今回でアニメの1期が終わります。
前回のコミュ障ヘタレ。無事に予備予選を突破したAqours。しかし学校存続の目処が見えず、μ'sと自分たちの違いを探しに東京へ行った。そこでSaint Snowと再開し、各地を回ることで自分達の進むべき道を見つけたのであった。
ついにこの日が来た。ラブライブ予選本番。これを突破すれば秋葉ドームでの決勝。しかも浦の星に生徒を呼び込む最大のチャンスでもある。
千歌もその事を理解してるのか、朝から緊張感が漂っている。
おそらく他のメンバーも同じ状態だろう。
瑠惟「じゃあ先に行くぞ。みんなのこと頼んだぞ。」
千歌「うん・・・。」
自分はマネージャーという立場上、先に会場に行き、色々と準備しないといけない。
できることなら会場まで同行して少しでも緊張を減らしてあげたい。
少し心配しながらも家を出た。
予選は今までよりも大きな規模の会場で行われる。
決勝の秋葉ドームには及ばないが、それでも大きいことに違いはない。
会場に着くと、そこには・・・
聖良「おはようございます。」
理亞「おはよう。」
瑠惟「!!」
なんでSaint Snow がいるんだ?
まさか応援にでも来てくれたのか?
聖良「私達が今日来た目的はあなたが考えてる通りですよ。」
へえ〜、そうか・・・。
瑠惟「そうですか。わざわざありがとうございます。意外とAqoursの事を気に入ってるんですね。」
聖良「確かにそうかもしれません。実際、彼女達のことは認めていますし。でも彼女達はあくまでもライバル。敵を知ることは勝利において必要な事ですから。」
本当に素直じゃないな。
理亞「・・・私達は決勝で絶対に勝つ。だからこんなところで負けたら・・・。」
瑠惟「負けないように頑張りますよ。」
聖良「とにかく今日はあなた達の答えを見せてもらいます。Aqoursの道というものを。」
受けてやろうじゃないか。
瑠惟「じゃあ準備があるので行きますね。」
聖良「では頑張ってください。あなた達の健闘を祈ります。」
準備が終わる頃には他のスクールアイドル達が集まり始めていた。
みんなを迎えに行くか。
千歌に連絡を取り、Aqoursのところへ向かうとそこには・・・
瑠惟「なんで浦の星の生徒がこんなにいるんだ?。」
見る限りではほとんどの生徒がいるようだ。
生徒A「応援は私達に任せて!」
生徒B「今日は頑張ってね!」
生徒C「浦女の力を見せてやって!」
瑠惟「千歌、これは一体・・・。」
千歌「うん!みんなが応援に来てくれたの!私達の姿を近くで見たいって、一緒に頑張りたいって。」
梨子「愛されてるんだね私達・・・。応援してくれる人がたくさんいる。」
曜「これじゃあ負けられないね。」
瑠惟「浦女の生徒だけじゃないぞ。なんとSaint Snowの2人も来てくれたぞ。」
千歌「ほんとに!?聖良さんと理亞ちゃんも来てるの!?」
瑠惟「まぁ半分偵察みたいなものだけどな。」
千歌「そうなんだ。・・・じゃあそろそろ控え室に行ってくるね。」
瑠惟「待ってくれ。」
そう言って、行こうとした千歌の腕を掴んだ。
瑠惟「少し時間をくれ。次に会えるのはライブ後だからな・・・。」
Aqoursのみんなが聞く姿勢に入ったところでひとつ深呼吸した。
瑠惟「分かっていると思うけど、大事なのは楽しむこと。ライブ中は学校存続の事は考えなくていい。会場にいる人達にAquorsの輝きを見せてやるんだ。Aqoursにしかできないステージを。もし不安なら今までやってきた事を思い出してみて。みんなの努力はみんな自身がよく知ってるはずだ。絶対に大丈夫。」
瑠惟「さぁ行こうか。0を1にする時だ。」
千歌「瑠惟君、見ててね私達の最高のステージを!」
瑠惟「もちろん。」
離れていくその背中は最初の頃に比べてずっと頼もしく見えた。
みんなを見送った後、ある人と待ち合わせをしていたので観客席の方へと向かった。
この辺りにいるって言ってたんだけど・・・
「瑠惟。」
この声は・・・
瑠惟「母さん・・・。久しぶり。それに父さんも。」
母「あなたがどうしても来て欲しいって言うからね。」
父「元気そうでなによりです。」
瑠惟「忙しいのにごめん。まぁ今日は楽しんでってよ。」
母「実は・・・一緒に来たのはまだいるわよ。」
瑠惟「え?呼んだのは2人だったはずだけど?」
まさかあの人達も来てくれたのか?いや・・・そんなわけないよな。
