萌えっ娘もんすたぁ ~遙か高き頂きを目指す者~   作:阿佐木 れい

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マチス戦の後編です。何が一番苦戦したってマチスの口調に以下略。
作中での描写は若干ながらご都合主義が含まれていますが、まぁそれもいつもの事かもしれません。

今まで生きてきて、地面タイプが欲しいと一番思ったのが書いている時でした。


【第十一話】クチバ――痺れる程に凄い奴 後編

 雲が覆い、雨が降り、雷鳴轟く中――俺は前方で腕を組んでいる男、マチスを真っ直ぐに見ながら思考を巡らせていた。

 こちらが出しているのはコン。炎タイプの萌えもんで、雨の降りしきる中では思うようにダメージを与えられない。

 

 対するマチスがくり出したのはレアコイル。電気と鋼タイプの萌えもんで、弱点は地面タイプと炎タイプのみ。

 だが、俺の仲間には地面タイプの技を覚えている萌えもんは無く、唯一の弱点タイプである炎タイプもこの雨乞いで事実上防がれてしまっている。

 何か打開策は無いかと、レアコイルの詳細なデータを思い浮かべる。

 

 

    磁石萌えもん。複数のコイルが連結して、強力な磁力線と高電圧を放射する。 

 

 

 素晴らしい。一度で3体お得。

 

 ――そうじゃなくてだ。

 

 レアコイルは磁場を操る。おそらく、コイル3体が集まっているがために単体では出来なかった出力面等をある程度自由に自分の意思で操作できるようになったのだろう。また、高電圧も磁力によるものが大きいはずだ。磁力の生じる場所に電気は生じる。つまり、レアコイルはああして僅かに浮遊しながら上下することでまさしく"コイル"と同じ働きを起こし、単体で電気を無尽蔵に生み出せるのだ。もちろん、限度はあるだろうが。

 

 また、避雷針も曲者だ。

 あの避雷針は確かにバトルフィールドに蓄積した電気を地面に逃す働きもあるだろうが、中にある銅線を利用してレアコイルが電気を生み出す手助けもしているはずだ。だが、銅線はアースとしての役割も持っているため、迂闊に破壊することはかなわない。また、銅の融解温度も高いため、コンの炎で焼き切る事も不可能に近い。

 

 更に――あくまでも可能性だが、レアコイルの特質上、もうひとつ見えないカラクリがあるはず。俺の予想通りならば、ではあるが。

 

 取れる手段はふたつ。

 リゥの竜巻で上空の雲を吹き飛ばすか、搦め手を使うか。

 

「……いや」

 

 だが、リゥをここで出すのはマチスの思う壺のはずだ。

 奴はおそらく、コンを封じる手段のひとつとして雨乞いを選択したはずだ。コンを引っ込めてしまうのは、相手の掌で踊る事を意味する。

 状況が不利な以上、イニシアチブを取られるのは拙い。

 なら――

 

「どうしたファアル! ミーはいつでも準備オッケーネ!」

 

 俺に残された道は搦め手のみ。

 視線をフィールドに移す。

 雨乞いによって地面はぬかるみ出し、等間隔に建設された避雷針が寂しく建っている。

 いや、待て。

 

「――そうか」

 

 まだ手はある。

 俺は確信を持って告げる。

 

「頼むぜ、コン!」

 

 コンはまさか続投だとは思っていなかったのだろう。驚いて俺を振り返ったが、俺が小さく笑い頷いてみせるとやがて決心したように頷きを返してくれた。

 炎タイプでは圧倒的に不利な状態だ。コンの火炎放射は、至近距離ならばレアコイルを一撃で追い込めるだけの実力を持っているはず。しかし近付かなければ炎は雨によって消火されてしまうだろう。

 

 故に、問題はただひとつ。レアコイルへと近付く手段だ。

 雨乞いのために雷は常時発生するものと考えた方がいいだろう。コンはエレブーによって一撃を貰っている。さすがに雷に耐えられはしない。

 となれば、いかに相手の隙をつくか。その一点にみ勝利がある。

 

「炎タイプ……ふっ、勝利はいただいたヨ、ファアル!」

 

 マチスが腕を組み、告げる。

 

「レイアコイル、雷ネ!」

 

 マチスの戦略は非常にわかりやすい。自分の有利なフィールドに相手を引き込み、圧倒的な火力で押し通す。

 単純だ。だが、それ故に強い。

 

「コン、右方向、飛び込め!」

 

 そして、だからこそ読める。この瞬間、マチスの取れる最も有効な手段はただひとつに絞られてしまうのだから。

 

「はわわ……」

 

 慌てて飛んだコンの背後に雷が落ちる。コンへと向かうかと思ったが、そうでもないらしい。

 側撃雷は発生せず。当然だ。そんなものが発生すれば、今頃ジムは死屍累々となっている。

 さすがだジムリーダー。だが、完璧な育成だからこそ――付け入る隙はある。

 

