概要欄にも書いてますが、μ'sとAqours自体は絡みません。
前回のコミュ障ヘタレ。梨子が抜けた状態で予備予選に臨むことになったAqours。千歌達との関係に悩み、衝突してしまった曜だが、鞠莉や梨子からみんなの気持ちを聞いて自分を見つめ直すことができた。
そして今は・・・
千歌「結果はまだ~?」
瑠惟「あ、あともう少しだからお、落ち着け。」
曜「瑠惟君が一番緊張してるじゃん。」
直接ステージに立ったわけではないのにこんなにドキドキするなんて・・・。子を見守る親の気持ちだ。
結果を聞きたいけど聞きたくない。
そんなことを思っているうちに運命の時が訪れた。
ルビィ「出ました!結果が出ました!」
千歌「瑠惟君先に見てよ。」
瑠惟「マジかよ。」
できれば最後が良かったのに・・・
え~っとAqoursのAは・・・
上から・・・イーズエクスプレス・・・
えっ?
Aqoursってア行だよな?ということは・・・
瑠惟「ハハッ・・・」
千歌「どうしたの瑠惟君?もしかして・・」
曜「あっ、それエントリー番号順だよ。」
瑠惟「あ、ホントだ。」
確かAqoursは後ろのほうだったから・・・
続きは・・・グリーンティーズ、ミーナーナ
Aqours、海音おとめ。
ん?Aqours・・・
瑠惟「やったぜ。」
千歌「あった~!予選突破だ!」
みんなが歓喜に沸く。
まぁひとまずは安心だな。良かった。
瑠惟「梨子に報告しなきゃな。」
梨子に電話を掛けようとすると梨子の方からこっちに掛けてきた。
梨子「予選突破おめでとう。」
瑠惟「そっちはどうだった?」
梨子「うん。ちゃんと弾けたよ。本当にありがとう。」
どうやら梨子は賞を貰ったようだ。
瑠惟「それは梨子自身が努力した結果だ。おめでとう。」
梨子「ありがとう。」
瑠惟「両親によろしくと言っておいてくれ。」
梨子「分かったわ。」
そう言って電話を切った。
果南「これなら学校説明会も人が来るんじゃないの?」
千歌「説明会?」
鞠莉「九月に行うことにしたの。」
ダイヤ「この予備予選で学校の名前も知れ渡ったはず。」
鞠莉「そして現時点での説明会の参加希望数は・・・0」
全員「えっ?」
あれ~丘people!?なんでこうなるの?
ということでこの状況をどうするか話し合うことにした。
千歌「ある程度人気はあるんだけどな~。」
瑠惟「人気があってもその学校に入りたいかはまた別の話だからな。」
曜「μ’sはこの時期には廃校を阻止してたんだっけ。そうだったよね瑠惟君?」
瑠惟「あぁ穗乃果さんたちはアクシデントもあったが存続を成功させたんだ。」
果南「よく知ってるね。瑠惟って何かとμ’sに詳しいよね。」
千歌「そうそう。まるで本人達から直接聞いてきたみたいだもん。」
あっ、そういえばみんなにはμ’sと交流があるって言ってなかったな・・・
瑠惟「それは・・・・と、友達から詳しく聞かされたんだよ・・・。」
そのことを言うとややこしくなりそうだし、何よりAqoursの成長に繋がらない気がする。
μ’sの後を追いかけるのも一つの道だ。でも、それじゃμ’sを超えるのは絶対に無理だ。
μ’sにはμ’sの道があり、AqoursにはAqoursの道がある。
できればそれは千歌達自身で気づいて欲しい。
千歌「ねぇ、明日東京に行ってみない?」
曜「どうして?次の予選までには時間はあるけど・・・。」
千歌「見つけたいの。μ’sとAqoursの違いを。どうして学校を救えたのか。それを実際に見て、私達がどう進むべきかをみんなで考えたいの。」
瑠惟「いいんじゃないか?『百聞は一見にしかず』っていうしな。」
千歌は分かっているんだな。あいつも成長したな・・・。最初は少し頼りなかったけど、今はしっかりリーダーしてるじゃないか。
千歌「でしょ!じゃあみんなに相談してみるね!」
そう言って千歌は家にダッシュで帰った。
瑠惟「それじゃあ帰るよ。」
曜「ちょっと待って!」
瑠惟「どうした曜?」
曜「少しいいかな?」
そうして曜と来たのは
瑠惟「あの~ここは・・・」
曜「うん。私の家だよ。」
いや、それは分かっているんだ。知りたいのはどうしてここなんだということだ。
曜「実はね、私のお母さんが瑠惟君に会いたいって言うから・・・」
は?どういうことだ?
