Attack on Titamon   作:柳之助@バケつ1~4巻発売中

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ボーイズ・アンド・オーガ

 オーガモンとの出会いから一夜明けて――ついでに日も登って放課後。授業は全て終了し、巧斗、佐奈、凱の三人が当然のように集まって家に帰路に付こうとした。

 したがしかし、

 

「カイと少し寄るところがあるから、サナは先に帰ってくれ」

 

「そんな!? タクトはボクよりもカイをとるの!? だめだよ男同士なんて! 非生産的だ!」

 

「脳みそふやけてんのか」

 

「わははははははははははは!」

 

 佐奈は割かし本気で顔を青ざめ、巧斗は額に青筋を浮かべ、凱は大爆笑した。教室の中だったのでクラスメイトから白い眼で見られたが気にしない。いつものことだし。巧斗は知らないことが周囲から変人三達とかそんな微妙に捻ったかどうかの呼び方で呼ばれていたりするのだ。

 ちなみに佐奈と凱は当然のように知っていた。

 

「それで?  嫁さん放っておいて俺とどこ行こうっていうんだ? ……先に言っておくが俺はノンケだぞ」

 

「ぶん殴るぞテメェ」

 

「はいはい、冗談通じねぇなぁ。まじでどこに行くんだ?」

 

「……もう少し言ってからな、三十分以上は歩く」

 

「ちぇー、ボクは完全除け者かい? いいさ、今度の休みはタクトはボクと買い物だよ。拒否は認めないから」

 

 唇を尖らせながら佐奈は文句を言う。それに巧斗はため息を吐いて、

 

「解ったよ、だから当分勝手にどっか行くなよ」

 

「あはは! じゃあまた明日ぁー!」

 

 誤魔化された。あれでいいと思われているのは巧斗としても激しく心外だったが、約束しておけば彼女はそれを護ろうとするのは確実なので安心といえば安心する。

 突然いなくなっても、約束を守る少女なのだ。

 少なくとも巧斗と佐奈で交わされた約束が破られたことは一度もなかったりする。これから先もそうであればいいと巧斗は思っていた。

 走り去って行った佐奈が校庭の外まで出るのを教室で確認してから、巧斗たちも教室から出る。

 

「それで? まじでどこ行くんだよ」

 

「まずはバーガーショップだ」

 

「え? おごってくれんの?」

 

「そんなわけねぇだろ」

 

「たかりかよ。てめぇ友達に飯おごってもらうとか人間性疑うぜ」

 

「三秒前のセリフを思い出せ」

 

 学校を出て、緑地公園の方角へ。バーガーショップはすぐ近くにあるので道のり自体は変わらない。昨日と変わらない暑さ、じめじめとした湿気。それによって汗が鬱陶しい。すぐ近くのコンビニでアイスを買ってその場をしのぐ。

 

「なぁお前、デジモンとか好きだったけ」

 

 それは昨日、巧斗が佐奈にも聞いた質問だった。

 

「あぁ? まぁトラウマ持ちってほどでもねぇし、家に押入れ漁ればカードも出てくるだろうが……なんだよ突然」

 

「いや、トラウマがなきゃいいんだよ」

 

 なければいいとは言っても、あればあったで面白かったかなぁとか思う巧斗である。そして小一時間ほど歩き続け、

 

「千円分買うぞ」

 

「お前今自分がすごい奇行に走ってるって解ってる?」

 

 解ってるけど必要な事なので仕方ない。確か百円バーガーとは中学生が一人十個、合わせて二十個も買うというのは普通はないだろう。巧斗自身一度の十個食べろと言われたら拒絶するだろう。けれど食べるのは巧斗ではない。あのオーガモンだ。人間としては奇行でもデジモンだし問題ないだろう。

 つまり自分は悪くない。

 理論武装を完了させて、巧斗は凱の分も合わせてハンバーガーが二十個を注文した。

 

「……お前、これでつまんないことだったら全裸で縛ってサナと密室に放り込むぞ」

 