でも母さんならやりかねないな。
穂乃果「おっはよー。それと久しぶり!」
ほんとに来たわ。
瑠惟「おはようございます。穂乃果さん。それに海未さん、ことりさん。」
海未「全く、あなたという人はどうして私達を誘ってくれないのですか。」
ことり「まぁまぁ海未ちゃん、きっと瑠惟君も恥ずかしかったんだよ。」
瑠惟「今日は3人だけですか?」
穂乃果「うーん、私達も昨日知ったからみんなを誘う時間がなかったの。」
海未「確かAqoursでしたか?あなたの学校のスクールアイドルは。」
瑠惟「はい。きっと驚きますよ。それと・・・」
ことり「それと?」
瑠惟「Aqoursはμ'sを超えてみせます。あいつらの憧れだった皆さんを超えるために憧れるのはもうやめました。μ'sがラブライブで優勝したようにAqoursも優勝します。それがみんなで決めたことなんです。自分はそんなみんなに捧げ、尽くすと決めた。そしてAqoursを頂点へと連れていきます。」
穂乃果「今日、ここに来て良かった。瑠惟君の言葉を聞けて。」
海未「瑠惟、変わりましたね。あの時とは別人みたいです。」
ことり「頑張って私達を超えてね。楽しみにしてるよ。」
やっぱりこの人達には頭が上がらないな。
ありがとうございます。
心の中でそう思った。
すると会場の照明が変わり、ついに予選が始まった。
Aqoursの出番はラスト。その他にもいくつかのグループが出場している。どのグループも聞いたことのあるスクールアイドルばかりだ。
この中で勝ち上がるのはかなり難しい・・・。
でも・・・
瑠惟「千歌達ならできるさ。」
(ここから第3者視点です。)
時は少し遡り、場所は控え室へ。
千歌達は瑠惟と別れた後、控え室で着替えを済ませ曲の最終チェックを行っていた。
みんなの中には緊張とワクワクが入り混じった感情があった。
千歌「よし。本番もこれでいこう。」
こう言う千歌だったが内心これで勝てるのかと思っていた。
千歌の心情を察したのか2年生の曜と梨子が声を掛けてくれた。
曜「千歌ちゃん、大丈夫?さっきから元気がないみたいだけど。」
梨子「きっと大丈夫だよ。あんなに練習したんだもん。私達ならできるよ。」
千歌「曜ちゃん、梨子ちゃん・・・ありがとね。・・・うん!そうだよね!大丈夫だよね!」
千歌はこの2人が友人で本当に良かったと思った。
曜「それに千歌ちゃんが大好きな瑠惟君も見てくれてるしね♪」ニヤニヤ
千歌「もぉ〜!そういう事言わないの!」
梨子「千歌ちゃん、照れてる〜。」
千歌「2人ともやめてよ〜!」
そこには先程の暗さはどこにもなく光り輝く太陽があった。
そしてこちらには1年生3人の姿があった。
花丸「丸たちは最後の方だったずらね。なんだかのっぽパン食べたくなってきたずら。」
善子「あんたは緊張感なさすぎなのよ。もう少し・・・」
ルビィ「花丸ちゃんも善子ちゃんもすごいね。ルビィはさっきからドキドキが止まらないの。」
花丸「うーん、だって緊張しても仕方ないずら。やることはやってきた。だから後はそれをステージで出すだけ。図書室にいたままじゃ絶対に見ることは無かった景色。丸は早くそれが見たいずら。Aqoursのみんなと。」
善子「・・・そうね。私もあんた達が誘ってくれなかったら学校にさえ来れてなかったかもしれない。先輩達から勇気を貰って、一緒に頑張ってここまで来れた。だから・・・その・・・ありがとね。」
ルビィ「ルビィも花丸ちゃんや先輩達から背中を押してもらった。それで大好きなスクールアイドルになることができた。お姉ちゃんもきっと同じ気持ちだと思う。ルビィはまだみんなと一緒にいたい!」
最初は頼りなかった3つの種は今では綺麗な花を咲かせようとしている。
どこまでも優しく、暖かい花を。
果南は自分がここにいることを夢にも思わなかった。
それはダイヤも鞠莉も同じである。
果南「鞠莉、ダイヤ、思い出さない?昔のこと。もしあの時辞めないで続けていたらどんな風になってたかな?」
あの時・・・かつてのAqoursが越えられなかった壁を10人で越えて、今日という日がある。
鞠莉「そんなことどうでもいいじゃない。」
鞠莉は果南の問いをばっさり切り捨てた。
ダイヤ「だって私たちには仲間がいて最高の今がある。それ以上何を望むですの?」
果南「うん。そうだよね。」
果南(またみんなと歌うことができるのはあなたのおかげだよ。瑠惟。本当にありがとう。そして・・・大好きだよ。)