曜「私のお母さんはAqoursのライブとかよく見に来てくれてるんだけど、いつもAqoursと一緒に瑠惟君がいるのを見てたから、あの子は誰なのって聞かれて、私がマネージャーだって言ったら直接会って話したいって言ったの。」
瑠惟「なるほど・・・。」
つまりは娘の近くにいる男が気になるってわけね。
そりゃそうだろ。なんせ女子校に男子がいるし、よりによってスクールアイドルのマネージャーやってるからな。
曜「ダメかな?」
瑠惟「分かったよ。」
そんな上目遣いで頼まれたら断れんだろ。
それにできるだけ理解は得ておきたいしな。面倒事は嫌いだからな。
曜「よし!行くよ!全速前進ヨーソロー!」
できれば優しいお母さんだといいな・・・。
そう思いながら渡辺家へとお邪魔するのであった。
曜「ただいま~!」
瑠惟「お邪魔します。」
???「おかえりなさい。あら、その方は・・・。」
曜「ママ、瑠惟君を連れてきたよ。話したかったんでしょ。」
曜ママ「瑠惟君ね!娘から話は聞いているわ。はじめまして、曜の母です。」
瑠惟「はじめまして。西王瑠惟です。よろしくお願いします。」
曜ママ「今日は来てくれてありがとうね。さぁ上がって上がって。」
良かった。曜ママは優しそうな人だな。
曜「ついて来て。私の部屋に行くから。」
いきなり曜の部屋に行くのか・・・。なんか緊張するな。
曜「適当なところに座っていいよ。」
ここが曜の部屋か・・・。なんというか予想通りきっちりと整頓されていて、曜らしい部屋だな。
曜「あ、あんまり見られると恥ずかしいかな/////」
瑠惟「すまん・・・つい。」
曜「ところでさっきの続きなんだけど瑠惟君は千歌ちゃんの案のことどう思う?」
瑠惟「さっきも言ったが、全面的に同意してるぞ。」
曜「そっか・・・やっぱり瑠惟君は千歌ちゃんのことを信頼してるんだね。」
瑠惟「まぁそうだな。これでも千歌とは付き合いが長いからな。」
なんだかんだ小さい頃から交流があったからな。年に数回会えるぐらいだったが、それでも千歌と一緒に時間は今でも覚えてる。
曜「じゃあ千歌ちゃんのこと好きなの?」
瑠惟「!?」
な、何を言っているんだ!?確か『好きなの?』って聞かれたよな?
瑠惟「それはどういう意味だ?」
曜「そのままの意味だけど?」
これはどう答えるべきなんだ?いや、そもそも自分は千歌のことをどう思っているんだ?
ただの従姉妹?クラスメート?家族?それとも・・・・。
瑠惟「好きか嫌いかで言うなら、好きだ。ただ、それは曜が千歌に対して抱く『好き』と同じだ。」
曜「・・・だよね!そうだと思った!」
瑠惟「じゃあどうして聞いたんだ?」
曜「それは・・・内緒だよ。」
瑠惟「なんだそれ。」
曜「今度はそっちが質問していいよ。」
ほう。ならこっちは・・・
瑠惟「曜は好きな人がいるのか?恋愛的な意味で。」
アイドルになんてこと聞いてんだと思った。まぁ答えは予想がつくが。
曜「・・・いるよ。」
そうそういないよな。・・・えっ?
今『いる』って言ったよな。
瑠惟「マジで?」
曜「マジで。」
なんか意外な答えが返ってきたな。
曜「誰か知りたい?」
確かにどんな人なのか気になる。でも・・・
瑠惟「やめとくわ。いつか・・・そう、ラブライブで優勝した時にでも教えてくれ。」
曜「分かった。じゃあ約束だよ。」
瑠惟「あぁ。」
これはラブライブで優勝しないといけないな。約束は破らない主義なんでな。
曜「じゃあ次はね・・・・・・」
曜と色んなことを話してる内に時間は夕暮れ時になっていた。
曜「もうこんな時間だね。じゃあ晩ご飯食べよっか。」
瑠惟「いやいや、家で千歌達が待ってるし、ここでごちそうになるのは迷惑だろ。」
曜「それなら大丈夫だよ。」
え?
