コミュ障ヘタレと9人のアイドル   作: まきパリ

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それぞれの道

先日の北海道でのライブを終えた俺達は久しぶりに沼津の地を踏んだ。

 

 

瑠惟「帰って来れた!」

 

ルビィ「北海道楽しかったね!」

 

花丸「そうずらね!・・・でもまさか先輩が聖良さんと付き合ってなかったのがびっくりずら。」

 

瑠惟「げっ!その話は・・・」

 

ーーーーーーーー

 

 

あれはライブが終わって次の日の飛行機に乗る直前だった。

 

 

聖良「次は春に・・・ラブライブ決勝で会いましょう。」

 

千歌「はい!Saint Snowの2人に負けないくらい練習してきます!」

 

理亞「ルビィ、また一緒に歌おうね。」

 

ルビィ「うん!」

 

聖良「では皆さん、さようなら」

 

花丸「ちょっと待ってほしいずら!」

 

ルビィ「花丸ちゃん?」

 

花丸「聖良さんにひとつ聞きたいことがあるずら。」

 

聖良「私にですか?」

 

 

 

 

 

 

 

花丸「聖良さんは瑠惟先輩と・・・その・・・お、お付き合いしてるずら?」

 

瑠惟「!?」

 

千歌「!?」

 

曜「!?」

 

梨子「!?」

 

・・・えっと一体なんでそんなことに?

 

千歌「ちょっと瑠惟君!どういうこと!?」

 

瑠惟「いや、どういうことも何も俺は誰とも付き合って・・・」

 

聖良「バレてしまっては仕方ありませんね。そうです。実は私たち・・・清らかな交際を・・・」

 

瑠惟「してないですよね。」

 

聖良「確かに・・・今は違いますね。い ま は。」

 

瑠惟「変なこと言わないでください。じゃあこの話は終わr」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

花丸「でもマルたちは見たずらよ。先輩と聖良さんがスーパーで手を繋いで買い物してたのを。それに・・・イチャイチャしながら洗い物もしてたずら。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

瑠惟「」

 

 

 

 

 

 

 

千歌「る・い・く・ん?」ゴゴゴゴゴ・・・

 

 

 

 

 

梨子「どういうことか・・・」ゴゴゴゴゴ・・・

 

 

 

 

 

曜「説明してもらえるよね♪」ゴゴゴゴゴ・・・

 

 

 

 

 

3人とも声は優しいが目が笑っていない。

 

 

 

 

この後めちゃくちゃ怒られた。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

瑠惟「その話はやめてくれ・・・」

 

花丸「でもマルはそれで良かったずら♪」

 

元はと言えば花丸ちゃんがポロッと漏らさなければこんなことには・・・

 

あっそういえば。

 

瑠惟「花丸ちゃん。俺さあの時言ってた『黄色の薔薇』がよく分からなくて、あの後調べたんだけど・・・」

 

花丸「あっあっ/////そ、それは・・・」

 

花丸(先輩にマルがどう思ってるのかバレたら・・・あぁ・・・調子にのって言わなければ・・・)

 

瑠惟「花丸ちゃん・・・俺のこと・・・」

 

花丸(もう・・・どうにもなれずら!)

 

瑠惟「信頼してくれてるんだな!」

花丸「好きです!」

 

ん?

 

花丸「え?」

 

花丸ちゃん、何か言ったような・・・被って聞こえなかったけど。

 

瑠惟「えっと、さっきなんて言ったの?」

 

すると急に花丸ちゃんが「先輩のバカ!!」と怒鳴ってきた。

 

えぇ・・・(困惑)

 

 

花丸「早く練習に行くずらよ!」

 

彼女に手を引かれスタジオに向かった。

 

瑠惟「顔赤いけど大丈夫?」

 

花丸「夕日のせいずら!」

 

まだ昼前なんだけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本日の練習を終えた俺と千歌と梨子はバスにゆられて内浦に帰っていた。

 

冬は日が落ちるのが早いせいか周りは既に真っ暗。

 

千歌と梨子は二人席で肩を寄せあって夢を見ていた。

 

