遊戯王VRAINS 幻影の咆哮~青き天使との日常~ 作:kajoker
今回はバイラさんとのデュエルに決着が着きます。
そういえば、ソウルフュージョンを1箱買ったんですが、ヒートライオが何故か1枚も当たりませんでした…
まぁ、その代わりサイバースクロックドラゴンやクロックスパルトイ等のサイバースの新しいカードが手に入ったので、良かったです!
それでは本編をどうぞ!
『おい、見てみろよ!遊作!ブルーエンジェルがペンデュラムを使ってるぜ!』
「そのようだな…まさか、ブルーエンジェルがペンデュラムを使うとは」
これは、さすがに予測できなかった。
だが、考えてみればおかしな話しではない、財前葵は侑哉の恋人だ…ならば、侑哉と同じ戦略を使ってもおかしくはない。
『そういや、ペンデュラムで思い出したけどよ…今日、LINK VRAINSにあいつが来てねぇよな』
「侑哉のことか?確かに、昨日もLINK VRAINSに来ていなかったな…あいつがハノイの騎士を野放しにするとは考えにくいが…」
そういえば、今日は学校にも来ていなかったな…それに財前葵も来ていなかった…だとすれば、侑哉に何かあったと考えるのが妥当か。
『まさか…侑哉の奴もアナザーになっちゃったとか?』
「…可能性としては0ではないな…だが、あいつがハノイの騎士に遅れを取るとは到底思えない」
あいつほどのデュエリストがそう簡単に敗れるとはとてもじゃないが思えない…なら、アナザーとはまた別の要因でLINK VRAINSに来ていない可能性の方が高いな。
…侑哉のことも気になるが、まずはアナザー事件の首謀者を突き止めるのが先か。
「草薙さん、そっちはどうだ?アナザー事件の首謀者についてわかりそうか?」
「もう少し時間が掛かりそうだ…」
「そうか…」
…このデュエルには興味があるが、早く首謀者を突き止めないとな。
俺は一度映像へと目を移した後、作業を再開した。
///////////////
「私のターン、ドロー!」
ブルーエンジェル LP4000
手札0
場 EXモンスターゾーン トリックスター・ホーリーエンジェル LINK2(ATK2000)リンクマーカー左下/右下
メインモンスターゾーン トリックスター・スイートデビル LINK2(ATK2000)リンクマーカー左/右
伏せ1
Pゾーン EMドラミングコング(スケール2)
EMギタートル(スケール6)
フィールド魔法 トリックスター・ライトステージ
バイラ LP3200
手札4→5
場なし
伏せなし
Pゾーンなし
フィールド魔法なし
「手札から『ダークマミー・ゾンデ』を特殊召喚!このカードはフィールド魔法が存在する時、特殊召喚できる!そして、その後フィールド魔法を破壊する!」
ダークマミー・ゾンデ 攻撃表示(ATK700)
ダークマミー・ゾンデの効果によりトリックスター・ライトステージが破壊された。
…なるほど、フィールド魔法を破壊して、私の得意戦略を封じに来たのね。
でも、これで確信した…あの人はEMが入る前の私のデッキに対しての対策しかしていない。
「さらに、『ダークマミー・ゾンデ』を通常召喚!そして、カードを1枚伏せて永続魔法、『王家の神殿』を発動!このカードは1ターンに1度、罠カード1枚を伏せたターンに発動できる!私は『-C-ハックウィルス』を発動!自分フィールド上の守備力0の闇属性モンスター1体をリリース、これにより3ターンの間、あなたの守備力2000以下のモンスターの効果が無効となり攻撃力は0となる!」
「だけど、リンクモンスターには守備力がないから効果を受けない!」
「まだまだこれからよ、私はダークマミーモンスターをリリースして手札から魔法カード、『死者縫合』を発動!このカードの効果により自分フィールドにダークマミートークンを3体特殊召喚する!」
ダークマミートークン 守備表示(DEF0)×3
モンスターが3体…来る!