鞠莉「果南どうしたの?そんなうれしそうな顔して。」
果南「なんでもない。ただ・・・私は幸せ者だなって。」
果南「さぁ!あの時置いてきたものをもう一度取り戻そう!」
かつて動きを止めた時計はある1人の青年によって再び動き出した。
今度はもう止まらない。永遠に。
千歌「みんな出番だよ!」
Aqours全員で円陣を組む。これも何回やっただろうか。
千歌「これからいろんなことがあると思う。楽しいことだけじゃなくてや辛いこともたくさんあると思う。。でも私はそれを楽しみたい!どんなこともみんなと一緒に乗り越えたい!ここにいるのは私達だけじゃない。瑠惟君や学校のみんな。内浦の人達がいる。みんなと一緒に輝きたい!」
瑠惟視点に戻ります。
Aqours以外のスクールアイドルの出番が終わり、ついにみんなの出番だ。
やはりと言うべきかどのグループもハイレベルで地区予選とは思えないぐらい完成度が高かった。
その証拠に穂乃果さんたちも度々感嘆の声を漏らしている。
穂乃果「次だね。」
海未「見させてもらいますね。あなたが信頼する彼女達を。」
ことり「瑠惟君、もっと前に行かなくていいの?」
自分たちがいるのは観客席ではなく観客席近くの通路である。
まぁμ'sが来ていると知られれば大会どころではなくなるので敢えて人が少ないところで見ている。
そうだな・・・近くで見守るのもマネージャーの務めだしな。
瑠惟「じゃあ前の方に行きます。」
そう言って観客席脇の階段を駆け下りた。
かなりステージに近くなったところでAqoursのみんなが出てきた。
ここで千歌と目が合う。
瑠惟(がんばれよ。ここで見てるからな。)
千歌(うん。私達の輝き、見ててね!)
そんなテレパシーみたいなのを感じた。
そしてAqoursのステージが始まった。
千歌「今日は皆さんに、伝えたいことがあります!」
え?どういうこと?予定ではあの曲から始まるはずだが・・・
千歌「それは私たちの学校のこと!街のことです!」
すると千歌はステージ中央に向かい走り出す。
千歌「Aqoursが生まれたのは、海が広がり、太陽が輝く、内浦という街です。」
何が起こってるのかよくわからないうちにミュージカル?みたいなものは進んでいく。
千歌「小さくて人もいないけど、海にはたくさんの魚がいて、みかんが一杯取れて・・・暖かな人であふれる街。」
暖かな人は家族のことだけじゃない。梨子や曜、しいたけや学校のみんな・・・。
そうだろ千歌?
千歌「その街にある小さな小さな学校。今ここにいるのが全校生徒。そこで私達はスクールアイドルを始めました。」
曜「アキバで見たμ’sのようになりたい!同じように輝きたい!スクールアイドルの頂点に立ちたい!でも・・・」
千歌・曜「作曲!?」
ダイヤ「そう。作曲ができなければラブライブには出られません!」
千歌「そんな時、マネージャーとして瑠惟君が入ってくれました!」
唐突に名前を出され目線がこちらに集まる。恥ずかしい。
穂乃果「へぇ~そうだったんだ。」
近くまで来ていた穂乃果さんがいたずらっぽく言った。
あまりこちらを見ないでほしい。あとツンツンするのもやめてください。
千歌「3人で曲を作ろうとするけどうまくいきません!」
曜「そして作曲のできる少女、梨子ちゃんが転校してきたのです。」
千歌「奇跡だよ!」
そういえば梨子が来てからずっと言ってたもんな『奇跡だよ!』って。
周りを見るとみんなが笑顔になっているのがわかる。
内浦の人だけじゃなく会場のみんなが。
千歌・曜「東京から来た梨子ちゃんは最初スクールアイドルに興味がなかった。東京で辛いことがあったから。でも・・・」
梨子「輝きたい!」
千歌「こうして私達は曲を完成させライブをすることができました。」
曜「そして・・・」
花丸「おら、運動苦手ずら・・・だし。」
ルビィ「スクールアイドル好きだけど、人見知りだから・・・」
善子「堕天使だけど・・・」
花丸・ルビィ・善子「それでも・・・そんな私達でもスクールアイドルになりたい!」
千歌「そうしてAqoursは7人になりました。」
曜「東京で初めてのイベント!」
梨子「気合十分で望んだ私達でしたが結果は・・・」
2年生「0でした。」
曜「初めての挫折。やめる?千歌ちゃん。」
千歌「ううん、やめない!だって悔しいじゃん!」
