいならもっと常識を持ちやがれ!」

 良い機会だ。この修行馬鹿に言いたかった事を言ってやる……。さあ、お説教の時間だッ!

「ふん、いい気味よ。もっと言ってやりなさい!」

「え、ええと、止めなくて良いんでしょうか」

「あの二人は時々ああなるからな。放っとけ放っとけ」

 外野、うるさい!

 

 

――更に10分後――

 

「で、どういう事なんですか理事長?」

 正座したまま真っ白に燃え尽きた一輝を放置したまま俺は目の前の理事長――新宮司黒乃さんに質問した。

「実はな、このヴァーミリオン姉妹の部屋の準備が上手く出来なくてな」

 理事長の話を纏めると――

 

 

 ヴァーミリオン姉妹は15歳という若さでありながら、通常の30倍と言う規格外の魔力量を誇る逸材だ。

 そして破軍学園の寮では似たような実力の者がルームメイトになるシステムになっている。

 で、そうなった場合、彼女たちと他の生徒たちではバランスが全く取れないそうだ。

 その上、前理事長(やっばい不祥事引き起こした上、不正行為のオンパレードがバレて退職処分)の置き土産なのか部屋の絶対数が足りなくなってしまった。

 そこで目を着けられたのが一輝。

 とある事情からFランクの『落第騎士(ワーストワン)』という悪い意味で規格外の少年。

 Aランクの規格外とFランクの規格外。

 同じ規格外同士なら大丈夫なんじゃないか? と――

 

 

 ……うん、何考えてるんですか理事長。

「いや、幾ら一輝がアレとはいえ、男女が同じ屋根の下って不味くありませんか?」

 チラリ、と一輝の方を見てみると、ステラさんとルナさんの二人から詰め寄られてひたすら謝っているようだ。ステラさんの怒っている感じだと許してもらえないだろう。

「アレだからな、大丈夫だろう。まあ、双方の同意有りなら盛っても構わんとは思っているがな」

「いや、流石に皇女様相手に盛っちゃ不味いでしょう……」

 どうやらこの会話はステラさんたちには聞こえていなかったようで、一輝を更に問い詰めるような声が続いている。

「それに十文字、お前も他人ごとでは無いぞ?」

「はい?」

「ステラ・ヴァーミリオンの部屋は黒鉄の部屋だが、ルナ・ヴァーミリオンの部屋はお前の部屋だからな」

「「はあ!?」」

 俺の声とルナさんの声がハモる。

「ま、待って下さい理事長先生! 私のルームメイトはそこの人なんですか!?」

「ああ、その通りだぞヴァーミリオン妹。コイツも黒鉄と同じく留年したEランクで規格外の馬鹿野郎だからな」

 規格外の馬鹿野郎って酷くね? まあ、確かにEランクだし、授業の単位不足で留年したけどさ。ってそうじゃない。

「え、俺も女の子と一つ屋根の下ですか!? 俺は一輝の奴ほど枯れていませんよ!?」

「確かにそうだな。だが、アレだけ黒鉄に説教したんだ。まさか自分がそれをやらかすとは言わないよなあ?」

「ぐっ」

 い、言い返せない……。くそお、部屋に戻ったら隠してある逸品たちを避難させないとな……。

うん? なんか一輝の方の話が終わりかけているな。

「じゃあ、ハラキリで許してあげるわ」

「えっ?」

 おい、ステラさん。何がどうして切腹が出てくる。

「どうしたの? 日本人はハラキリが一番の誠意のこもった謝罪の仕方じゃないのかしら?」

 それは200年前の考え方ですぞ。

「ちょ、ちょっと姉さん! それは違うよ!」

 おお、アルクスさんはまともだったか! 良いぞ、もっと言って止めてやれ!

「一番の謝辞を示すのはシチュウヒキマワシのゴクモンのはずだよ!」

 訂正。この娘は更に酷かった。ルナさんそれ謝辞じゃねえよ。死刑の一つだよ。なんだ、この姉妹は、一輝を色んな意味で死なせる気か。

「ちょっと待って。それは謝辞とかそういうのを超えちゃってるよね!?」

 命の危険を感じたのか一輝がすごく慌てた様子で言い返すが……。

「なに? じゃあ、皇女様への不敬罪になるから、死刑になるわよ?」

 ……正論と権力で抑え込みに来たよこの皇女様。

 ああもう、どうしようこの状態。

「ふむ、なら伐刀者らしく、決闘で勝負をつけてはどうかな?」

 そこでこの状態を打破する案を出してきたのは理事長。

「決闘ですか?」

「ああ、この事になったのはこちらの責任でもあるからな。勝った方が負けた方に好きな事を命令できる……というルールでな」

 うん、まあ、それが落とし所かな……。

「もちろん、ヴァーミリオン妹と十文字にもやってもらうがな」

 なんですと!?

 

 

 

 

 

 

 




いかがだったでしょうか?

今日中に最初のバトルシーンを描いた話を投稿しますのでお待ち下さい。


2017年6月20日 改訂
ルナ・ヴァーミリオン→アルクス・ヴァーミリオン
(ステラさんからの呼称)ルナ→アル
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