俺はカバンから歌詞ノートを取り出す。

 

パラパラとページをめくり最新のページを開く。そこには北海道滞在中に完成させた歌詞が書かれていた。

 

とりあえず歌詞と曲はなんとか完成した。

 

あとは衣装・・・。だけど衣装作りはこれまで手伝いぐらいしたやったことがなかったので一から作るのは初めてだ。

 

曜やルビィちゃんも決勝で使う衣装の準備で忙しいし、なによりこれ以上負担を増やすわけにはいかない。

 

仮にラブライブで優勝したとしてアンコールでこの曲を披露することになって衣装が同じままというのも味気ないよなぁ。

 

Aqoursのみんなは衣装は同じでもいいって言ってたけど・・・

 

どこかに暇・・・じゃなかった時間の空いている人はいないもんかねぇ。

 

プルルル

 

おっと着信だ。誰からだ?

 

えっと・・・むっちゃんからだ。どうしたんだ?

 

瑠惟「はい。西王です。」

 

むつ「もしもし瑠惟君。私だよ。分かるよね?」

 

瑠惟「むつだよな?」

 

むつ「良かった。久しぶりの登場だからね。忘れてないか心配だったよ。」

 

瑠惟「それでなんかあったのか?」

 

むつ「そういうわけじゃないんだけど・・・北海道でのライブどうだった?千歌に聞こうと電話したら全然出なくて・・・あと私たち応援に行けなくてごめんね。」

 

まさか・・・北海道まで来ようとしていたのか?もう同じ学校の生徒だけじゃなくてもはやメンバーの一人みたいだ。

 

瑠惟「謝らなくてもいい。その気持ちだけで十分嬉しいよ。そうだな・・・ライブは大成功だったよ。」

 

むつ「ホントに!?良かったぁ!あぁー私も行きたかったなぁ。」

 

瑠惟「今度の決勝は大丈夫なのか?東京であるけど。」

 

むつ「え?それ本気で言ってるの?行くに決まってんじゃん!だって決勝だよ!内浦のみんなも絶対に行くって言ってたよ!」

 

電話越しからでもすごく熱意が伝わってきた。全く無駄なことを聞いちゃったな。

 

瑠惟「ありがとな。きっとあいつらも喜ぶよ。」

 

むつ「私たちにできることがあったら言ってね!なんでも手伝うから・・・。」

 

ん?今なんでも手伝うって・・・

 

瑠惟「じゃあさ俺から頼みがあるんだけど・・・」

 

むつ「なになに?」

 

瑠惟「俺達はラブライブで優勝するつもりで歌う。そして優勝したらアンコールがあるんだけど、そこでAqoursに着てもらう衣装を作るのに協力してほしい。できれば多人数いるほうが嬉しいが・・・」

 

むつ「もちろん喜んで協力するよ!みんなにも聞いてみるけど多分みんなもやりたいって言うと思う。」

 

瑠惟「あっ・・・それとこの衣装のことはAqoursのみんなには内緒で本番で初披露したいんだ。」

 

むつ「了解!サプライズってわけね。Aqoursの喜ぶ顔が楽しみだね!」

 

瑠惟「ということでよろしくな。じゃあまた学校で。」

 

 

 

 

気が付くともう降りる停留所まですぐだった。

 

瑠惟「千歌、梨子二人とも起きろ。着いたぞ。」

 

千歌「ふぇ?」

 

梨子「わっ!ホントだ!早く降りなくちゃ!」

 

梨子と別れて、寝ぼけている千歌を引っ張りなんとか家に着いた俺は部屋に行こうとするが・・・

 

志満「瑠惟君、あなたに手紙が届いてるわよ。」

 

と渡されたのはA 4サイズの茶色の封筒。

 

宛名のところには・・・春から通う予定の学校の名前。

 

中には恐らく編入するにあたって必要な物とか提出書類の類が入っているのだろう。

 

こうして見ると別れがもうすぐそこなのだと実感してしまう。

 

千歌「それ何?」

 

隣から千歌が顔を覗かせる。

 