 まずはその1だ。

 

「コン、火炎放射!」

 

 まずは牽制用に火炎放射を放つ。

 雨によって到達寸前で消されてしまうが、それでもレアコイルにとっては弱点だ。揺さぶる程度の効果はあるはず。

 

「コン、避雷針に向かって走れ!」

 

「は、はい!」

 

 そしてその2に移行。

 俺の読みが当たっていれば、レアコイル攻略の鍵は避雷針にこそあるはずだ。

 どしゃ降りの中、コンが最も近い避雷針へと走る。だが、みすみす逃がすマチスではない。

 

「させないネ! 雷!」

 

 レアコイルがコンに視線を向ける。雷の合図だ。

 

「コン!」

 

「間に合ってぇぇぇっ!」

 

 雷の性質として、高いものに落ちるというモノがある。

 もちろん例外とていくつかあるのだが、今回に限っては例外にはならなかったらしい。

 

「シット!」

 

 悔しがるマチスはさておいて、俺はある動きを見極めるべくレアコイルに視線を集中させていた。

 すると、つつ、っとレアコイルがマチスの方向へと移動した。

 

 ――なるほど。

 

 すぐに止まったが、その動きはまるで俺から逃げているかのようにも見える。視姦されて逃げているように感じて少し傷ついた。だが、おかげで確証が持てた。

 レアコイルは僅かに浮遊している。それは先にも言ったように電気を生み出すためだ。

 反面、浮いているからこそ制限もある。

 

 例えば――ふんばりが効かないからこそ、受ける力の影響をすぐに相殺出来ない、とかな。

 

「コン、火炎放射!」

 

 こちらの手札は揃った。

 後は、確実に勝てるフィールドに引きずりこむだけだ。

 

「ハッ、レアコイル、影分身!」

 

 影分身。

 残像のように影を作り出し、あたかもそこに自分がいるかのように見せる技だ。

 増えたのは3体。本体を入れれば4体のレアコイルがフィールドに出現した事になる。

 だが、この影分身はあくまでもダミーだ。ダメージは食らわないし、攻撃も出来ない。良く似たカカシだと思えばいいだろう。

 

 コンは――

 

「ふ、増えたけど……だい、大丈夫!」

 

 まぁ、やってくれるだろう。

 方法としてはふたつ。影分身が攻撃を受けないのなら、本体は攻撃を受けるという事だ。

 突き詰めてしまえば、こんなに簡単な打ち破り方はない。

 

「コン!」

 

 そして、俺たちが当てにする技も、たったひとつだ。

 

「火炎放射! 左から右に薙ぎ払え!」

 

「What's!?」

 

 俺の指示にマチスが驚きの声を上げる。

 コンが火炎放射を文字通り薙ぎ払う。その威力は一点に浴びせるよりももちろん弱い。だが、今回に限っての狙いはダメージではない。

 レアコイルがブレる。炎の残滓を浴び、立ち上った水蒸気を浴び、火炎放射を浴び、影分身によって生み出された幻像は揺らめいてく。

 

 その中で、一点だけが微動だにしなかった。

 そしてこのタイミングこそが、

 

「コン!」

 

「雷!」

 

 俺の狙っていた時でもある。

 

「右斜め前方に跳べ!」

 

「はいっ!」

 

 コンが俺の指示を受けて飛ぶ。

 レアコイルによって生み出される雷も、雷本来にかかっていたラグがほぼ消失してしまっているだけで、必ず当たるというものではない。雷が視点を軸として攻撃する技である以上、今のように水蒸気によってぼやけている視界では動けば当たらない。

 

 更に、コンが跳びこんだ先には――

 

「血迷ったネ、どこに――ハッ、まさかファアル、ユーの狙いは――!」

 

 そういうこった!

 

「ゼロ距離火炎放射、ぶっ放せぇっ!」

 

 これこそが浮遊しているレアコイルの弱点だ。磁力は電気を発生させる。そしてそのために必要なパーツである銅線は避雷針の中にある。だからこそ、レアコイルは無限とも思える量の電気を生み出せる。

 

 ――電磁誘導という法則がある。詳しくは省くが、磁力の間に電流が流れる事によって生じる力の事である。

 

 先ほど、レアコイルは避雷針に雷が落ちた後、移動した。

 あれは俺から逃げたわけではなく、生じた力によって動いてしまったのだろうと予想を立てた。

 

 レアコイルは単体で磁力を持ち、生み出せる。だというのにレアコイルは力の影響を受けてしまった。そこから導き出せる結論はひとつだけ。

 

「捕まえました!」

 

 自分に向かって漂ってきたレアコイル本体を掴み、コンが至近距離で口を開く。

 

「けぇっ!」

 

