コミュ障ヘタレと9人のアイドル   作: まきパリ

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遅くなってしまいすいません。それにしてもアニメがもうすぐ終わってしまいますね。どんな結末になるのか気になりますが同時に終わってほしくない気持ちもありますね。
今回から本編に戻ります。


コミュ障ヘタレと梨子の悩み

前回のコミュ障ヘタレ。お互いの想いを伝え過去の挫折を乗り越えて新たにAqoursに加わった果南、鞠莉、ダイヤ。こうして十人となったAqoursはラブライブに向けて特訓を始めた。

 

一学期も終了し、夏休み真っ盛りの浦の星女学院。そんなある日ダイヤさんから合宿をしようということで部室で会議中。

 

「これは私が独自のルートで入手したμ'sの合宿メニューですわ!私たちはこの合宿でこれをやろうとおもいますの!」

 

そう言って見せてきた合宿メニュー、確かにμ'sの内容と全く同じだ。以前、海未さんに見せられたので覚えている。

 

でもこれは女子高生がするメニューというよりは全国クラスの男子運動部がやるレベルだと思うが・・・。

 

そんな事も気にせずにダイヤさんは得意げに説明を続けていく。

 

でも夏休みって確か予定があったような・・・

 

すると曜が

 

「そ、そういえば千歌ちゃん、海の家の手伝いがあるって言ってなかったけ?」

 

「そうだった!私、自治会で出してる海の家の手伝いに行かなきゃ。」

 

あ!思い出したぞ。海の家を手伝ってくれって言われてたんだ。

 

「それ私もやらなきゃ。」

 

どうやら果南さんも頼まれていたようだ。

 

そうなると練習が出来ないな。

 

「うーん、じゃあ昼は全員で海の家を手伝って、涼しいモーニングとイブニングに練習するってのはどう?」

 

「でも、それでは練習時間が短くなってしまいますわ。」

 

「じゃあうちの旅館に泊まって合宿する?」

 

それならわざわざ学校に行く必要が無くなるな。

 

あれ?でも部屋って空いてたっけな?

 

確か、この時期は忙しいって美渡さんが愚痴ってたような・・・。

 

千歌は何か案があるのか?

 

「おい千歌、空き部屋なんてあったか?」

 

「無いよ。」

 

「オイオイ、じゃあみんなはどこで寝るんだ?」

 

「もちろん私たちの部屋で寝るんだよ。」

 

そうか。なるほど・・・。

 

ん?『私たち』?

 

「まさかそれって、こっちの部屋も使うのか?」

 

「当たり前だよ!私の部屋だけじゃみんな寝れないよ。」

 

知ってた。

 

不本意ながら合宿の予定が決まった。

 

「それでは明日の朝四時に海の家に集合で。」

 

いや、誰が来れるんだよそんな時間に。

 

ふと横を見るとどこか上の空の梨子が目に入った。

 

「梨子・・・聞いてるか?」

「え!?何?どうしたの?」

 

「明日からの予定の事だ。もしかして聞いてなかった?」

 

「ううん。大丈夫だよ。ちょっと考え事してただけだから。」

 

「・・・そうか。何かあれば誰かに相談しろよ。」

 

「ありがと。」

 

「じゃあまた明日な。遅れるなよ。」

 

「うふふっ、そんな千歌ちゃんじゃあるまいし。」

 

「それもそうだな。」

 

「さよなら。」

 

やっぱり様子が変だな。見たところ何か悩んでるように見えるが。

 

そう思いながら家路を急ぐのであった。

 

 

 

ー 合宿当日 ー

 

誰もいないと思うが一応朝四時に集合場所へ行ってみる(千歌は置いてきた)。案の定人がいない。と思いきや浜辺に立ち尽くす人影一つ。それはダイヤさんの冗談を間に受けて来た花丸ちゃんだった。

 

「花丸ちゃん。」

 

「瑠惟先輩!おはようございます。ところでみんなはまだずらか?」

 

「・・・・・・多分まだ来ないと思うから、旅館で待ってよう。」

 

「そうずらね。じゃあお邪魔するずら。」

 

結局全員集まったのは九時ぐらいでした。花丸ちゃん・・・

 

海の家の手伝いは午後からなので練習を始めるかと思いきや、みんなは海で遊んでいます。しかも全員服の下に水着を仕込んでいた。どうやら遊ぶ気満々だったようです。

 

