Fate/Grand Order vs ALL RIDER ー幕間の物語ー   作:ジュンチェ

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☆アマゾンズseason2ネタバレ注意!

☆アマゾンズたっぷり。

☆セミ様のハザードレベルあげるお話。

☆シリアスっぽいギャグ的ななにか

☆次回作への布石あり



特別編 セミ様のバレンタインFVA版その後…

「ふぅ……」

 

女帝セミラミス……愛称・セミ様。オガワハイムとかバビロンとか新宿とかアガルタとか散々出番が無くて、気がついたらセイレムでもう実装されないんじゃないかと思っていたらまさかのバレンタインでメインヒロインを飾る形になった彼女。『シロウに会いたい』って言ったら正義の味方のシロウと勘違いされてブチキレてなんでさ案件になったけど、取り敢えずチョコ作りを教えてもらう形で和解した……けど、スパムリリィを見た途端にまたカオスな空気になって、あとはやたらと因縁の相手が勢揃いして同じ顔がいくつもあったり、女だと思ってたら実は生えてたりして……

 

「なんかこう……もう余は疲れた。」

 

そして、セミ様は考えるのをやめた。もう目的は達成したし、もう充分だろう……ため息をついて玉座によりかかる。というか、今回はマジで大変だった。

 

 

 

チョコの噴水を見るや……

 

 

(;0M0)<コレクッテモイイカナ?

 

 

 

カカオの木が育つや……

 

 

(;0M0)<コレクッテモイイカナ?

 

 

 

チョコ量産態勢が整う度々……

 

 

 

 

 

 

 

(;0M0)< コ レ ク ッ テ モ イ イ カ ナ ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ええい、駄目に決まっているだろうがァ!!!!」

 

 

ああ、駄目だ…思いだしギレしてしまった。というか、なんなのあの仮面ライダー?気がついたら『(0M0)<ジー』って物陰から見てるし、量産施設が整う度にここぞと例の台詞を言ってくるし、なんか滑舌がおかしいし……アーチャーらしいが全く話が通じない。まあ、世にはバーサークなんちゃらとかあるらしいが、そんなのが出回ったらバーサーカー涙目である。バーサーカーの意味無いじゃない。

いや、もう良い…もう終わったんだ。あのオンドゥル星人からの侵略を防ぎきったんだ。あとはもう次のイベントまで一休み……

 

 

 

 

 

『…と、そんなセミ様の前に皆のアイドル、ブラッドスタークたん登場★』

 

 

 

 

「帰れ。」

 

 

いや、なんでこのタイミングで現れるんですかね?声のお仕事をしている今、話題の仮面ライダービルドから主役を差し置いてブラッドスタークが(*≧∀≦*)★とポーズをとりながら登場。これにはセミ様のハザードレベルではなくストレスレベルも上がる。 なにしに来たのこのオッサン?

 

『いやいや待ってくれ女帝さんよ。俺はあんたに大事な報告があってきたんだぞ?』

 

「…報告?」

 

『いや、まあまずきいてくれ…』と、スターク。取り敢えず、録でもないことは確かだが……

 

『実はこっそり、あんたのチョコでバレンタインフルボトルを造ってみてな…それを戦兎たちに持っていったらなんか万丈が凄くシリアスな空気になっちまって……』

 

「おのれ外道。」

 

『いやいやそれほどでも…』

 

「誉めてない。取り敢えずなにがあったのだ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『異☆物☆混☆入☆。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…!?」

 

 

え?今、なにサラって言ったのこのコブラ!?

