遊戯王VRAINS 幻影の咆哮~青き天使との日常~ 作:kajoker
今回の話しは時間軸的にはコラボ回の後になります、自分のことについて悩む侑哉を葵が元気づけようとする…果たして、どうなるのか?
それでは、本編をどうぞ!
「来たわね、Phantom…さぁて、リンクアクセスについて色々と聞かせてもらうわよ」
「わかってるよ、まぁ、俺の話せる範囲でだけど」
LINK VRAINSでゴーストガールとそんな会話を交わす。
俺がゴーストガールとこうして話しているのは、以前、ステージ2がこっちの世界にやってきた時にゴーストガールに色々と世話になり、それの報酬としてリンクアクセスについて話すためだ。
「それでリンクアクセスって、結局何なの?」
「俺も詳しくは知らないんだけど、リボルバーが言うにはリンクアクセスの能力を持っている人間はデータストームの声を聞き、その中に潜むモンスターと心を通わすことができるらしいんだ」
「えっ!?データストームって喋るの?」
俺の言葉にゴーストガールがそう驚きの声を上げる。
まぁ、ゴーストガールの反応も当然といえば当然だな…俺も初めてデータストームが喋った時は驚いたし。
「あぁ…実際、何度もデータストームと話してるしな」
「…驚いた、そんなことがあり得るのね…でも、ちょっと待って…仮にあなたがデータストームの声を聞いているとして、どうやってデータストームの声を聞いてもいるの?」
「どうやってって…普通に聞いている感じだけど」
「…ねぇ、あなたの持つリンクアクセスの力って本当にそれだけなの?」
「実は、俺もそれは気になってた」
もし、仮にリンクアクセスの力がリボルバーの言うようなものなら、確かにすごい能力だとは思うけどここまで情報を消す必要があるのだろうか?
リンクアクセスについての情報があまりにも少ないから、推測するしかないが、この能力には何か俺達の知らない力が他にもあるのかもしれない。
「…もしかして、あなたの能力にはデータマテリアルを理解する力が備わっているのかもしれないわ」
「データマテリアルを理解する…?」
「まぁ、推測にすぎないけどね…データストームもデータマテリアルの固まりみたいなものだから、それを理解することでプレイメーカーと同じことができるのかもしれない…待って、仮にそうだとすると…」
ゴーストガールはそう言いながら、考えるような仕草をする。
「ゴーストガール?」
「…Phantom、もし私の推測通りだとしたらあなたの力は間違いなくSOLテクノロジー社に狙われる…いいえ、ハノイの騎士にだって狙われるかもしれない」
「どういうことだ?」
「…リンクアクセスの力にデータマテリアルを理解するような能力が備わっているとしたら、その力を応用することで、データストームの発生源の場所を突き止めることだってできるかもしれない」
「それって…!」
つまり、ゴーストガールが言いたいのは俺の力を使えばサイバース世界の場所がわかるかもしれないってことか?
なるほど、確かにそうだとしたら間違いなく俺はSOLテクノロジーとハノイの騎士の両方から狙われるな…
「…もし、そうだとしたら俺の状況ってかなり不味いな…」
「まぁ、これはあくまで可能性の話しだけどね…何にしてもリンクアクセスの力をあまり多用しないことをオススメするわ」
ゴーストガールはそう俺に忠告してくれる。
確かに、リンクアクセスの力を多用すればそれだけSOLテクノロジーとハノイの騎士に情報を与えることになる…そうなったら葵や花恋が巻き込まれてしまうかもしれない。
それに、誠の世界に行ってから目覚めた覇王の力…この力についてもおいそれと使わないようにしないとな。
「…忠告ありがとう、ゴーストガールって抜け目がなくて、狡猾だけど、良い奴だよな」
「それ誉めてるの?それとも貶してる?」
「一応誉めてるつもりなんだけど…とにかくありがとう、忠告通りこの力を多用しないように気をつけるよ!」
俺はそう言って、ゴーストガールに笑みを向ける。
「まぁ、良いわ…それじゃあね、面白い情報をありがと!何かわかったらまた連絡して!」
「えっ!?ゴーストガールに一々報告するのか?」
「…うふふ!当然!Phantomは私に借りがあるでしょ?その借りはキッチリ返してもらわないと!」
ゴーストガールはそう言って、俺に軽くウィンクする。
「あはは、やっぱりあんたに借りを作ったのは失敗だったかも…まぁ、でもあんたのおかげで助かったのは事実だしな…しょうがない、何かわかったらあんたに連絡するよ」
「ありがとう、それじゃあまたね!」
そう言って、ゴーストガールはログアウトしていった。
「…本当にちゃっかりしてるよな」
俺はそう呟きながら、ログアウトしていった。
//////////////
「侑哉…?どうしたの?ボーっとしてたみたいだけど」
「あ、ごめんごめん…ちょっと考え事してた」
葵に声を掛けられ、そう答える。
今はちょうど昼休みで、葵と美月と俺の3人で屋上で昼食を食べていた。
それでゴーストガールにリンクアクセスについて話した時の事を思い出していた。
その事について思い出していたのは、やっぱりリンクアクセスについてわからないことが多いからだろう。
それに、最近では新しい考え事ができてしまった。
(俺は一体何者なんだ…?リンクアクセスに覇王の力…どうして俺にそんな力があるんだ?)