自分は暑いのが苦手なのでAqoursが手伝う海の家と並んでいる別の海の家で涼んでいる。

 

だってこっちの海の家は・・・

 

「なんでこんなにボロいのですの?」

 

ダイヤさんのおっしゃる通り、隣の華やかさに比べてこちらは・・・趣があるかな?(笑)

 

それにしても眼福だな〜。

 

みんな水着がよく似合っていらっしゃる。

 

「あの・・・」

 

「はい?」

 

見知らぬ女性に声をかけられた。

 

「一人で来てるんですか?もし良かったら・・・これから一緒に遊びませんか?」

 

まさかの逆ナンでした。

 

「いや・・・でも・・・」

 

「瑠惟君!」

 

「うおっ、千歌か。どうしたんだ?」

 

「瑠惟君はこっちに来て!ほら行くよ!」

 

痛い痛いそんなに強く引っ張るなよ。

 

「あっ・・・彼女さんがいらしたんですね。ごめんなさい。」

 

そう言って女性は去っていった。

 

「千歌、そんなに怒ってるけど何かあったのか?」

 

「ふん!どうせ瑠惟君には分からないよー。」

 

「もしかして、彼女って言われた事が気に食わなかったのか?」

 

「それは別にいいの!」

 

「じゃあ何なんだよ?」

 

「・・・・・だって瑠惟君が女の人に声掛けられた時にデレデレしてたから・・・。」

 

え?そんなにデレてたかな?

 

「それは・・・男だから仕方ないな。」

 

「そうなんだ・・・。」

 

よく分からないな女子っていうのは。

 

「ところでさ・・・どうかな?」

 

「何が?」

 

「言わせないでよ!み、水着だよ・・・似合ってる?」

 

女子はそういうのが気になるんだな。、

 

「いいんじゃないか?千歌らしくて。」

 

「あ、ありがとう・・・。」

 

「なぁ、そろそろ時間だと思うんだが。」

 

「そうだね!みんな〜手伝い始めるよ!」

 

千歌の呼び声でAqoursが集まる。

 

「役割分担はどうするんだ?」

 

「私が決めますわ!」

 

ダイヤさんノリノリだな。

 

「千歌さんと梨子さんはこれを着てください!」

 

そう言って渡したのは・・・

 

「「これ何ですか?」」

 

「もちろんこの店のことが書いてる看板ですわ!」

 

正直に言うとかなりダサい。これで人が来てくれるとは思わないんだが。

 

「果南さんはチラシ配りを!」

 

「何で私なの?」

 

「果南さんはそのグラマラスボディで客を集めてくるのです!他の砂利共では話になりませんわ!」

 

怖い怖い、ダイヤさん鬼気迫りすぎだろ。

 

「鞠莉さん、曜さん、善子さんはキッチンを頼みますわ!」

 

「ヨーソロー!分かりました船長!」

 

「花丸さんとルビィは接客を!」

 

「マルにできるかな?」

 

「がんばルビィだよ!」

 

「私は皆さんのサポートに回りますわ!」

 

あれ?もしかして忘れられてる?

 

「ダイヤさん、自分は・・・。」

 

「あっ・・・、瑠惟さんもキッチンを。」

 

絶対に忘れてましたよね?

 

そんなこんなで役割が決まって、各自が仕事を始めた。

 

しばらくして思ったんだが・・・

 

「人が来ないな。」

 

「仕方ないよ。だって全部隣の店に持っていかれてるもん。」

 

すると曜がスマホを取り出して電話を始めた。

 

誰と話してるんだ?

 

「よし!これで大丈夫だよ!」

 

「何をしたんだ?」

 

「学校の友達に来てって頼んだらみんな来てくれるって。」

 

すごいなアイツらこんなクソ暑い中わざわざ来てくれるなんて。

 

曜の言った通り数十分後にはかなりの人が来てくれた。

 

まぁほとんどが知人だけどな。

 

それにしても・・・

 

「売上に偏りがないか?」

 

「「ギクッ!」」

 

どういう事かと言うと、キッチンには自分含め四人入って各自が考えたメニューを出しているのだが、売れているのが自分が作ったかき氷と曜の焼きそば?だけというのだ。ちなみに鞠莉さんと善子は何を作ったかと言うと、鞠莉さんが何か高級そうな食材をひたすらにぶち込んだ煮物で、善子は黒いたこ焼き?らしき物だ。両者とも見るからに不味そうである。

