言い訳としては受験勉強が大変忙しくなり両立ができませんでした。
でも、一段落したのでぼちぼち続けていこうと思います。
というわけでよろしくお願いします。
番外編はもうすぐ投稿します。
前回のコミュ障ヘタレ。人気が出てきたAqoursたち。そんな時、東京のスクールアイドルのイベントの誘いがきた。しかし、そのイベントは2年前に瑠惟が見に行ったのと同じイベントであった。心配する瑠惟をよそに意気込むAqoursたち。そこで出会ったのは謎多きグループ『Saint Snow』彼女たちの実力とは・・・
Saint Snow ・・・ 正直少し疑っていたが、それは間違いだ。この子達は本物だ。
彼女たちのパフォーマンス、それは圧巻の一言だった。
他のグループもラブライブの上位グループなだけあって相当なものだった。
Aqoursも本来の実力以上を出せたが・・・
イベント終了後に運営さんから連絡があった。
運営「え~とマネージャーさん、これ今回の投票の結果ね。」
そういえば投票をするって言ってたな。どうなったんだろうか。
「ありがとうございます。」
「正直、渡すかどうか考えたけど出場するグループには渡すようにしてるから。じゃあお疲れ様で~す。」
渡すかどうかって、一体どういう意味なんだ?
「見てみようよ。」
「あ、あぁ。」
なんだろうこの感じ。なんとなく嫌な予感がする。
そう、2年前に感じたのと同じだ。
恐る恐る中身を確認する。
結果を見るとやはり上位には名の知れたスクールアイドル達がいた。
「Saint Snowは9位だったんだ。」
「あともう少しで入賞していたんだね。」
やはり彼女たちはすごい。パフォーマンス見てそう感じた。
「Aqoursはどこずら?」
「あっ・・・・」
そこには・・・・・・
「30位?」
「30組中で30位って・・・」
「ビリってこと!?」
『まぁでもよく頑張ったと思うよ。』と言うつもりだった。
得票数を見るまでは。
「得票数はどのくらい?」
「え~と。」
「!!」
得票数を見た千歌はその目を疑った。
なぜなら・・・
「0。」
「私たちに入れた人、一人もいなかったってこと?」
「千歌ちゃん・・・」
千歌はその場で何度も結果の書かれた紙を見返していた。
何かの間違いなんじゃないかって。
何度も何度も・・・
自分はただそんな彼女達を見ているだけしかできなかった。
自分にはこの間が何時間もの出来事のように感じられた。
そんな錯覚から引き戻したのはある一言だった。
「お疲れ様でした。」
そこにはSaint Snowがいた。
「Saint Snowさん。」
「素敵な歌でとても良いパフォーマンスだったと思いました。ただ、もしμ’sのようにラブライブを目指しているなら・・・諦めた方が良いかもしれません。」
「えっ・・・」
するともう一人の子が言ったのは・・・
「馬鹿にしないで。ラブライブは遊びじゃない!」
その目には涙が見えた。
『馬鹿にしないで。』か・・・
彼女達の言葉は沼津に帰る電車の中でもずっと頭に残っていた。
電車の中はとても女子高生がいるとは思えないぐらい落ち込んだ雰囲気に包まれていた。
何か言わなければ。
そう思って言いかけたとたんに千歌が言った。
「私は良かったと思うよ。」
「千歌ちゃん?」
「精一杯やったんだもん。努力して頑張って東京に呼ばれたんだよ。それだけですごいことだと思う。」
「だから胸を張っていいと思う。今の私たちの精一杯ができたんだから。」
千歌はそう言っているが明らかに様子がおかしい。いつのも千歌じゃない気がした。
同じ事を曜も察したのだろうか。彼女は千歌に聞いた。
「千歌ちゃんはくやしくないの?」
「え?」
「くやしくないの?」
「ちょっとは悔しいよ。でもみんなであのステージに立てたんだから。私はそれだけで満足だよ。」
その言葉を聞いたとたん、考えるよりも先に口が動いた。
「千歌、それは本気で言ってるのか!?もし本気でそんなことを言ってるなら・・・。」
そこまで言って我に返った。自分が何を言おうとしていたか。
それにみんなが驚いた顔でこっちを見ていた。
「すまない。取り乱した。忘れてくれ。」
自分は早く沼津に着くことを願った。一刻も早くこの空間から逃げたかった。
辺りの日が落ちた頃、自分たちはようやく駅に着いた。
改札を出ると学校の子達が出迎えてくれた。
みんな千歌達の方に集まりイベントの感想を聞いているようだ。
どことなく千歌達の顔が引きつっている。
あれだけ期待されていたからな。
今回の結果をどう伝えれば・・・
「おかえりなさい。」
この声は・・・
「お姉ちゃん。」
ダイヤさんがルビィちゃんを迎えに来たようだ。
その声はいつもの威厳のある声では無く、優しさに満ちた声だった。
