東京喰種:re 皇と王   作:マチカネ

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 オッガイたちが暴れ回ります。


第18章 悪巧み

 くんくん、匂いを嗅ぎながらオッガイたちは友達と雑談するする様に、コンテナ置き場を散策。

 オッガイ、クインクスと同じように赫包を移植し、さらに上のステップへ引き上げた部隊。

「はじめ」

「急かすな、待て」

 鼻がお目立ての匂いを補足。

「8番目だ」

 隊長のはじめを先頭に、匂いの元のコンテナの前へ走っていく。

 コンテナにたどり着き、はじめは戸を蹴破った。

 中には喰種の親子が隠れていた、娘は震えている。

「ビンゴォ、さっすが」

「軽口不要即刻駆逐」

 娘を守るため、母親は赫子を出した。

「あっ」

「赫子を出した」

「やべーやべー」

「あはは」

 あははははははは、ははははははははははははは。

 ははははははははははははははははははははははは。

 歯歯歯歯歯歯歯歯歯歯歯歯歯歯歯歯歯歯歯歯歯歯歯。

 笑いながらオッガイたちは赫子を使い、母と娘共に抹殺。

 

 

 

 

 六月たちに喫茶店『:re』が見つかってしまったため、月山の用意した隠れ家へ移ったカネキとトーカ。

 第二の『あんていく』として育ちつつあった『:re』を失うのは辛いこと、失いながら、それでも喰種は生きていく。

 『:re』から持ってきた道具でトーカがコーヒーを淹れ、カネキに渡す。

「ありかどとう、トーカちゃん」

 飲む、相変わらず美味しい。

 2人きり、2人の世界、男と女、自然と高まってくるムード。どちらかともなく見つめ合う。

 カネキとトーカの心臓の鼓動が高まっていく……。

「カネキくん」

 息を荒げながら、月山と松前が飛び込んできた。

「とても大変だよ」

「緊急事態なので失礼いたします」

 

 テレビに映し出される喰種の屍の山、山、山、男、女、老人、大人、子供も無差別に。

「お山分、世界は平和になりました」

 “山”の上に旧多は立つ、まるでお立ち台の上に立つごとく。

「これまで人間は喰種に狩られ喰われるだけであった」

 “山”の周囲に、無言で立ち並ぶオッガイ。

「我々、オッガイの目的は“東京完塞”全職種の殲滅である!」

 ピッと人差し指を立てる。

「反撃だ」

 呆然と見ているトーカ。カネキはリモコンを手に取り、テレビを消す。

 

 

 アヤト、ミザ、ヨモを呼んで緊急会議。

「やられたのは【黒山羊】の第3メンバー。潜伏中というのに襲撃を受けた」

 月山は仕入れた情報を話し、

「他にも隠れ住んでいた喰種もやられました。おとなしくしていたのにも関わらず」

 松前は補足。

 オッガイの動きは予測できなかった。その日のうちに捜索し、その日のうちにアジトが見つかる。ひっそり潜んでいた喰種まで。

「赫子を使う、数は十、100はいるかもしれない」

 ヨモの言った赫子を使う捜査官。大いに心当たりのあるカネキ。

「……クインクスか」

 指導者だったからこそ、その強さは解る。

「しかし、CCGとオッガイは敵対しているだろう」

 ミザもテレビで旧多がCCGに宣戦布告をしているのを見ている。

「CCGとは別組織でしょう」

 CCG以外でクインクス施術できるのは1人しか思い当たらない。ならば、オッガイはかなり厄介な存在だろう。

「各アジトを解散しましょう」

 決断は早い。

「これからは常に移動する、動き続ける必要がある」

 移動し続ければアジトを襲撃されて全滅という事態は避けれるし、攪乱もできる。

 その反面、組織の連携が取らない。そこで各班に分け、班長同士で時間と場所を決めて落ち合う。

 そしていずれ、行きつく着く場所は……。

 

 

 

 

 都内某所にある定食屋、ちょうど今日で開店10年。

 

「早いな、月日が経つのは、常連さんも久々に顔出してくれてさ」

 しみじみと店長は、これまでのことを思い出す。

「憧れるよな、そういうの。僕もいつか自分の店が持ちたいスッよ」

 コップを磨く店員。

「冷やかしに行ってやるよ、ははははは」

 楽しそうに雑談を交わす店員と店長。

 りんりんとドアベルが鳴る。

「根暗班長がいねーで気楽だな」

「だね」

「索敵の制度は下がるけど」

 がやがやと少年の一団が店に入ってくる。

「トルチョックしようぜ」

「トルチョック」

 客にしては様子がおかしかったが、

「いらっしゃいませ……?」

 とりあえず店員は挨拶。

 店長が振り向こうとした瞬間、少年から伸びた赫子が頭を割る。

「ぎゃあああああああああああああ」

 あまりのことに悲鳴を上げる店員の口を掴んで黙らせる。

「喰種対策局、オッガイの黛(まゆずみ)でーす、捜査活動のご協力、ご理解に感謝いたします」

 黛の顔は笑っている。

「大方、一見客に目エつけて喰い漁っていたんだろうw」

 