いつも余裕を崩さないセミ様も流石に飛び上がって自らの耳を疑う。バカな、自らの完璧な生産ラインにそんなことが起こりうる可能性は万にひとつも無いはず。なんかしでかしそうな奴は予め関わらないようにするか、拘束なり無力化なり色々と策を施しておいたはずなのに……

 

「ば、ばばばばばば、馬鹿な!?まさか……あのウヴァとかいう蟲の怪人が妙なメダルを入れたのか!?」

 

『違う違う、それに関してはメダルに両替(セイヤー)しておいたから実質、無害さ。』

 

『で、ではあれか!!無責任な科学者が奇妙な森の変な果実を!?それとも、自称・神が変なふりかけでもやったのか!?!?』

 

『ブッ、ブー。どれもハズレ。』

 

「では、なんだ!?場合によっては必要な施設は閉鎖せねばならんのだぞ!!さっさと教えんか!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『溶源性アマゾン細胞。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「全生産ラインをはやく止めろオオオオオ!!!!!!生産したチョコも全て回収!!急げぇぇぇぇぇ!!!!!」

 

 

ほんっっっっっっっっっっっとう、クソだよね!!っと、スタークは笑っているがかなりヤバイ事態である。アマゾンズパンデミックを起こしたら今までの苦労が台無しになる。というか間違いなくカルデアに殺される。

 

しかし、スタークが出て来た時点で御察し……既に取り返しのつかない事態になっているのだ。

 

 

 

 

☆☆ ☆☆ ☆☆

 

 

 

 

 

『僕は、人間だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!』

 

 

「いいや、チョコだろ。」

 

ズブッとオメガに似たチョコサーヴァントを最もなツッコミをいれつつ背後から素手でぶち抜いたのは仮面ライダーアマゾン・アルファ…クラスはバーサーカーである。ふらりと庭園に来てみれば何やら騒がしいので様子を見てみればチョコレートで出来たサーヴァントたちが暴れまわっていたため応戦することになったのである。今は菜園を守るためにランサーたちをはじめ、多くのサーヴァントが奮闘している。さて、なんでこんな事態になったかというと……

 

「さて、……なにをした、千翼?」

 

振り向くとそこには仮面ライダーアマゾンネオ……腕からは切り傷による出血。本人は無言のまま……アルファも今はそれ以上の追及はしない。

「今はこいつらを片付けるぞ。」

 

優先順位はチョコサーヴァント殲滅が高い。アルファもネオもそれを理解しており、迫りくる茶色い軍団へと突っ込んでいく。

一方、

 

 

 

「うぽぽぽ~~~~い!!!!!!エウリュアレたあ~~ん!!!!!!!」

 

 

隣のシリアスな空気などお構い無しにチョコサーヴァントにむしゃぶりつくのはやはり黒ひー。ここぞと本物にぶつけられない邪な欲望をぶつけにかかり、マシュが声をあげる!

 

「黒ひげさん!!」

 

「フッフフフフフ、某は騒動を比較的に被害が出ないように鎮圧しているだけですぞww。勘違いしないでほしいでござるなぁwwwマシュ殿w。」

 

この時、黒ひげは知らない……AMAZONZ絡みでふざけるとどうなるか。シリアスを台無しにするような愚か者にはそれ相応の報いがくる。徐々に彼の身体が熱を帯び始め、やがて凄まじい蒸気をあげながら彼は変異をはじめた。

 

「え……ちょっとまっ…身体が……なんか、あつ……い…?」

 

 

「!? 黒ひげさん!!?」

 

 

 

 

 

 

ザシュッ

 

 

次の瞬間、彼の身体は横に真っ二つに裂かれて霊子へと還っていた。異変を察したニューオメガが素早く処理したのだとマシュが気がついたのは1秒もいらなかった。

ニューオメガはマシュの安否を確認すると、周りの面々に叫ぶ!

