転生レ級の鎮守府生活   作:ストスト

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雷巡ってすげー。


「二人は雷巡」

……俺達は半壊した鎮守府を前に呆然と

立ち尽くしていた。

 

「な……何が起きたんだ……⁉︎」

 

そう口にするしかない俺を尻目に、

多摩が素早く大井に言った。

 

「とりあえず、他の人は大丈夫か確認して、

それから近くの海域の警戒にゃ。

大井、先に北上を連れて頼むにゃ」

 

「了解しました」

 

大井はそう言って素早く道場の中に入っていった。

そして入れ違いに天龍達が出てくる。

 

「おい、今のはなんだ⁉︎お前ら無事か‼︎」

 

「ピンピンしてますよ、大丈夫です」

 

お互いに無事が確認出来たのでとりあえずは

一安心だ。

 

「鎮守府が……‼︎恐らくは深海棲艦が爆撃を

仕掛けたか……」

 

糸井川が歯ぎしりして半壊した鎮守府を睨む。

 

「目標は俺達か、もしくは……」

 

「米軍基地、デスネ」

 

背後からの声に振り向くと、そこには

ジャックがいた。ただし、服のあちこちに

煤が付いていたが。

 

「ジャック‼︎無事だったか!」

 

「いや、そこまで。先程の爆撃で

戦闘機とその整備員が纏めて焼き尽くされ、

おまけに周りに文字通り土砂が降ってきて

怪我人もいくらか出ました」

 

「奴らの狙いは戦闘機の方か……‼︎」

 

「……今は、先に周りの警戒に当たるべきです」

 

「そうだな。龍田は時雨、皐月と一緒に頼む。

球磨は多摩と。龍驤は艦載機で索敵を」

 

普段のセクハラ行為をしていた時とは

まるで違ったように素早く他の艦娘達に

命令を下す糸井川。

その顔には先程の焦燥は一切なく、

彼が提督として優秀な人物として窺える。

 

「俺も行きます」

 

「すまないが、それは了承出来ない。

木曾と天龍もだ。2人は試合で体力を

消費しているし、君は……まぁ、理解してくれ」

 

糸井川が僅かに言葉尻を濁し、

それで漸く俺は思い出した。

 

今の俺は深海棲艦だ。形式上海軍に「鹵獲」

されている身である俺が勝手に海域に

出ようものなら、糸井川はおろか神崎さん、

果ては俺に関わった人達に迷惑をかけることに

なってしまう。

 

「……了解しました」

 

「……本当に、すまない」

 

申し訳なさそうに糸井川はそう言って、

踵を返してジャックと話し合いを始めた。

俺は、一応球磨の話に混じった。

万が一ということもありうるからだ。

 

「警戒には先にハイパーズが行ってるけど、

念には念を押しておくクマよ」

 

「……ハイパーズ、って?」

 

「なんですか、それ?」

 

時雨達に向かって球磨が言った単語に

対し、俺と時雨が疑問を呈する。

 

「ああ、大井と北上のことクマ」

 

「ハイパーズ……まぁ、理解出来なくも

あらへんけど」

 

だって、と龍驤は続けた。

 

「あいつらめっちゃ強いからなぁ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーその頃、ル級の一団は間も無く

沖縄鎮守府の近海に到着しようとしていた。

近付いてゆくにつれてあちこちから黒煙が

上がっているのが確認出来、それが

ル級達の戦意を高揚させる。

 

「クク……奴ノ爆撃ハ完璧ダッタ様ダナ。

見事ニ鎮守府ヲ破壊シテイル。

何故スグに攻メナイノカ理解ニ苦シムヨ」

 

「全クダ。アノ様子ジャ艦娘も生キテハイマイ」

 

ル級の言葉にチ級が反応する。

それぐらい、ゲンブの艦載機の爆撃の威力は

高いものであった。

 

「砲撃用意‼︎」

 

ル級が沿岸の人間の駆逐をする為に号令を

発した。

 

 

 

 

 

瞬間。

 

 

 

 

上空から一条の光が見え、それが

艦隊にいたニ級を見事に貫き、爆発した。

 

「ッ‼︎先制攻撃‼︎マダ生キ残リガイルゾ‼︎」

 

「単縦陣‼︎敵艦ニ注意シロ‼︎」

 

突然の砲撃に不意を突かれながらも、

ル級は冷静に指示を出す。

 