曜「千歌ちゃんには私が連絡したし、それに今日ここに来たのはママと話すためでしょ。」
さっきトイレに行ったときに連絡していたのか。・・・仕方ない。
瑠惟「じゃあごちそうになります。」
曜「うん!良い返事だね!」
ということで半ば強引に夕食を頂くことになった。
三人「いただきます。」
曜ママ「さぁいっぱい食べてね!」
瑠惟「美味しいです!」
曜ママ「ありがと!いや~まさか曜が男の子を連れてくるなんてね~。」
曜「ま、ママが会いたいって言うからだよ////」
曜ママ「いつも曜の面倒見てくれてありがとうね。おかげでこの子は毎日楽しそうに今日あったことを話してくれるの。」
瑠惟「いえいえ、マネージャーの仕事ですから。」
曜ママ「特にあなたのことばっかり話すのよ。」
瑠惟「そうなんですか?」
曜「もぉ~ママは余計なこと言わなくていいの~。」
瑠惟「自分も曜やみんなのおかげで毎日が楽しいです。みんなで練習したり、帰りに寄り道をしたり、一緒に曲や衣装を作ったり、本番の後みんなで喜び合ったり、どの時間も自分にとっては大切な宝物なんです。だからラブライブで優勝して学校を存続させたい。Aqoursとずっと一緒にいたいんです。」
曜「瑠惟君・・・。」
曜ママ「あなたがマネージャーで本当に良かったわ。これからも曜をよろしくお願いします。」
瑠惟「はい。」
渡辺家での食事は時間を忘れるぐらい楽しく温かいものだった。
瑠惟「ではそろそろ帰ります。今日はありがとうございました。」
曜ママ「また遊びに来てね。いつでも歓迎よ。」
曜「じゃあ瑠惟君また明日ね。」
瑠惟「あぁ。誘ってくれてありがとな。楽しかったよ。」
曜「私も取っても楽しかったよ。バイバイ。」
そうして渡辺家を後にした。
ずいぶん遅くなったな。これは千歌に怒られるな。
家に帰ると扉の前で千歌が立っているのが見えた。
瑠惟「ただいま。遅くなってすまん。」
千歌「おかえり。どうだった?楽しかった?」
瑠惟「あぁ。なかなか楽しかったよ。」
家に帰ると待っていてくれる人がいる。
『ただいま』って言うと、『おかえり』と返ってくる。
他の人にとっては当たり前なことかもしれない。でも自分にとってはこれ以上の幸せはない。
千歌「なんで笑ってるの?」
瑠惟「さぁ、なんでだろうな?」
千歌は・・・高海千歌は何よりも大切な存在だ。
瑠惟「明日は早いからもう寝るぞ。」
千歌「うん。」
翌日
昨日の千歌の提案で東京に来た。
急な提案にもかかわらず、みんなの予定が合って良かった。
駅で梨子とも合流することができた。
曜「それでまずはどこに行くの?」
千歌「最初は神社だよ。」
梨子「前にも行かなかった?」
千歌「実はね、ある人に話を聞きたくて調べたの。そしたら会ってくれるって。」
花丸「ある人って誰ずら?」
千歌「それは会ってからのお楽しみだよ。でも話を聞くにはうってつけのすごい人だよ。」
東京の神社でμ’sの話を聞くのにうってつけの人・・・もしかして希さんか?
でもそうだとしたら千歌の奴どうやって連絡取ったんだ?
まぁあまり期待はしないでおこう。
黒澤姉妹もどうやら希さんと会えると思っているらしく色紙とペンを買いに行った。
神社に行ってみるとそこにいたのはもちろん希さんではなく、
聖良「お久しぶりです。」
理亞「・・・・・」
Saint Snowの二人だった。
なんとなくは予想してた。
でもこの二人北海道住まいなのによく来てくれたな。
そして落胆するあの姉妹。
聖良「ここではあれですし、場所を変えましょうか。」
そうして来たのはUTX学園。
この学校は第一回ラブライブ優勝グループのA-RISEの学校だ。
かつてμ’sもここでA-RISEに宣戦布告したそうだ。
瑠惟「今日はわざわざ自分たちのため時間を割いていただきありがとうございます。あと予備予選突破おめでとうございます。」
聖良「いえいえ、私達もちょうどあなたたちに会いたかったんです。特に瑠惟さん。あなたにね。」
は?どういうこと?なんでこの人が自分に?