 

「皆、チョコのサーヴァントに直接、触ったら駄目だ!!食べたり、傷口に入らないように注意して!!」

 

 

 

 

 

 

 

それから、クエスト周回から戻ってきたGとサーヴァントたちが合流し事なきを得るのであった。

 

 

 

 

 

☆☆ ☆☆ ☆☆

 

 

 

 

 

 

 

「……うむ、被害はこれで全部か?」

 

取り敢えず、くろひーに目を瞑って人的に大きな被害は出なかったが…アマゾン細胞混入により発生したチョコアマゾンサーヴァントたちにより施設は滅茶苦茶…ランサーたちの耕した畑は踏み荒らされ、科学者たちが造った機械類も3割近くが大破。またそれぞれ施設に循環させるパイプなんかもズタボロでチョコが溢れ出ている…

あまりの凄惨さに子供サーヴァントたちは泣きじゃくり、ランサーたちもやるせない表情をしている。

セミラミスも『こうなってしまったものは仕方ない』と、これを機にサーヴァントやGに施設の片付けを命じ…今回の騒動の『発端』となったとおぼしき人物へと目線を向ける。

 

「さて、千翼と言ったか…?此度の原因は貴様にあるらしいな…どういった経緯があるか妾が納得するように述べよ。」

 

千翼……彼は項垂れていた。仮面ライダーでありながら溶源性アマゾン細胞のオリジナル個体である彼の左腕からは出血の痕。恐らく、彼の血がチョコに混入してチョコの魔力と反応してチョコアマゾンサーヴァントが発生したのだろう。しかし、過失にしろなんにしろ経緯はあるのは違いないので確認しようと問うセミラミスだが、千翼は……

 

「俺が悪いんです。罰は俺が受けます。」

 

「質問に答えよ。妾がききたいのはあくまで真実で貴様の善し悪しも罰もそのあとじゃ。」

 

この一点張り。彼女はあくまで審議のためにも真実を推し測りたいのだが……

すると、背後から鬼神に迫る顔をした仁がアマゾンズドライバーを巻いて千翼へと向いた。

 

「…あんたはさがってろ。子供の責任は親がとる。」

 

いつもの破天荒な雰囲気は鳴りを潜め、裁く者として猛禽のような瞳が彼を見据え…アマゾンズドライバーに手をかける。しかし、彼女は譲らない。

 

「黙れ、妾の庭園のことは全ては主たる我が裁く。勝手な私刑など許さん。」

 

「こいつがカルデアに来た時、もしものことがあったら始末をつけるって話をマスターとしてある。これは俺達の問題だ。」

 

「貴様…」

 

一触即発。睨みあう仁とセミラミス……その時

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「びええええええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ(TдT)」

 

 

 

 

 

 

突然の泣きじゃくる声に遮られ事態は急ブレーキがかかった。泣いているのは某スパムリリィ…見るなりセミラミスはうげぇと表情に出てしまうが、同伴していたGにまあまあと宥められる。

 

「わわだしが、悪いんでずうううううう、びぃああああああああああああああああ(TдT)!!!!!!」

 

「セミラミス、ちょっと話きいてくれないかな?」

 

「今はこちらで話を……」

 

 

 

 

「びぃああああああああああああああああああああああああああ(TдT)」

 

 

 

 

「わかった、わかった!わかったからそこのガキを黙らせろ!!五月蝿くてたまらん!」

 

 

 

 

というわけで回想はいります……

 

 

 

 

☆☆ ☆☆ ☆☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スタークおじさん『 好 き !!(挨拶)』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「わかった、もういい。もうこれだけで大体、誰が悪いかハッキリわかったから。」

 

「いや、まだ回想開始から全然経ってないんですが……」

 

うん、もうスタークおじさんが出てきただけでコイツが悪いってわかるもんね!流石のセミ様も心労でふらつくよ。もう、これに長い間付き合ってきたナイトローグ蒸血おじさんは実は純粋で良い奴だったんじゃないかって思うよ本当。

取り敢えず、セミ様には我慢してもらってスタークおじさん劇場を見てもらおう!(拷問)

 

 

 

『さて、まずはコーヒーを……うわっ、まず!!…そういえば、牛乳パック1本分の牛乳を完全に影響が無くなるまでに埋めるには海ぐらいの水が必要なんて話を何処かで聞いたが……』

 

