遊戯王VRAINS 幻影の咆哮~青き天使との日常~   作:kajoker

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タイトルで察する人もいると思いますが、今回は美月が中心の回です!
今回は少し短めな気がしますが、楽しんで頂ければ幸いです!
それでは、本編をどうぞ!


UA3500突破記念!美月の心

「まったく、買い物ぐらい自分で行けば良いのになぁ…」

 

そうぼやきながら、今日の夕飯の買い物に来ている私こと、葉山 美月は私にお使いを頼んだ両親に文句を言いながら、夕飯の材料を買い物かごに入れている。

 

ちなみに今日の夕飯はシチューらしい、シチュー自体は私の大好物だからそこは問題ないのだが…

 

「せっかく、Phantomさんのデュエルをもう一度見直そうと思ってたのに…タイミングが悪すぎるよ…」

 

私の日頃の習慣ともなりつつある、というか、すでになっている撮りだめしてあるPhantomさんのデュエル視聴を邪魔されたのが嫌だったため、文句を言いながら買い物をしていた。

 

「……むっ、この気配は!Phantomさんが近くにいる!」

 

そんな風に買い物をしているなか、ふと、私のPhantomさんセンサーが反応を示す。

 

ちなみに、Phantomさんセンサーとは近くにPhantomさんがいればその気配を感じることができるというものである。

 

言っておきますが、決して盗聴器とかGPSを悪用するとかそんな犯罪めいたものは使用してませんよ!

 

言うなれば、女の第六感ってやつです!

 

って、私は誰に説明してるんでしょう…まぁそんなことは良いとして…

 

私は、誰に対しての説明かわからない説明を頭の隅へと追いやり、Phantomさんの気配を感じた方へと歩を進めた。

 

「あれ、もしかして葉山さんか?」

 

そこにいたのはちょっと癖っ毛のある黒髪の少年、神薙侑哉君だった。

 

「神薙君?まさかこんなところで会うなんて…奇遇ですね!」

 

「そっちも夕飯の買い出しか?」

 

「はい、神薙君もですか?」

 

神薙君は同意するように頷いた。

 

それにしても、神薙君ってPhantomさんに雰囲気似てるんですよね…私のPhantomさんセンサーにも反応したわけですし…

 

デュエルした時も、Phantomさんと同じ言動をしていましたし…もしかして?

 

「どうしたの?俺の顔になんかついてる?」

 

「い、いえ…!そういうわけでは…」

 

どうやら、少し観察しすぎてしまったみたいです。

 

「そうなのか?まぁいいけどさ…」

 

「そういえば、神薙君の夕飯は何ですか?」

 

「今日は無難にカレーにしようと思ってるよ…作るほうも楽だし、色々と別の料理にも応用できるからな」

 

「今の言い方だと神薙君がいつも料理をしているふうに聞こえるんですけど…神薙君が料理してるんですか?」

 

「そうだけど?」

 

「へ?」

 

不思議そうに首をかしげながら、そう答えた神薙君に思わず間抜けな返事をしてしまった。

 

「俺、義姉さんと二人暮らしなんだけど、義姉さん頭良いし、機械方面にめっぽう強いんだけど家事だけは苦手でさ…俺が基本的に家事を担当してるんだよ」

 

「へ、へぇー、そうなんですか…」

 

驚きました、神薙君って家事得意なんですね…なんか、負けた気分です…

 

「そういや、葉山さんは買い物済んだのか?」

 

「え、はい…終わりましたけど…」

 

「それじゃ、レジに行こうか!」

 

神薙君に促され、私は神薙君の後に続いた。

 

レジに向かう途中で、神薙君と他愛ない会話をしながら歩き続け、気づけば私のレジの番になった。

 

そして、そのままレジでの買い物を済ませ店を出た。

 

「荷物持とうか?」

 

「大丈夫です…」

 

神薙君からの提案は嬉しいけど、自分の荷物ぐらいは自分で持つべきだし、何より私の荷物を神薙君に任せるのは何だか申し訳ない。

 

私は、そう考えて神薙君の気遣いを断った。

 

「そっか」

 

それにしても、神薙君って現実でもこんな感じなんですね…これだから、Phantomさんに女性ファンが増える一方なんですよ!

