コミュ障ヘタレと9人のアイドル   作: まきパリ

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どうも、まきパリです。
前回言った通り今回は前より短めです。
毎度のことながら駄文、誤字、脱字多めですがよろしくお願いします。
ではどうぞ!


コミュ障ヘタレと桜色の希望

日曜日・・・今日は千歌たちと海の音を聞きに行く。

 

はっきり言って面倒くさい。しかし、行かないという選択肢はなく、準備をしなければと布団から起きると、珍しくまだ千歌が寝ていた。

 

「ほんとにこいつは幸せそうに寝てるな。」

 

このまま可愛い寝顔を見ていたいが、そろそろ起きないと約束の時間に遅れるかもしれないので起こすことにした。

 

「あの~千歌さん?そろそろ起きてくださーい。」

 

うむ。反応なしか。なら・・・

 

千歌の耳元に顔を近づけ・・・

 

「なんだかお腹が空いたな~。あっそうだ、冷蔵庫に置いてあった千歌のプリンでも食べようk」

 

「ダメ~!!」

 

千歌が飛び起きた。

 

「やっぱり狸寝入りじゃないか。」

 

「瑠惟君のヘタレさん。」

 

「ん?何か言ったか?」

 

「何でもない!早く準備するよ!」

 

「お・・おぅ。」

 

ー瑠惟sideoutー

 

ー千歌side inー

 

もぉ~なんで瑠惟君はいつもヘタレさんなの?

 

私はやっぱりただの従姉妹なのかな?

 

でも・・顔を近づけてきた時はちょっとドキドキしちゃった。

 

よ~し、いつか絶対に振り向かせてみせるからね!

 

ー千歌sideoutー

 

ー瑠惟side inー

 

 

千歌と集合場所に行くと、曜と梨子がすでに来てた。

 

「よーしみんな来たね。レッツゴー!」

 

そして四人は港から出港している連絡船に乗り、淡島というところに着いた。

 

ダイビングショップに着くと、店の中から一人の女の子が出てきた。

 

青い長く伸びた髪をポニーテールにし、モデルのようなスタイルの女の子。

 

ん?この人どこかで・・・

 

ダイヤさんの時と同じ感覚が蘇る。

 

・・・思い出した。この人もだ。二年前の・・・。

 

「君が千歌の従姉妹の瑠惟君ね。へぇ~いい男じゃん千歌。」

 

「千歌が君の事をいつも楽しそうに私に話すんだよ。」

 

千歌の奴、一体何を話した?

 

「もう!果南ちゃん!」

 

「ごめんごめん千歌。」

 

「で、あなたが音ノ木坂から転校した子だね。」

 

「千歌から聞いてるよ。」

 

「私は松浦果南。浦の星の三年生だけど、今は休学中。よろしくね。」

 

「西王瑠惟です。よろしくお願いします松浦先輩。」

 

「果南でいいよ。」

 

「か・・果南さん」

 

「桜内梨子です。よろしくお願いします。」

 

それから果南さんにシュノーケリングのやり方など色々教えてもらった。

 

「君は本当に入らなくていいの?」

 

「はい。自分の仕事はあくまでサポートなんで。」

 

「瑠惟君も行こーよ。」

 

「千歌、お前ら三人で行ってこい。お前たちなら求めているものが見つけられるはずだ。」

 

「えっと・・・梨子、ひとつ言っておこう。目に見えてるものからイメージすることが大切だぞ。つまり、見えないものを見るんだ。」

 

「見えないもの見る・・・。分かった。やってみる。」

 

「がんばれ。」

 

それと・・・

 

「曜、アイツらの手助けをしてやってくれ。」

 

「了解!では、海中に向かって全速前進ヨーソロー!」

 

そして三人は海に潜って行った。

 

自分と果南さんは船の上で談笑している。

 

「君は本当に面白いね。」

 

「そうですか?」

 

「そうだよ。でも、どうして梨子ちゃんにあんな事言ったの?」

 

