コミュ障ヘタレと9人のアイドル   作: まきパリ

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どうも皆さん、まきパリです。

お待たせして申し訳ありません。

アニメを見返していたら遅くなりました。

今回も駄文ですがよろしくお願いします。

ではどうぞ・・


コミュ障ヘタレとファーストライブ

梨子がスクールアイドルの練習に参加し始めてから数日後のある朝。

 

現在ダンスの練習中である。

 

「「「ワンツースリーフォー。ワンツースリーフォー。ワンツースリーフォー。ワンツースリーフォー。」」」

 

「はいストップ。」

 

自分達は録画していた映像を確認する

 

「どう?」

 

「だいぶ良くなっている気はするけど。」

 

この数日間、彼女達の練習を見てきたが…

 

「形にはなってきてるが、まだ三人とも動きが硬い。」

 

「えぇ〜!?」

 

「確かにここの蹴りあげが弱いし、あとここも。」

 

「ほんとだ〜。」

 

「すごいね曜ちゃん!」

 

「すぐ気づくなんて。」

 

「高飛び込みやってたからフォームの確認は得意なんだ。」

 

こういう奴が一人でもいるとかなり助かる。

 

なんせマネージャーが役立たずだから。

 

「リズムは?」

 

「大体は揃っているが、千歌が少し遅れてるな。」

 

「私か〜!」

 

「とりあえず三人は体力作りと柔軟性をつけよう。」

 

「曜は大丈夫だと思うが、あとの二人は自分も手伝うよ。」

 

「よ〜し、じゃあ練習を・・・」

 

「ん?」

 

ブブブブ・・・

 

ヘリらしき飛行物体が結構近くを飛んでいた。

 

「何あれ?」

 

「多分・・・小原家のヘリじゃない?」

 

「何!?小原家だと!?」

 

「どうしたの瑠惟君?」

 

「いやまぁ小原家とは少し関わりがあってな。」

 

「小原家って?」

 

「淡島にあるホテルを経営してて、新しい理事長もそこの人らしいよ。」

 

「へぇ~。」

 

「何か近づいてない?」

 

「気のせいよ。」

 

いや、確かに近づいてきてるぞ。

 

「「「うわぁぁぁ!」」」

 

そのヘリは四人の頭上を通り、浜辺付近でホバリングしている。

 

「なになに?」

 

するとヘリの扉が開き・・・

 

 

 

 

 

「チャオ!」

 

 

 

 

 

中から金髪美女が顔を出した。

 

「久しぶりね!瑠惟!」

 

「お久しぶりです。鞠莉さん。」

 

この人は小原鞠莉。先程言っていた小原家のご令嬢で浦の星の新理事長。何より自分の転入を許可してくれた人である。

 

ちなみにこの人も二年前のAqoursの一人である。ことを先日果南さんと話してて思い出した。

 

「もうマリーでいいのに。そうそう、話があるから後で理事長室に来てね。」

 

話か・・・また何かが起こりそうだ。

 

 

 

ー理事長室ー

 

鞠莉さんから千歌達に理事長就任のことが伝えられた。

 

「え?新理事長?」

 

「Yes!でもあまり気にせず気軽にマリーって呼んでほしいの。」

 

「三年生謙理事長。カレー牛丼みたいなものね。」

 

「鞠莉さん。例えがよくわかりません。」

 

梨子、ナイスツッコミ!

 

 

 

 

「わからないに決まってます!」

 

 

 

 

 

 

「生徒会長?」

 

ダイヤさん居たのかよ。

 

「ダイヤ久しぶり!」

 

「ずいぶん大きくなって。」

 

鞠莉さんは生徒会長の後ろに回り込み慎ましやかなアレを揉んだ。

 

「だけど・・・胸も相変わらずね。」

 

「やかましい!・・・・・・ですわ。」

 

今、素が出たな。

 

「全く、一年の時にいなくなったと思えば、こんな時に戻ってくるなんて。一体どういうつもりですの?」

 

そうなのか?知らなかった・・・

 