すると、スタークおじさん…自分のつくったくっそ不味いコーヒーをすぅっとチョコレート貯蔵プールに……まさか……

 

『……なぁんて、するわけないよね★ もしかしてビビっちゃった???HAHAHAHA☆☆』

 

 

「スタァァァァァァァーク!!!!!!(デイリー達成)」

 

回想でも平然と人を弄んでくるとかもう職人である。セミ様も怒りとストレスのスーパーベストマッチでヤベェほどキレており、Gがなんとか羽交い締めでおさえつけているからなんとかなってるがもう毒の大噴火しかねない勢いだ。しかし、煽りの匠であるスタークおじさんに余念は無い。

 

『んじゃ、これは花壇のとこに捨てとくか…。大丈夫、バレやしない。』

 

「!? やめろ…そこはシロウと大切に育てた薔薇の…!?!?やめろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!」

 

非情!!もしくは、外道!!!セミ様の大事な大事な花壇にコーヒー(自称)を流しこむあまりにも卑劣な行い…!数秒後、庭園の薔薇とかはなんか知らんけどあっという間に枯れてしまう!おのれ、スターク!!セミ様の悲痛な叫びが虚しく響く…

 

『栄養(ガス)が多過ぎたんだなこりゃ。まあ、良いや。』

 

いくら古代だろうがなんだろうが薔薇がガスで成長するわけがない。まあ、確信犯だな間違いない。

只今のセミ様の怒りストレスレベル105%……ヤベェーーイ!!!!!

 

『さて、そろそろ終わるかな…?おお、大漁大漁!!』

 

で、今更ながらスタークおじさんが何をしにきてたかというと……明らかに某・稼ぐ2号ライダーのミルクタンクのようなアイテムにパイプを接続し、チョコプールから堂々とくみあげ…もとい、盗みを働いている。あまりにも自然に悪事など行っているように見えないため通りすがるサーヴァントたちも『きっとなんかの検査だろう』『そういえばあんな奴いたっけ?』などと多少は気にかけても不振がることはない。それにしても、胡散臭いコブラのオッサンが何故にこんなことをしているかは謎だが割りとノリノリなのが質が悪い。うん。

 

『さて、こんなもんか……』

 

暫くして明らかに許容量を超えたチョコレートを内包したタンクをポンプから外すや、よっこらせっと背負いその場をあとにしようとする。もう流石のセミ様ももう呆れの感情まで覚えはじめてきた。

 

……と、その時!!

 

 

「待ちなさい!!」

 

『お、お前は…!?』

 

悪の前に立ちはだかったのは我等がジャンヌ・スパム・ダルク・スパム・サンタ・スパム・オルタ・スパム・リリィ……!!

「あなたはカルデアのサーヴァントではありませんね!!実に怪しいです!」

 

『失敬な。おじさんはカルデアのサーヴァントじゃなくても立派な声のお仕事をしているんだ……ちっとも怪しくなんかないぞ(大嘘)、スパムお嬢ちゃん』

 

「ジャンヌ・ダルク・サンタ・オルタ・リリィですっ!」

 

『長くね名前?そんな君にコーヒーミルク(毒物)をあげよう。』

 

「わ~い☆ ……はっ!?トナカイさんが言ってました……悪い人は物で釣ろうとするって…!危うく、乗るところでした。危ない危ない…」

 

『…ちっ』

 

別にマスターの言う悪い人ととは某髭紳士のことなのだが、ここは思わず功を奏したということか。ちょっと面倒臭くなってきた展開にスタークおじさんこっそり舌打ち。さあ、どうしたものか……そろそろ周囲の目もこちらに向き始めている。

 

『わかった、じゃあ飴ちゃんをあげよう。だから、皆には内緒だぞ☆☆』

 

「だから、そんな手には乗りませ…………(ガブッ)…(´ω` )スヤァ」

 