ルビィちゃんはダイヤさんを見て安心したのか泣き崩れてしまった。
「よくがんばったわね。」
ダイヤさんによろしくって頼まれたのに、何をやっていたんだ自分は。
自分が不甲斐ないばかりにみんなに負担をかけてしまっていた。
絶対にあの日のようにさせないと誓ったじゃないか。
あぁいったいどうすれば・・・
するとダイヤさんが
「少し場所を変えましょう。」
ダイヤさんの一言で自分たちは駅を後にした。
東京であったことをダイヤさんに全部話した。
「得票ゼロですか。」
「やっぱりそういうことになってしまったのですね。」
「すいませんダイヤさん。自分のせいでこんな・・・」
「瑠惟君・・・」
「瑠惟さん、決してあなたのせいではありませんわ。だから顔をあげて。」
「Aqoursがダメだったというわけでもありませんわ。」
「スクールアイドルの数が増えすぎてしまったのですわ。」
確かに、第一回のラブライブに比べて去年エントリーした数は約10倍にまで増えている。
「ここまでスクールアイドルに人気が出たのは・・・」
「μ’sやA-RISEの影響ですか?」
「その通りです。それに伴い大会のレベルも上がっていった。」
「だからあなた達が誰にも支持されなかったのも、私達が歌えなかったのも仕方なかったのです。」
「歌えなかった?」
ダイヤさん。あの日のことを話すんですね。
「二年前、浦の星にはすでにスクールアイドルがいて学校のために動いていたんですわ。そうですよね瑠惟さん。」
「え?瑠惟君何か知ってるの?」
「少しだけな。」
ダイヤさんが話したのは二年前この浦の星にもスクールアイドルがいたこと。そのメンバーがダイヤさん、鞠莉さん、果南さんだったこと。二年前、東京で開催されたイベントで歌えなかったこと。そしてそのまま解散したこと。
二年前起こったことそれは大体自分の予想通りだったが一つ気になることがあった。
どうして果南さん達は歌えなかったんだ?
ダイヤさんは会場の空気に飲まれたといっていたがどこか引っかかる。
でも今はそんなことを考えている場合ではないな。
先に自分たちの問題をどうにかしないと。
このままではマズいことになるかもしれない。
とりあえず今日は夜遅いので解散ということにした。
家に帰った後すぐに寝ようと思ったが、どうしても眠れなかった。
すこし歩いてくるか・・・
まだ日も昇ってない浜辺は暗く寂しい気分になる。
すると海の方に向かって歩く人影が見えた。
あれは・・・千歌?
こんな時間にどうしたんだ?それに海に入っていったぞ。
「千歌!何してるんだ?こんな時間に。」
「え?瑠惟君?」
「『え?』じゃねーよ。こんな時間にこんなところいたら風邪ひくぞ。」
「うん。ありがとね。・・・私がしっかりしないとね。」
「ねぇ、瑠惟君は東京での私たちはどう見えたの?」
「どうって、今までで一番良かったと思うよ。」
「でもね、それでも私たちは『0』だったんだよ。」
千歌・・・
「あんなに練習したんだよ。頑張って曲も作ったんだよ。たくさん応援してくれてたんだよ。みんな頑張ってたんだよ。それなのに・・・0だったんだよ!悔しいじゃん!差がすごいあるとか、昔とは違うなんて関係ない!やっぱり私悔しいんだよ・・・」
「ちゃんと本当の気持ちが言えるんじゃねぇかよ。」
「え?」
「帰り道の千歌はどこかおかしいと思っていたんだ。おそらく他のみんなもそう思っていた。だから曜はあんなこと聞いたんだ。」
「でも、私が泣いたらみんな落ち込むでしょ。だから・・・」
全く、こいつはほんとに千歌なんだな。
「やっぱりバカ千歌だな。みんなは千歌の為にスクールアイドルをやってるわけないだろ。あいつら自身で決めたんだ。もちろん自分もそうだ。嘘だと思うなら後ろにいるあいつらを見てみろよ。」
「え?」
千歌が振り向くとそこにはAqoursが集結していた。
「だからさ、千歌は思ったことを口に出していいんだよ。それがリーダーだ。何か困ったことや悩みがあるならもう一人で抱え込まなくていいんだよ。メンバーがそばにいてくれる、もちろんマネージャーもいる。どうしても泣きたいなら泣いてもいいんだよ。自分が受け止めてやる。もちろんみんなもだ。そう約束したから。自分はAqoursといる時間が何よりも大好きで、大切なんだ。千歌もそう思うだろ。みんな気持ちは一つなんだよ。だから一緒に歩いていこう。」
「今から0を100にするのは無理だと思う。でも、もしかしたら1にすることは出来るかも。私も知りたいのそれが出来るかどうか。」
「梨子はこう言ってるぞ。」
「うん!そうだね!私、0からでもやるよ!1を目指して!」
『Step 0 to 1』か・・・ここから。0から始めていこう。
Aqoursなら、みんなならきっと輝けるよ。