 この距離ならば、例え雨が降っていても関係ない。

 瞬時にしてレアコイルを呑み込んだ炎は、一撃の元にその体力を奪っていった。

 俺はレアコイルが雨によって冷やされる音を聞きながら告げる。

 

「――三体目、撃破だ」

 

 コンの火炎放射を直に受け、沈む。

 これで半分以上。まだ気は抜けない。

 次に出てくる萌えもんは何かと予想を立てながら、俺は傍らに立つ相棒をしっかりと見据え、頷いた。

 

 

   ■

 

 

 斃れたレアコイルをボールへと戻し、マチスはモニターを見た。

 5体の内、今ので半分を超える3体が破れた。

 雨乞い、そして雷でのコンボはマチスにとって最高の戦場だ。なのに、相手を一体も斃せずにこちらがやられた。

 

「……やるネ、ファアル」

 

 レアコイルもさる事ながら、電気をある程度制御するためにジムのフィールドの端には磁場を発生させるための装置が組み込まれてある。

 それはマチスを有利にするためでは決してなく、見に来た観客や自分を含めた挑戦者を守るためでもあった。レアコイルはあくまでもその結果生まれた余剰効果にすぎない。

 

 だが、ファアルはそれすらも利用した。それも、一度だけ見たレアコイルの動きでだ。

 おそらく何度も繰り返せば自分の狙いがバレるだろうとの算段からなのだろうが、それでもたった一度だけ見、それを実行に移すだけの豪胆さと思い切りの良さには内心ながら舌を巻いていた。

 

 以前としてフィールドはマチスにとっての最高の環境だ。

 だが、油断は出来ない。

 相手はその油断すらも確実に勝機へと変えてくると実感できる。

 

 だからこそ――見事自分に打ち勝ってみせろと。

 心からそう思い始めた自分に内心苦笑を浮かべた。

 

 

   ■

 

 

 善戦してくれたコンを戻す。

 帰ってきたコンは疲れた様子だったが、それでも気力だけは充分に持ってくれていた。

 

「ありがとな」

 

「い、いえ!」

 

 いつものように謙遜していたコンの頭を撫で、リゥに告げる。

 

「頼むぜ」

 

「任せなさいって」

 

 リゥも戦意は充分だ。むしろ全く衰えないのがリゥの強みでもある。

 残る萌えもんはライチュウともう一体。マチスが電気タイプの萌えもんを使うのならば、おそらく――

 

「GO! サンダース!」

 

 サンダース。イーブイの進化系のひとつで、電気タイプの萌えもんだ。全身から針のような毛が逆立っており、一節には帯電しているために引き起こってしまう現象らしい。

 マチスの扱うサンダースも例に漏れず、青白い光を帯電している。

 

「ふん、今度は私の番よ」 

 

 考えられる戦法としては、やはり先ほどまでの雷主体の攻撃だろうが、

 

「そう簡単にはさせてくれそうにないな」

 

 リゥはドラゴンタイプだ。雷タイプの攻撃には耐性がある。だからこそ、可能な限り温存していたのだが……。

 マチスも当然、その程度の腹は読んでいるだろう。

 

 相手の狙いを看破すべく、サンダースを見る。

 すると、まるでクラウチングスタートのように身を屈めていた。

 

 イーブイから進化する萌えもんには特徴がある。それは進化の過程で受け継がれてしまう部分でもあるが、獣のように移動する事も可能だという事だ。

 つまり、純粋に2本の足で立っているリゥとサンダース、どちらが速いかなど比べるべくもない。

 

「サンダース、10万ボルトォ!」

 

 帯電していた身体から、幾筋もの電気が射出される。

 それぞれがまるで網のようになって絡まり合い、フィールドを飲み込みながらリゥを襲う。

 

 だが、それも耐えられるレベルだろうし、身体の小さなリゥならば間を回避する事も可能だ。

 相手の狙いがわからない以上、迂闊に動くべきではないが――

 

「サンダース!」

 

 相手は攻守のどちらかを選ぶのなら攻を選ぶマチスだ。その隙さえも攻撃の決め手へと変貌させる。

 マチスはリゥを真っ直ぐに指し、サンダースに告げる。

 

「突進! GO!」

 

 サンダースが帯電しながら走る。

 

 ――速い!

 

 コンやシェル、そしてリゥの誰よりも速い。

 サンダースはこのぬかるみの中、一気にリゥへと距離をつめる。

 眼の前には自身が放った電気が帯を引いているが、気にせずに、むしろリゥごと飲み込まんと突っ込んだ。

 

 こちらの逃げる範囲は狭まっている。今行動しなければ敗北は必須だ。 

 俺はリゥに――

 

「サンダース、電磁波! ビリビリネ!」

 

 なっ――!?

