コミュ障ヘタレと9人のアイドル   作: まきパリ

38 / 40
予想以上にボリュームが増えたため後半がガバガバです。お許しください!


コミュ障ヘタレと体育祭 後半の部

体育祭もちょうど半分を終え、現在は昼休み。

 

Aqoursの元へ行こうとした俺はある人物に呼び出され、人気のない校舎裏まで来ている。

 

瑠惟「こんな所に呼び出してどういうつもりですか?」

 

「ことりさん。」

 

両親が来れない代わりに呼んだ人とは南ことりさんだったのだ。

 

ことり「もぉ、せっかく見に来てお弁当まで作ってきてあげたのにそんなこと言っちゃダメ♪」

 

瑠惟「そうですね。すいません。今日は楽しんでいってください。あとお弁当ありがとうございます。」

 

ことり「どういたしまして。」

 

正直、今日ほど来てほしくないと思った日はない。

 

なぜなら・・・

 

ことり「それより・・・さっきのアレは何かな?」

 

瑠惟「あ、アレって何のことですかね?」

 

ことり「とぼけないで。」

 

身の危険を感じてきたのでおふざけはやめておこう。

 

瑠惟「・・・借り人レースでお姫様抱っこしたことですよね。あれは勝つための作戦だったので。」

 

ことり「じゃあ他意はないってこと?」

 

瑠惟「・・・・・・そうです。」

 

ことり「ふぅん。それならいいよ♪」

 

ことり(それにしてはさっきの女の子、瑠惟君にお姫様抱っこされてる時、まんざらでもなさそうだったけど。)

 

時計を見ると昼休みが少なくなってきていたので退散しよう。

 

瑠惟「そろそろ行きますね。また体育祭が終わってから会いましょう。」

 

ことり「後半も頑張ってね!応援してるよ!」

 

ほんとにさっきと同一人物かよ。

 

瑠惟「ありがとうございます。あっ・・・周りにことりさんが来てるってバレないようにしてくださいね。多分パニックになって、俺が面倒なことになりそうなんで。」

 

主にAqoursから色々問い詰められそうだから。

 

ことり「大丈夫、大丈夫。こうして帽子とサングラスもあるし。」

 

そう言って彼女はいつもかぶっているお気に入りの帽子を見せてくる。

 

瑠惟「じゃあまた。」

 

ことり「行ってらっしゃい。」

 

瑠惟「行ってきます。」

 

・・・怖かった。あの人のヤンデレモードを相手にすると寿命が縮む。

 

 

 

やっとみんなの所へ行けたところで貰った弁当箱を取り出して開けようとすると

 

千歌「ねぇねぇ、それ瑠惟君が作ったの?」

 

瑠惟「えっと・・・」

 

さて、ここでなんと答えるのが正解なのだろう・・・。

 

①μ'sのことりさんに作ってもらったんだ。

 

・・・これは絶対にダメだ。色々と不味いことになりそうな気がする。

 

②自分で作ってきたぞ。

 

・・・うん、一番無難だ。今日は千歌よりも早起きしたし、信じてもらえるだろう。

 

③志満さんに作ってもらったんだ。

 

・・・これは微妙だな。今日の千歌の弁当は志満さんが作ってから弁当の中身にあまりの差があったら怪しまれる。というか直接聞かれたら終わる。

 

ならここは・・・

 

瑠惟「今日の朝に自分で作ったぞ。」

 

千歌「すごいね!自分のお弁当作るなんて!ねぇどんなお弁当か見せて!」

 

瑠惟「あぁいいぞ。」

 

パカッ

 

千歌「わぁすごい!唐揚げに卵焼き、ウインナーにブロッコリー。瑠惟君の好物がいっぱいだね。」

 

瑠惟「ま、まぁな。せっかくだから自分の好きなものをな。」

 

えーとご飯には・・・これはふりかけがかかってるな。ご丁寧に文字になってるし。

 

え〜と・・・『noh a∧ol I』

 

ん?どういう意味だ。

 

千歌「これ向きが反対じゃない?」

 

そう言われ反対にしてみると・・・

 

瑠惟「・・・」

 

千歌「・・・」

 

ふりかけで書いた謎の記号。逆さまにすれば・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『I love you』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

気付いた時はどうするの?

 

冷たい目で見てくるの〜?

 

千歌「・・・本当に自分で作ったの?」

 

瑠惟「・・・作ってないです。」

 

この後、俺は全力で千歌に言い訳をしたが信じてもらえたかは分からない。

 

 

 

昼休みも終わり体育祭も後半戦が始まる。

 

そして次の種目は生徒全員参加の騎馬戦だ。

 

全員参加ということで俺も出場するのだが俺はあるハンデを言い渡された。

 

瑠惟「俺の騎馬は俺と騎手の女の子二人でやるんですか?」

 

実行委員「そうね。まぁあなたも男の子だし女の子一人くらいあなた自身で支えてね。」

 

軽薄そうなその人は俺にそう言い残してさっさと行ってしまった。

 

つまり俺は騎手の子を一人で背負うってことだよな。

 

・・・今度は本当にことりさんに殺られるかもしれない。

 

白組の子にハンデの内容について話した。

 

梨子「えっと・・・じゃあ誰が瑠惟君の上に乗るか決める?」

 

曜「そうだね・・・。」

 

花丸・善子「「・・・」」

 

梨子「ちょっと瑠惟君以外のみんなこっちに来て。」

 

俺以外の四人が少し離れたところに行ってこそこそと何かを話している。

 

ま、まさか!?

