転生レ級の鎮守府生活   作:ストスト

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更新遅れてすいません。


「交錯する刃」

「な……龍田、お前……‼︎」

 

突如戦いに乱入した闖入者の姿を見て、天龍は

思わず叫んでいた。

 

「なんでここにいるんだよ⁉︎」

 

「ちょっと、いつまで経っても戻ってこない

提督をしばきに」

 

薙刀を持ってきている所を見るに、何かあったと

勘付いたらしい。

龍田は薙刀を構えると霧秀を睨みつけた。

 

「そろそろウチの提督、返してもらえないかしら?

じゃないと、痛い目見るわよ〜」

 

龍田の威圧を受けても霧秀は身じろぎ一つせずに

龍田をじっと見つめている。

やがて、錆びついた声で話し始めた。

 

「……小童が……‼︎戦いに水を差すな、

黄泉の国に送られたいか‼︎」

 

神聖な戦いを汚されたとばかりに怒りに震える

霧秀。

彼から放たれる殺気とその姿を見て龍田は、

 

「……クス」

 

笑った。

そして、霧秀に向けて薙刀の鋭い突きを放つ。

その突きを容易く霧秀は回避するが、

 

「ッ‼︎」

 

彼は気付いた。

たった一回の突きではない。

一度の突きのモーションで、何回もの突きを

放っているのだと。

 

「ちぃ……‼︎」

 

驟雨のように放たれる何十もの突きを霧秀は

躱し、いなし、刀で弾いてゆく。

 

霧秀も攻撃を加えようとするものの、

薙刀のリーチは刀のそれよりも長く、龍田まで

届くことはない。

なおかつ龍田の薙刀の使い方も達人の域であり、

霧秀は攻めあぐねていた。

いや、それどころか霧秀は受けに回らざるを

得なくなっていた。

 

「あらあら、どうしたの?

提督と天龍ちゃんを傷つけた罰、ここで

受けてもらわないと」

 

(……こいつ……)

 

霧秀は龍田の瞳の中に憤怒の炎が燃え盛るのを

見た。

天龍を傷つけた者を抹殺せんとする怒りを。

それを見て彼は僅かに怖気を奮った。

これほどまでの怒りを、彼は今までに

数度ほどしか経験したことがなかったからだ。

そして、それと同時に、

 

(ならば、対処の仕方は簡単だ)

 

笑った。

 

行動を起こす。

龍田の薙刀を回避するやいなや、天龍の方へと

振り向き、左手の平を向けた。

その手の平の真ん中には、ぽっかりと小さな穴が

開いていてーーーーーー。

 

次の瞬間、そこから火を噴き砲弾が放たれた。

 

 

「ッッ‼︎」

 

突然の事ながらも天龍は身を翻して躱す。

しかし、壁に着弾した砲弾は爆裂。

そのかけらや破片が天龍へと襲いかかり、

それっきり、何も分からなくなってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、レンゲ達のいる仮設住宅では。

 

「……あれー……これでも駄目かー……」

 

「ん?時雨、何してるクマ?」

 

時雨と長月がノイズと砂嵐のような映像を

映し続けているテレビの前で右往左往していた。

 

「あ、球磨さん。実は、さっきからテレビが

こんな調子で。直りますか?」

 

「んー……こういう時は……」

 

球磨はテレビを触ったり見たりしていたが、

突然、ぐっと拳を握った。

そして。

 

「とおおおおおりゃあああああああああ‼︎」

 

思い切りテレビにその拳を叩きつけた。

 

ガッシャアアアアアアアアン‼︎という音と共に

テレビは黒い煙を噴出し、大きく凹む。

 

「あああああ何やってるんですか球磨さんんんん⁉︎」

 

「あっれー?おかしいな、北上がやった時は

これで直ったはずクマ」

 

「球磨姉、力が強すぎるんだよ。

あーあー、完全にテレビイかれちゃった」

 

北上がはあ、とため息をつきながらも訝しむ。

 

「でもこのテレビ、最近のやつなのに

すぐ壊れるなんてあまり考えにくいんだけど……

大井っち、ちょっといいかなー?」

 

「北上さん、私を呼びましたか?」

 

ひょこっと大井が寝室から顔を出す。

北上は大井に、テレビの調子なおかしいと

いう事を伝えてから、

「悪いんだけど、ラジオそっちにあるはず

だから持って来て」と頼んだ。

 

大井はすぐにラジオを持って来て、皆の

前で電源を入れた。

だがしかし、ラジオからはノイズの音が

鳴り響くだけでニュースも何も

聞こえなかった。

 

「あれ、おかしいですね?

久しぶりにいじったから壊れてしまった

んですかね?」

 

「……」

 

そのラジオを、北上はじっと見つめていた。

まるで……何かを疑うような様子で。

 

「……北上さん?どうしました?」

 

「あ、いやー、なんでもないよ」

 

ラジオとは未だに耳障りなノイズを放送していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーー闇から天龍は目を覚ました。

体を起こすと同時に肩に痛みを感じる。

壁にぶつけたか何かしたらしい。

だが、そんなことよりも天龍は目の前のことに

気をとらられていた。

 

 

目の前に対峙している霧秀と龍田。

だがその趨勢は今や霧秀が握っていた。

龍田はなます切りにされながらも必死に

薙刀を振るっている。

 

「シャアアアアアアアアッ‼︎」

 

「ぐっ、く……」

 

だが、ついに薙刀が打ち払われ、霧秀が

大上段から刀を振り下ろす。

 

それを見て、

天龍の視界に、

あの夜の光景がフラッシュバックした。

 

愛していた者の血で身体を染め、

血に濡れた刃を持ち、天龍を見据えていた

霧秀の姿。

首のない愛していた者の姿も。

そのむせ返るような匂いも。

全てが天龍の前に顕現した。

 

 

「や、め、ろおおおおおおおおおおおおおおッッ‼︎」

 

刹那、刀と刀がかち合う快音が響く。

 

「ッ……‼︎」

 

天龍が、霧秀の刀を自分の刀で受け止めていた。

 

「あと少し、だったのだがなぁ……。

貴様がもう少し長く気絶してくれていれば

こいつを殺せたのだが」

 

霧秀は口惜しそうに龍田を見た。

 

「だがまあ、人というのは面白い。

いかな達人といえども怒りに囚われれば

たちまちに素人同然になる。

そこの女子も例外ではなくてな」

 

霧秀は語る。

感情というものは人に力をもたらすこともある。

だがしかし、その逆も大いにありうるのだ、と。

怒りはまさにその例。

一度怒りに囚われれば、周りの事など

構うことなく暴れ回る。

 

「その点で言えば、感情など無用の長物。

悲しみも、怒りも、何も某は知らぬ」

 

ギチギチと、刀をせめぎ合わせながら

霧秀は喋る。

 

「つまり……さっきの怒りはお芝居だった、

そういうことか?」

 

「その通り。あそこまで簡単に引っかかるのは

某も初めてだ」

 

「……ッ‼︎」

 

天龍が霧秀を押し返し、後ろへと押しやる。

 

「……もうすぐ夜も明ける。

終わりにしよう、この戦いを」

 

天龍と霧秀が向かい合う。

雨は小降りになり、夜は更けてゆく。

やがて、どちらからともなく、

 

「「いざッ‼︎」」

 

剣戟の火蓋が再び切られた。

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