 

「う、くっ……!」

 

 いつも世話になっていた技を食らい、リゥが一瞬止まる。

 そしてその隙を逃す相手でも無かった。

 

「う、らぁっ!」

 

 掛け声一発。サンダースがリゥを捉え、勢いを全く殺さずにそのまま壁へとひた走る。

 そして、リゥは叩きつけられ衝撃時の振動がこちらまで伝わってくる。さながら、香澄戦でのカメールのように。

 

 だが、ここで終わりではなかった。

 動けないリゥに対し、

 

「10万ボルト!」

 

 接敵した状態で更に追撃を加えたのだ。

 

「う、ああああァァァァァ――ッ!」

 

「リゥ!」

 

 至近距離での放電となると、いくら耐性があるといっても切り捨てられはしない。

 突進、10万ボルトとコンボを食らい、モニターに表示されるリゥの体力は瞬く間に減っていく。

 

 どうする……。

 俺は状況を打開すべく、リゥを見る。

 

 

 ――まだやれる。

 

 

 電撃の中、苦しい中でリゥの動かした唇は確かにそう言っているように見えた。

 

 ――そうだよな。お前はそういう奴だよ、リゥ。

 

 剛司の時だって、香澄の時だって、いつだって真正面から挑んで勝ってきた。

 相手が強いのは当たり前だ。だからどうしたんだ。

 ああ、そうだとも。勝つのは俺たちだ!

 

「――リゥ!」

 

 壁とサンダースに挟まれているリゥに激を飛ばす。

 これだけ距離が近ければ、戦略も何もない。

 出せる力全てを持って退けるだけだ。

 

「龍の息吹! ゼロ距離放て!」

 

「っん、のおぉぉぉぉぉっ!」

 

 自分ですらもダメージを食らいかねない距離で発射された龍の息吹は、牽制するには充分だった。それどころか、咄嗟に後退したサンダース僅かながらのダメージを与えてくれた。

 だが、こちらの損耗も大きい。まさか一発であれだけ持って行かれるとは思わなかった。

 

「はあ、っく……まだ、まだぁっ!」

 

 未だ痺れが残るであろう身体を起き上がらせ、戦意を一欠片も失わずに目の前の敵へと視線を向けるリゥ。

 さっきのコンボを後一撃でも食わうらけにはいかない。しかし相手のサンダースもまた、こちらの攻撃でダメージはある。

 勝機が全くないわけじゃない。

 

「雨、か……」

 

 雨雲を見上げ、次いで地面を見る。

 なるほど、使えない手じゃない。

 問題はひとつ。マチスに見破られるかどうかだ。

 そのためには――

 

「リゥ、龍の息吹! さっきのコンみたいに出来るか!?」

 

「ちょっと痺れてるけど、問題ない!」

 

 言って、リゥは右足を軸にまるでバッターのように大きく振りかぶる動作の後、前方に向かって扇形に噴射した。

 

「ワオ……」

 

 これでサンダースの視界と行動を潰す事が出来る。

 取れる選択肢は更に狭まっていく。

 

「サンダース!」

 

 次の選択肢はふたつ。突っ込むか、跳び上がるか。

 マチスは

 

「ジャンプ! そして雷ネ!」

 

 跳び上がった。

 この瞬間、更に選択肢が狭まる。

 しかしリゥも動ける。痺れているからこその行動を取る。

 

「リゥ、前に跳べ!」

 

「っく、諒解!」

 

 がくん、と一瞬動きが鈍るが、それでもリゥはすぐに跳んでくれた。回避は成功。だが、この瞬間にリゥは無防備になる。

 

「サンダース!」

 

 そして、サンダースの背にはアースが設置されている。

 体力が減っているとはいえ、リゥに電気タイプの攻撃はダメージが小さい。さすがに雷はまだ耐えられる可能性がある。なら、マチスが選ぶ戦法は何か。

 答えはひとつしかない。

 

「突進!」

 

 雷撃をまとっての突進。アースを蹴り上げ、電撃作戦の名に相応しい、さながら流星のように一直線にリゥへと向かってくる。

 これで、倒すお膳立ては整った。

 

「リゥ、無理矢理でもいい、着地しろ! 出来ればこっちにパンツ見せて転べ!」

 

 欲望のままに戦略を口にする。

 が、当然のように

 

「――は? ちょっと何言っ――あ、きゃあっ!」

 

 俺に気を取られたリゥは、泥濘と水たまりに足を囚われて転んでしまう。

 そして、サンダースはリゥの目の前に着地する。雷を纏ったまま、本来ならリゥがいるべきはずの場所へと。

 

「狙い通りだ! リゥ、龍の息吹!」

 

「りょ、諒解!」

 

 しかしマチスとて黙ってはいない。

 

「サンダース、10万ボルト!」

 

 至近距離で放たれるふたつの大技。

 リゥは10万ボルトを。サンダースは龍の息吹を。

 それぞれ直撃を貰い、双方共に体力がなくなってしまう。

 即ち、

 