「安心しろ。普段、クールぶってるお前でもほわぁ!?とか寄声上げること間違いなしだ」

 

「ははは、そんなのあるわけねぇだろ」

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほわぁ!?」

 

「ほわぁ!?」

 

 昨日と変わらない所にいたオーガモンを目撃して凱は寄声を上げた。ついでになぜかオーガモンも同じような声を。野郎が上げても見苦しいだけだった。

 

「え、なにこれ、本物かよ」

 

「本物だよ。マジもマジの大マジ。ハンバーガー与えたらすげぇ勢いで喰うぞ」

 

「ハンバーガーあるのか!?」

 

「お、おう」

 

「昨日の倍あるぞ」

 

「おっしゃー!」

 

 歓喜の声を上げて包み紙を剥く動作もそこそこにかぶりつき始める。損傷しているのが本当でそれの修復のためというのなら解らなくはないが、元々データの存在がタンパク質とか炭水化物とか取っても激しく疑問だ。疑問だがそれは昨夜考えても答えなどでなかったので置いておく。

 

「おいタクト、どういうことだよこりゃあ」

 

「どういうことというのは俺も聞きたいんだよなぁ」

 

 ハンバーガーに喰らいつき続けるオーガモンから視線を外しながら凱と額を突き合わせる。

 

「昨日変な声に誘われてここまで来たらいたんだよコレ」

 

「不思議ちゃんキャラかよ。サナもお前も脳みそどうなってんだ。電波移すなよ? 絶対だからな?」

 

「振りかそれは。電波受信なんかしてないし、受信していたらお前は手遅れだ。俺にはお前とサナくらいしか友達いねぇんだから」

 

「お前言いにくい自虐ネタあっさり言うのな、悲しくね?」

 

 全然悲しくない。

 しかし昨日から佐奈や凱に対して巧斗も言いにくいことをはっきりいう奴だと思っていたが、凱も巧斗に対して同じ

ことを思っていた。 

 基本的に似た者三人組なのだ。

 

「とにかく。昨日の夜こいつ遭遇してな。デジタルワールドとかいうにも帰れないらしいし、対応に困ってな。とりあえずハンバーガー与えてる」

 

「それなんも解決になってねぇよ。つか、そんなのなんで俺に言った。ルキさんとかに頼れよ」

 

「頼ったよ。真っ先に思いついたよ。でも三日前から失踪してるんだとよ」

 

「彼氏と駆け落ちか」

 

「知らん」

 

 巧斗としても凱を頼ったのは苦肉の策なのだ。第一候補の牧野留姫が駄目だった時点で候補が消えていた。両親は仕事や家事があるのでダメ。佐奈には関わらせたくない。それ以外に友人はいなくて、知人にはこんなこと見せたら色々問題だ。元々候補に入っていない。

 だからこそ第二候補にして最終候補である篠谷凱を選択せざるを得なかったのである。

 人が人ならばお涙頂戴ものの話であることに彼は気づいていない。

 

「だったら……どうするんだよ」

 

「だからそれを悩んでるんだ」

 

 頭を抱えながらオーガモンに視線を戻す。

 

「うめぇー! ハンバーガーやっぱまじうめぇー!」

 

 二十個あったのが半分にまで減っていた。

 

「……」

 

「……とりあえず餌与えとけばいいんじゃね」

 

「…………だめだろ」

 

 一瞬頷きそうになったが頑張って否定した。

 繰り返すがデジモンはかつてのデ・リーパー事件で大きな被害を出したのだ。なんとか解決したとはいえ日本中、あるいは世界が混乱に陥った。このオーガモンがそんな危ない存在だとは巧斗は到底思えないが、それにしたって何も知らない人々は違うだろう。黙っていればなまはげよりもおっかない風貌なのだ。コイツが外を出歩けばこの街一つは大混乱だし、ガチで軍隊とか出てもおかしくない。

 

「だからほら、なんかいい案だせよ。ホラ」

 

「お前も大概にいい性格してるよなぁ」

 