「現れよ!我らの未来回路!召喚条件はダークマミーモンスター3体!私はダークマミートークン3体をリンクマーカーにセット!リンク召喚!現れよ、リンク3!『ダークマミー・サージカルクーパー』!」
ダークマミー・サージカルクーパー LINK3(ATK2400)リンクマーカー上/右/左下
「そして、スキル発動!フォビドゥン・サージカル・オペレーション!自分の墓地にいるレベル2以下の同名モンスターを2体除外し、そのモンスターと同じレベルの同名モンスター2体をデッキから特殊召喚する!現れなさい、2体の『ダークマミー・シリンジ』!」
ダークマミー・シリンジ レベル1 守備表示(DEF500)×2
「ダークマミー・シリンジがアンデット族のリンクモンスターのリンク先に召喚、特殊召喚した時、効果発動!ダークマミー・シリンジが存在する限りサージカルクーパーは罠カードの効果を受けない!」
「罠カードの効果を受けない…ガチガチにロックしてくるわね」
「さらに、サージカルクーパーの効果!このモンスターの攻撃力はこのカードのリンク先のモンスター1体につき攻撃力が600ポイントアップする」
ダークマミー・サージカルクーパー(ATK2400→3000)
「バトル!サージカルクーパーでホーリーエンジェルに攻撃!」
「させない!罠発動!『攻撃の無敵化』!このカードの効果でホーリーエンジェルに破壊耐性を付与する!さらに、ドラミングコングのP効果!ホーリーエンジェルの攻撃力を600ポイントアップする!」
トリックスター・ホーリーエンジェル(ATK2000→2600)
「でも、ダメージは受けてもらうわ!」
「うっ…!」
ブルーエンジェル LP4000→3600
ダメージを受けて、バランスを崩しながらも何とか体勢を立て直す。
データストームが無いせいか、いつもよりバランスを保つのが大変ね…だけど、こんなところで負けるわけにはいかない!
「まだまだ勝負はこれからよ!」
「…私はこれでターンエンド!」
ブルーエンジェル LP3600
手札0
場 EXモンスターゾーン トリックスター・ホーリーエンジェル LINK2(ATK2000)リンクマーカー左下/右下
メインモンスターゾーン トリックスター・スイートデビル LINK2(ATK2000)リンクマーカー左/右
伏せなし
Pゾーン EMドラミングコング(スケール2)
EMギタートル(スケール6)
バイラ LP3200
手札5→0
場 EXモンスターゾーン ダークマミー・サージカルクーパー LINK3(ATK2400→3000)リンクマーカー上/右/左下
メインモンスターゾーン ダークマミー・シリンジ レベル1 守備表示(DEF500)×2
伏せ1(王家の神殿)
Pゾーンなし
「私のターン、ドロー!私は手札から魔法カード、『カップオブエース』を発動!このカードの効果でコイントスを行い、表なら私が…裏ならあなたがデッキからカードを2枚ドローできる!」
「この状況では、なかなかリスクの高いカードね…果たして上手くいくかしら?」
「絶対に表を出してみせる!」
私には侑哉みたいにほとんどの確率でカップオブエースの効果を成功させるようなコイン運はない。
花恋さんは侑哉がおかしいだけだから気にしない方が良いと言っていたけど、今の状況は絶対に失敗できない。
(…侑哉、力を貸して!)
私はそう心で念じながら、コインを弾く。
〈大丈夫だ、葵…きっと上手くいくさ!〉
「え…?侑哉!?」
突如として響いた声に思わず周りを見渡す。
だけど、周りを見渡しても声の主を見つけることができなかった。
私の気のせいだったの…?
でも、あの声は間違いなく侑哉だった…だって、その証拠に今なら何でもできそうな気がする。
そう思いながら、私はそっと手のひらのコインを見る。
「…やった!表よ!よってデッキからカードを2枚ドロー!」
ブルーエンジェル手札1→0→2
「このタイミングで成功させるなんて!?」
「…これなら!上手くいけばこのターンで…やってみるしかないわね!」
「…どうするつもり?」
「それは見てのお楽しみよ!まずは手札から魔法カード、『トリックスター・ブーケ』を発動!スイートデビルをEXデッキに戻して、ホーリーエンジェルの攻撃力をスイートデビルの元々の攻撃力分だけアップさせる!」
トリックスター・ホーリーエンジェル(ATK2000→4000)
「バトルよ!ホーリーエンジェルでサージカルクーパーに攻撃!そして、この瞬間、ドラミングコングのP効果!ホーリーエンジェルの攻撃力をさらに600ポイントアップ!」
トリックスター・ホーリーエンジェル(ATK4000→4600)
これで準備は整った…侑哉、あなたから貰ったカードを使わせてもらうわね!