「引き分け、か」

 

 綺麗に四体目撃破、とまではいかなかったか。

 自分のだらしなさを悔やみながら、リゥをボールに戻す。

 と、すぐにボールが展開し、

 

「どう、なったの……?」

 

 リゥが出てきた。 

 よっぽどボールの中が嫌いなのか、それとも勝敗が気になるのか。

 俺はモニターを指出し告げた。

 

「引き分け、だ。相打ちだった」

 

「――そう」 

 

 がっくりと肩を落とす。

 香澄の時もそうだったが、また勝たせてやれなかった。

 強くなる。そう約束したのにこの体たらくだ。

 

「……すまん」

 

 小さく呟いた声に、しかし反応する声は無かった。パンツの事は忘れてくれたんだと思う。助かった。

 その代わり、

 

「これがラストバトルになりそうネ、ファアル」

 

 マチスがボールを真っ直ぐに俺に突きつけていた。

 

 ライチュウ。

 剛司のイワーク、そして香澄のスターミー。これまで戦ってきたジムリーダー達を象徴するかのような萌えもん達は、そのどれもが一筋縄で行くような相手では無かった。

 ライチュウとて、例外ではあるまい。

 

 こちらの戦力はコンとシェルのみ。

 シェルも新しい技を覚えはしたが、電気タイプが相手では最初から分が悪い。

 

 ――しかしもし、可能性があるとすれば。

 

 シェルの新技にこそ勝機がある。

 だが、弱点だからこそ出せない。一発逆転が出来るかもしれないが、それが可能なのはただ一度きりだ。やるならば、こちらが確実に勝てる状態を作り出さねばなるまい。

 

「シェル、もしかしたら」

 

「……あい」

 

 ずっと黙って戦闘を見ていたシェルは、いつもの元気も無く、ただそれだけ呟いた。

 本能から怯えているのか、もしくは香澄戦が原因か。

 いや、両方か。

 

「わふっ」

 

 俺はシェルの頭を優しく叩くように撫で、

 

「きついだろうけど頼む、コン」

 

「はいっ」

 

 コンにしても残り体力は僅かだ。未だ雨が降り続いている中、どうやって勝利を導いたものか。

 思考しながら、フィールドを見る。

 

 既にフィールドは豪雨によって大きな水溜りがいくつも出来ている。雨乞いの効果もそろそろ終わると思いたいが、いつ終わるかどうかわらかないものに期待はあまり持たない方がいい。

 

「GO! ライチュウ!」

 

 マチスが切り札をくり出す。ただそれだけで、フィールドの空気が変わった。

 先ほどまでレアコイルやサンダースの影響でぴりぴり感じていた空気が一瞬で消えた。代わりに静寂が周囲を包む。

 ただそれだけで相手の力量がわかった。

 

 コンが火炎放射以外に使えるのは、"噛み付く"と"メガトンパンチ"のふたつの近距離技のみ。しかしあのライチュウ、おそらくこちらが肉弾戦に持ち込めば、容赦なく溜め込んでいる電気を放つだろう。即ち、強制的に麻痺状態にさせられる恐れがある。

 

 となれば、事実上頼れるのは火炎放射のみとなる。それもレアコイルのように磁力の影響を受けたりもしない。雨によって火炎放射の距離が縮められている以上、距離をつめなければならない。

 

 ――どうするか。

 

 悩む俺に、コンは一歩前に出て振り返った。

 

「ご主人様」

 

「ん?」

 

「シェルさん」

 

「――ほえ?」

 

「リゥさん」

 

 その顔は、笑っていた。これから勝機の少ない戦いに挑むというのに笑っていた。

 

「勝ちましょうね!」

 

 心からそう信じていて。

 俺と――今は立てないシェルに向かって、勝とうと言ったのだ。

 自分も辛いのに。そしてきっと、俺にではなくコンが本当に伝えたかったのは、

 

「怖いです、私。今でも怖いです。でも――」

 

 コンはシェルとリゥと、そして俺を見て、

 

「みんななら勝てるって信じてます。私、リゥさんみたいな目標とか無いですけど、それでも勝ちたいって思います。だって――」

 

 一度目を瞑り、右手をそっと自分の胸に当てた。

 それは何かを思い出しているかのようでもある。

 

「逃げたいって思う自分にはもう負けたくないんです。切っ掛けをくれた人に申し訳ないですし、何より自分自身にだけは負けたくありませんから」

 

 きっと、コンが見つけた強さなのだろう。

 あのスターミーとの――いや、それ以前からずっとコンの中にあった強さなんだ。

 

 ――馬鹿だな、俺は。

 

 そんなコンの心情すら汲まず、まだ恐れていると決め付けていたのだから。

 何のことはない。恐れているのはコンが一番わかっている。その上で戦っていたのだ。

 コンはもう充分に、立ち上がれる頼もしい仲間となってくれていたのだから。

 