「今日はいい天気よね!」

 

「人の話を聞かない所も相変わらずですのね。」

 

「ところで・・・本当に理事長になられたのですか?」

 

「もちろん。」

 

そう言って鞠莉さんは任命状を見せた。

 

生徒会長はそれを見ると『嘘・・・』と呟き任命状を返した。

 

「なぜあなたが理事長に?」

 

「まず、瑠惟の転入を許可するため、それと・・・この浦の星にスクールアイドルができたって聞いてね。」

 

「瑠惟さん。またあなたですの?」

 

「そうらしいですね。」

 

「本当にあなたという方は・・・」

 

生徒会長は厄介事が増えたかのように頭を抱えた。

 

「鞠莉さん。あの時は転入を許可していただきありがとうございました。」

 

「いいのいいの!なんたって可愛い瑠惟の頼みですもの。」

 

「二人は一体・・・」

 

梨子からそんな疑問が飛ぶ。

 

「こっちの親と鞠莉さんの親御さんが昔から仲が良くて、何回か鞠莉さんとは遊んでいたたんだよ。」

 

「えぇ。あの頃から瑠惟は可愛くて、まるで弟ができたみたいだったわ。それでスクールアイドルの件だけれど、ダイヤに邪魔されないように応援しに来たの。」

 

「ホントですか!」

 

「Yes このマリーが来たからには心配いりません。」

 

「デビューライブはアキバドゥームを用意してみたわ。」

 

そんなとこ用意してるわけないだろ。

 

「いきなりそんな・・・」

 

「奇跡だよ!」

 

「It’sジョーク!」

 

「ですよねー。」

 

「実際には・・・」

 

 

 

 

 

 

 

「ここで?」

 

鞠莉さんが用意した場所、それは体育館だった。

「はい。ここを満員に出来たら、人数に関わらず部として承認してあげますよ。」

 

「ほんと?」

 

「部費も使えマース。」

 

「もし満員に出来なかったら?」

 

「その時は解散してもらう他ありません。」

 

「そんな・・・」

 

「嫌なら断ってもらっても結構ですけど・・・どうします?」

 

「やります!」

 

千歌ならそう言うと思った。

 

「そうだね。やろう!」

 

「OK、行うということでいいのね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

鞠莉さんが去った後4人で体育館で話していた。

 

どこか違和感を感じる。だってスクールアイドル活動を補助するのが目的なら失敗すれば廃部が決定する課題なんて与えないはずだ・・・

 

「ちょっと待って。この学校の生徒って全部で何人?」

 

梨子が何かに気づいたようだ。

 

「え~と・・・!!」

 

・・・・・・なるほどそういうことか。彼女が言いたいことが分かった。

 

「どういうこと?」

 

千歌はまだ理解できていないようだ。

 

「わからないのか?」

 

「全校生徒が来ても恐らくここは・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「満員にならない。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まさか鞠莉さん、それを分かってて・・・」

 

「多分そうだな。」

 

一体どういうつもりなんですか鞠莉さん。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

帰りのバスにて・・・

 

「どうしよ〜」

 

「でも、鞠莉さんの言いたいこと何となく分かるわ。」

 

「・・・俺達のポテンシャルを試しているのか。」

 

体育館を満員にするぐらい乗り越えなければ話にならないという事。

 

「やっと曲ができたばかりだよ。ダンスもまだまだだし。」

 

「じゃあ、諦める?」

 

「諦めない!」

 

「なんでそんな言い方するの?」

 

梨子が曜に耳打ちする。

 

「こう言ってあげたほうが千歌ちゃん燃えるから。」

 

まぁ、千歌の性格上やり方としては正しいかな。

 

「そうだ!」

 

千歌の奴何か思い付いたようだな。

 

どうせ碌でもないことだろうが・・・

 

 

 

場所は変わって千歌の家・・・

 

「お願い!いるでしょ従業員・・・」

 

姉の目の前で土下座をする千歌。

 

こいつ、姉を使うのか。しかも自分のプリン差し出してるし。

 