 

梨子「私、瑠惟君の上とか嫌なんだけど。さっきも急にお姫様抱っこされてホントに嫌だった。」

 

曜「私もそれだけは嫌。千歌ちゃんの上ならまだしも、彼の上はちょっと・・・」

 

花丸「オラも嫌ずらよ。きっとどさくさに紛れてセクハラするずら。」

 

善子「さすがの堕天使もアレは無理。」

 

的なことを言ってるのかもしれない!

 

・・・ごめんよ、俺なんかと一緒で。

 

しばらくして四人がこっちに戻ってきた。

 

瑠惟「き、決まりましたか?」

 

四人「話し合いの結果・・・」

 

曜「わ、私が瑠惟君と組むことになったの・・・よ、よろしくね。」

 

曜がすごくもじもじしながら言った。心なしか顔も少し赤く見える。

 

そうか・・・そんなに組むのが嫌だったのか。すまん曜、今回だけ我慢してくれ。

 

曜(瑠惟君と一緒なんて嬉しくてどうにかなりそう!喜んでるの顔に出てないよね?)

 

梨子「二人とも頑張ってね!」

 

花丸「先輩は白組のエースずら。敵を蹂躙するずら!」

 

善子「ずら丸、あんたそんなキャラだったかしら・・・。」

 

曜「うん・・・がんばるね。」

 

瑠惟「まぁできるだけやってみる。」

 

ちなみに梨子、花丸ちゃん、善子は三人で騎馬を組むことになった。

 

 

 

ー果南side inー

 

次は騎馬戦か・・・

 

白組で一番脅威なのはやはり彼ね。

 

さて、どうしようか・・・

 

ダイヤ「果南さん、どうやって彼を倒しましょうか?」

 

ダイヤもおんなじこと考えてたみたいね。

 

果南「・・・彼は最後に倒そう。」

 

ルビィ「本当ですか!?」

 

千歌「それで大丈夫なの!?」

 

果南「確かに他の白組を倒している間は彼に好き勝手やられるかもしれない。でも・・・一対一の状況じゃあの眼を持っている彼には絶対勝てない。」

 

いくらハンデがあるからと言って私達は油断しない。なぜなら彼の力をこの目で見ていたから。

 

鞠莉「そうね・・・。だから私達は確実に二騎以上で彼と戦わないといけないってことね。」

 

果南「鞠莉の言う通り。私達はできるだけ早く彼以外を倒さないと赤組の騎馬もどんどん減っていくからね。だから私達の作戦は・・・・・・という感じで行く。」

 

千歌「うん。それが一番安全で勝てる確率が高いね。」

 

ダイヤ「私は賛成ですわ。」

 

鞠莉「私もよ。」

 

ルビィ「ルビィも。」

 

果南「了解。じゃあ私は赤組のみんなに作戦の内容を伝えてくるね。」

 

瑠惟、この勝負絶対に負けないからね。

 

 

 

ー瑠惟side inー

 

生徒全員の招集がかけられ赤組と白組がそれぞれ騎馬を組んでいく。

 

曜「じゃあ瑠惟君乗るね。」

 

瑠惟「おぅ。」

 

俺が曜を肩車する。

 

曜「どう?重くない?」

 

瑠惟「大丈夫だ。思ったよりも重くないぞ。」

 

曜「その言い方じゃあもっと重いと思ってたの?」

 

瑠惟「いや、曜って結構シュッとしてるけど筋肉質だろ?」

 

曜「まぁ筋トレとか結構してるから・・・。」

 

瑠惟「筋肉って結構重いって聞くから曜もそれなりにあるのかもって思ってたけど、全然そんなことなかったな。今曜の足を持ってて思ったけど、こう・・・無駄な脂肪がないというか。千歌にも見習ってほしいよ。」

 

曜「ほ、褒められてるのかな?」

 

瑠惟「あぁ褒めてるぞ。曜って結構スタイルいいし可愛いからモデルとかやっててもおかしくないよな。」

 

曜「可愛い!?私が!?」

 

瑠惟「可愛いと思うぞ。今だから言えるけど、初めて曜に会った時は結構ドキドキして緊張してたんだ。」

 

曜「・・・」

 

瑠惟「ん?曜?」

 

曜(瑠惟君、私のこと可愛いって思ってくれてたんだ・・・。それにドキドキしてたって。)

 

曜「騎馬戦絶対に勝とうね!」

 

瑠惟「あ、あぁ。勝とうな。」

 

なんか曜の奴急に気合入ったな。

 

 

 

「ではこれより組対抗騎馬戦を始めます。騎手のみなさんは帽子をかぶってください。」

 

騎手全員が帽子を深くかぶって準備が完了する。

 

「位置についてよーい・・・始め!」

 

スタートの合図と同時に俺は直線上にいる赤組の騎馬を狙いに行こうとしたが・・・

 

曜「!!」

 

瑠惟「これはいったい・・・?」

 