「強さ、か」

 

 リゥはコンの言葉に自嘲気味に呟き、下を向いた。誰よりも強さに拘っているリゥだからこそ、胸に響いた部分もあったのだろう。

 そしてシェルもまた、驚いたかのようにコンを見ていた。

 

「コン、つよい。つよくなった」

 

 そんな事ありませんよ、とコンは頭を振る。

 

「私よりシェルさんの方が強いですよ」

 

「ううん、わたしは」

 

 コンは穏やかに首を横に振る。

 

「だって、真っ直ぐにたったひとりの人を見てるじゃないですか」

 

「――っ!」

 

 はっとなるシェル。

 

「ご主人様、いきましょう」

 

「ああ」

 

 こちらに背を向け、ライチュウと対峙するコン。その背に向かって、俺は告げる。

 

「ありがとうな、コン」

 

 コンは何も答えなかったが、擽ったがっているような空気だけは伝わってきた。

 俺もこいつらの信頼を裏切るわけにはいかない。俺の期待以上に答えてくれるのなら、絶対に裏切ってはいけない。

 

 勝つ。

 その意味も込めて、両頬を勢い良く叩く。

 

「行くぜ、マチス!」

 

 一筋縄でいかないのはいつもの事だ。不利な状況を打開してこそ、萌えもんトレーナーの真価なのから。

 

「ライチュウ!」

 

 こちらの準備が整ったのを見て取ったのか、マチスが指示を下す。

 ライチュウが覚えている技で今のところ判明しているのは雨乞いのみ。だが、状況から言えば雷は確実に使えるだろう。

 ルール上では残り2つ。一体何の技を登録しているのか。

 

「驚いたヨ、ファアル。正直、ここまでファイトするとは思ってなかったネ。でも」

 

 マチスは勝ち誇る。

 そう、それはまるで香澄のような――

 

「勝つのはミーさ! 波乗り!」

 

 な、んだと……。

 電気タイプが水タイプの――それも大技を繰り出してきた。

 マチスの声と共に、雨乞いによって作り出された水溜りが一瞬にして集まりだす。いや、それどころか上空からも集い、巨大な水の壁を生み出し始める。

 その幅、フィールドを丸ごと飲み込む程だ。

 

「あ、あう……」

 

 その頂点、中央部分にはライチュウが居座っている。腕を組み、こちらを見下ろしてい

る。

 香澄戦でも見られなかった水の質量に、コンは身が引けてしまっている。

 

 当たり前だ。そもそもな時点で、逃げ場が存在していなのだから。

 リゥならまだ竜巻に乗るという荒業も可能だったが、そのリゥは既に戦線離脱。リゥほどに機動力がないコンにとっては事実上の詰みだ。

 

 ――だが。

 

 だがもし、あの水の壁を利用できるとするならば。

 そしてそのためには――

 

「ますたー」

 

 俺の袖を引く声に振り向けば、シェルが真っ直ぐに俺を見ていた。

 そして、頷いた。

 

「シェル、お前」

 

 シェルは水の壁を指差し、

 

「コン、まけるとおもう」

 

 あっさりとコンの敗北を告げた。

 しかしシェルは続けて、

 

「でも、わたしならかてる」

 

 だって――

 

「ますたーがいるから」

 

 俺はそのシェルの答えに、一瞬ぽかんとなってしまう。

 やがてすぐに笑いがこみ上げ、

 

「く、ははは! ああ、なるほど。ははっ、シェルらしいな!」

 

 そしてボールを取り出し、シェルを戻した。

 

 切り札は揃った。

 

 脳裏を巡るのは、ひとつの光景だ。剛司、香澄と使用され苦戦したあの技。

 今度はこちらが利用する番だ。

 以前として雨が降り続けている。止む気配のない雨は、雷の精度を上げ、水タイプを有利なものとし、炎タイプを封じてしまう。

 

「コン、シェルと交代だ。戻れ!」

 

 最初から決まっていたのだ。

 このフィールドに最も適していたのは――主役なのはひとりしかいないって。

 つまり、

 

「行け! 勝って来い、シェル!」

 

 雨が降り続き、水がとめどなく溢れる場所に相応しい水タイプだったって事だ。

 

「うっし! やるぞー!」

 

 気合充分。さっきまでのしなだれはどこ吹く風といった様子のシェルが、やる気まんまんで目の前に聳え立つ水の壁を相手に生き生きとはしゃぎだす。

 だが、これにはさすがに会場もざわつきだす。それもそうだろう、事この場面でマチスにとって最も相性の良いタイプの萌えもんを繰り出したのだから。

 

「水タイプ――確かに波乗りは防げるかもだけど、それだけネ。水は電気を通す。ユーの

判断は間違いヨ!」

 

 そう、水は電気を通す。

 