「何人くらい?」

 

「本社もいれると二百人くらいかな。」

 

「二百人・・・!」

 

魅力的な数字に目を輝かせる千歌。

 

まぁそれぐらい来たら満員にはなるだろうな。

 

「あのね。私達、来月の初めにスクールアイドルとしてライブを行うことにしたの。」

 

「スクールアイドル?あんたが?」

 

「でね、お姉ちゃんにも来てほしいかなって。会社の人二百人程誘って。」

 

「ホントは?」

 

「んん。満員にしないと学校の公認が貰えないの!!」

 

本音を言いやがった。

 

ん?美渡さんペンを取り出して何をするんだ?

 

「だからお願い!」

 

 

 

 

 

 

 

「何で上手くいかないの。」

 

千歌はあの後、美渡さんにおでこにバカチカと書かれていた。

 

「完璧な作戦だったはずなのに。」

 

「嘘つけ。穴だらけだったじゃないか。」

 

「お姉さんの気持ちもわかるけどねー。」

 

「え!?曜ちゃん、お姉ちゃん派?」

 

曜は現在ライブで使う衣装を作成している。

 

一人では大変なので自分も手伝っている。

 

「あれ?梨子ちゃんは?」

 

「さっき、お手洗い行くって言ってたよ。」

 

それにしても遅いな。

 

少し様子を見に行くか。

 

廊下に出ようと扉を開けるとそこには手すりと扉をに手と足をついている梨子がいた。

 

「何やってるんだ?」

 

このままじゃパンツが見えるぞ。まぁむしろ見せてもらっても大丈夫ですけど。

 

「それよりも人を集める方法でしょ。」

 

SASUKEみたいなポーズで千歌に意見を言う梨子。

 

「何か考えないとね。」

 

「町内放送で呼びかけたら?頼めば出来ると思うよ。」

 

それも一つの手だな。

 

「それに沼津の方にもスクールアイドルに興味のある人はいるんじゃないか?」

 

「そうだね。じゃあビラ配りをしよう!」

 

 

 

 

 

ということで翌日、みんなで沼津に来た。

 

「東京に比べると人は少ないけど、やっぱり都会ね。」

 

この時間・・・

 

「そろそろ学校帰りの学生が来る頃じゃないか?」

 

「よ~し、気合い入れて配ろう!」

 

さて、配り始めたのはいいが

 

千歌がビラを差し出すも、見事に無視されていく。

 

「意外と難しいわね。」

 

「こういうのは気持ちとタイミングだよ。見てて。」

 

そう言って曜は女子高生二人の前に行き、

 

「ライブのお知らせで~す。よろしくお願いします。」

 

「ライブ?」

 

「あなたが歌うの?」

 

「はい!来てください!」

 

「行ってみる?」

 

「ありがとうございます!」

 

「すごい・・・」

 

「私も!」

 

すると千歌は見るからに気弱そうな女子高生のところに行き、

 

ドンッ!

 

「ひっ!」

 

「ライブやります。是非。」

 

「で、でも・・」

 

「是非。」

 

「ど、どうも。」スタスタ

 

「勝った。」

 

「あほか。」ペシッ

 

「痛~い・・」

 

「勝負してどうするんだ。」

 

「次は梨子ちゃんだよ。」

 

「私?」

 

「当たり前でしょ。四人しか居ないんだから。」

 

「それは分かってるけど。」

 

ところで今自分は何をしてるかというと、

 

「お願いします。」

 

「これ、あなたも出るの?」

 

「いえいえ、彼女たちですよ。」

 

「そう。男一人なのに偉いね。」

 

「ありがとうございます。」

 

コミュ障に知らない女子高生に話しかけるなんて出来るわけがないので、買い物帰りの奥様方を中心に声をかけている。

 

いやいや決してサボってるわけじゃないぞ。

 

横をちらりと見ると、梨子がポスターに向かって話しかけていた。

 

「何してるんだ梨子?」

 

「練習よ練習。」

 

「まぁ頑張れ。」

 