なんと赤組の全ての騎馬が俺と逆サイドの騎馬を狙いに行ったのだ。

 

隣にいた騎馬の騎手の花丸ちゃんも驚いている。

 

花丸「先輩これはどういうことずら?」

 

瑠惟「おそらく向こうの作戦だ。」

 

果南さんなら何か仕掛けてくると思ったがまさかこれほどとは・・・

 

瑠惟「向こうの狙いは恐らく俺だ。」

 

梨子「でも赤組は瑠惟君を全く狙ってないけど。」

 

瑠惟「多分赤組は先に俺以外の騎馬を倒してから最後に残った俺を数的有利な状態で倒しに来るだろう。」

 

そっちがそう来るなら・・・

 

瑠惟「思う存分暴れさせてもらうぜ。いけるか曜?」

 

曜「了解であります船長!」

 

瑠惟「それと花丸ちゃん達に頼みがある。」

 

三人に作戦を伝えた。

 

花丸「わかったずら。善子ちゃんいけるずら?」

 

善子「堕天使に任せなさい。さっきの屈辱ここで晴らさせてもらうわ。」

 

瑠惟「じゃあ頼んだぞ。」

 

向こうの作戦に意表を突かれたがここから反撃開始だ。

 

俺と逆サイドの騎馬は赤組の数の暴力に苦戦していたが、俺達は他の騎馬に集中している赤組の騎手から帽子をことごとく奪っていく。

 

しかし俺が特に騎馬が多いところに近づくと赤組は一斉に俺から逃げるように別の所に移動した。

 

このやり取りを何回かしているうちに両組の騎馬の数は減っていった。

 

俺は逃げ遅れた騎馬を重点的に狙い順調に数を減らし、赤組は多少の犠牲を度外視して白組の騎馬を減らしていた。

 

そう言えばまだAqours勢を見てないな・・・

 

ん?あれは・・・

 

瑠惟「曜、ルビィちゃんの騎馬だ。ここで倒しておこう。」

 

曜「そうだね。」

 

向こうもこちらに気づいたようでお互いに向かい合う。

 

ルビィ「瑠惟さんに、曜さん。ルビィ達は負けません。」

 

ダイヤ「そうですわよ!私達がここであなたを倒します!」

 

鞠莉「大人しくやられなさーい。」

 

ルビィちゃんの騎馬は下に鞠莉さんとダイヤさんがいるのか・・・。

 

ダイヤさんはともかく鞠莉さんが厄介だな。

 

だが・・・

 

瑠惟「機動力ならこっちが上だ!」

 

ダッ!

 

俺は地面を蹴り、一気に騎馬との距離を詰める。

 

ルビィちゃんの騎馬は避けようとするが・・・無駄だ。

 

悪いな三人とも・・・眼を使わせてもらう。

 

騎馬は右に避けるがそれよりも一瞬早く俺がそこに先回りした。

 

ルビィ(・・・何で先輩が先にそこに!?)

 

そして移動してきた騎馬に合わせて曜が帽子を取った。

 

ルビィ「やられちゃった。」

 

ダイヤ「流石ですわね。私達はここで終わりですが・・・」

 

鞠莉「千歌っちと果南が絶対に倒してくれるわ。」

 

瑠惟「そうなることを期待しておきます。」

 

クソっ。やっぱり眼を使うと神経すり減るわ。それに・・・

 

瑠惟「ハァハァ・・・」

 

曜「瑠惟君、大丈夫?」

 

瑠惟「問題ない。」

 

そう言いながらも俺は肩で息をするぐらい体力を使っていた。

 

そして周りを見渡せば俺の騎馬と千歌が騎手の騎馬と果南さんが騎手の騎馬しか残っていないように見えた。

 

千歌「作戦うまくいったね。」

 

果南「できればもう少し騎馬を残したかったけど、これでも十分ね。」

 

果南(でもなんだろうこの違和感。何か忘れているような・・・。まぁ彼を倒せば全てが終わるから今はいい。)

 

赤白両組が見守る中、俺と千歌と果南さんの騎馬が向かい合う。

 

瑠惟「残りは俺しかいないですがもう勝ったつもりですか?」

 

果南「この一対二の状況じゃいくら瑠惟でも勝てないよ。」

 

瑠惟「確かに普通じゃ勝つのは難しいかもしれない。でも俺は違いますよ。」

 

千歌「分かってるよ。瑠惟君はあの眼を持ってるからね。」

 

果南「でもその眼は一対一でしか使えない。でしょ?」

 

瑠惟「クッ・・・」

 

やはりバレてたか、この眼の弱点が。

 

果南「それに私達の作戦は最後に瑠惟を叩くだけが目的じゃない。」

 

瑠惟「!?」

 

千歌「だいぶ疲れているみたいだね?あんなに走り回って。」

 

瑠惟「なるほどね。そっちの真の狙いは俺の体力をできるだけ削ること。だから俺がそっちに近づく度に全員で移動したのか。俺を走らせるために。」

 

果南「流石だね。そこまで見抜くとは。でも私達には嬉しい誤算があったの。」

 

曜「私を瑠惟君が一人で担いでいることだね・・・。」

 

果南「瑠惟には何かしらのハンデがあると思ってたけどまさか一人で騎手を支えないといけないとは思わなかった。それによってさらにあなたは体力を奪われた。おそらくだけどもう立つのがやっとなんじゃないの?」

 

曜「ごめんなさい・・・私のせいで・・・。」

 

瑠惟「お前のせいじゃない。むしろ曜が騎手をしてくれたからこの状況まで持ち込めた。ありがとよ。」

 

むしろ俺にとってこの状況はありがたい。

 

果南さん、千歌、人間が一番弱点を見せるのはどんな時だと思いますかね?