 火が水を消すのと同じように。

 電気が地面に逃げるのと同じように。

 水は電気を伝えてしまうのだ。

 だからこそ、水タイプは電気技に弱い。元々電気を通しやすい体質になっているからだ。

 だがな――

 

 

「――教えてやるよ、雷使い」

 

 

 これまでだって、いつだって。

 俺達はそういう状況を乗り越えてきた。

 

 

「俺の仲間はな――」

 

 

 トレーナーとして、一緒に旅をする仲間としてこれだけは言える。

 リゥもシェルもコンも、

 

「お前の雷より、よっぽど痺れる奴らなんだよ!」

 

 見せてやれ、シェル。

 

「ライチュウ、波乗りネ!」

 

 波が近づいてくる。

 そして同時に、

 

「更に電磁波!」

 

 マチスは戦場出身だ。だからこそ、確実にこちらを仕留める方法を取る。それは雨乞いの後に雷を連発したからこそわかる。

 故に、認めた相手には堅実なまでの戦法を取る。

 

 電磁波、そして波乗り。シェルにとって波乗りは怖くない。ライチュウの決め手は、波乗りに飲まれた直後に落とす雷のはずだ。そうすれば、電磁波で痺れて動けないシェルを確実に倒すことが可能だ。

 

「ますたー!」

 

「ああ!」

 

 勝機は一点しかない。

 電磁波を喰らいながら、シェルは波へと呑み込まれる。

 その寸前、

 

「シェル、冷凍ビーム!」

 

「ばっち!」

 

 まさかここで使うとは思ってもいなかった技を選択する。

 冷凍ビーム。剛司のカブトや香澄のカメールに苦戦させられた技だ。効果は簡単。その場にある水を一瞬で凍らせる事が出来る。

 だが、今この瞬間において効果はそれだけではない。

 

「ハハ、面白いネ!」

 

 しかしマチスもライチュウもそれだけで動じたりはしない。元よりそんな弱っちぃ精神なんて持っちゃいない。

 何しろ一撃で勝負を決める決め球を持っているのだから。

 

「ライチュウ、雷!」

 

 だから、俺は冷凍ビームを使用した。

 飲み込まれる波をシェルを中心にして、シェルを呑み込んで広大な範囲で凍らせたのだ。さしずめ、鎧のように。

 

 ライチュウの雷が炸裂する。

 通常ならば一撃で敗北するはずの雷はしかし、

 

「What's!?」

 

 シェルに届く前に氷の壁に阻まれて終わった。

 水は電気を通す。当たり前の理屈だ。水は純粋ならば電気は通さないが、普通は水に含まれるイオン等の"不純物"によって電気が伝わる。だが、氷は違う。水は氷になることで不純物を外に出す。純粋でない氷は多少の電気を通すが、水と違って半導体に近い性質となり、ほとんど伝わらない。つまり、

 

 

 氷に対して電気はほとんど意味を成さない。

 

 

「シェル!」

 

 そして、氷の中のシェルが動く。

 決め手を失ったライチュウへと向かい、

 

「水鉄砲、最大出力! ぶち抜けぇ―――!」

 

 氷は水で溶ける。剛司戦と同じだ。

 一部さえ解けてしまえばいい。そうすれば、こちらは盾ごとライチュウを吹き飛ばせる。

 

「ライチュウ!」

 

 シェルの水鉄砲によって雨雲を突き破り、氷に乗ったままライチュウが持ち上げられる。

 ライチュウの視線は定まらない。

 

 雨雲に覆われた場所から明るい場所に急に出たのだ。視界が定まるまで若干ながら時間がかかるのは俺達と同じだ。更に雨乞いによって発生している雷雲を突き抜ければ、シェルの姿は視認出来ない。

 その瞬間に、

 

「シェル! 下がれ!」

 

「らじゃ!」

 

 ライチュウを支えていた水鉄砲は消える。

 つまり、氷ごとライチュウは落下を始める。

 更に雨乞いの効果はまだ続いている。

 

 空いた空間に鬩ぎ寄る雨雲によって、ライチュウは未だ眼下の様子をつかめない。雷は――封印された。

 

 だが、まだだ。これだけで斃れるライチュウではない。

 

「シェル! 水鉄砲!」

 

 俺は真っ直ぐに、雨雲を指し示す。

 

「まだネ! 終わらない、ライチュウ! 雷!」

 

 雨雲から落下してきたライチュウは、水鉄砲によって生じた豪雨にも似た水しぶきの中、多少のズレはあったが体勢を立て直していた。自分が持ち上げられた方向とシェルが下がった場所を予想し、いつでも攻撃態勢に入れるように準備したのだろう。

 だが、それよりも――

 

 

 俺達の方が速い!