 

こんなの財前さんが見てたら、嫉妬ものですよ!

 

「うん?どうしたんだよ」

 

「いえ、神薙君はもう少し女心をわかった方が良いんじゃないかと思いまして…」

 

「え、どういうこと?」

 

「いえ、やっぱり何でもないです」

 

「そんなこと言われたら気になるじゃんか!教えてくれよ」

 

「ダメです」

 

「わ、わかったよ…」

 

そんな会話をしながら、ふと、私は神薙君のことをどう思っているんだろう…?

 

そんなことを思った。

 

Phantomさんの正体は多分、神薙君だ…特に確証があるわけでもないけど、直感的にそう思う。

 

私にとってPhantomさんは憧れの人で、そんな人が今隣にいると思うだけで心臓が早鐘を打つ…

 

ーーーーーーでも

 

これはファンとしての好きなのかな?それとも…

 

財前さんは間違いなく神薙君のことが好きだ、だって、神薙君と一緒にいるときの彼女はすごく楽しそうで、心の底から笑っていて…

 

そして、神薙君に名前で呼ばれるたびに嬉しそうな表情をしている。

 

他にも挙げていくとキリがない…財前さんの好意に気づいてないのって多分、神薙君だけじゃないかな…

 

「さっきからボーっとしてどうしたの?考えごとか?」

 

「ま、まぁそんな感じです…ところで神薙君の家ってこっち方向なんですか?」

 

いきなり、話しかけられ、慌てて話題を逸らす。

 

「そうだよ、葉山さんも?」

 

「はい、私もこっち方向です」

 

「へぇー、奇遇だな…あぁ、でもこのスーパーを利用してるんだから当然といえば当然か」

 

神薙君は一人納得したように頷いていた。

 

…それにしても、私は神薙君とどうなりたいんでしょうか…?このまま大ファンのままでいたいのか、それともそれ以上の……って何を考えてるんでしょうか私は…

 

あぁもう!!何なんですか!この感じ!モヤモヤします!!

 

「あ、俺の家、向こうだから、それじゃまた学校で!じゃあな葉山さん!」

 

私が一人悩んでいると神薙君の家の近くに着いてしまったみたいで、神薙君が私にそう声を掛けた。

 

このまま、帰っていいんでしょうか?

 

いや、ダメです!ここで行動しないと、このモヤモヤは晴れない気がする。

 

「神薙君」

 

「どうしたの?」

 

「これからは、私のことも名前で呼んでくれませんか?」

 

「え…?いや、それは構わないけど…どうしたんだよ、急に」

 

「財前さんは名前で呼んでるのに、私だけ呼ばれないのは何か嫌です」

 

私のなけなしの勇気を振り絞って言った言葉は顔から火が出るほど恥ずかしくて、思わず俯いてしまう。

 

「わかった…それじゃ、改めて、じゃあな美月!また学校で!」

 

「…あ!はい、また学校で!侑哉君!」

 

侑哉君は私に別れの挨拶をして、家へと駆けていった。

 

「美月、か……LINK VRAINS以外で名前で呼ばれることになるなんて…」

 

私のLINK VRAINSのアバター名はミズキ、普段からPhantomさんに本名で呼ばれているに等しいんですが…まさか、現実でも呼ばれるようになるなんて…

 

何だか天にも昇る気分です…なけなしの勇気を振り絞った甲斐がありました。

 

まだ、自分の気持ちはよくわからないけど、それは徐々に理解していけば良いですよね…!

 

私はそんなことを思いながら、家へと歩を進めた。

 

 

 

 

 




という感じの美月回でした!
そういえば、サーキットブレイクが発売されましたね!早速パックを買ったら、ヴァレルロードドラゴンが当たって、テンション上がりました!
次回からはいよいよ原作に入っていくつもりです!
ここまでの拝読ありがとうございました!

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