 

それは・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

勝利を確信した時だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

瑠惟「作戦がうまくいったのは赤組だけじゃないですよ。」

 

果南「どういうこと?」

 

千歌「まさか!?果南ちゃん気をつけ・・・」

 

何かに気づいた千歌が果南さんに警告しようとする。

 

でも、気づいた時にはもう遅いぞ!

 

俺は叫ぶ。

 

瑠惟「今だ!梨子、花丸ちゃん、善子!」

 

花丸「ずら~!」

 

三人が急に現れ果南さんと千歌の後ろから二人の帽子を取った。

 

その瞬間グラウンドにアナウンスが響いた。

 

「そこまで!赤組全滅により白組の勝利!」

 

ワァァァ!!

 

二人は何が起こったのか分からずに呆然としている。

 

果南「一体何が起こったの・・・。」

 

瑠惟「まぁ簡単に言えば囮作戦ですかね。」

 

千歌「囮?」

 

瑠惟「果南さん達が作戦を立てるなら俺を中心とした作戦を立てるだろうと思ったんですよ。なぜなら俺を一番警戒してるから。だからその作戦を利用しようと考えました。俺に意識を集中させるように。」

 

試合が始まって赤組が動いたのを見て俺は花丸ちゃん達にこう告げた。

 

『俺が合図するまで何もしないでほしい。というか隠れるなり逃げるなりしてほしい。おそらく最後に残るのは千歌の騎馬と果南さんの騎馬だろう。できるだけ二人の意識から花丸ちゃん達を外すから俺が合図したら二人の後ろから帽子を狙ってくれ。』

 

千歌「でも、私達花丸ちゃんの騎馬なんて見えなかった・・・あっ!」

 

そうだ。敢えて見えないようにしてもらったんだよ。

 

花丸「オラ達は本当に何もしなかったずら。やったことといえば騎馬を何回も崩しただけずら。」

 

この騎馬戦のルールでは騎馬は崩れれば何度でも組み直してもよいということになっている。組み直してる間は相手に狙われるけどな。

 

でも、花丸ちゃんが騎手ってことは・・・

 

果南「花丸の周りに梨子や善子が立てば騎馬に乗っている私達からは見えない。」

 

瑠惟「その通りです。あとできるだけ目線を逸らすために俺は何度も赤組の騎馬を追いかけました。」

 

果南(私達の作戦では瑠惟が来たら離れるというものだった。でも、それをするには常に彼を意識して位置を確認しないといけない。白組を追い詰めていたと思っていたのに、結果的にそれが自分たちを追い詰めることになっていた。花丸達のことを完全に忘れていた。いや、忘れるようにされていた。まさか・・・作戦通り動かされていたのが私達だったなんて。)

 

千歌「疲れている様子を見せたのも私達の意識を誘導するためだったの!?」

 

瑠惟「いや、疲れていたのは本当だ。直ぐに二人がかりで来られたら危なかった。ここまで追い詰められたのは想定外だったよ。」

 

二人と無駄話をしたのもできるだけ時間を稼いで油断を誘うためだ。

 

果南「・・・これはまんまとやられたね。」

 

千歌「うーん、今回は勝てると思ったんだけどなー。」

 

これでもAqoursのことは一番近くで見てきたつもりだからな。考えてることはある程度予想できる。

 

でも・・・今は白組のみんなを褒めてあげよう。

 

瑠惟「お疲れ曜。中々いい動きだったよ。」

 

曜「そうかな・・・。なんか照れちゃうな////」

 

ホントのこと言うと曜が上じゃなかったら勝つ見込みは低かったかもな。

 

あれだけ赤組を倒してくれなきゃこれだけ目立たなかったから。

 

瑠惟「梨子、花丸ちゃん、善子もお疲れさん。最後はマジでかっこよかった。」

 

梨子「当然よ。なんたって私たち三人だからね!」

 

花丸「もっと褒めてもいいずらよ!」

 

善子「べ、別に先輩のために動いたんじゃないからね!勝つためだからね!」

 

こうして騎馬戦に勝利した白組は赤組と同点にすることができた。

 

現在の得点

 

赤組・490点

 

白組・490点

 

 

 

さてさて次の種目は組対抗リレーで得点が入る最後の競技。つまりこれで勝敗が決まるのだが・・・

 

瑠惟「俺走るの?」

 

梨子「えぇ。走るわよ。」

 

瑠惟「『走るわよ』じゃなくてさ。なんで俺が走らないといけないの?しかもアンカーで。本来のアンカーの人いたよね?」

 

曜「いたんだけど・・・その人さっきの騎馬戦で足痛めちゃって。」

 

花丸「で、その人が代わりに先輩に走ってほしいって。」

 