 

 

「ライチュウより上、冷凍ビーム!」

 

「ら、じゃー!」

 

 放たれた冷凍ビームは、周囲に降り注ぐ雨を凍らせながらライチュウの上空へと吸い込まれ――

 

「まさか……!」

 

 シェルによって一部だけ豪雨のようになっていた空間を丸ごと氷の礫へと変えた。

 何百何千の粒が氷となってライチュウを襲う。雨ならばまだ構わないが、固体となってはライチュウとて無視は出来ない。その証拠に、ライチュウが空中で身悶えている。

 

「シェル!」

 

「はいな!」

 

 俺は真っ直ぐに手を伸ばす。

 

「水鉄砲、最大出力!」

 

「ばっちお任せ!」

 

 シェルの最大出力の水鉄砲が落下してきたライチュウを呑み込み、そのままジムの壁へと突き刺さる。

 決めてやれ、シェル!

 

「冷凍ビーム!」

 

 ライチュウを飲み込んだ水鉄砲ごと凍らせる。

 急激な温度低下によって、ドライアイスのように氷の湯気が発生し出す中、現れたのは氷に呑み込まれたライチュウの姿だ。

 

「oh...」

 

 勝負は決した。

 愕然とするマチスに向かって告げる。

 

「――五体目、撃破だ」

 

「げきはー!」

 

 雨乞いによって生じていた雲が消え始める。雲間から差し込む光は、さながら祝福の光のようですらある。

 

「……ミーの負けね。ナイスファイト、ファアル」

 

 そして、マチスの敗北宣言によって、クチバシティジムの戦いは幕を下ろした。

 

 

    ■

 

 

 空が、青いな――。

 クチバシティジムから出てまず最初に思ったのが、それだった。

 途中からずっと雨雲の中にいたのもあって、余計に空気が美味く感じてしまう。

 

「やったな、シェル」

 

「うんっ」

 

 何かを乗り越えたのだろう。シェルは今までの元気を取り戻していた。

 そして、

 

「……はぁ」

 

 元気が無いのが我が相棒である。

 

「どうしたんだよ」

 

「――ちょっと、ね」

 

 俯いたリゥについているグレーバッジも心なしかくすんでいるように見える。

 確かに、今回負けたのはリゥだけだった。

 いつかかわした約束を全然守れていない。俺は――まだまだだ。

 

「リゥ、そのな」

 

「ファアル! 良いファイトだったヨ!」

 

 と、空気を読まずに迷彩服のごつい男が現れる。

 先ほどまで激戦を繰り広げていた男は、豪快に笑っている。まるで十年来の友のようなその様子に、話の腰を折られたというのに圧倒され、飲み込まれそうになる。陽気な奴ってのはこれだから困る。

 

「ああ、ナイスファイト、ジムリーダー」

 

 そして、握手を交わす。大柄な体格のマチスの手は、やはり大きかった。

 

「後、ミーに勝利した証ダヨ」

 

 差し出されたのはオレンジバッジ。クチバシティジムを勝ち抜いたトレーナーに与えられるバッジだ。

 これで通算3個目となる。

 俺はそのバッジをシェルに渡す。

 

「ほえ?」

 

「お前のだよ」

 

 いいの?

 首を傾げているシェルに頷いて返すと、ぱぁっとシェルが華やいだ。

 

「やたー!」

 

 バッジを持ってとび跳ねるシェルを見ていると、マチスがヤマブキ方面を指さした。

 

「今、ヤマブキで少しだけ事件が起こってるネ。出入口は封鎖されてるから、イワヤマトンネルを突っ切るのがベターだヨ」

 

 なるほど。

 イワヤマトンネルか……ヤマブキシティが出来る前に利用されていた天然の洞窟だったはずだ。

 

 こりゃまた、準備が必要そうだ。

 

「わかった。気を付けるよ」

 

 少しだけ遠回りになるが、仕方ない。

 

 俺はマチスに踵を返し、そして呼び止められる。

 

「ファアル。ユーなら気付いていると思うケド」

 その語尾は、言いにくそうに消えていった。

 何だ?

 俺が問いかける前に、

 

「――いや、気にしないでいいヨ。またバトル、OK?」

 

「ああ!」

 

 マチスの中で決着がついたらしい。

 釈然としないものを感じながら、マチスに背を向ける。

 コンにつけてもらったのか、シェルの胸にはオレンジバッジが輝いている。

 そして――

 

「……私は」

 

 そんなシェル達を見て立ちすくんでいる相棒がひとり。

 俺はリゥに歩み寄り、

 

「何?」

 

「いや」

 

 いつものように不機嫌な様子で振り向いたリゥに言葉を濁した。

 強く、か。

 残るバッジは5つ。

 

「強くなろうぜ」

 

「――うん」

 

 答えた声は、どこか遠く感じた。

 

 こうして、クチバシティジムの戦いは終わった。

 次の目的地はイワヤマトンネル。カントー地方でも屈指のトンネルに俺は挑む事になったのだった。

 

 

                             <続く>


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