くじみたいなのやっててなんか嬉しい気持ちに
なりました。
イカリが迫り来る俺達を見て、せせら嗤う。
(戦艦?空母?舐めてるのか?
そんなものは、海中じゃ一切役に
立たないんだよ‼︎)
次の瞬間、大きく浮上し、俺達から距離を取る。
(逃げるな、卑怯者‼︎)
俺は尾を伸ばし、奴をその艤装の牙で
かみ砕こうとした。
だが、その艤装の牙を、イカリはするりと、
まるで闘牛士のように避けて、触手で掴んだ。
(潜水艦はな、逃げてナンボなんだよ。
弾が当たっちまったなら、それは死を
意味するからな)
そして、一本だけ残っていた魚雷を、
俺の尾に接着して。
起爆した。
ドオオオオオオオオオオオオオオン‼︎
その音と共に魚雷の先端が爆ぜ、俺の
尾の肉を皮一枚ギリギリで繋がっている状態
になるまで抉りとった。
(ぐ……がああああああああああああ‼︎)
直後、ぶぢんという音と共に俺の尾が
二つに千切れた。
(勝った‼︎レ級、貴様の最大の火力は尾だ。
そして……最大の弱点でもある……
艤装のないレ級など……恐るることはない‼︎)
切れた尾の肉を噛みちぎりながらイカリが
笑い、そして尾を放った。
(レンゲ、お前は下がっていろ。俺がやる)
芝浦提督が、軍刀を抜きながら俺の前に出た。
(58と一緒に168達を連れて行け、いいな)
そう言って、芝浦提督はイカリに
まっすぐ吶喊した。
(ッ……まだ、まだ俺はやれるってのによ……
ちくしょう、芝浦の馬鹿……‼︎)
(けりをつけようか、イカ男‼︎)
(私の名は……イカリだ‼︎イカではない‼︎)
イカリが迫り来る芝浦に向け、水中銃を乱射する。
芝浦はなんと頭の艤装を外し、盾として
使用した。
(ッ⁉︎)
(海中じゃどうせ役に立たないんだ。
これぐらいしなきゃ割に合わない)
そのまま一気にイカリに突っ込み、軍刀で
裂帛の勢いで刺突する。
(くッ‼︎)
イカリは身体を反らせその一撃を避ける。
イカリの身体は非常に軟らかく、打撃は
一切通用しないがその反面、切断に
非常に弱い。
つまり、イカリにとって今の芝浦は厄介な
相手であった。
(どうやら策を弄するしか能がないらしいな‼︎)
大上段からの斬撃を水中銃で受け止めると、
イカリは残っている触手を伸ばし、
先程起爆して魚雷が無くなった槍……否、
棒を掴み、それで芝浦の腹を打突した。
(ぐあっ‼︎)
続いて頭を薙ぎ払おうとしたが、それは
盾に防がれた。
芝浦はそのまま20m程距離を置く。
(能がない……それは君の事ではないかい?)
ピシッ、と音を立てて残っていた
水中銃にひびが入る。
(私はね、幾重にも爪を隠すのが好きなのだよ。
策を弄する事も、艦としての性能も。
棒術が得意な事もね)
水中銃を捨て、鉄棍をぐるぐると回転させ、
イカリはニヤリと笑う。
(卑怯者め……)
(卑怯者で結構。……行くぞ)
その言葉と共にイカリが迫る。
芝浦は片手で軍刀を構え、迎え撃とうとした
刹那、イカリの進路のすぐ近くに19と168を抱えた
58がいる事に気付いた。
(ッ‼︎まずい、奴の性格からすると
俺より先に58を狙う‼︎)
芝浦が58を助けようと動いた。
が、イカリは58に目を向けることなく、
まっすぐに芝浦に突っ込んできた。
(ブ……ブラフか⁉︎しまっ……ガードが……
間に合わな……‼︎)
ガヅッ、とイカリの鉄棍が芝浦の脇腹を
薙いだ。
(ぐ……がッ……‼︎)
そのまま、流れるような鉄棍の連撃が
芝浦に襲いかかる。
腹に、胸に、足に、頭。
身体中の隙をついてイカリは的確な一撃を
与えてゆく。
(こ、こいつッ……‼︎なんて馬鹿げた強さだ……‼︎
砲撃も、肉弾戦も、両方こなすなんて……
反則だろうが……ッ⁉︎)
なんとか体勢を立て直すが、今の芝浦には
防御が精一杯であった。
その少し前、レンゲはようやく
和らいだ痛みに耐えて状況を把握した。
(クソ……やっと血が止まった……58は……
ああ、大丈夫だな……ッ‼︎
やばい、奴が58を…)
直後、イカリが58に目もくれず芝浦に
襲いかかる。
(ッ⁉︎58を襲わないのか⁉︎)
その時、58がレンゲと芝浦に向けて声をかけた。
(レンゲ‼︎司令官‼︎そいつ今身体能力とか
色々高まってるらしいでち‼︎)
(言うのが……遅いんだよでち公‼︎)
イカリの連撃を精一杯防御しながら芝浦が
叫ぶ。
刹那、レンゲの脳内に疑問が発生し、
直後、その雷撃的な閃きが解答と
イカリを倒す方法を創り上げた。
(そうか……つまり、奴は……‼︎
芝浦‼︎一旦海上に上がれ‼︎)
それと同時に、レンゲは駆け出しながら
芝浦に声をかけた。
(⁉︎何を言ってんだお前は‼︎)
驚きながらもなんとかイカリから
芝浦は距離を取る。
そのままレンゲの所まで泳ぐ。
(いいか、海上に上がったら天龍から
刀を借りろ。あっちの方が返しがあるから
抜けにくい。それから……)とレンゲは
素早く芝浦に耳打ちした。
(お前……一歩間違えれば死ぬぞ‼︎)
(誰だっていつか死ぬさ。軍刀借りるぜ)
芝浦から軍刀を奪いながらレンゲはイカリに
向かっていく。
(俺だって死ぬし、芝浦、あんただって死ぬ。
死は避けられない)
軍刀を構え、イカリを睨みつける。
(だが俺達が死ぬのは今日じゃない。
……行け、芝浦‼︎)
(……〜〜ッ‼︎)
芝浦はギリッと歯ぎしりすると、
すぐに、浮上していった。
(カッコつけるのは、すぐ死ぬ奴がやる事だよ。
なぁ、レ級?)
(さっき言ったはずだ……)
レンゲは、足に力を入れて、イカリに
吶喊した。
(俺が死ぬのは、今日じゃないってな)
もうすぐ、小説として一区切りつきます。
次の章は、リンガか幌筵を舞台にしたいです。