それから順調にビラ配りは進んでいき、後もう少しという時・・

 

お?あいつらは・・

 

「花丸ちゃ~ん!ハイっ。」

 

千歌は花丸ちゃんと呼ばれる少女にビラを渡す。

 

「ライブ?」

 

「花丸ちゃんも来てね。」

 

「ライブやるんですか!?」

 

「絶対満員にしたいんだ。だから来てねルビィちゃん。」

 

「・・・・・」

 

「じゃあ私まだ配らないといけn」

 

「あの~!」

 

ルビィちゃんが呼び止める。

 

「グループ名はなんて言うんですか?」

 

「グループ名?」

 

あっ・・、あいつらに決めておけって言うの忘れてた。

 

 

 

ところ変わって海岸沿いの砂浜。

 

「まさか決めてないなんて。」

 

「すまん。気づいていたんだが言うの忘れてた。」

 

「とにかく早く決めなきゃ。」

 

「三人はどんな名前がいいんだ?」

 

「浦の星スクールガールズとか?」

 

「そのまんまじゃない。」

 

「じゃあ梨子ちゃんが決めてよ。」

 

「そうだね。東京で最先端の名前とか。」

 

梨子にプレッシャーをかけるんじゃない。

 

「え~と、じゃあみんな海で知り合ったからスリーマーメイドとか?」

 

「「「・・・・」」」

 

「待って!今のなし!」

 

「曜は何か無いか?」

 

「う~ん、制服少女隊!」ビシッ!

 

「ないかな。」

 

「瑠惟君は?」

 

「マネージャーが決めたらダメだろ。それにこういうのはリーダーが決めるべきじゃないか?」

 

「戻ってきた〜。うーん・・・どうしよ~。」

 

「ん?」

 

少し離れた場所に何か書かれているのを見つけた。

 

あれは・・・!!

 

「これなんて読むの?」

 

そこにはかつてのスクールアイドル、『Aqours』の文字が。

 

「もしかしてアクア?」

 

「水ってこと?」

 

「「「おぉ・・」」」

 

なぜこの名前がここに書いてあるんだ?

 

「なんか良くない?グループ名に。」

 

「これを?誰が書いたのかも分からないのに?」

 

そうだ。いったい誰が書いたんだ?

 

周りを見渡せど誰もいない。

 

「三人とも書いてないんだよな?」

 

「そうだけど・・・」

 

「だからいいんだよ!名前決めようとしてる時にこの名前に出会った・・・それってすごく大切なんじゃないかな。」

 

「そうだね。」

 

「このままじゃ決まらないし。」

 

「いいんじゃないか?」

 

これも何かの縁だろ。Aqoursの皆さん、ありがたく使わせてもらいます。

 

「じゃあ決定ね。この出会いに感謝して・・今から私たちは・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「浦の星女学院のスクールアイドル、Aqoursです!」」」

 

町内放送で町のみんなに名前を公表した。

 

「待って、私たちまだ学校から正式な承認もらってないんじゃ・・」

 

「じゃあ、非公認アイドルAqoursです!」

 

千葉県の梨の妖精みたいに言うな。

 

「今度の土曜の十四時から浦の星の体育館にて・・」

 

「非公認ていうのはちょっと・・」

 

「じゃあなんて言えばいいの~~!!」

 

ひどい放送事故を見た。

 

本当にこのままで大丈夫かな。

 

この先のことに少し不安に感じる自分だった。

 

 

 

 

それからのライブまでの期間はあっという間に過ぎた

 

ビラ配りでは曜が圧倒的人気で人を集めたり、集合写真なんかも撮っていた。

 

これならある程度の人数は来てくれそうだな。

 

他には、クラスメイトである『よしみ』『いつき』『むつ』がライブの手伝いをしてくれることになった。

 

ダンスも三人は最初とは見違える程上達している。

 

この頃は夜遅くまで十千万に残って歌やダンスの練習をしている。その成果が出てくれるといいな。

 

自分も作曲や衣装の手伝いを積極的にしている。

 

 