「梨子の場合、慎重に考えすぎるから恐らく空回りしてしまうだろうなと思ったんです。だから少しヒントをあげようかと・・・」

 

「ふーん。で、君は三人の中の誰が好きなの?」

 

「は!?」つい吹き出してしまった。

 

「ちょっと、そんなに慌てなくても。」

 

三人、つまり千歌、曜、梨子のことか。

 

「確かに三人とも素敵な女の子ですけど、自分はあくまでマネージャーなのでそういう目線では見ていないですね。」

 

「そうなんだ。それにしてもあの子達、ずいぶん君を信頼しているみたいだね。」

 

千歌と曜はともかく梨子にはあまり信頼されてないと思う。

 

「そうだったら嬉しいですけどね。」

 

それよりあの事が気になるな。少し探りを入れてみるか。

 

「果南さんはやらないのですか?スクールアイドル。」

 

「私はそういうのはいいかな。興味ないし。」

 

少し顔が曇った気がした。もう少し切り込んでみるか。

 

「そうなんですか。ところで果南さんは三年生でしたよね?だったら黒澤ダイヤ先輩って知ってますか?生徒会長の。」

 

「知ってるけどなんで?」

 

「それが千歌達がスクールアイドル部を作りたいって言ったら、キッパリ断られちゃって。どうも何か隠してそうだなって。」

 

「ダイヤ・・・それはそうだよ。だって二年前・・・。」

 

「二年前に?」

 

「・・・・・・ううん。やっぱり何でもない。」

 

この反応はビンゴだ。やはりこの人は『Aquors』のメンバーだ。

 

「そうですか。ありがとうございます。」

 

その時、千歌達が船に戻ってきた。

 

「梨子、どうだった?聞こえたか?」

 

「ううん。やっぱり難しい。」

 

「確かに・・・・・・なんだか今日は少し暗いしな。」

 

「暗い・・・。ねぇもう一回いい?」

 

何か掴んだようだな。

 

そして千歌達はまた潜って行った。

 

しばらくして空が晴れてくると同時に千歌達が水面に上がってきた。

 

三人とも笑顔で笑い合っている。

 

聞こえたようだな。これで梨子は変わるだろう。

 

すると果南さんが驚いたように

 

「君、最初からこれを狙っていたの?」

 

「まぁ、部員を導くのもマネージャーの仕事ですから。」

 

「君は一体・・・」

 

「いずれ頂点に立つスクールアイドルのマネージャーですよ。」

 

ー瑠惟sideoutー

 

ー果南side inー

 

さっきの彼、一体何者なの?

 

明らかに千歌達の求めているものを分かっていた。

 

それに彼のさっきの質問、まるで昔の私を知ってるような。

 

それにダイヤの事も。もしかして二年前の事を?

 

いやいや、そんなはずない。あれを知っているのは私とダイヤと鞠莉とあそこにいた人・・・。まさか!彼は・・・

 

仮にそうだとしてもそんなに悪い人という感じはしなかった。

 

千歌達が信頼するぐらいの人だし。

 

とにかく私は彼から不思議なものを感じた。

 

ー果南sideoutー

 

ー瑠惟side inー

 

次の日

 

「え?嘘?」

 

「ホントに?」

 

「マジですか?」

 

上から千歌、曜、自分が驚きの声をあげる。

 

「もちろん。」

 

なんと梨子がスクールアイドルをやってくれると言ったのだ。

 

「ありがとう!」

 

喜んだ千歌が梨子に抱きついた。

 

「待って、勘違いしてない?」

 

そう言って梨子は千歌を引き剥がす。

 

「私は曲作りを手伝うって言ったのよ。スクールアイドルにはならない。」

 

なるほど。つまりは楽曲提供をしてくれるってことだな。

 

「えぇぇ!?」

 

落単の叫びをあげる千歌。

 

「そんな時間は無いの。」

 