だが、ここはプロ。手元の飴ちゃんで注意を引いてこっそり後ろからコブラでひと噛み。あっという間に気絶毒で眠りの世界へ直葬☆ これくらい戦争を引こ起こすスタークおじさんにとっては朝飯前だ。

 

『さて、今度こそ失礼す……』

 

 

【BLADE Roading…】

 

『!? おっと!!』

 

…が、ここはサーヴァントたちの集まる庭園。こっそり行ったつもりでも誰かの目につくことがある。

ヒラリとブレードをかわし、距離をとるとそこには仮面ライダーアマゾン・ネオの姿があった。

 

「お前っ!!!」

 

『おっと、油断したか。コイツはまずい……』

 

やばいな……他のサーヴァントたちもこちらに向かってきつつある。流石に幹部で手練れの怪人であっても英雄たちの群はまともに勝負して勝てる相手ではない。

 

「チョコを、かえせ!」

 

『返せと言われて返す馬鹿がいるか…よっ!!』

 

バシュッと放たれるスチームガンからの弾丸。これをネオは弾き、一気にスタークに斬りかかろうとするが……

 

『甘い!!』

 

「!」

 

スレ違いざま、ネオはスタークを見失う……直後、右腕に裂けるような痛みが……

 

 

「……しまっ!?」

 

気がついた時、既にネオから飛び散った赤い血が…チョコプールの中に…… そして、濃い魔力を含んだ高い栄養のチョコレートの中でネオのアマゾン細胞が活発に活動をしはじめる……。

 

 

そう、最悪の事態が起こったのだ。

 

 

アマゾン細胞はそれぞれが独立して怪人として形を形成しはじめる。そして、ある程度の形を成した者から次々と本能のまま暴れはじめた。

 

『お?これはラッキーかな……?』

 

この騒動を好機とスタークは逃走。そして、はじまりへと至るのである。

 

 

 

 

☆☆ ☆☆ ☆☆

 

 

 

 

 

「……ということだったらしい。全く、お騒がせな奴がいたもんだな。」

 

カルデア食堂の夜……そこは、サーヴァントたちが集う大人のbarへと顔を変える。仁はそれを肩を並べてカウンター席へ座る悠に伝えていた。相席など本来の世界ならありえることのないことだが、今は休戦協定を結んで共に戦う仲間という形で落ち着いている。まあ、自分や千翼も含めて本能に負け暴走したと同時に令呪の自害が前提だが……

今はバレンタインというなごやかなイベントということで血気盛んなことは必要以上は彼とて避けているし、隣の悠も笑みを浮かべている。

 

「…でも、安心しました。3回も繰り返さなくて。」

 

「…」

 

脳裏に過る本来の時間軸の記憶。ネオにトドメを刺し、その息の根を止めたあの感覚……どうあっても、鷹山仁という存在が消えるまで拭えないあの感触は呪いであり、また彼にとってもトラウマである。普通の人間ならとっくに発狂しているだろう…でも、彼は信念というがむしゃらかつキツく喰いつく鎖で締め上げられたような精神でまだ狂ったままで自我を保っているのだ。その痛みは完全に彼が全て砕け散るまで呪い続ける。

 

「だが、いざとなったら……俺が殺す。千翼も……お前も………」

 

そして、彼は砕けない。己の信念と誓いを果たすまで…

無論、それは悠も充分に承知している。だからこそ……

 

「わかってます。でも今は…夢を見てもいいんじゃないですか?サーヴァントになって、アマゾンを狩る必要も無いし、僕たちが同じ目的…人類のために戦える。ありえないことだらけなら、もう少しありえないことをしても良いと思いますよ。」

 

このカルデアは英雄が集う場所。過去のしがらみ、因縁、呪い、ありとあらゆる全てを乗り越えて隣り合う人類の未来のための揺りかご。そして、一時にありえるはずのない奇跡を垣間見る奇跡の夢でもある。なら、少しだけその鎖を緩めでも良いだろう?