瑠惟「待て待て。赤組は俺が走ってもいいって言ったのか?」

 

善子「それなら大丈夫よ。向こうのアンカーの果南さんがみんなに聞いて了承をもらったんだって。しかもハンデなしで。」

 

梨子「観念して走りなさい♪」

 

ぐぬぬ・・・反論ができない。

 

まぁ許可が出たのなら大丈夫か。それに折角ご指名をもらったし。

 

瑠惟「しょうがねぇなぁ。じゃあ俺が走ってやるか。」

 

四人「やったー!!」

 

ということで俺が白組のアンカーを務めることになりました。

 

「それではただいまより組対抗リレーを始めます。選手のみなさんは集合してください。」

 

瑠惟「じゃあ行ってくるよ。」

 

四人から『がんばって』と言ってもらい、招集場所に行こうとすると

 

「あ、あの・・・」

 

見知らぬ女の子から話しかけられた。

 

この子は・・・一年生か?

 

「私、先輩のこと応援してます!がんばってください!」

 

いきなりのことに少し驚く。

 

瑠惟「あ、ありがとう。がんばります。じゃあ。」

 

「あっ・・・」

 

さっきの子、まだ何か言いたげだったな。悪いことしたかもな。

 

招集場所に着くと俺は他のリレーメンバーの子に挨拶した。

 

全員にすごく期待されてて正直辛い。体力も完全に回復しきってないんだよなぁ。

 

すると赤組のアンカーの果南さんが話しかけてきた。

 

果南「また戦えるね。」

 

瑠惟「ほんと勘弁してくださいよ。それよりハンデ無くてよかったんですか?」

 

果南「もちろん。私は本気の瑠惟と勝負がしたかったからね。」

 

瑠惟「お手柔らかにお願いしますね。」

 

果南「私は全力で勝ちに行くよ。そうね・・・もし私が勝ったらなんでも言うこと聞いてもらうから。」

 

なんで白組の子にしか言ってないことを知ってるんだ?

 

瑠惟「もしかして白組の奴から聞きました?」

 

果南「うん。こうしたら瑠惟は本気出してくれるって花丸が言ってたんだ。」

 

ずら丸ぅ!!!!余計なことを!

 

負ける気は毛頭ないから別に大丈夫だけどな。

 

瑠惟「こっちも想いのバトンを託されたんでね、負けるつもりはないですよ。」

 

果南「いいねぇ。そう来なくっちゃ面白くないね。」

 

そういえば本気で走るのは久しぶりだな。それもAqours相手に。

 

「位置について・・・よーい・・・」

 

パンッ!

 

気が付くとリレーが始まっていた。

 

「がんばれー!」

 

「ファイト!!」

 

グラウンドに両組の応援が響き渡る。

 

第一走者は両方ともほぼ同時に走り、ほとんど差がない状態で第二走者へとバトンが渡った。

 

続く第二走者で若干だが差が開き始め、白組がリードした状態で第三走者に繋ぐ。

 

このリレーに出ている子は仮にも組の代表もとい最高戦力として走っているのでそのスピードは男子と比べても何ら遜色なく感じる。

 

それにしても本当に早いな。現役時代にも速い選手はたくさん見てきたが単純に走るだけならあいつらといい勝負するんじゃないのか。

 

第三走者で赤組との差をさらに空けることができ、かなりのリードを保ったまま第四走者にバトンがきた。

 

そろそろスタート位置に・・・

 

そう思って歩き始めた時だった。

 

ズシャァァ!!

 

白組の第四走者がつまづいてバトンを落としてしまったのだ。

 

驚愕する白組。

 

落としてしまった子もすぐにバトンを拾い走り出すが後ろから来ていた赤組に追い越されてしまった。

 

周りからより大きな声で『がんばれ!』と聞こえるが、その子が俺の元に来る頃には既に赤組のバトンはアンカーの果南さんに渡り、走り出していた。

 

バトンを受け取る直前にその子を見ると目に涙を浮かべていた。

 

「ごめんなさい・・・。」と共に俺にバトンが渡る。

 

まぁそう泣くんじゃない。

 

瑠惟「よく頑張った。」

 

そう彼女に言って俺は飛び出した。

 

果南さんとの距離は大体6、7メートルくらいか・・・。

 

疲れてるだろうけどもうちょっと頑張ってくれよ俺の足。

 

バトンを強く握り直し、さらにスピードをあげる。

 

花丸「先輩!まだいけるずら!」

 

善子「もっと速く・・・神速を超えなさい!」

 

意外とみんなの応援って聞こえるもんだな。

 

ライブやってる時のAqoursもこんなふうに聞こえてるのかな・・・。

 

残り約50m。果南さんとの距離はかなり縮まってあともう少しで追いつける。

 

ここで果南さんが後ろをちらっと見て俺との距離を確認した瞬間、ラストスパートといわんばかりにスピードを上げてきた。

 

マジですか。ここにきてパワーアップですか。

 

仕方ない・・・

 

その気持ちに全力で向き合いますよ!