「褒めるな褒めるな」

 

「ほめてねー」

 

「おい、もうねぇのか」

 

「ねぇよ」

 

「ちぇー」

 

 ちぇーとかこの鬼が言っても威嚇しているようにしか見えないというかぶっちゃけ怖い。

 デジコアとかいうのが損傷しているらしいが、巧斗や凱から見ても外見上の怪我はない。本人は外装だけ修復してとか言っていたが今はどうなっているのか。

 

「全然だなぁ。腹は減ってこうして飯食ってて劣化するのがやっとって感じだしよぉ。なんか他のデジモンいたらロードしてぇけど……この身体だときついしなぁ」

 

「デジモンにもいろいろあるんだな」

 

「そこらへんは人間と変わらない、か」

 

 少なくともルキとその仲間たちは人間とデジモンという異なる種族で絆を生んでいたのだ。人間みたいに色々あるからこそそういうことができたのだろう。

 しかしとりあえず凱を連れてきたわけなのだが、変わらずに対応策がない。現状では言葉通りにこうやって餌を与え続けるしかないのだ。それはどうかと思うし、

 

「金が続かない……!」

 

「中学生に毎日千円消費とか何気に苦痛だよな」

 

 残念ながら巧斗も凱の家も不自由はしていないけど、特別裕福ではないのだ。精々が中の上かどうか。巧斗の家の実家は結構な名家なのに母親の性格であまり頼ることは少ない。アルバイトだって好き勝手にやることはできず、毎月の小遣いに家事の手伝いで手に入れる駄賃程度。

 ぶっちゃければ、

 

「もう十個とか無理だわ。持って来ても一個な」

 

「なん、だと……!?」

 

 微妙にオーガモンが小さくなった気がする。どんだけ好きなのだコイツは。怒るでもなくマジで落ち込んでいた。

 

「ま、まぁルキ姉……デジモンに詳しい人が来たらその人がどうにかしてくれると思うからさ。それまでなんとか歩けるくらいにはしとけよ」

 

「歩くくらいならなんとかなるけどよ……まぁ仕方ねぇ、のか」

 

「意外に聞き分けがいいなコイツ」

 

 全くだ。けれど困ることはないので、オーガモンに悪いが我慢してもらう。

 

「まぁ、なるべく毎日来るし、お菓子とかなら持ってくるから。大人しくしとけよ。人様に迷惑かけるな、掛けるなら俺にしろ」

 

「うわやだこの子男前。……なんでそれをサナに見せないんだか」

 

「だまれチンピラ」

 

「はいはい」

 

「わりぃなぁ、巧斗」

 

「ん?」

 

 ぽつりとオーガモンが言った。強面をわずかに申し訳なさそうな顔をしながら頬を掻いて、

 

「お前ら人間にもいろいろあるだろう? なのにいろいろしてもらってよぉ。記憶もなんにもねぇけど、それくらいの恩義はあるから、俺にできることあったら何でも言ってくれ」

 

「……お前」

 

 この緑の鬼はまじめにそんなことを言っていた。

 なんとなく――留姫がデジモンのことを愛していたのを納得する。彼女ほどの気持ちは解らないがその断片程度には。

 とにかく純粋なのだ。少なくともこのオーガモンは。

 記憶がどうあれ、悪い奴ではないのだろう。

 

「いいって、乗りかかった船だよ。気にするんだったら早く体治して記憶取り戻せよ。それが一番だ」

 

「ついでのこの友達いないやつの友達にもなってくれ」

 

「余計なお世話だ」

 

 茶々を入れる凱を小突いて、

 

「じゃあ、また明日なオーガモン」

 

「んじゃ、そういうことで、俺も偶には来るぜ」

 

「おう、待ってるぜ。タクト、カイ」

 

 

 




副題にデジモンテイマーズ02を混ぜるか否か。

セイバーズ見終わりました。
デジソウルとか出そうか悩む

兄貴なら次元の壁とかぶちやぶってテイマーズ時空にも表れそうということに気付いた(白目

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