瑠惟「新しい学校の書類。千歌にも少し前に届いただろ?」

 

千歌「えっ?そうなの?」

 

瑠惟「お前・・・ちゃんと目を通しておけってお父さんに言われてただろ?」

 

千歌「忘れてた。」

 

瑠惟「全く・・・こうして一緒にいれるのもあと少しなんだから、しっかりしてくれよ。」

 

 

千歌「そっか・・・もう・・・そんな時期なんだね。」

 

瑠惟「ん?どうした?」

 

千歌「ううん。1年って案外早いなって思ったの。それも今年に限って。」

 

瑠惟「そう感じるのは充実してたって思ってる証拠なんじゃないか。」

 

千歌「確かにそうだね。こんなことならもっと早くからスクールアイドル始めたかったなぁ。」

 

瑠惟「何言ってんだ。千歌には来年もあるじゃないか。・・・受験もあるけど。」

 

千歌「うわぁぁ勉強したくなーい。」

 

瑠惟「そう言ってもなぁ。」

 

千歌「あっそういえば。3年生の3人って卒業した後はどうするのかな?」

 

瑠惟「お前、聞いてなかったのかよ・・・。」

 

千歌「す、すいません・・・。」

 

瑠惟「確か・・・」

 

 

 

 

 

ーーーーーーー

 

またまた時は遡り・・・北海道での合同ライブに向けての練習後。

 

果南「みんなちょっといいかな?」

 

千歌「どうしたの?」

 

果南「うん。私たちは今年で卒業でしょ。だからみんなには私たちの進路について話しておこうと思って。」

 

瑠惟「あれ?先輩達は受験しないんですか?」

 

ダイヤ「私はそのつもりだったのですが・・・幸運にも志望校への推薦が決まりましたの。」

 

梨子「ダイヤさんは静岡の大学に進学するんですか?」

 

ダイヤ「いいえ春から私は東京の大学に通いますの。」

 

へぇ。ということはここを出て下宿するのかな?

 

花丸「東京の大学・・・未来ずらぁ!」

 

 

瑠惟「鞠莉さんはどうするんですか?」

 

鞠莉「私は卒業したらイタリアへ戻ってそこにある学校に通うわ。」

 

瑠惟「新しい学校の理事をやるって話ありませんでしたか?」

 

鞠莉「あぁ。あれね。それは断ったの。本当はやってもよかったんだけど、私もそろそろやりたいことを見つけなきゃって思ったの。」

 

 

鞠莉「その点、果南はもう決まってるのよね。Future Dreamが。」

 

果南「まぁそうかな。私は家のダイビングショップを継ぎたいから海外で免許とか取るつもりなんだ。」

 

じゃあ3人とも卒業したら沼津から居なくなるのか。

 

曜「みんな別々の道に行っちゃうんだね・・・なんか寂しくなっちゃうね。」

 

 

鞠莉「大丈夫!ノープロブレム!だって離れていてもこの空は繋がってるから!それにきっとまた会える!でしょ?果南、ダイヤ。」

 

果南「鞠莉の言う通りだね。」

 

ダイヤ「えぇ。珍しく鞠莉さんが正しいことを言ってますわね。」

 

鞠莉「珍しくってどういう意味なの!マリーはいつも正しいのに!」

 

ダイヤ「ということで瑠惟さん、これからもよろしくお願い致しますわ。」

 

『これから』ってなんで?

 

だって・・・ダイヤさんは東京の大学に

 

まさか・・・

 

瑠惟「ちなみにダイヤさんは何ていう大学に行くんですか?」

 

ダイヤ「〜大学というところに通いますわ。」

 

いや、そんなはずは・・・

 

瑠惟「もしかして下宿先って寮ですか?」

 

ダイヤ「いえ、それだとお金の負担が大きくなってしまうので知り合いのお宅でお世話になることになりました。」

 

知り合いってまさか・・・

 

瑠惟「もしかして俺の実家ですか?」

 

ダイヤ「はい。だから言ったではありませんか。『これからもよろしくお願い致します』と。」

 

瑠惟「えぇ〜!?」

 

確かに実家はその大学に近いけど!