 

俺は自分が出せる限界までスピードを上げた。

 

そしてゴールテープ直前で果南さんに追いつき・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そのまま二人同時にゴールした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ハァハァハァハァ。

 

足を止めたとたん疲れがドッと押し寄せてきた。

 

頭がふらふらして視界が霞む。

 

ヤベッ、このままじゃ倒れ・・・

 

ガシッ。

 

その瞬間誰かが俺を支えてくれた。

 

瑠惟「ハァハァ・・・ありがとうございます・・・果南さん」

 

果南「ちょっと走り込みが足りてないんじゃない?」

 

なんで息一つ切れてないんだこのひとは。

 

果南「あれくらいでへばるようじゃまだまだだね。」

 

瑠惟「ごもっともですよ。それでリレーはどうなりましたか?」

 

果南「私と瑠惟がゴールしたのがほぼ同時でいま審判の人達が話し合ってる。」

 

瑠惟「果南さん的にはどう思いますか?」

 

果南「私は負けてはいないけど・・・勝ったかも分からないんだよね。」

 

瑠惟「俺もそう思いますよ。」

 

ここで審判の人が出てきてこう言った。

 

「ただいまのリレーですが両者とも同時にゴールしたため、この勝負・・・引き分け!」

 

瑠惟「ですって。」

 

果南「う~ん、やっぱり勝てないか・・・。」

 

瑠惟「いやいや、果南さんも速かったですよ。俺も本気を出して追いつくのがやっとでしたから。」」

 

果南「私もまさか追いついてくるとは思わなかった。」

 

そんな話をしていると白組のリレーメンバーがこっちに来た。その中にはもちろん第四走者のあの子も。

 

「お疲れ様。君~なかなかやるね。」

 

瑠惟「それほどでもないですよ。先輩たちには負けます。」

 

よく見ると第四走者の彼女は俺の隣のクラスの子だと気づいた。

 

「私がバトンを落としたから・・・ごめんなさい。」

 

瑠惟「いやいや別に謝らなくても。誰だってミスすることはあるし、今回はたまたま君がそうなっちゃっただけ。それに今日は何よりも楽しむ日ですよね?みなさん。」

 

「その通り。ダイヤちゃんも言ってたしね。」

 

瑠惟「君はすごい。あの状況で最後まで走って俺にバトンを渡してくれた。普通なら諦めてもおかしくない。よく頑張ったね。お疲れ様。」

 

「瑠惟君・・・。」

 

ん?

 

瑠惟「あれ?俺の名前知ってるの?」

 

「この学校で唯一の男子だよ。知らない方がおかしいよ。それに・・・」

 

「私はAqoursのファンだから。がんばってね!応援してる!」

 

 

 

引き分けという結果でリレーが終わり次は部活動対抗リレー・・・の前に結果発表だ。

 

赤組、白組が整列し集計を待っている。

 

梨子「結果はどうかな?勝てたかな?」

 

曜「リレーが引き分けだったからね。それ以前の点数で勝負が決まってるかも。」

 

花丸「先輩のっぽパン~。」

 

善子「終わりまで待ちなさいよ。」

 

瑠惟「とりあえず今はこれで我慢してくれ。」

 

そう言って食いしん坊に購買で買ったパンを渡す。

 

自由すぎるこいつら・・・

 

すると実行委員が前に出てきた。

 

いよいよか。

 

「それでは結果を発表します。赤組の得点・・・600点!」

 

ワァァァァ!!

 

「白組の得点・・・」

 

なんだこの変な感じ?

 

『リレーが引き分けだったからね。それ以前の点数で勝負が決まってるかも。』

 

あっ・・・まさか・・・そんなことがありえるのか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「600点!よって優勝は赤組、白組となります!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ワァァァァ!!

 

やっぱりか。そりゃそうだな。騎馬戦終了時点で同点だったし。

 

梨子「同点!?」

 

曜「まさか本当に同点になるなんて。」

 

まぁこういうこともあるか。さぁ次は・・・

 

「両組の代表は前に来てください。優勝旗の授与をします。」

 

曜「瑠惟君出番だよ。」

 

は?

 

瑠惟「俺は代表じゃないぞ。」

 

梨子「往生際が悪いわよ。」

 

いやいやだって代表は俺とアンカーを交代した人じゃ・・・。

 

「今日のMVPは君だからね。君に行ってほしい。」

 

そこには例の人がいた。

 

瑠惟「俺なんかが行っても行っていいんですか。それに3年生はこれで最後の・・・」

 

「できれば私も行きたいけどね・・・騎馬戦で痛めた足がちょっとね。」

 

瑠惟「・・・じゃあ一緒に行きましょう。俺が支えるんで。」

 

「えっ?ちょ、ほんとに!?」

 

戸惑う先輩を連れて俺は前に出る。

 

梨子「瑠惟君らしいね。」

 

曜「そうだね。いつもの瑠惟君だね。」

 

花丸「やっぱり先輩はずるいずら。」

 

善子「もしかして妬いてるのあんた?」

 

花丸「そ、そんなことない!」

 

善子「動揺しすぎて方言が抜けてるわよ。」

 

先輩を連れてきた俺は実行委員に言う。

 

瑠惟「代表って二人でも構いませんよね」

 

「え、えぇ大丈夫ですけど。」

 

赤組の代表は予想通り果南さんか。

 

果南「やっぱり瑠惟はおもしろいね。」

 

