遊戯王VRAINS 幻影の咆哮~青き天使との日常~ 作:kajoker
今回は侑哉が未だにリンクアクセスの力を持っている理由についてわかります。
最近、ヒドゥンサモナーズのパックを買ったんですが、魔妖のカードが結構当たって、個人的には大満足でした!
それでは本編をどうぞ!
「どう?落ち着いた?」
「あ、あぁ…一応な…」
花恋に声を掛けられ、そう返す。
本当は全然落ち着いてなんかいない…花恋の話しの通りなら、俺は本来遊戯王VRAINSの世界の人間で、前まで居た世界こそが、俺にとっては異世界だったことになる。
それは、俺の今までが否定されたような気がして、簡単に受け入れることができなかった。
「…俺が元々この世界の人間だったなんて、正直、今でも信じられない…」
「無理もないわよ…こんなことを言われて、簡単に受け入れることなんてできないわ…」
花恋はそう言って、俺に申し訳なさそうな表情を見せる。
「侑哉……花恋さん、一つ聞きたいことがあるんですけど…」
「言わなくても何となくわかるわ…侑哉が何故、異世界に行ったのかということよね?」
「はい…」
葵が俺の代わりに花恋にそう質問する。
何故、俺が異世界に行ったのか…それに関しては俺も気になっていた。
だけど、今はそんなことを聞ける気分じゃなかった…多分、葵もそれをわかっていて花恋にそんなことを聞いたんだろう。
「侑哉が前の世界に行った理由は、リンクアクセスの力が原因の1つよ…ただ、1番の理由は私が侑哉を異世界に逃がそうと考えてしまったことね」
「花恋さんが侑哉を…?」
「あの時の私は、今、考えればバカなことをしたと思うわ…」
花恋はそう言って、俺が異世界に行った理由を話し始めた。
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私はリンクアクセスについての調査と並行して、鴻上博士の研究について秘密裏に調べていたの。
鴻上博士の研究については厳重に守られていて、私でもなかなかそのセキュリティを突破できなかった…そんな時よ、何故かそのセキュリティをいきなり突破できていたの。
「どういうこと…?」
私は困惑しながら周りを見渡したわ…すると、そこには侑哉の姿があったの。
「侑哉…!どうしてここに?」
「花恋お姉ちゃんが部屋に行ったのが見えたから、着いてきたんだ!」
「そうだったの…」
「ふあぁ~、何か眠くなってきちゃった…お休み、花恋お姉ちゃん…」
侑哉はそう言って、眠ってしまったわ…その様子を見て私は確信した、侑哉はリンクアクセスの力を持っているって。
だって、あまりにもリンクアクセスの力を持っていた人達と特徴が似ていたから。
だから、私は侑哉を何としてでも守らなくてはいけない…そう思ったの。
そこで思いついたのが侑哉を別の世界に逃がすことだった。
このまま生活をしていけば、侑哉にその気がなくても周りの人達にリンクアクセスの力を持っていることが知られてしまうかもしれない。
いや、リンクアクセスの力を持っていると知られなくても、不思議な力を持っていると思われてしまう…そうしたら、侑哉が危険な目に遭ってしまう…だから、私は侑哉を別の世界に逃がすことを決めたの。
本当にあの時の私は冷静じゃなかったわ、でも、あの時の私にとってはそれが最善だった。
そこから私は、異世界に行く装置を作り始めた…侑哉と私の二人分をね。
本当は、両親の分も作りたかったけど、あの時の精神状態で両親の分まで作る余裕が私にはなかった…とにかく侑哉を早く逃がす、それだけしか考えられなかったから。
そうして、超特急で装置を作りあげ、気づけば4ヶ月が経っていた。
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「それで、侑哉を異世界に逃がしたんですか?」
「えぇ…だけど、そこで問題が発生したの…本当なら私も侑哉と一緒に異世界に行くはずだったのに、いざ、装置を起動させると私の装置だけが故障してしまったの」
「花恋さんの装置だけが!?」
「そう…だから、結局侑哉だけが異世界に行ってしまったの…」
花恋は悲しそうな表情をしながらそう言った。
なるほどな…俺がデータバンクで見たものはその時の記憶だったのか。
「…花恋、一つ聞きたいんだけどさ」
「良いわよ、何でも聞いて…」
「俺がこの世界にトリップ…いや、戻って来た時、俺だって何でわかったんだ?」
「…それは、侑哉が全然変わっていなかったから…それに、侑哉は一度異世界に行った後、何度かこっちに戻って来ていたからよ」
「ちょっと待ってくれ…!何度かこっちに戻って来ていたってどういうことだよ!」
花恋の言葉に俺はそう返す。
「…原理は私にもわからない…だけど、侑哉は1度異世界に行った後、6年間、1年に1回ぐらいのペースでこっちの世界に戻って来ていたの…」
「6年間?俺にはそんな記憶はないぞ」
「それは仕方ないわ、だって、1度戻って来てもすぐに元の世界に戻ってしまっていたから、侑哉からすると夢みたいなものだっただろうし」
「夢みたいなものか…」
そういえば、小さい頃に変な夢を見ていた記憶がある…知らない女の人と一緒に遊んだり、時にはその人に俺が料理を作ったりした夢を。
あれは、俺がこの世界に一時的に戻って来た時の出来事だったのか。
「…侑哉からすれば夢のようなものだろうけど、私にとっては現実で、侑哉が戻ってくるたびに成長した侑哉の姿が見れて嬉しかったわ」