 

「まぁまぁ、二人共そのうち売れるよ!」

 

曜の励ましも虚しく、結局閉店まで全く売れなかった。

 

「じゃあ練習始めるか。」

 

ということで夕方から練習を始めたのだが、果南さんと曜以外が既にヘロヘロで走れていない。

 

「みんな、もう体力切れ?」

 

果南さんと曜が体力お化けなんだよ。

 

「仕方ないな・・・今日はもう終わりでいいか。」

 

それにしても今日の梨子は明らかに変だ。時折、立ち止まったりしていたし、少し心配だな・・・。後で聞いてみるか。

 

練習も終わり、風呂にも入って、今から晩ご飯なのだが・・・

 

「みんな聞いてくれ。」

 

「どうしたの?」

 

「美渡さんからの伝言で、今日余った食材を晩ご飯にしろ。との事だ。」

 

「で、その晩ご飯はコレだ。」

 

例のブツを取り出す。

 

「善子と鞠莉さんの考えたメニューだ。」

 

「「申し訳ございません!」」

 

「まぁ意外と美味しいってこともあるかもな。」

 

「「「「「「「「「「いただきます!」」」」」」」」」」

 

 

 

晩ご飯終わり、あとは寝るだけ。その晩ご飯は腹に来たけどな。二度と食べないでおこう。

 

梨子の件なんだが、みんなが起きていると言いづらいと思うので寝静まってからにしよう。

 

・・・・・・みんな寝たよな?

 

梨子には悪いけど起きてもらおう。

 

「おーい、梨子。起きてくれ。」

 

「・・・・・・」

 

起きないな。それなら。

 

「ビーチスケッチ・・・」

 

「桜内!」

 

やっと起きてくれた。

 

「どうしたの瑠惟君?」

 

「少し話さないか?」

 

ということで近くの浜辺に二人で来た。

 

「ねぇ、話って何?」

 

「今日の梨子の様子がおかしいと思ったんだ。前に梨子がスクールアイドルをやるかどうか迷ってた時と同じ顔をしていたんだ。」

 

「・・・・・・」

 

「もし、嫌じゃなければ話してくれないか?嫌なら無理に話さなくていいから。誰にだって人に言えない悩みとかあるだろうし。」

 

「・・・・・・」

 

やっぱり思い違いか?その方が嬉しいのだが。

 

「瑠惟君は何でもお見通しだね。実はね・・・・・・」

 

「なるほど。つまりラブライブの予備予選の日程とピアノのコンクールの日程が重なっていると。それは誰かに相談とかしたのか?」

 

「ううん。だってこれは私自身の問題だし自分で解決しなきゃって思って。」

 

「で、梨子はどうしたいんだ?」

 

「私は・・・ラブライブに出たい。みんなと過ごしてきて分かったんだ。Aqoursのみんなともっと一緒にいたい。だから私の今の目標は最高の歌を作ってラブライブの予選を突破する事。」

 

「そうか・・・。どうするかは梨子が決める事だからな。特に口出しはしないよ。悪かったなわざわざ起こして。」

 

「いいの。私もスッキリしたから。ありがとね。」

 

「気にすんなよ。それより、そろそろ出てきてもいいんじゃないか?千歌。」

 

「え!?何でわかったの!?」

 

「だって付いて来てるの見えてたし。」

 

「千歌、聞いてたんだろ?梨子の話。」

 

「ごめんね梨子ちゃん、盗み聞きするつもりは無かったんだけど出てくるタイミング逃しちゃって・・・。」

 

「千歌ちゃんはどう思う?」

 

「梨子ちゃんが出たいって言うならいいと思うよ。」

 

「そっか。じゃあ風邪引くといけないから戻ろう。」

 

そうして三人は部屋へと戻った。

 

この時、千歌がどこか悲しそうにしてたのは気のせいだろう。

 

二日目

 

昨日よりは客の入りは良くなったと思う。かき氷と焼きそばは売れ行きは相変わらず良いのだが、いかんせん例のブツを買おうとする勇者は現れなかった。

 

夕方の練習もみんな少しづつ慣れてきたのか、メニュー(自分が考え直したメニュー)をある程度こなせるようになった。

 

