転生レ級の鎮守府生活   作:ストスト

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「追撃」

「球磨姉、多摩姉、それに皆も……本当に

ごめん‼︎こんな事になっちまって……‼︎」

 

球磨に抱き抱えられながら、木曾が

涙声で皆に謝罪する。

 

「アホ‼︎あんただけの責任やない‼︎

それにそんな事は沖縄に帰ってから言えや‼︎」

 

「……‼︎来たにゃ‼︎」

 

多摩の言葉通り、二つの影が天龍達に

向かって高速で接近していた。

怒号に近い大声を伴って。

 

「まあああァァァァァァァァァァてええええやァァァァァァァァァお前らァァァァァァァッ‼︎」

 

喉が張り裂けるのではと思われる程の叫びが

ドップラー効果と共に日没の空に響き渡る。

 

その声の大きさに北上が煩そうに耳を塞ぎ、

苛立つ様な声を上げる。

 

「うるさいなぁ……あぁもう、ウザイ」

 

そう言いながら大井と共に後進している

艦隊の殿……サンズ達と向かい合う状態に

なると。

 

「まあ、追ってくるようなら本気で

殺っときましょうかね」

 

「ええ、北上さん。……私と北上さんを追ってくる

無粋な馬鹿は、沈みなさいッ‼︎」

 

「とりゃあっ‼︎」

 

その艤装に満載されている魚雷、

のべ50本以上の魚雷を一気にばら撒いたのである。

 

「「「ちょっ⁉︎」」」

 

この行動に思わず声を出してしまう

天龍と龍驤、木曾。

 

「だ、大丈夫なのか北上姉?」

 

「ん?あー、へーきへーき。

これだけ撃てば流石に一本や二本は当たるよ」

 

確かに圧倒的な密度の弾幕を展開すれば

命中率は高くなる。

……そう、そのはずなのだ。

そうであるはずなのに。

 

「カカッ、カカカカカカカーーーーーーッ‼︎」

 

サンズは北上と大井の行動を嘲笑うように

彼女らの想像の()()()()上を行く

対応を取った。

 

要はジャンプで魚雷の弾幕を飛び越えたのだ。

ジャンプといってもそこらの人が

想像する様なレベルのものではない。

 

かつて三宅島の一件で長門と対峙した際、

彼は自分にかかっている浮力を一瞬弱めてから

一気に最大まで引き上げる事で驚異的な

跳躍力や高速移動を行い、長門を翻弄した。

現在サンズはその方法で約500m、高さ目算15m程

まで跳躍。魚雷の弾幕を飛び越え、上空から天龍達へと一気に襲いかかる。

 

「数打ちゃ当たると思ったその考えが甘いんだよ‼︎

その首貰ったァッ‼︎」

 

「そう簡単に取らせると思うなや‼︎」

 

刹那、サンズの背後から爆雷の一撃が襲った。

堅牢な装甲で覆われている為にサンズには

ダメージはないが爆発による衝撃は防ぐ事は

出来ず、はるか上空から

天龍達の手前の海面へと叩きつけられた。

 

その頭上を何かが二つ、高速で通過して

龍驤の持つ巻物の中へと吸い込まれた。

 

「ッ……なるほど、艦載機の攻撃か。

しかも、こんな暗い中でぶち当てるとはな」

 

だが、と彼はゆらりと立ち上がりながら呟いた。

 

「当てたとしても敵を殺れなきゃ意味ねェ。

俺を殺る気なら、テメェら人類の誇る叡智の焔でも

持ってくるんだな。それとも、俺を殺す方法を

知っているのか?」

 

彼は嘲笑う。もしも自身を殺す方法を持ち合わせて

いないのならば……。

 

「精々頑張って逃げるんだなァ‼︎

まな板女ァァァァァァァァァーーーーーーッッ‼︎」

 

そう叫びながら、サンズは再び天龍達へと

襲いかかった。

……いや、今回はサンズだけではなかった。

 

天龍達の背後から大きな水柱、飛沫と共に

霧秀が日本刀を構えて肉食獣の如く強襲する。

 

サンズが魚雷を跳躍でかわしたように、霧秀も

深く潜行して魚雷を回避、そのまま天龍達の

背後を取ったのだ。

 

同時の攻撃、しかも背後からの奇襲。

まずどちらかの攻撃は通ってしまうだろう。

……この場に、奇襲、それも近接戦に対応できる

艦娘がいなければ。

 

刃と刃が交差する。

それと同時に火花と甲高い金属音が響き渡り、

霧秀の攻勢は艦隊から少し離れた所で止められた。

 

「……また、貴様か」

 

「それはこっちの台詞だ……。

いい加減に俺達の前から永遠に失せろ」

 

天龍は霧秀の刀を上へと跳ね上げ、がら空きと

なった腹を狙い振り払う。

 

「さて、永遠に失せるのは……果たしてどちらか」

 

刹那、天龍の視界から霧秀の姿が忽然と消えた。

 

「ッ⁈」

 

それと同時に到来した寒気……いや、殺意。

それを感じ取った天龍はなりふり構わず

そこから飛び退いた。

 

……そこで初めて霧秀が目の前にいた事に

気付けた。

彼は消えたのではない。

身体海面と並行になるまで反らし、その上

膝を曲げて身体を海面へと近付けて天龍の視界から

逃れたのだ。恐るべき体幹と言えよう。

 

 

「前回は不覚をとったが……慢心はもうしない。

来い、天龍。貴様の命、某が貰い受けよう」

 

ギギ、と身体から異音を響かせながら霧秀が

起き上がり、片手に持つ刀の切っ先を

天龍へと向けた。

 

「……そうやって何人斬り殺した?

100人か?1000人か?それ以上か⁉︎

もうお前に殺される人が出ないように……

この場でテメェを()る‼︎」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、サンズは2人の艦娘に攻撃を阻まれていた。

球磨と多摩の2人にである。

サンズはなんとか艦隊へと近づこうとするものの

球磨と多摩の15.2cm連装砲の砲弾がそれを

許さない。

衝撃によって段々と後ろへと押されてゆく。

 

「……みんな。今のうちに早く行くクマ」

 

「ッ……私と北上さんもいた方がいいんじゃ

ないかしら?その方が……」

 

「だめにゃ」と多摩はそれを否定した。

 

「それだとこいつら以外の連中に襲われたら

今度こそアウトになるにゃ。

それならまだ北上と大井がいた方がいいにゃ」

 

どんどんと加熱されていく連装砲を

構えながら球磨が、叫んだ。

 

「……早く行けッ‼︎球磨達が足止めしている

間に‼︎出来る限り遠くへ逃げろッ‼︎」

 

「……ッ‼︎早よ行くで‼︎面舵いっぱい‼︎

両舷全速前進(フルアヘッツー)‼︎」

 

龍驤は素早く反応。北上達を引き連れて

全力で撤退する。

 

「さて、と……多摩」

 

「?」

 

連装砲を連射しながら、多摩が球磨の方を向く。

 

「遠慮はいらねェ……あのトカゲ男に球磨型に

手ェ出した事死んで後悔させてやれッ‼︎

イクゾオオオオオオオオオオオオオオオッッ‼︎」

 

その言葉と共に、球磨と多摩はサンズへと

決死の攻勢を繰り出した。

 

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