「まぁ無理は言えないしな。手伝ってくれるだけでも感謝しよう。」

 

「じゃあさっそく詩を頂戴。」

 

歌詞か・・・そういえば何にも考えていなかったな。

 

「それじゃ皆で考えるか。」

 

「そうだね。」

 

自分の提案により4人は千歌の家に向かった。

 

 

 

 

意気揚々と歌詞作りを始めた自分達だったが・・・

 

「う〜ん。」

 

「やっぱり恋の歌は難しくないか?」

 

「そうだよ千歌ちゃん。別のにしようよ。」

 

「いやだ。μ'sのスノハレみたいなのを作るの。」

 

どうしても千歌はμ'sのSnow halationみたいな恋愛ソングを作りたいようだ。しかし歌詞を作ろうにも何を書けばいいのかさっぱり思い浮かばない。

 

「そうは言っても、恋愛経験なんて無いんだろ?」

 

自分は千歌に向かって質問する。

 

「えっと・・それは・・・」

 

「あるのか?」

 

「あるよ///」

 

マジで!?いやぁそれは知らなかったな・・・。

 

「曜はあるのか?」

 

「私も・・・あるかな。」

 

何ィィ〜!?

 

「じゃあ梨子も?」

 

「あると思う。」

 

こんな美少女に好かれる奴は爆ぜろ。

 

「でも、ということはμ'sがこの曲を作ってた時に誰か恋愛してたのかな?」

 

そんな訳ないだろ。そもそもこの曲は・・・

 

「調べてみるよ。」

 

「何でそんな話になるの。作詞でしょ。」

 

「千歌ちゃん、スクールアイドルに恋してるからね。」

 

なんだそれ。

 

「「「!!!」」」

 

自分、曜、梨子が顔を見合わせる。

 

「何?」

 

「今の話聞いてなかった?」

 

「スクールアイドルにドキドキする気持ちとか。大好きって感覚とか。」

 

「それなら書ける気しない?」

 

「うん!書ける!それなら書ける!」

 

さっきまで止まっていた千歌の手の動きが急に早くなったぞ。よっぽど好きなんだな。

 

「はい。」

 

「もう出来たの?」

 

「参考だよ。私、その曲みたいなの作りたいの。」

 

この曲は・・・

 

「ユメノトビラか。」

 

この曲はμ'sがラブライブ地区予選でUTX学園で歌った曲だ。

 

「私ねその曲を聞いてねμ'sみたいなスクールアイドルになりたいって本気で思ったの。」

 

「がんばって努力して力を合わせて奇跡を起こしていく。私でも出来るんじゃないかって、今の私から変われるんじゃないかって、そう思ったの。」

 

千歌の奴、スクールアイドルが本当に好きなんだな。

 

 

 

その夜・・・

自分と千歌が寝ようとすると、隣の家から音楽が聞こえてきた。

 

「千歌、何か聞こえないか?」

 

「うん。聞こえる。なんだろう?」

 

『夢の扉〜ずっと探し続けた。君と僕との繋がりを探してた〜。』

 

「この曲は・・・」

 

「「ユメノトビラだ!」」

 

ん?でもこの声は梨子のように聞こえるが。

 

「あれ?千歌ちゃん!?」

 

隣の家の窓が開き梨子が顔を覗かせた。

 

「梨子ちゃん!」

 

「それに瑠惟君!?」

 

「こんばんは。」

 

「そこ梨子ちゃんの部屋だったんだ。」

 

「そっか引っ越したばかりで全然気づかなくて。」

 

いや・・・普通気付くと思うが・・・まぁ細かいことは置いておこう。

 

「今のユメノトビラだよね!」

 

「梨子ちゃん歌ってたよね!」

 

それにしても彼女は綺麗な声をしてる。

 

「いや、それは・・」

 

「その歌私大好きなんだ!」

 

 

 

 

 

「千歌ちゃん、瑠惟君、私どうしたらいいんだろう・・・何やっても楽しくなくて、変われなくて。」

 