聖良「まぁその話は後で。Aqoursの皆さんも予備予選突破おめでとうございます。お互い勝ち進んで、もし会えるとしたら決勝ですね。その時は私達が勝ちますけどね。」
おうおう、いきなりの挑発と勝利宣言ですか。
聖良「私達の原点はA-RISEです。A-RISEを見てスクールアイドルを始め、A-RISEと同じ道を歩いてきました。その中でμ’sとの違いなどは考えたことはあります。でも私達は勝つことが全てだと思っています。勝たなければA-RISEと同じ場所には立てない。同じ景色は見れない。だから私達は勝たなければならないんです。」
なんだ、そんなことか・・・
瑠惟「それで楽しいですか?」
自然と口が動いていた。
千歌「瑠惟君?」
聖良「それはどういう意味ですか?」
瑠惟「言葉通りですよ。ただ勝つことだけを見て、そこにあなた達の気持ちはあるんですか?」
聖良「もちろん楽しむことも大切だと思います。でもそれは『勝利』という前提があってのことです。」
瑠惟「じゃあ『アイドル』ってなんですか?勝つことが仕事なんですか?その考えならあなた達は絶対にラブライブで優勝できない。これだけは断言できる。」
理亞「あなたいい加減に・・・」
聖良「理亞。」
理亞「・・・・・」
瑠惟「自分の尊敬するアイドルが言ってました。『アイドルっていうのは笑顔を見せる仕事じゃない!笑顔にさせる仕事なの!』と。歌って踊っているアイドルが楽しんでなかったら、見ている人達に笑顔することはできない。勝つ為にアイドルやってる奴なんてどこにもいない。みんなは見ている人達のために、応援してくれる人達のために、何より自分のために歌っているんだ。」
聖良「そうですか・・・ならAqousはどこに進むんですか?」
千歌「私達はみんなと一緒に進みたい。メンバーのみんなと、応援してくれる人達と、私達を支えてくれる人達と、そして自分自身と。みんなでラブライブの優勝を目指します!」
千歌も言うようになったじゃないか。
聖良「みなさんらしいですね。私達は決勝で待ってますから。」
上等だ。絶対に決勝に行ってやる。そして・・・
聖良「瑠惟さん。」
瑠惟「はい。」
聖良「やはりあなたは素晴らしい人です。今年できたAqoursを支え、ここまで連れてきた。」
瑠惟「それはどうも。」
聖良「私達は考えたんです。Aqoursの強さの秘訣は何か。そして一つの結論に至りました。Aqoursはあなたが強さの秘訣だと。それであなたのことを調べさせてもらいました。西王瑠惟さん。あなたはかつてバスケットボール選手として無名の学校を全国大会で優勝させた。」
瑠惟・千歌・梨子「!!」
なんでそのことを知っている!?
聖良「でも、ある大会で負傷した後、表舞台から姿を消した。そして今はスクールアイドルのマネージャーとして、Aquorsを影から支えている。正直に言うと私達はあなたの力を認めています。そこで一つ・・・・」
なんだ、これ以上何を言うんだ。
聖良「Saint Snowのところに来ませんか?」
一瞬彼女の言ってることが分からなかった。
聖良「Saint Snowにはあなたの力が必要です。ラブライブで優勝するためにも。私達があなたの言う本当の『アイドル』になるためにも。」
Aqoursのみんなも突然の事で驚いている。
特に梨子は何が起こったのかすら分かっていないようだった。
でも返事は決まっている。
瑠惟「悪いが・・・」
千歌「ダメだよ!そんなの絶対にダメだよ!」
自分よりも先に千歌が答えた。
梨子「そうだよ!彼は私達を・・・Aqoursをスクールアイドルの頂点に連れて行ってくれると約束してくれたの!」
曜「瑠惟君がいないAquorsはAqoursじゃないの!」
ルビィ「ルビィの背中を押してくれた先輩は大切な人なんです!」
花丸「先輩は嘘をつかないずら。だからオラ達のそばにいてくれるずら!」
善子「我がリトルデーモンを奪おうとするとはいい度胸ね!」
果南「一度離れてしまった私達をもう一度繋げてくれた彼にまだ私達は何も返せていないの。だから絶対に渡さない!」
鞠莉「迷った時に手を差し伸べてくれる彼は私達に必要なの!」
ダイヤ「もう二度と大切な人は失いたくないんですの!」
みんなが必死に止めようとしてくれた。
こんなにも信頼されたら裏切れないよな。
瑠惟「光栄な話ですが、まだこいつらを優勝させる仕事が残っているのでそちらに行くことはできません。」
聖良「まぁ最初から答えは分かっていましたけどね。良かったですね。こんなにも愛されて。あなたはAquorsに必要な人です。」
試されていたということか。
すると聖良さん、理亞ちゃんがこっちに来て耳元で囁いた。
聖良「でも、私達はいつでもあなたを歓迎しますから。あと今度会う時は聖良って呼んでね。」
理亞「私は諦めないから兄様のこと。」
瑠惟「/////」
この二人は本当に苦手だ。
千歌「なんで照れてるの!」グイッ
千歌に引っ張られて正気に戻った。
聖良「そろそろ時間ですね。みなさん行きましょうか。」
確かにもうすぐだな。
千歌「どこに行くんですか?」
聖良「今年のラブライブ決勝の発表です。恒例になっているんです。」
ということで見に行った。
今年はどこだろうか?