そしてやって来てしまった晩ご飯の時間。おい、売れ残った凶器は誰が食べるんだよ。

 

「曜、あいつらを上手くアレンジできないか?このままじゃ誰か倒れるぞ。」

 

「うーん、そうだね・・・あ!カレーにしてみようか!」

 

「もう何とか出来るならなんでもいい!頼む!」

 

「まかせて!」

 

曜クッキング中・・・

 

「できた!船乗りカレーwithシャイ煮と愉快な堕天使の涙たち。」

 

どれどれ・・・

 

「うまい!」

 

今日の晩ご飯は曜おかげで安心して食べることが出来た。本当に良かった・・・。

 

その日の夜、寝ていると千歌と梨子に突然起こされた。

 

「なんだよ・・・。寝かせてくれよ・・・。」

 

「いいから付いてきて。」

 

「ハイハイ。」

 

そして何故か浦の星女学院に連れて来られた。

 

こんな夜にどういうつもりだよ。ていうか何で学校空いてるの?セコムしてるの?

 

やって来たのは音楽室。

 

「そろそろ目的を話してもらおうか。千歌、梨子。」

 

「私は・・・千歌ちゃんに来てって言われたの。」

 

「私ねよく考えてみたら聞いたことなかったの梨子ちゃんの曲。」

 

確かに海の音を聞いてできた曲は一体どんな曲になったのだろうか?

 

「梨子ちゃんが悩んで一生懸命気持ち込めて作った曲でしょ。だからそれが聞きたくて。ここなら思いっきり弾けるし。」

 

「でも・・・。」

 

「お願い〜、少しだけでいいから。」

 

「自分も聞いてみたいな。梨子の曲。あの日三人で見た景色からどんな答えを出したのかが知りたい。」

 

「そんないい曲じゃないよ・・・。」

 

そう言って梨子は演奏を始めた。

 

梨子の奏でる音色は心に優しく広がり、暖かく、何より梨子を感じるものだった。

 

これがあの時の答えか・・・。

 

「どうだった?」

 

梨子が不安そうに尋ねる。

 

「すごくいい曲だね。梨子ちゃんがいっぱい詰まった・・・。」

 

「自分もいい曲だったと思う。全然変じゃない。素晴らしい曲だ。」

 

この曲を聞いて思った。やっぱり梨子には・・・。

 

「「梨子(ちゃん)」」

 

「ん?」

 

「「ピアノのコンクールに出てほしい。」」

 

「!!」

 

これが自分と千歌の答え。考える事は同じか・・・。

 

「昨日は梨子が決める事だって言ったくせにこんな事言うなんておかしいだろ?スクールアイドルやってほしいって言ったのに、Aqoursが大切って言ってくれたのに。」

 

「でもね・・・。」

 

「私が一緒じゃ嫌?」

 

「違うよ!そうじゃないよ!・・・私ね梨子ちゃんと約束した事思い出したの。スクールアイドルをやって梨子ちゃんの何かが変わって、梨子ちゃんがまた前向きにピアノに向き合えたらって・・・。」

 

「自分は梨子にはピアノを諦めないでほしい。スクールアイドルとして輝く梨子が見たい。でも梨子がもっと明るくピアノを弾いている姿も見たい。」

 

「瑠惟君・・・」

 

「無茶苦茶なのは分かってる。両立だってそんなに簡単じゃない。それでも梨子は大切な人だから・・・昨日みたいに一人で悩んでほしくない。千歌たちは絶対に予選を突破する。そう信じてるし、梨子にも信じてほしい。だから自信を持ってコンクールに出てほしい。全てをぶつけてきてほしい。桜内梨子という人間をあの曲に込めて。」

 

「私も梨子ちゃんを信じてるよ。瑠惟君たちと一緒に待ってるから。」

 

「・・・ホント変な人だね。」

 

「じゃあ・・・。」

 

「うん。私、行ってくるね自分の全てをぶつけるわ。みんなを信じて・・・。」

 

そうかなら良かったよ。

 

「そろそろ戻ろうか。まだ合宿は続くから少しでも休まないとな。

 

「「うん!」」

 

梨子はピアノのコンクールに出るという決心がついた。Aqoursは梨子を信じて、梨子はAqoursを信じてそれぞれの想いを胸に進んでいく。




クリスマスの話を書くかどうか迷い中です。

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