梨子「私達の目標が増えました。」
千歌「0から1へ!」
ここで3年生の登場。
果南「私はもうスクールアイドルをやらない。そう決めていました。でも・・・」
鞠莉「諦めたくない!もう一度歌いたい!」
ダイヤ「私達のそんな想いをAqoursのみんなが繋いでくれました。」
千歌「そしてAqoursは10人になった!」
曜「頑張ってラブライブ予備予選を突破した私達。でも・・・」
梨子「入学希望者は0人。」
花丸「私達は0と縁があるずら。」
ルビィ「たとえ0でも・・・諦めない!」
善子「あの日そう誓ったから!」
果南「私達は決めました。」
鞠莉「μ'sと同じ道を進むんじゃない!」
ダイヤ「私達の・・・Aqoursの道をみんなと一緒に進むことを!」
1年生「今を全力で楽しむ!」
3年生「輝くって楽しむことだから!」
2年生「あの日0だったものを1にするために!」
曜「そして今日・・・」
梨子「この舞台で・・・」
千歌「さぁ行くよ!・・・1!」
曜「2!」
梨子「3!」
花丸「4!」
ルビィ「5!」
善子「6!」
ダイヤ「7!」
果南「8!」
鞠莉「9!」
瑠惟「10!」
反射的に叫んでいた。
しかし次に聞こえてきたのは・・・
大勢「11!」
Aqours「!」
会場のみんながコールしてくれたのだ。
これがAqoursが目指すみんなで輝くことか・・・
こんな最高の舞台は他にないだろう。
良かったな。みんな・・・。Aqoursは愛されてる。愛されてるってことはどんなに歌が上手いとかどんなにダンスがすごいとかより難しい。
みんな楽しんでこい!
千歌「今、全力で輝こう!0から1へ!」
全員「Aqours!サンシャイン!」
この日のためにみんなで練習してきた曲。
瑠惟「『MIRAI TCIKET』か・・・」
穂乃果「いい曲だね。みんなの想いが伝わってくる。」
海未「私達とは違う・・・。でもなんだか心が暖かくなります。」
ことり「これがAqours・・・。私も応援したくなってきた。」
伝説のスクールアイドルを唸らせる小さな街の小さな学校の大きな心を持った9人の少女。
これだからマネージャーはやめられないな。
曲が大サビに入る直前千歌が叫んだ。
千歌「みんな一緒に輝こう!」
その言葉に反応したみんながステージ付近まで駆け出した。
これはもちろんルール違反だが、大事なのはそこじゃない。
みんなと輝くことがAqours。その輝きに魅せられた人達が集まるのも不自然ではない。
最初の頃の自分なら真っ先に止めていた。でも、今日の自分はそんなことはしなかった。
勝利主義のSaint Snow でさえも一緒に駆け出していたのだ。
つまりはAqoursは今を全力で輝いている。競走(ルール)にとらわれずただ真っ直ぐに。これが千歌達のやりたかったこと。
この瞬間は会場の人々は大会ということを忘れたかのように楽しんでいた。
結果から言うとAqoursは決勝には進めなかった。
理由はエントリーしてない人がステージに近づいてルール違反になったから。当たり前のことだ。
それでも今日の出来事はスクールアイドル界で大きな反響を呼んだ。
もしAqoursが決勝に出ていたら優勝の可能性もあったと。
大会の後、千歌に聞いた。
瑠惟「千歌、後悔してるか?」
千歌「確かに決勝には出場できなかった・・・。でもね私すっごく楽しかった!これがAqoursの道なんだって身体で感じた。だから後悔はないよ。瑠惟君はどう?」
瑠惟「正直に言うと決勝に行きたかった。でも、あんなに楽しそうな千歌達の姿を見れたからな。後悔なんてどこにもないな。」
千歌「ごめんね。私達が勝手なことしちゃって。」
瑠惟「何言ってんだ。あんなことできるのはAqoursぐらいだよ。他人と違うことができるのはすごいことだ。もっと誇りを持て。」
千歌「ありがとね。大会前に瑠惟君が話してくれたおかげで安心できたの。」
瑠惟「それくらいしかできないからな。そういうのはマネージャーの仕事だ。」
千歌「うん。お疲れ様。」
瑠惟「よくがんばったな。」
そう言って千歌の頭を撫でる。
千歌「もぉ〜くすぐったいよ。」
曜「何してるの2人とも。早く帰って打ち上げしよ!」
瑠惟・千歌「はーい。」
Aqoursのみんなに何か奢ってあげよう。
そんな事を考えながらみんなの待っているところに向かった。
次回から2期に入ります。番外編は余裕ができたら書きます。