「梨子・・・」

 

「やってみない?スクールアイドル。」

 

「やってみたらどうだ?」

 

「ダメよ。このままピアノを諦める訳には。」

 

「スクールアイドルをやってさ笑顔になれたら、楽しくなったら、もう一度ピアノと向き合ってみればどうだ?」

 

「でも失礼だよ。3人はスクールアイドルを、本気でやろうとしているのに。」

 

「梨子ちゃんの力になれるなら私は嬉しい。みんなを笑顔にするのがスクールアイドルだもん。」

 

「千歌ちゃん・・・」

 

すると千歌はベランダの手すりによじ登った。

 

っておい千歌!何してんだ!そんなにところに身を乗り上げるな!

 

千歌は梨子の部屋に向かって手を伸ばしていた。

 

「千歌!危ないって!いやシャレにならんぞ!」

 

「大丈夫。瑠惟君が支えてくれるから。きっと・・・私と曜ちゃんと梨子ちゃんを。」

 

3人も支えるなんてさすがに・・・無理なんて言えないよな。

 

ははっ!千歌の奴、面白いじゃねーか。

 

「梨子!さぁ手を伸ばせ!」

 

「でも・・・」

 

「安心しろ!もしお前達が折れそうなら自分が支える!もしお前達が泣きそうなら自分が笑顔にしてやる!もし・・お前達が笑うなら一緒に笑ってやる!だから一緒に目指そう!スクールアイドルの頂点を!」

 

「瑠惟君・・・」

 

「でも、さすがに届かないよ。」

 

「待って、ダメ!」

 

諦めずに千歌は手を伸ばし続ける。

 

自分は千歌の下半身をガッチリと抑え落ちないように支えている。

 

 

 

 

梨子頑張れ。

 

 

 

 

あとはお前の気持ちだけだ。

 

 

 

 

 

梨子は精一杯手を伸ばすが僅かに届かない。

 

なので千歌がさらに身を前に出そうとするが・・・

 

「危ない!」

 

「あっ・・・」

 

「ととっ!」

 

千歌が落ちそうになった所を間一髪支える。

 

「瑠惟君!」

 

「そのまま伸ばせ!絶対に離さねーから!」

 

 

 

 

 

そして梨子と千歌の手が繋がった。

 

 

 

 

やるじゃん二人とも。

 

 

 

その後、千歌の部屋にて・・・

 

「さっきはありがとう。瑠惟君。」

 

「マネージャーだから部員を支える(物理的に)のは当たり前だろ?」

 

「これからもよろしくね!」

 

「あぁ。こちらこそ四人で一緒に頑張っていこうな。」

 

「明日も練習だからもう寝るぞ。」

 

「うん!おやすみ瑠惟君!」

 

「おやすみ千歌。」

 

明日から本格的に始動だな。

 

 

 

 

 

そういえばグループ名決めたっけ?

 

 

 

 

 

ー瑠惟sideoutー

 

ー梨子side inー

 

『もしお前達が折れそうなら自分が支える!もしお前達が泣きそうなら自分が笑顔にする!もしお前達が笑うなら一緒に笑ってやる!』

 

瑠惟君・・・かっこよかったな。

 

思えば、初めて会った時も少しドキドキしたっけ。

 

海に落ちた私を大きくて優しい手で抱きかかえてくれて、すごく温かかったな。

 

これは多分恋かな・・・

 

私・・・彼のことが好きなのかも・・・。

 

恐らく千歌ちゃんと曜ちゃんも。

 

いつか私に振り向いてくれるのかな?

 

ううん!待ってちゃダメ。私から行かなきゃ!

 

ということでこれからもよろしくねマネージャーさん♪

 

 

 

 




最後まで読んでいただきありがとうございます。
次はファーストライブに入ろうと思いますが、恐らく今までで一番長くなると思います。自分もそれぐらい思い入れがある話なので。
ではまた次回お会いしましょう。

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