遠回しな言い方だが、仁は気がつく……

 

「……千翼のことか。」

 

「はい。」と悠は頷いた。途端、仁はグラスの酒を煽り乱暴にテーブルにドンッと叩きつけた。

 

「無理だ。俺はあの子を2回も殺したんだ。そんな奴に親の喜びを味わう資格があるか!」

 

「あなたは父親として責任を果たして千翼に向き合った!なら、親としての喜びを味わっても良いはずです!!」

 

「黙れ!!」

 

激昂し立ち上がる彼。辺りの職員やサーヴァントたちも何事かと顔をこちらに向ける……いざとなったら、力強くでも制止しなくてはならないかもしれない。緊張した空気が張りつめ……冷や汗が首筋からずっと下へ伝っていく感覚が暫く続いたが、

 

そこへ、「失礼…」と割って入るサーヴァントがひとり……

 

 

「…話はそれとなく聞かせてもらった。私はランスロット、円卓の騎士であり今はセイバーのサーヴァントとして貴公らと同じくマスターと共に戦う者だ。ミスター鷹山で良かったかな?まずは、非礼を詫びよう。」

 

「…」

 

ランスロット、ブリテンの円卓の騎士の中でも最強と名高い彼。真っ向から掴みかかっても分が悪いことくらいは仁もそれとなく察しテイルので黙っている。取り敢えず、暴力沙汰にはすぐになりそうにないことを確認するとランスロットは話を進める。

 

「しかし、私としても思うことがあり言葉を述べさせてもらいたい。

 

 

……貴公は自分の息子と接することが怖いのではないか?」

 

 

 

「!」

 

見るからに動揺していた。ピクリと止まり…何か縫いつけられたように歩が動かない。まるで、ランスロットの言葉が杭になったかのように…

 

「その…私も言えた身では無いのだがな、我が子に拒絶されるのが怖い…傷つけたことが後ろめたい…だから、どう接して良いかわからないのだろう?」

 

「…あんたに何がわかる?」

 

「私も父親だ。私の場合は責任も何も果たせなかった最低の父親だが…」

 

そう言えば……悠はマシュの中に宿る英霊について思い出した。確か、ギャラハッド…ランスロットと同じ円卓の騎士で彼の息子。その性格は宿主であるマシュにも影響しており、ランスロットに対して辛辣な態度を時折みせるのはこれが関係しているのだとGから聞いた…

悠もブリテンの物語についてはよく知らないが、どうやらランスロットとギャラハッドの仲は険悪だったのは明白。だからこそ、彼なりに仁に対して思うところがあるのだろう。

 

「しかし、親と子の繋がりは責任だけではないはず……責任を逃げる言い訳にしては、貴方も私と同じ親失格ですぞ。私が御身に何があったかは図りかねますが、同じ父親仲間のサーヴァントとしてこのカルデアの時間を大切にして頂きたい。責任を果たす意志と力があるなら、子とだって向き合えると私は思います。」

 

「…」

 

黙る仁。実際、ランスロットの言うことは全て図星だった……。本来の時間ととある亜種特異点で彼は結果的に2度も我が子を手にかけることになったのである。その後、親子共々カルデアに召喚こそされたが自分はどう接して良いかわからず、千翼もまた父親から距離を何となく距離をとってしまっていた。そのまま時間が過ぎて溝は埋まらず現在……

 

「簡単に言いやがる……」

 

最後、不貞腐れたように再び椅子に座る。悠がなんとかフォローしようとしたが、そこをランスロットが肩に手を置き『それでは、我々はお邪魔のようなので…』とその場を引きずられる形で後にする。

そして、残される仁は……

 

 

「わかってるんだよ……そんなことは…!!」

 

 

悶える。そう、言われなくたって自分が臆病で怖じけづいて…責任を言い訳にしてるのは解ってる。でも、良いのか?無責任にこの世に命を与え…責任という言葉を振りかざして命を理不尽に奪った自分に父親として本当に千翼は認めてくれるのか?