「それで、俺のことがわかったのか…」
「そういうことよ…そして、多分、未だにリンクアクセスの力を侑哉が持っているのは、何度も世界を行き来している内にリンクアクセスの力を処理できるほどに脳や体が進化したんだと思う」
「それってどういう意味だ?」
「世界を移動するということは、それなりに負担が掛かる…しかも、6年間の間に世界を移動した回数は往復で12回、初めて異世界に行ったことも含むと13回、そして、侑哉が今もう一度この世界に戻ってきたのを含めて14回…それだけ世界を移動していれば、それに耐えられるように脳や体が進化しても不思議じゃないわ」
なるほど、確かにその可能性は高いかもしれない…俺が未だにリンクアクセスの力を持っているのは世界を何度も移動したせいか。
…わかった、確かにリンクアクセスについてはわかった…だけど、気になることが1つだけある。
「花恋さん…リンクアクセスについてはわかりました…だけど、1つだけ確認しても良いですか?」
「何?葵ちゃん…」
「…侑哉がまた元の世界に戻る可能性はありますか?」
葵はそう言って、花恋に視線を移す。
ちょうど俺も同じことを考えていた、俺が何度も世界を行ったり来たりを繰り返していたなら、今だって元の世界に戻ってしまうかもしれない…それが気がかりだった。
「恐らく、それはないと思うわ…今までなら侑哉はすぐに元の世界に戻っていたけど、今は長い時間この世界に居る、だから侑哉が元の世界に戻る可能性は低いわ」
「そうですか…良かった…」
葵が安堵した表情をしながらそう呟く。
それにつられるように、俺もホッと胸を撫で下ろした。
「…と、これが私が侑哉に隠していたことよ…今まで黙っててごめんね」
「…あぁ、気にしなくても良いよ…」
花恋は俺の為にこのことを黙っていたんだろうし責めるつもりはない。
だけど、あまりにも衝撃的すぎて、簡単には割りきれそうにない。
「…先に、部屋に戻ってるよ」
「侑哉…」
俺は後ろから聞こえた、葵の心配そうな声を聞きながら地下室から部屋へと戻っていった。
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「はぁ…」
自分の部屋へと戻ってきた俺は、何度目かわからないため息を溢す。
「やっぱり、簡単に受け入れられるわけないよな…」
さっきから、繰り返し花恋の話しを反芻してみては、ため息をつく…それを繰り返してばかりだ。
俺は…
「侑哉…入っても良い?」
俺が思考の海に沈んでいると、葵の声が聞こえてきた。
「あぁ、大丈夫だよ」
「…それじゃあ入るわね」
葵はそう言って、部屋へと入ってきた。
「悪いな、心配かけて…」
「ううん、気にしないで…いきなりあんなことを言われたら、誰でも簡単には受け入れられないわよ」
葵はそう言って、俺の隣に座る。
「ありがとな…葵」
「私はお礼を言われるようなことはしてないわ…」
「お前が側に居てくれるだけで、俺にとっては嬉しいんだよ」
「…!そ、そう?それなら良かったけど…」
葵は照れくさそうに目を逸らしながら、そう言った。
そんな葵の様子を見て、思わず笑みが零れる。
それと同時に愛しさが溢れてくる…本当に葵が居てくれて良かったと心から思った。
「…ね、ねぇ侑哉…」
「どうしたんだ?」
「…正直、私も未だに信じられないけど、花恋さんの話しを聞いて、すごく嬉しかったの…」
「どういうことだ?」
「侑哉が元々この世界の人だって聞いて、嬉しかった…だって、これで侑哉と離ればなれになることはないから…」
葵はそう言って、そっと俺の手を握る。
繋いだ手は温かくて、心がとても落ち着いた。
「たまに、侑哉がもし、元の世界に帰っちゃたらどうしようって思ったことがあって…侑哉と一緒に居られないことを考えたら、怖かった」
「だから、嬉しかったのか…確かに、葵と一緒に居られるのは俺も嬉しいな…」
葵の言葉に俺はそう返す。
花恋が言うには俺が元の世界に戻る可能性は低いらしいし、葵と一緒に居られるなら、俺としても嬉しい。
「そっか、侑哉も同じ気持ちなんだ…良かった!」
そう言って、葵は嬉しそうに笑顔を俺に向けてくれた。
「あぁ…仮に戻れる方法があったとしても戻るつもりはないよ…戻るには大切なものが出来すぎたからな」
そう言って、今度は俺が葵に笑顔を見せる。
そうだよな、仮に俺が元々この世界の人間だったんだとしても、そんなことは関係ない。
俺が過ごしてきた時間は紛れもなく本物だし、今はこうして大切な人達と一緒にこの世界で生きている…大切な日常を過ごしている。
むしろ、これ以上の幸せを望んだら罰があたりそうだ。
「なぁ、葵…」
「どうかした?侑哉?」
「愛してるよ」
そう言って、俺は葵と唇を重ねる。
しばらくして、葵から離れると、顔を真っ赤にしながらどことなく嬉しそうな表情をした葵の顔が目に入った。
「い、いきなりは反則よ…だから、やり直し…もう一度ちゃんとキスしよ?」
「わかった…」
そう言って、俺は再び葵の顔をじっと見つめる。
「侑哉…私も愛してる」
「あぁ、俺も愛してる」
お互いにそう言って、俺と葵はもう一度キスをした。
さっきと同じくらい、いや、それ以上に想いを重ねて。
といった感じの第45話でした!
次回からは、ファウストさんとのデュエルを飛ばして、ハノイの搭編へと入っていくつもりです。
それでは、今回はここまで!ここまでの拝読ありがとうございます!