 

ー ライブ前夜 ー

 

今日も夜遅くまで練習をしていた。

 

もうこんな時間か。ライブに支障が出るといけないしな、帰らせるか。

 

「明日はライブだし、もうそろそろ終わりにしておけよ。」

 

「あともう少し。」

 

まだ続けようとする千歌。

 

「曜。バスの時間は大丈夫なのか?」

 

「あぁ~!・・・バス終わっちゃった。」

 

「瑠惟君、今私忙しくてトラック出せないから曜ちゃんを送ってあげて。」

 

志満さんにそう言われ曜を送ることになった。

 

「わかりました。」

 

「そこまでしなくても大丈夫だよ。」

 

しかし曜は申し訳なさそうに遠慮する。

 

「こんな時間に女子を一人帰らせるわけにはいかないからな。もし曜を一人で帰らせて何かあったら俺は一生後悔する。」

 

「じゃあ・・・お願い。」

 

強い口調で言うと曜も渋々だが賛成してくれた。

 

 

 

 

 

「よし、ここに乗るんだ。」

 

「え?」

 

「自転車?」

 

「こっちの方が早いしな。」

 

それに免許なんて持ってないし。

 

「しっかり捕まっておけよ。」

 

「うん。」

 

 

 

ー帰り道ー

 

曜は自転車の後ろで自分に掴まりながら電話をしてる。

 

恐らく親御さんだろうな。

 

「うん。うん。」

 

「大丈夫だったか?」

 

「いい加減にしなさいって怒られちゃった。」

 

「こんなに遅くなるまで、ほんとに夢中だよな。千歌の奴。」

 

「私もびっくりしたよ。あんなにのめり込んで。」

 

「あいつは昔から飽きっぽいから。」

 

しかし曜の返答は違った。

 

「そうじゃなくて中途半端が嫌いなんだと思う。」

 

「考えてみれば確かにそうかもな・・・マネージャーに誘われた時に『自分は中途半端が嫌いだ。』って言ったんだ。あいつならやってくれる。そう思ったからマネージャーを引き受けたんだ。・・・ところで明日は大丈夫か?」

 

「うん・・・少し緊張してるし、不安だけど多分大丈夫!」

 

「だってあんなに頑張ってきたし、何より瑠惟君が居てくれるから。」

 

「まぁ・・客席から見ておくよ。なんたってファン一号だしな。」

 

「瑠惟君・・・」

 

ここでようやく曜の家に着いた。

 

「おっ着いたぞ。」

 

「わざわざ送ってくれてありがとう。明日のライブ絶対に成功させようね。」

 

「もちろんだ。じゃあおやすみ。」

 

「おやすみ。」

 

それでは帰りますか。

 

空を見上げると月が雲でぼやけていた。

 

確か天気予報では明日は雨だったな。

 

何事もなく成功してくれるといいんだが・・・

 

 

 

ー翌日ー

 

起きて窓の外を見ると空は生憎の雨だった。

 

やっぱり降ったか。ライブまでには止んでくれるといいんだが。

 

「おい千歌、起きろ。早めに行ってリハーサルするんだろ?」

 

「そうだった!早く準備しなきゃ!」

 

良かった。千歌はいつも通りだな。

 

朝ご飯を食べ、準備も終えたので玄関に行くと、志満さん達が見送りに来てくれた。

 

「千歌そろそろ行くか。」

 

「うん。」

 

「頑張ってね二人とも。私たちも後で行くから。」

 

「「行ってきます。」」

 

 

 

ーライブ直前ー

 

三人は今衣装に着替えている最中だ。

 

一応自分も衣装作りを手伝ったので、早く見てみたいのである。

 

そろそろかな。

 

「三人とも入るぞ。」

 

「いいよ。」

 

「おぉ~。」

 

作っている最中は分からなかったが、実際に着ているところを見るとほんとによく出来ていると思う。

 

「やっぱりこの衣装って・・」

 

「そうだよ!μ’sの最初のライブの衣装だよ!」

 