 

ていうかいつの間にそんなに話が進んでたの!?

 

ダイヤ「そうなのですわ。進学先が決まったのはよいですが、肝心の住む場所が中々見つからず、あったとしても東京の一等地とかで家賃などもとても4年間払えるものではありませんでしたの。」

 

果南「で、ダイヤから相談を受けた私たちが何とかならないかなって思ってたら・・・」

 

鞠莉「そういえば瑠惟の実家が東京にあるって思い出して。ダメもとであなたのお母さんに連絡をとったら、困ってるなら是非家に来てちょうだいって。」

 

またあの母親なのか

 

瑠惟「ダイヤさんのご両親はそれで納得してくれたんですか?」

 

ダイヤ「はい。せっかくだからお世話になりなさいとのことです。」

 

瑠惟「俺も春からそこに戻るんですけどそれは大丈夫なんですか?」

 

ダイヤ「大丈夫もなにも問題ありませんわ。それにこちらは泊めていただく身ですから。」

 

瑠惟「いやでも、俺も一応男で年頃の男女がひとつ屋根の下は・・・」

 

ダイヤ「あら?もしかして破廉恥なことをお考えになってますの?」

 

瑠惟「そ、そそ、そんなことありませんよ!!」

 

誰もあんなことやこんなことやムフフなことを考えてるわけないじゃないですか!

 

ダイヤ「安心してください。この黒澤ダイヤ、節度はわきまえているつもりですわ。」

 

瑠惟「だからそうではなくて。」

 

ダイヤ「それとも・・・あなたが私を襲うおつもりですの?」

 

鞠莉「わぁぁぁお!ダイヤってば大胆!」

 

花丸「襲うってどういう意味ずら?」

 

瑠惟「もう滅茶苦茶だよ・・・。」

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

瑠惟「というわけだ。」

 

千歌「最後の方のあのくだりいる?」

 

瑠惟「いる(鋼の意志)」

 

 

 

千歌「果南ちゃんも鞠莉ちゃんもダイヤちゃんも離れ離れになっちゃうんだね・・・。」

 

瑠惟「まぁそういうことになるな。」

 

千歌「寂しくないのかな?」

 

瑠惟「うーむ・・・俺にはよくわからん。」

 

千歌「私は寂しいかな。もし瑠惟君や曜ちゃん、梨子ちゃんにAqoursのみんなと会えなくなったら。」

 

瑠惟「出会いがあるってことは同時に別れもある。仕方ないことないことだ。」

 

千歌「分かってる・・・」

 

瑠惟「それに今生の別れっていうわけでもないだろ?また会えるさ。会いたいって気持ちがあれば。」

 

千歌「じゃあ瑠惟君もまた会いに来てくれる?」

 

瑠惟「なんだ?そんなに会いに来てほしいのか?」

 

千歌「当たり前じゃん。だって・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

千歌「好きだから。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

瑠惟「そうか。俺も好きだぞ。」

 

千歌「さらっと告白を流さないでよ!」

 

瑠惟「流してないない。ちゃんと俺も好きって言っただろ?」

 

本当に可愛い子だ。やっぱり千歌は妹属性が似合うな・・・

 

千歌「はぁ・・・さっきの結構本気の告白なんだったけどなぁ。」

 

瑠惟「まぁまぁ千歌は身近に男子がいないからそう思ってるだけだって。沼津の学校に通い始めたら多分イケメンな男子と会えるぞ。多分千歌は可愛いからすぐに・・・」

 

 

 

千歌「じゃあ・・・もし数年後にまた瑠惟君と会ってそれでもまだ瑠惟君のことが好きだったら・・・今度は私の告白受け取ってくれますか?」

 

 

瑠惟「まぁそんなことはないと思うが、もしその時千歌が俺のことを想ってくれてるなら・・・お前の告白ちゃんと受け止める。約束だ。」

 

千歌「うん。約束だね。」

 

俺と千歌は何年ぶりかの指切りをやった。まだ小さかった時とは違って千歌の手はとても小さく、そしてとても暖かく感じた。

 

 


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