今まではそこまで気にしたことはなかった…リンクアクセスについては調べていくうちにわかるだろうと思っていたし、覇王の力があったおかげで助けることができた人が居たから、むしろ覇王の力には感謝したぐらいだった。
だけど、徐々に自分になんでそんな力があるのか、そんな疑問を抱くようになっていった。
「そういえば、侑哉君と財前さんはこの前起きた電波障害のことを知ってますか?」
俺が考え事をしていると、美月がふいにそんなことを口にする。
「電波障害…?」
「この前、一時的にLINK VRAINSの中継ができなくなったんですよ、まぁ、しばらく経ってから復旧したので、システムの不具合という結論になったみたいですけど」
「へぇー、そうなのか…全然知らなかったよ」
…それって、間違いなく俺がゴーストガールに頼んでやってもらったことだよな…とりあえず、バレてはいないみたいだし、良かったということにしておこう。
「まぁ、人間が管理している以上、そういうことが起きても不思議じゃないですよね」
「確かにな…」
さすがに、俺が知り合いに頼んだとは言えるはずもなく、そう返す。
「…侑哉、ちょっと来て!」
「え?急にどうしたんだよ葵…」
葵は俺にそう声を掛けながら、俺の手を引く。
そして、そのまま屋上から学校の中へと戻り始めた。
「お、おい!本当にどうしたんだ?」
俺がそう声を掛けると葵は少し間をあけて言葉を紡いだ。
「ねぇ、侑哉…今からちょっと出かけない?」
「出かけるってどこに?」
「それは行きながら考えるわ!さ、行こ!」
「え?学校はどうするんだ?」
「今日ぐらい休んでも罰は当たらないわよ!」
葵はそう言って、笑みを浮かべながら俺の手を強く引いた。
…本当に急にどうしたんだ?まぁ、葵と出かけられるのは嬉しいけど。
俺はそんなことを思いながら、葵に促されるまま歩を進めた。
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「それで、どこに行こうか?」
自分の自転車を押しながら、葵にそう尋ねる。
「そうね…侑哉は行きたいところとかある?」
「そうだな…あ、そうだ!スターダストロードを見にいかないか?」
「スターダストロード?」
「そうそう、何でも稀に海のプランクトンか何かが光って、すごくキレイな景色になるんだってさ」
この話しを聞いたのは花恋からで、最初にスターダストロードと聞いた時にスターダストドラゴンがすぐに頭に浮かんだのを覚えている。
多分、スターダストドラゴンとは何の関係もないんだろうけど。
「まぁ、稀にしか見られない現象らしいから、見られるかどうかはわからないけど」
「よし、それじゃあさっそく行こ!侑哉!」
「わかった、それじゃあ葵は後ろに乗ってくれ」
「うん!私を落とさないように気をつけてね」
「落とさないって!」
「ふふっ!冗談よ」
葵はそう言って悪戯っぽい笑みを浮かべながら、自転車の後ろに乗った。
「それじゃあ行くか!」
俺は一言そう言って、自転車を漕ぎ始めた。
「そういえば、初めてだよな…こんなふうに自転車に二人乗りしてどこかに行くのって」
「確かに、そうかもしれないわね…今度からデートに行く時は自転車で行く?」
「それも良いかもな…」
二人で歩きながらデートするのも良いけど、たまにはこんなふうに自転車でデートするのもありかもしれない。
まぁ、めちゃくちゃ慎重になるかもしれないけど。
「さて、飛ばすぞ!葵、しっかり掴まってろよ!」
「え!?ちょっと侑哉!」
「ははっ!冗談だよ、ゆっくり行こう」
「もう……でも良かった、元気になってくれて」
「うん?どういうことだ?」
葵の呟きに思わずそう聞き返す。
「だって、今日の侑哉何だか様子が変だったから…」
「…そう見えた?」
「うん、元気がなさそうだった…だから気分転換も兼ねて侑哉を誘ったの」
「そうだったのか…」