ほんとに好きなんだな・・・

 

まだ少し時間があるな。

 

「三人とも、ちょっといいか?」

 

「どうしたの?」

 

「まず、今日までよく頑張ったな。三人とも見違えたよ。あの日千歌に誘われて今日まで色々あって楽しかったよ。」

 

「千歌、みんなを引っ張ってくれてありがとう。その元気でライブも頑張れよ。」

 

「うん!頑張る!」

 

「曜、ビラ配りや衣装とか作ってくれてありがとう。二年前の輝きを今日もう一度見せてくれ。」

 

「もちろん!しっかり見ててね!」

 

「梨子、今日ライブが出来るのは梨子が曲を作ってくれたおかげだ。梨子の想いみんなに届けてくれ。」

 

「ありがとう!私頑張るね!」

 

「そろそろ時間だ。じゃあ頑張れよ!下で見てるから。」

 

そして舞台裏を後にした。

 

 

 

「えっと、どうするんだっけ?」

 

「確かこうやって手を重ねて・・・」

 

「繋ごうか。」

 

「え?」

 

「互いに手を繋いで・・ね、暖かくて好き。」

 

「ほんとだ・・」

 

「人来るかな?」

 

「もし来てくれなかったら・・」

 

「じゃあここでやめる?」

 

「「「ふふふっ」」」

 

「・・・・」

 

「さぁ行こう!いま全力で輝こう!」

 

「「「Aqours Sunshine!」」」

 

 

 

 

幕が上がった。目の前に映るの体育館を埋め尽くす観客・・・

 

 

 

 

 

なんておとぎ話みたいにはいかなかった。ざっと数えても十人程度・・・

 

聞こえるのはわずかな拍手。

 

三人は驚いた表情を見せる。

 

彼女たちはこの光景を見てどう思うのだろうか。

 

少なくとも自分は悔しい。この状況で何も出来ない無力な自分に腹が立つ。

 

「クソッ!なんでこんな・・・」

 

自分は悔しさで彼女たちを見ることが出来ない。

 

どうすれば・・・

 

すると千歌が

 

「私たちはスクールアイドル・・・せーのっ」

 

「「「Aqoursです!」」」

 

三人とも・・・

 

そうだよな。あいつらがあきらめてないのに自分があきらめるのはおかしいよな。

 

何よりもあいつらを支えると誓ったのだから。

 

「私たちはその輝きと」

 

「あきらめない気持ちと」

 

「信じる力に憧れ、スクールアイドルを始めました。」

 

「目標はスクールアイドル、μ’sです!」

 

「聞いてください。」

 

Aqoursのファーストライブ。

 

曲は『ダイスキだったらダイジョウブ』

 

曲が始まった。

 

うん。練習よりもうまく出来てるな。

 

このままいってくれ・・

 

しかし、それは突然起こった。

 

「元気だよ。元気を出していくよー・・・」

 

ピー、ダンッ!ダンッ!!ダンッ!!!

 

この音は・・・恐らく近くに雷が落ちたのか。

 

が、問題はその後だった。

 

「!?」

 

どうしたんだ!?急に電気が消えて、音楽も出なくなったぞ。

 

恐らくさっきの雷でブレーカーが落ちたのか・・・

 

「千歌・・・」

 

三人は動揺を隠せない。

 

とにかく何か手を。

 

考えろ、考えるんだ。

 

「・・・・・」

 

俺は通学初日に生徒会長に学校を案内してもらったことを思い出す。

 

 

 

 

ハッ!

 

 

 

「そうだ!あそこにアレがあったはずだ!」

 

急いで行かなければ。

 

少しだけ耐えてくれ千歌・・・

 

 

 

 

 

 

向かったのは倉庫。

 

「よし着いたぞ。」

 

重い扉を開けるとそこには・・・

 

 

 

 

「ダイヤさん!?」

 

 

 

黒澤ダイヤ生徒会長が懐中電灯を持ちながら何かを運んでいた。

 

「瑠惟さん!?と、とにかくこれを運びますわよ!」

 

「はいっ!」

 

やっぱり生徒会長も同じことを考えていた。

 

探していた物とは・・・発電機だ。

 

目の前の彼女から倉庫には発電機等の設備が揃っていると聞いていた。

 

良かった覚えていて。

 

「よいしょと。」

 

これでいけるか?