瑠惟「こんなにつまんない人間他にいませんよ。」

 

「それでは赤組、白組の健闘を称えこの優勝旗を両組に授与します!」

 

瑠惟「先輩、受けっとってください。」

 

「・・・うん。ありがとう。」

 

「果南のところのマネージャーは最高だね。」

 

果南「なんたって私達Aqoursの誇りだからね。」

 

そう話す二人は最高の笑顔をしていた。

 

 

 

赤組と白組の白熱した戦いも引き分けという形で幕を閉じ、いよいよ部活動対抗リレーの時間が来た。

 

千歌「次はやっとAqoursのみんなでリレーだね!頑張ってね!」

 

瑠惟「頑張ってじゃねぇよ。おめぇも頑張るんだよ!」

 

千歌「えへへ。そうでした。」

 

大丈夫かよアンカーがこれで・・・。推薦したの俺だけど。

 

瑠惟「そういえば相手の部活は何でしたっけ?」

 

ダイヤ「えーとですね・・・非常に言いにくいですが・・・」

 

どうしたんだ?

 

ダイヤ「バレー部にバスケ部あとは・・・」

 

あとは?

 

 

 

 

 

 

 

 

ダイヤ「陸上部です・・・。」

 

 

 

 

 

 

 

こりゃダメだな。

 

果南「それは中々に厳しいね。」

 

千歌「そんなにヤバい相手なの?」

 

あぁこいつは知らないのか。それなら仕方ない。

 

梨子「さっき部活動対抗リレーあったでしょ。見ててどうだった?」

 

千歌「瑠惟君も果南ちゃんも他の人もすっごく速かった!」

 

曜「実はね・・・あのリレーメンバー瑠惟君と果南ちゃん以外全員陸上部なの。」

 

千歌「へっ?」

 

そりゃそうなるわ。浦の星の中でも走りのスペシャリストと競わないといけないからな。

 

千歌「それってヤバくない?」

 

瑠惟「控えめに言ってマジでヤバイ。」

 

千歌「勝てるの?私達?」

 

瑠惟「何言ってんだよ。勝てるの?じゃなくて勝つんだよ!」

 

曜「そうは言っても・・・」

 

瑠惟「おいおい。何のために毎日走り込みして練習してると思ってるんだ?」

 

花丸「ラブライブのためずら。」

 

瑠惟「」

 

的確なツッコミありがとう。

 

瑠惟「と、とにかくだ。みんなは自分の力を信じなさすぎだ。今のみんなならいい勝負できると思うぞ。俺が保証する。」

 

鞠莉「そこまで言われたらね・・・」

 

果南「やるしかないね!」

 

ルビィ「ルビィ・・・頑張ります!」

 

曜「千歌ちゃん、や・め・る?」

 

千歌「やめない!絶対に勝ーつ!」

 

こいつらチョロすぎて心配だわ。

 

「あ、あの・・・」

 

ん?この声は・・・さっきの!

 

瑠惟「君は確か〜ちゃんだったけ。」

 

「覚えててくれたんですね。ありがとうございます。」

 

花丸・ルビィ「〜ちゃん?どうしたの(ずら)?」

 

「花丸ちゃんにルビィちゃん。ちょっと伝えたいことがあってね。」

 

瑠惟「伝えたいこと?」

 

「さっきのリレーカッコよかったです!本当に先輩はすごいです!」

 

瑠惟「ありがとう。そんなに褒めても何も出ないぞ/////」

 

「実は私・・・Aqoursのファンでいつも応援してます!」

 

千歌「私達のファンなんだ!嬉しいな〜。」

 

「それでずっとAqoursとそのマネージャーである先輩を見てきました。それでですね・・・あの・・・Aqoursのみなさんがいる前で言うのもアレですけど・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私、先輩のことがずっと好きでした!私と付き合ってください!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

瑠惟「ファ!?」

 

Aqours「えぇ〜〜〜!!?」

 

い、今俺は告白されたのか!?

 

千歌「ちょ、ちょっと待って。本気なの!?」

 

「はい・・・初めて見た時からずっと・・・。」

 

梨子「や、やめておきなさい!こ、こんな男。付き合ったってロクなことないわよ!」

 

おい、ひどい言われようだな。

 

曜「そ、そうだよ(便乗)!せ、セクハラとかしてくるし!」

 

何を言っているんだ。そんなこと一度もした覚えがな・・・・・・あるかも。

 

花丸「た、確かに先輩はカッコよくて優しくて頼りになるずら!で、でも付き合うのはダメずらー!」

 

地味に褒めてくれる花丸ちゃん・・・あいつら(二年生)と違って優しい(泣)

 

ルビィ「ルビィも・・・そ、それは嫌かな。」

 

善子「リトルデーモンを取っちゃダメなの!」

 

果南「わ、私は別にいいけど・・・」

 

鞠莉「案外瑠惟も隅に置けないね〜。」

 

ダイヤ「そんな不純異性交遊・・・ぶっぶーですわ!」

 

みんな理由がめちゃくちゃだなおい。

 

「先輩はどうですか・・・?」

 

瑠惟「俺?う〜ん・・・」

 

好きって言ってくれるけどほとんど初対面の子だし・・・

 

瑠惟「今は恋愛とかは興味ないというかあんまり分からん・・・」

 

「・・・そうですか。でも、私は諦められません!なので・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「Aqoursのみなさんが部活動対抗リレーで1位を取ったら私は諦めます。もし負けたら・・・あとは分かりますね。」

 

 

 

 

 

 

千歌「・・・その勝負受けてたーつ!!絶対に1位を取るから!みんな行くよ!!」

 

おぉ〜!!