「敵艦ヲ確認‼︎」

 

チ級が叫びながら、雷撃の用意をする。

 

「……させないわ」

 

大井がその様子を見て素早くチ級に

向かって砲撃した。

 

砲撃は吸い込まれるようにチ級に着弾。

更に、発射しようとしていた魚雷に引火、

断末魔すら上げる暇なくチ級は爆発し、

燃えながら海の中に沈んでいった。

 

「……ッ‼︎」

 

チ級が撃沈されたことに怒りを覚えながら、

ル級は大井と北上を狙い砲撃する。

 

 

 

 

 

 

二人の近くに大きな水柱が発生する。

 

「……ちッ‼︎」

苛つきを感じ、大井は思わず舌打ちする。

 

「大井っち。一撃で仕留めるよ」

 

「了解」

 

大井が右腕の61cm5連装酸素魚雷を発射し、

北上は左手の方から発射する。

彼女達から放たれた10発の魚雷は航跡を

残しながら扇状に広がってゆく。

 

「沈め」

 

ル級はそれを回避しようとする。

北上は素早くル級に砲撃した。

 

「クッ‼︎」

 

それは惜しくもル級の目前に着弾したが、

ル級の足を止める事となった。

そして、その足元には2発の魚雷が迫っていた。

 

「⁉︎シマッ……‼︎」

 

刹那、ル級を爆音と水柱が飲み込んだ。

そしてそれが収まると、ル級の姿は影も形も

なかった。

 

最後に残ったホ級は慌てるように潜行し、

そして、静かになった。

 

「……あっけないわね」

 

「ま、楽に終わって良かった良かった。

他にもいないか警戒を続けようか」

 

「そうですね、北上さん。

私達二人が一緒にいれば怖いものなしです」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、ハワイと沖縄の中間にある小島。

 

「……爆撃成功したのか。ま、無事でなにより」

 

「僕は無事だけど、一緒にいた奴らが

勝手に突っ走っちゃってね……そいつらは

もしかしたら……」

 

ゲンブとサンズは爆撃に関して話をしていた。

 

「沈められた、ってか?確か戦艦級と

雷巡級が居たろ?数は少ないとはいえ

そいつらを沈めるような奴が居るんなら、

多少は楽しめそうだがね」

 

「……貴様ニトッテハ楽シイ事ダロウガ、

私ニトッテハ不味イ事態ダヨ」

 

南方棲戦鬼が話に混じる。

 

「彼ノ海軍ノ最終兵器……大和ト言ッタカ。

アレガイルトナルト、逃ゲナキャナラナイ」

 

「おいおい、姫さんよ。俺がいることを

忘れちゃならないぜ?」

 

サンズが人差し指で戦鬼の額を突く。

 

「何カ策デモアルノカ?」

 

「イエ〜ス。ただ、俺のやり方に絶対口は

出さないでくれよ?」

 

ニタリとサンズは笑い、仏頂面の戦鬼とは

反対に上機嫌になっていった。

 

「イイダロウ。何デモ破壊スルナリ殺スナリシロ」

 

「ワァオ、サクリファ〜イス♪」

 

サンズはそう言うと、準備をする為に海岸に

向かっていった。

 

「あの、よろしいんでしょうか?」

 

「何ガダ?」

 

いえね、とゲンブはしどろもどろしながら

戦鬼に向かって言った。

 

「ああなったらサンズは止まりませんよ」

 

「フフ、平気サ。多少ノ被害ハ良シトシヨウ」

 

「まあ、平気なら、それでいいんですがね……」

 

ゲンブはすごすごと引き下がり、島の奥に

向かって去って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

多少(・・)の被害で済めば良いですがね……」

 

ゲンブはボソリと、誰にも聴こえないような

小声で呟いた。

 

 

 




物語の中でレンゲが勝手に海域に
出ることへの影響に触れていますが、
「あれ、三宅島で勝手に出てたじゃん」と
思われる方もいると思います。
三宅島の一件は事後報告という形で
二人は報告し、その上部下の艦娘達には
箝口令を敷くことでなんとか隠しきりました。
しかし、沖縄では米軍と沖縄鎮守府は
互いに独立しているので箝口令が敷けず、
よって情報が漏洩する可能性があるので
レンゲは出撃出来ない、ということに
なっています。
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