瑠惟「やはりこの場所か。」
予想通りだった。
Aquors「秋葉ドーム・・・。」
μ'sが最後のライブで使った場所であり、彼女達の戦果。μ'sがいなければラブライブがここで開催されることは無かった。
みんなから緊張感が伝わってくる。
瑠惟「改めて決勝の舞台が分かったわけだが感想はどうだ?」
千歌「私ね、今すごくドキドキしてるの。本当にここで歌うのかって。でもねそれ以上に・・・」
Aqours「楽しそう!」
そうか・・・。
瑠惟「じゃあここで歌えるように努力しないとな。」
千歌「そうだね。じゃあ内浦に帰ろう。」
その時だった。
梨子「待って!」
千歌「どうしたの?」
梨子「音ノ木坂に行ってみない?前は行けなかったし。」
瑠惟「そうだな。最後にそこに行こうか。」
音ノ木坂に着く直前、自分にとっては見慣れた光景があった。
瑠惟「懐かしいな。この階段も。」
千歌「ここって、μ'sが練習に使っていた・・・。」
この場所でμ'sが歩んでいったんだ。スクールアイドルの頂点の道を。
穂乃果さん、今あなた達に憧れた九人がここを登ろうとしているんです。学校を救うために、夢を叶えるために。これも何かの縁ですかね。
階段を登りきると音ノ木坂が見えた。
全員が立ち止まり、それを見ている。
すると音ノ木坂の生徒が声を掛けてきた。
生徒「どうされたんですか?」
千歌「ちょっと見学を。」
生徒「もしかしてスクールアイドルの方ですか?」
千歌「はい。」
生徒「そうでしたか。見に来る人は多いですよ。μ'sの出身校ということで。でも、あの人達は何も残していきませんでした。本当に何も。ただあるのはμ'sが音ノ木坂を救って、ラブライブで優勝したという事実だけ。」
あの人達ならそうするだろうな。
それが分かったらなもうここにいる意味は無いな。
千歌「なんで何も残さなかったと思う?」
千歌がふと呟いた。
瑠惟「残す必要がなかったんじゃないか?・・・μ'sはスクールアイドル。そしてあの9人がいるからμ'sなんだ。誰かが抜けてしまえばそれはμ'sではない。この学校からμ'sの事は消えてしまったが、他に大切な物を残してくれた。それはスクールアイドルの力。スクールアイドルの素晴らしさ。あの人達はそれを証明してくれた。そして今年も秋葉ドームでラブライブが開催できるんだ。多分自分もμ'sと同じ立場ならそうするだろうな。」
千歌「やっぱり凄いんだねμ'sは。私達は本当に追いつけるのかな?」
瑠惟「それは無理だと思うな。」
全員「え?」
瑠惟「μ'sとAqoursは違う。もちろん他のグループもだ。スクールアイドルの数だけ道がある。同じ道なんてどこにも無いと思うな。」
千歌「そうだね。私もそう思う。」
ならもうここにいる意味は無いな。
瑠惟「じゃあ帰ろうか。」
千歌「うん。でも最後に。」
全員「ありがとうございました!」
内浦に戻ると日が沈みかけていた。
解散しようとすると千歌が言った。
千歌「みんな、私分かったんだ。私達は私達自身の道を進んでいかなきゃダメだって。μ'sでもA-RISEでもないAqoursだけの道を。そこにきっと私の探してる『輝き』があると思うの。」
曜「Aqoursの道って?」
千歌「自由に走ることだよ。全身全霊前に向かって真っ直ぐに。みんなと一緒に。そして私は『0』を『1』にしたい。あの時のままで終わりたくない。」
梨子「自由に走ってバラバラになったりしない?」
瑠惟「なら自分は走り続けるみんなを支えたい。誰かが転んだり、はぐれてしまいそうなら手を取って一緒に走りたい。」
果南「そうだね。私も2年前と同じ過ちを繰り返したくない。今度は最後までやり遂げたいの。」
千歌「私はできるって信じてる。一緒にいてくれる仲間と支えてくれる人がいるんだもん。」
今まで暗くて見えなかった道が一気に明るく晴れた気がした。
これでAqoursの進むべき道が決まったな。
何かを追いかけるんじゃなく自由に進む。みんなで一緒に。お互いを支え合いながら。それぞれの目的は違うかもしれない。でも目指す場所は同じだから・・・。
今度Aqoursのライブに行きます。