 

みんなからはかつてないほどやる気を感じる。

 

そんなに俺に先を越されるのが嫌なんだな。

 

リレーメンバーは鬼気迫る表情で走って行った。

 

それからの4人は人が変わったようにすごかった。

 

何がすごかったかって言うとスタートからゴールまで1位で一度もそのトップを他の部活に譲ることなく独走していた。

 

可哀想なことに一緒に参加していた運動部、特に陸上部は完全にプライドをへし折られたようでリレーが終わるとみんな泣いていた。

 

そんな陸上部と対照にAqoursはリレーを終えると感情を爆発させて喜んでいた。

 

「はぁ・・・1位取っちゃいましたね。約束通り私は先輩のことを諦めます。」

 

彼女はどこか安心したかのように言った。

 

瑠惟「本当にそれで良かったのか?」

 

「・・・さっきのみなさんを見て確信しました。先輩の隣にいるべきなのは私じゃないって。」

 

そう言う彼女の見つめる先にはまだ喜び合っているAqoursのみんな。

 

瑠惟「まぁ・・・付き合うとかはできないけど、友達なら全然いいぞ。」

 

「本当に先輩はずるいですね。変なところで優しいから。」

 

花丸ちゃんと同じことを言われた。

 

俺はそんなに他人に優しくできる人間ではない。

 

「・・・でもそこが先輩のいいところだと思います。」

 

なんか調子狂うな。

 

瑠惟「じゃあこれからもよろしく。友達として。」

 

「はい。友達としてですね♪」

 

 

 

こうしてリレーも意外な形で終わり残すプログラムは・・・

 

瑠惟「フォークダンスってなんだっけ?」

 

千歌「タイムタイムだよ。」

 

タイムを要求してどうする。

 

曜「千歌ちゃん、それを言うならマイムマイムでしょ。」

 

千歌「あっ・・・。やっちゃった♪」

 

ウゼェ・・・。

 

果南「あとは・・・あれだ!オクラホマミキサーだっけ。」

 

ダイヤ「それですわ。なぜあれを女子校でやろうと思ったのでしょうか。」

 

オクラホマミキサーって確かペアになって踊って交代していくやつだよな。記憶が曖昧で説明が雑すぎるなこれ。

 

瑠惟「でも、俺はちょっと恥ずかしいですよ。女子と踊るって。」

 

それに嫌がられたら結構傷つくし。

 

鞠莉「あれ?でもあなた前に番外編でダイヤと千歌っちと一緒に踊ってなかった?確か・・・『Shall we dance?』って言ってたような。」

 

アァァァァ!!やめてくれ!俺の黒歴史を掘り出すな〜!

 

瑠惟「番外編とか言っちゃダメです!」

 

そんな感じに頭がゴチャゴチャしたまま俺はフォークダンスをするのであった・・・。

 

 

 

フォークダンス終了後・・・

 

瑠惟「やっと・・・やっと終わった。」

 

なんで浦の星の子はこんなに元気なんだ。

 

俺はヘトヘトだってのにお構い無しにダンスしやがる。

 

特にAqoursのみんなは今日一番の気合いかってぐらいダンスしてたな。

 

しかも俺がAqoursの誰かとペアになる度に周りの子はニヤニヤしだすし。

 

まぁそんなことはいい。とにかく長い長い一日が終わったんだ。

 

・・・でも何か忘れているような気がする。

 

花丸「先輩。もちろん約束覚えてるずら?」

 

瑠惟「あっハイ。のっぽパンですよね?」

 

花丸「分かってるなら早く行くずら〜!」

 

とここで終わりになれば良かったけど現実は甘くない、自分でまいた種はちゃんと処理しなければならん。

 

梨子「瑠惟君。」

 

瑠惟「・・・分かってるって。さぁ何をしてほしい?今なら大抵の事は聞いてやるぞ。」

 

梨子「そんなに変なことじゃないよ。・・・ただ目をつぶってほしいの。」

 

瑠惟「そんなことでいいのか?」

 

梨子「はやくはやく。」

 

瑠惟「ん。」

 

俺は目をつぶる。

 

瑠惟「ほら。これでい」

 

それは突然だった。

 

 

 

 

 

 

 

チュ

 

 

 

 

 

 

 

俺の頬に柔らかい何かが当たった。

 

びっくりして俺は目を開けてしまう。

 

瑠惟「り、梨子お前何を・・・」

 

梨子「さっきのは今日頑張ったご褒美だよ♪」

 

そう言う梨子の顔は紅く染っていた。おそらく夕陽のせいだろう。

 

これで本当に俺の一日は終わった。

 

この後、花丸ちゃんによって俺の財布が軽くなるのと、ことりさんに半殺しにされるのはまた別のお話。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次から本編に戻ります

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。