「私は、手札の『トリックスター・キャロベイン』の効果発動!このカードを手札から墓地に送り、ホーリーエンジェルの攻撃力を自身の元々の攻撃力分だけアップする!よって、ホーリーエンジェルの攻撃力は…」
トリックスター・ホーリーエンジェル(ATK4600→6600)
「攻撃力6600ですって!?」
「これでとどめよ!ホーリーエンジェル!」
攻撃力が6000を越えたホーリーエンジェルの攻撃によりサージカルクーパーが破壊された。
「…私の負けね」
バイラ LP3200→-400
/////////////
「私の勝ちよ!さぁ、あなたにはそれ相応の報いを受けてもらうわ!」
「わかっているわ…」
「…と言いたいところだけど、今すぐアナザーの被害者の電脳ウィルスを除去して…それで私はあなたを許すわ」
私は倒れているハノイの騎士にそう言い放つ。
本当は一発ぶん殴ってやりたいところだけど…それじゃあ私の気が晴れても侑哉を助けることができない。
…それに
「…Phantomならきっとこう言うと思う」
「なるほどね…だけど、電脳ウィルスについてはもう大丈夫よ」
「どういうこと?」
「空を見て、ブルーエンジェル…」
私はその言葉に促されるまま、空へと目を移す。
すると、空から無数の光が降り注いでいた。
「これは、除去プログラム…?どうして?」
「あなたが私の心を変えたのよ…諦めず、大切な人の為に戦うあなたの姿が…ほら、あなたの大切な人がそこに来てるわよ」
「え…?」
促されるまま視線を移すと、そこにはいつもと変わらない侑哉の姿があった。
「Phantom…!本当にPhantom?」
「良いデュエルだったよ!ブルーエンジェル…」
「Phantom!」
「え、どわぁぁ!」
侑哉の姿を見た瞬間、私の体は自然と侑哉の元へと駆け寄った。
そして、そのまま侑哉へと抱きついた。
「もう…!心配したんだから!」
「わ、悪かったよ…」
「本当にいつもいつも心配ばっかり掛けて!」
「…あぁ、本当にごめんな…」
そう言って、侑哉は私を抱きしめた。
それが嬉しくて、私も侑哉をもっと強く抱きしめる。
「お帰り…侑哉!」
「…ただいま!葵!」
//////////////
「…どうやら、一応戻ってこれたみたいだな」
LINK VRAINSから戻ってきた俺はそう呟く。
「それにしても、なんでサイバース世界から戻ってこれたんだ?」
確か、サイバース世界に居る間はログアウトできなかったはずなんだけど…
確か、サイバース世界でデッキ編成をして、ちょっと眠くなったから寝て…目が覚めたら何故かLINK VRAINSに居たんだよな。
「そういえば、レイは?」
レイの姿が見当たらず、デュエルディスクを確認する。
だが、デュエルディスクの中にレイの姿が見当たらなかった。
「レイはまだサイバース世界に居るってことか…そうなると、俺がログインするとまたサイバース世界に戻る可能性が高いな」
さて、どうしたもんか…
「侑哉!」
「ちょっ!?葵!」
俺がそんなことを思考していると、部屋の中に葵が勢いよく入ってきて、そのままLINK VRAINSの時と同じように抱きつかれた。
「葵ちゃん、早いわよ…」
「花恋…」
葵の後に続くように、花恋が部屋に入ってくる。
「良かったわ、本当に目が覚めたのね!」
「…そのことについてなんだけど、二人に話しておきたいことがある」
「話しておきたいこと?」
「あぁ、実は…」
そう言って、俺は今までサイバース世界に居たことと、恐らくもう一度ログインしたらサイバース世界に戻る可能性があること等を二人に話した。
「…サイバース世界!?それじゃあ侑哉が目を覚まさなかったのは…」
俺の話しを聞いた葵は驚いたようにそう口にする。
まぁ、俺も未だに信じられないし無理もないか。
「なるほどね…にわかには信じられないけど、侑哉が嘘をついているようには見えないし、本当なんでしょうね」
「あぁ…多分、リンクアクセスのせいだとは思うけどな…」
「リンクアクセスの力……それで、侑哉はどうするつもりなの?」
花恋が俺にそう尋ねる。
「一応、もう一度ログインするつもりだよ…それで、花恋に俺の場所を特定してもらって、そのまま外部からログアウトさせてもらおうと思ってる」
サイバース世界に戻ったら、恐らく自発的なログアウトが不可能になる。
だが、外から強制ログアウトさせることは可能かもしれない…ただ、一つだけ問題がある。