 

 

怖い……怖い怖い怖い怖い怖い怖い

 

 

七羽さん(甘えさせてくれる人)はいない。

 

七羽さん(寄り添ってくれる人)はいない。

 

七羽さん(愛してくれた人)はいない。

 

七羽さん(千翼の母親)はいない。

 

 

……どうしたらしいい?どうしたらしいい?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あの! 父さん!!」

 

 

「っ!?」

 

 

その時、一番に心臓を殴りつけるような声が背後でした。振り向くと、そこには一番に会いたいが会いたくない相手が立っていた。よりにもよって……今…

 

「千翼……」

 

何故、ここに……ああ、それで悠とランスロットは察して立ち去ったのか…!

まあ今更、そんなこと考えたって遅い。静かに低い声で……仁は問う。

 

「……何の用だ?」

 

違う、そうじゃない。こんな脅すような声じゃなくてもっと父親らしく話したいのに、脳ミソが上手く語彙を紡げず、口を思うように動かない。これが戸惑いと怖さからくる裏返しだと自分で理解しているぶん恥ずかしいし怒りすら覚える。

それでも、千翼は臆せず手元の包みを父親に渡す。

 

「これ……バレンタインだから!」

 

「…?」

 

「チョコレート……お世話になった人に渡すってマスターから聞いて、頼光さんたちと一緒につくってみたんだ。だから、父さんに食べてもらいたくて……」

 

 

…放心した。だけど、すぐに我に戻る。バレンタインで父親にチョコレートをおくる息子など普通はまずありえないが、これの意味は何なのか……まさか、仲を縮めたいという意志のある種の表現なのか…

そうならば、彼の行動力に応えるべきだろう。

 

「……俺になのか?」

 

「うん。もしかして……チョコ嫌いだった…?」

 

「いや…そうじゃない。そうじゃないんだ…」

 

 

しかし、その前にハッキリさせなくては…

 

 

「なんで、俺に渡す?仲が良い奴なら他にもいるだろう…。」

 

「…父さんと仲良くしたいんだ。俺が生きてる時は出来なかったから……だから…!!」

 

「俺はお前を殺したんだぞ?勝手に生まれさせて、勝手に殺した最低の父親だ。そんな奴と仲良くしたいって本気で言っているのか?」

 

「…」

 

「マスターとかに薦められたっていうのならやめておけ。お互いのためにならない。」

 

彼は本当にどう思っているのか、確めなくては。ただ、周りの空気に流されて仕方なしにやっているならお互いに重荷になるだけだ…。まだカルデアに来て日が浅い仁だがマスターをはじめランスロットといい、お節介焼きが多いのはもううんざりと熟知しているのだから。彼等なら千翼に気乗りしなくてもそう仕向けてもおかしくはない。しかし、

 

「違うよ。これは俺の意志。俺の意志でやったことなんだ。」

 

(…!)

 

我が子は怯まず、自分の胸の内を伝える。

 

 

「父さんとは命のやりとりでしか今まで繋がってこれなかったから、ちゃんと親子として向き合いたいんだ。こんな機会はもう無いかもしれないから…!」

 

「…」

 

暫く動けなかった。まさか、こんなに千翼から寄り添ってこようとするとは予想すらしなかった。不意討ちの強打は仁によく効いており、弱点にクリティカルに入ったダメージは脳内のパニックを招く。

そして、恐る恐る包みを受けとると『開けて良いか…?』の一言。千翼が頷くのを確認すると赤い袋から小箱が…その中には鳥を模したチョコレートが入っている。

 

「……かわいいなぁ~。七羽さんもこんな趣味だったけなぁ…」

 

ひとつとって頬張るとむしゃむしゃと咀嚼する。甘い……ああ、なんて甘いんだろう。チョコレートなんて食べたのなんかいつ以来か覚えたてないけど……多分、この先にこれより美味なものを口にすることはないだろう。

 

「おいしい、父さん?」

 