 

「立ち読みはご遠慮は、ください」

 立ち読みをしていた女性は、慌てて読んでいた本を元の位置に戻そうとした。首が赫子で跳ね飛ばされ、店内を転がっていく。

 あちらこちらで店員、客たちの悲鳴が上がる。

「喰種処分終わりました」

「みなさん、大変失礼いたしました」

 と口で言いながら、へらへらしているオッガイたち。

 

 

 商店街の隅っこに追い詰められた男を、意気揚々とオッガイたちは取り囲む。

 辺りに集まる野次馬。

「お、俺は喰種じゃない」

 震えながら命乞い。

「残念、おれたちの嗅覚は騙せませーん」

「嘘吐きは泥棒の始まり」

「喰種は一巻の終わり」

 振り下ろされた赫子で、から竹割り。

 動かなくなった喰種を確認。

「安心してくださーい、悪い喰種は退治されました」

「もうすぐ、喰種のいない世界がやってきますよ」

「皆さんの平和は、我々オッガイが約束いたします」

 

 

 

 連日、メディアを使った旧多のCCGへの非難。この工作により、世間からの風当たりが強くなっていくばかり。

 旧多の暗躍の背景には和修家の血が作用しているのは明白。政財界に及ぼす和修の力は少なくない。

 今までCCGの力になっていたものが、敵になってしまった形。

 まさに事態は旧多の思い通りに進んでいる。

 

「武臣」

 廊下で姿を見かけた伊東は声をかけた。今は武臣は依子とハネムーンの真っ最中はず。

「旅行先でテレビを見た」

 それで急いで帰ってきた。

「しかし、お前……」

 折角のハネムーンなのに。

「みんなが大変な時に、俺だけが楽しむわけにはいかない。ハネムーンは後日にすればいい」

 これは依子も納得してくれたこと、彼女も喰種捜査官の妻なのだ。

 

 

 本日も特等会議にライは呼ばれた。

 

「今まで私たちは命がけで、喰種と戦ってきたのに……」

 宇井の言ったことは彼1人だけのものではない、CCGの捜査官共通の思い。

 これまでの命がけで喰種と戦い、殉職した捜査官も数知れず、それを旧多のデマ1つで踏み躙られてしまった。

 最悪、これからは助けようとした相手に攻撃される可能性もある。肉体と意味ではなく、精神的に。

 手を挙げるライ。否が応でも旧多の計略を破った彼に期待が高まる。

「政財界というところは面白い所でね、活躍する連中がいれば、それを快く思わない連中もいる。敵対関係が鍔迫り合いしながら成り立っている世界なんだ」

 ハーイハーイとお菓子を食べていたジューゾーが大きく手を振る。

「じゃ旧多の力になっている奴らを、気に食わないと思っている奴らもいるってことですか~」

 そうとライは頷く。

 旧多のバックに着いているのは和修家の息のかかった派閥。今までも対抗する派閥はあり、お互いが駆け引きをしながら、今日まで行動してきた。

「なるほど、その連中を動かすとしても、どうやるのでしょうか?」

 どうやるのかと宇井は問う。あの狡猾な旧多のこと、そう簡単には、この状況はひっくり返せない。

「目には目をデマにはデマを」

 にっこりとライは笑う、悪い笑顔でも綺麗な顔。

 

 

 

 

 黒いニット帽を被った少年が追われている、追跡者はオッガイでない旧多配下の捜査官たち。

 1人の捜査官が発砲、弾は溶かした赫子を練り込んだQバレット。これなら、喰種の皮膚も傷つけることができる。

 足を撃たれ、倒れた黒いニット帽の少年は赫眼を発現させた。落ちるニット帽。

「確保」

 捕獲しようとした捜査官たちは、突然現れた【黒山羊】のナギに一掃された。

「おわっ、早ェ」

「兄貴1人で」

 承正やホオグロの部下がやってきた時には片付いていた。

「大丈夫かガキんちょ」

 ナキは落ちたニット帽をかぶせてやる。

「ありがとう」

「“情けは人の為ならず者”ってな」

 微妙に間違っている。

「“黒いの”がくるまえに、早く地下に潜るぞ」

「お前も来るか?」

 ナギたちに誘われ、ニット帽の位置を直しながら、

「地下?」

 と尋ねた。

「【黒山羊】のアジトだよ、どうせ、行く当てはねーんだろ」

 子供には優しいナギ。

「お前、何て名前なんだ?」

「甲(こう)です」

 名前を聞いても、ナキは忘れたり間違って覚える可能性が高い。

 

 

 




 次の章と一つにしようと思いましたが、長くなりそうなので分けました。
 原作通り、甲くんは地下の24区へ行きまとた。

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