つまり、葵が急にどこかに出かけようと言ったのは俺を元気づけるためだったってことか。
やれやれ、本当に葵には敵わないな。
「ありがとう、葵…俺を元気づけようとしてくれてたんだな」
「気にしないで、侑哉に元気がないと私まで落ちこんじゃうから…」
「そっか…それじゃあ今回は色々と付き合ってもらおうかな?俺の行きたいところや、やりたいことに」
俺はそう言って、葵に笑みを向ける。
そうすると、葵は笑みを浮かべながら頷いてくれた。
「そうと決まれば、さっそく行こう!」
俺はそう言って、目的地へと向かって行った。
スターダストロードを見るにはあまりにも時間が早すぎる…なら、それまでに葵と色んなところに行こう。
俺はそんなことを思いながら、自転車を漕ぎ続けた。
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「やったぜ!良いカードゲット!」
「良かったわね、侑哉!」
「あぁ、これでさらにデッキの構築の幅が広がるよ!葵の方はどうだった?」
「私の方はいまいちかな…結局、デッキを強化できるカードは手に入らなかったし」
「そっか…ん?あれは」
俺がふと視線を移すと、そこには見たことのないトリックスターのカードがあった。
「トリックスター・キャロベイン?見たことのないカードだな…しかも、効果がかなり強くないか?」
このカードがあれば葵のデッキがかなり強化できるな。
「あの~、すみません…このカードが欲しいんですけど…」
俺はそう店員の人に言い、そのまま会計をすませた。
「侑哉、どこに行ってたの?急に居なくなるから心配したわよ」
「ごめんごめん…ちょっと良いカードを見つけてさ」
「良いカード?」
「はい、これ!葵にプレゼント」
俺はそう言って、先ほど買ったカードを葵に手渡した。
「これって…!新しいトリックスターのカード!?」
「そうだよ、このカードがあれば葵のデッキをもっと強化できそうだったからさ」
「ありがとう!侑哉!」
葵はそう言って、俺に勢いよく抱きついてきた。
「ちょっ!葵!く、苦しいって…」
「ご、ごめん!嬉しくて…つい」
葵は俺から慌てて離れながら、照れくさそうにそう口にする。
どうやら、喜んでくれたみたいだな…良かった。
「このカード、大切にする…!」
葵はそう言って、少し照れくさそうに笑みを浮かべる。
「そうしてくれた方が俺としても嬉しいかな」
せっかく、プレゼントしたわけだし大切にしてくれた方がプレゼントした甲斐があるってもんだ。
「…さて、そろそろスターダストロードを見に行こうか!」
「うん…!」
そうして、俺達はそっと手を繋ぎ、歩き始めた。
その後、結局スターダストロードを見ることは出来なかったが、葵のおかげで俺の悩みは解決した。
いや、解決したというよりは受け入れる余裕が出来たと言うべきか。
俺が何者だろうと関係ない、俺は、今こうしてこの世界で生きていて、大切な人達と共に過ごせている…今はそれで充分だ。
「どうかした?侑哉」
「いや、何でもないよ…なぁ、葵」
「うん?」
「これからも色々と迷惑を掛けるかもしれないけど、よろしくな」
「うん!もちろんよ!これからもずっと侑哉の側に居るわ…だから」
葵はそう言って、俺に体を預ける。
その体は小刻みに震えていて、俺は葵を強く抱きしめた。
「居なくなったりしないでね…」
「当たり前だよ…葵を置いてどこかに居なくなったりしないさ」
「ありがとう、侑哉…」
そう言って、葵は俺にキスをする。
俺もそれに応えるように、深くキスをする。
夜空の星達は、俺達を祝福するかのように優しい光を放っていた。
といった感じの第37話でした!
次回からはハノイの三騎士との話しになると思います。
ただ、デュエルの結果は原作と同じなので三騎士とのデュエルはいくつか飛ばすことになるかもしれません。
それでは、今回はここまで!ここまでの拝読ありがとうございます!