「ああ、おいしいよ千翼。あぁ……ぁ…俺には勿体ないくらい、おいしいよぉ………千翼ぉ……」

 

気がつけば涙腺から滴が零れおちて止まらなかった。畜生、嗚咽が邪魔しやがる。

 

「すまねえなぁ…こんな情けない父親でよぉ。本当、こんなどうしようもない奴の息子で、ごめんなぁ…。」

 

 

 

 

 

……その後の鷹山親子についてまたいつか語るとして

 

 

 

 

 

(……さて、私も腹を括らねば…)

 

場所はかわり、ランスロット。とある廊下にて……

 

彼の目の前には

 

 

 

 

「こんにちは、ランスロット卿!!相変わらず、外は吹雪ですが本日はお日柄も良いですね!!」

 

「ま、マシュ……」

 

娘(仮)。うん、なまじ大見栄をきったからには自分も逃げられない。背後は笑顔で堅められている……退路はすでに絶たれたということか。

 

「ところで、今はバレンタインデーですね!!!」

 

「む、むぅ……」

 

「私も日頃、お世話になっている方にチョコレートを用意したのですが!! う っ か り 、作り過ぎてしまって、残してしまっては非常に 勿 体 な い ので、別に、世話になった記憶などこれっぽっちもないですが、

し ょ う が な い ので、余り物ですが差し上げます!!」

 

「……あ、ありがと…」

 

 

 

「チェストォ!!!」

 

 

ズドンッ(チョコを渡す音)

 

 

その後、ランスロットはカルデアの廊下の片隅にとんでいってチョコレートを抱き締めたまま死亡しているのが復活した黒ひげに発見される。本人曰く『親って難しい…』と言い残しており、美女による看護を要求したため、望み通りにナイチンゲール女史のもとへ搬送され蘇生を受けている(はず)。

 

 

 

その頃、当のマスターはというと……

 

 

 

「……マスター、こころして聞け。」

 

マイルームには仮面ライダースナイプこと花屋大我先生…別名・ブレイブいわく無免許医。でも、ちゃんと医療知識も技術もある。今、マイルームは大我先生の診療室……患者はマスターであるG。別にゲーム病とかそういうわけじゃない。ではなにかというと……

 

「診断の結果、お前は……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「糖尿だ。」

 

 

 

 

その日、カルデアのマスターは泣き崩れて復帰出来なかった。

 

 

 

 

おわり

 

 

 





・登場人物

☆セミ様
作者のカルデアには来てくれたよ!やったね!!取り敢えず、バレンタインデーの黒幕かと思ったら気がついたら謎の杖やおじさんとか(0M0)のせいで一番の被害者になってた。どういうことだってばよ。

☆きよひー
好 き (挨拶)!!!

☆くろひー
好 き (幼女)!!!いや、お前はいい加減に懲りるべき。


☆仁さん
自分の責任を果たそうとしている辺り俺は良いお父さんだと思うよbyマッハ バレンタインデーのあとカルデア父親の会に入会するも、殆どやらかした人たちしかいなくて全く参考にならなかった。

☆千翼
せめて、カルデアでは幸せであってほしい仮面ライダーぶっちぎりのNo.1。お父さんと仲良くなれたし、めでたしめでたし。なお、幸せであってほしい仮面ライダーNo.2は我等がたっくんである。


☆スタークおじさん
だ い た い 、 お 前 が 悪 い 。
何故、チョコをわざわざ盗みに入ったかは後々わかるかもしれない。庭園を好き放題荒らしてセミ様のハザードレベルとストレスレベルを上げた。相変わらず、煽りには余念がない職人。
最近、大抵のことは万丈が身代わりになる。 万丈「解せぬ。」

☆(0M0)
<コレクッテモイイカナ?








バレンタインデーにあげようと思ったらこのボリューム。うん、2月だからまだせふせふ。いや、こんな長くなるなんて思わなかったんだ。


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