 

「じゃあつけますわよ。」

 

間に合ってくれ・・・

 

 

 

 

ピカッ!

 

 

 

 

やったついたぞ!

 

自分は急いで体育館に戻ったそこには・・

 

「マジですか!?」

 

体育館を埋め尽くさんばかりの人が来ていた。

 

「バカチカ!あんた開始時間間違えたでしょ!」

 

美渡さんがステージの千歌に向かって叫ぶ。

 

あいつ開始時間間違えていたのかよ・・・

 

「ほんとだ。私バカチカだ・・」

 

「千歌!」

 

そう言ってうなずいた。

 

すると曲が再開した。

 

沸き上がる歓声。

 

そしてステージの三人。

 

眩しいな・・・あいつら。

 

「あれ・・?」

 

気づいたら自分は泣いていた。

 

彼女たちに感動していた。なにより嬉しかったのだろう。

 

曲が終わった。

 

「「「はぁ、はぁ、はぁ・・」」」

 

 

 

 

 

わぁぁぁぁぁ!!パチパチパチパチ!!

 

 

 

 

大成功。とまではいかないが十分人は集まってくれた。

 

良かったな三人とも。

 

 

 

 

 

ステージの千歌達がマイクを持つ。

 

「彼女たちは言いました。」

 

「スクールアイドルはこれからも広がっていく。」

 

「どこまでだって行ける。」

 

「どんな夢だって叶えられると。」

 

 

 

 

 

すると突然ダイヤさんがステージ前に足を進め・・・

 

 

 

 

「これは今までのスクールアイドルの努力と町の人たちの善意があっての成功ですわ。勘違いしないように。」

 

 

 

 

違う、とは否定出来ない。むしろ正論である。

 

 

 

 

 

「分かってます。」

 

「!」

 

「でも、見てるだけじゃ始まらないって。うまく言えないけど、今しかない瞬間だから。」

 

千歌・・・

 

「だから!」

 

「「「輝きたい!」」」

 

お疲れ様。三人とも。そしておめでとう・・・

 

 

 

 

 

 

ライブ終了後・・・

 

「お疲れみんな。素晴らしかったよ。」

 

「ありがとう!」

 

「途中はどうなるかと思ったけど、成功して良かったよ。」

 

「電気を復旧させてくれたのは瑠惟君とダイヤさんだよね?」

 

「!?」

 

「なんでそれを知っているんだ?」

 

「ステージから見えてたんだ。」

 

「電気が消えてすぐに走っていった二人を。」

 

「あのとき二人が動いてくれなかったら、あのまま終わってたかもしれない。心が折れたかもしれない。」

 

「でも、瑠惟君達が私たちを照らしてくれた。希望の光で。」

 

希望の光か・・・

 

「言っただろ?お前達を支えてやるって。」

 

「ほんと、頼りになるね。」

 

「瑠惟君!」

 

「なんだ?」

 

 

 

 

「「「ありがとうございました!」」」

 

 

 

 

 

 

「どういたしまして。」

 

それから・・・

 

「これからもよろしくな。」

 

 

 

 

「浦の星女学院、スクールアイドル『Aqours』。」

 

 

 

 

「よ~し、じゃあ私の家で打ち上げだ!」

 

「「「「イェ~イ!!」」」

 

こうしてAqoursのファーストライブは無事成功した。

 

しかし今日は始まりの第一歩である。

 

明日から本格的なスクールアイドル生活が始まる。

 

コミュ障ヘタレは期待に胸を躍らせるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




まずは最後まで読んでいただきありがとうございます。

この話はサンシャイン!のなかでも好きな話なので書いていてとても楽しかったです。

さて、次回からは一年生組も書いていこうと思います。

ではまた次回・・・

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