「なるほど、それなら可能かもしれないわ…でも、どうやって侑哉の居場所を特定するの?サイバース世界がどこにあるかは誰も知らないわよ?」
「問題はそこなんだよな…」
そう、サイバース世界に戻った後どうやって俺の居場所を特定してもらうかが問題なんだ。
まぁ、Aiがサイバース世界の場所を教えてくれるのが理想的なんだけど…そんなことしたら、ハノイの騎士やSOLテクノロジーが攻めてくるだろうしな。
通信機能が使えないことを考えると、俺の居場所を特定するのはなかなかに難しい。
「うーん…とにかく、その方法については私の方で考えてみるわ…侑哉も何か思いついたら教えて」
「わかった…ありがとな、花恋」
花恋は気にしないで、と一言言って下へと降りていった。
「ねぇ、侑哉…サイバース世界にどうしても戻るの?」
花恋が部屋を出てしばらく経って、葵が俺にそう質問する。
「うん…できれば戻りたくはないけどね…でも、葵を助けようとして、LINK VRAINSじゃなくてサイバース世界に行っちゃうのはさすがに困るし」
俺は別にサイバース世界が嫌いなわけじゃない、ただ、葵と会えなくなるのは嫌だし、いざ葵を助けようとしてサイバース世界に行くのはさすがに困る。
多分だけど俺がサイバース世界に行ってしまったのには何か理由があるんだと思う…まぁ、間違いなくリンクアクセスの力が影響してるんだろうけど。
「ちゃんと帰ってくる?」
「もちろん!俺の帰る場所はここだからな…だから、そんなに悲しそうな顔するなって!」
俺はそう言って、葵に笑いかける。
大丈夫だ、そう葵を安心させるように。
「…わかった…私は侑哉を信じる!絶対に帰ってきてね!」
「あぁ、約束する…」
俺はそう言って、葵とそっと口づけを交わす。
葵もそれに応えるように、深く、お互いを求め合うように口づけを交わす。
そして、そのまま葵を押し倒すような形になって、変な気分になってしまう。
これは、ちょっとやばい状況じゃないか?
「はっ…はぁ、侑哉…このまましちゃう?」
「おい、さすがにそれは…」
「侑哉になら…されても良いし…」
そう言う葵は照れくさいのか頬が紅潮していた。
「…そんなこと言って、俺の自制が効かなくなっても知らないぞ…」
「良いわよ、別に……こんなことを言うのは侑哉だからなんだし…」
上目遣いで、そう言う葵に動悸が跳ね上がる。
…これは、不味いな…本当に自制が効かなくなってしまう。
でも、葵が勇気を出してこう言ってくれたわけだし…男として応えないわけにはいかないよな。
「…わかった、だけど覚悟しておけ…優しくはできないかもしれない…まぁ、努力はするけどさ」
「うん、わかった…できれば優しくしてね?」
「あぁ、善処するよ」
こうして、葵と過ごす夜は過ぎていった。
///////////////
「それじゃあ、行ってくるよ!」
「気をつけてね!侑哉!」
「あぁ!」
葵に出発の挨拶をして、デュエルディスクをセットする。
「ごめん、侑哉…結局、方法が思い浮かばなかったわ」
「そのことなんだけど、一つ思いついたことがあるんだ」
「どんな方法?」
「これはまだ確証はないんだけど、デュエルディスクのカード転送システムが使えるかどうかを調べてみる…もし、使えたら俺の居場所が割り出せるかもしれない」
俺はサイバース世界に居る時に、まだそれだけは試していなかった。
もし、カード転送システムが生きているならそこから俺の居場所を割り出せるかもしれない。
「なるほど、確かにそれなら…後で試してみるわ!」
「あぁ、悪いけど頼んだよ!それじゃあ、改めて…行ってきます!」
「行ってらっしゃい!侑哉!」
そうして、俺は葵と花恋に見送られながらサイバース世界へと向かった。
「行っちゃった…でも、侑哉ならきっと戻ってくるわよね…」
「その通りよ、葵ちゃん…侑哉ならきっと大丈夫よ!」
「そうですよね!」
「…それはそうと葵ちゃん…」
「はい?」
「昨日はお楽しみだった?」
「へっ!?か、花恋さん!急に何を言い出すんですか!」
「あぁ、やっぱりそうだったのね…どうりで…」
「か、花恋さん!からかわないでください!」
顔を真っ赤にして、葵が叫んだ言葉は虚しく部屋に響いた。
といった感じの第40話でした!
次回からは、侑哉が再びサイバース世界へと向かいます…果たして、侑哉は元の世界に帰ることができるのか?
それでは今回はここまで!ここまでの拝読ありがとうございます!