やはり俺が戦略級魔法師なのは間違っている~星を呼ぶ少女~ 作:かのんベール
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比企谷家は代々魔法師の家系である。当然長男である俺も魔法師として生きてきた。しかし、家系的にはそこまで優秀ではなく、例に漏れることなく俺も中学の二年までは普通の魔法師であった。魔法師にとって新たな魔法の開発は夢である。俺も魔法師の端くれである以上それは同じだった。中学二年という多感な時期であったことも相まって、俺は魔法の開発に夢中になった。働くことを嫌う俺は、動くこと事態も余り好きではない。そこで、手の届かない範囲の物を自分の元に引き寄せる魔法を作る事にした。まぁそんなふざけた動機で魔法なんて作れるわけがないのだが、当時の俺には何故か無謀なことには思えなかった。そして、出来てしまったのだ。いやほんと、自分でもビックリだったし、しばらく信じることは出来なかった。が、その魔法は確実に存在し、現に自分で操ることが出来ているのだからその存在を認めざるを得なかった。発表すれば歴史に名を残すのは明白だった。俺は感動や恐れ、焦りなど様々な感情を抱えながらも、その魔法の研究をまとめていった。そうして、どうやら自分を中心として発動された引力をある特定の物質に対して作用させることで、様々なものを自分の元に引き寄せていることが分かった。対象となる物質は大きさや重さ等は全く関係なく、しかも効果の有効射程距離は相当長く、検証可能な距離は全て射程圏内であった。そう、恐らく惑星ですらも対象となり得るのだ。それに気付いたとき、俺は研究資料を全て破棄した。この魔法は戦略級魔法だったからだ。自由自在に惑星の軌道を変えられるということは隕石を落とすことが可能と言うことだ。使い方によっては国一つを消すことのできる魔法であることは明白だった。そんな魔法を発表したら、命の保証が無くなることは想像に難くなかった。そうなれば自分だけでなく周囲の人間にも危害が及ぶ!小町を危険から遠ざけるため魔法の正体を隠すことにした俺は、人との関わりを出来るだけ避けるようになった。しかし、その事でさらなる魔法の開発に成功することとなってしまった。それは自分の姿を消すために開発した魔法であったが、その魔法は思わぬ能力まで俺に与えてくれた。そもそもこの魔法は相手の意識を阻害したり、光学迷彩のようなもので相手の目を騙すような従来の魔法とは異なり、この世とは違う次元の世界へと入ることで姿を消すという代物である。そのため、相手に気づかれることもないが、お互いに干渉することも出来ないのだ。勿論、地面という概念もその次元には存在しない。つまりその次元での俺は完全に浮遊している状態だということだ。当時飛行魔法は存在していなかったが、それを可能とするのがこの魔法だ。但し俺が飛行している最中、周りの人間の眼にはには俺が見えないので、飛行というよりはむしろ瞬間移動やワープに近いもののように映ると思うがな。この魔法は姿を消す以外にもそうした移動手段としての側面を持ち合わせている。そしてもうひとつこの魔法には注目しなければならない点が存在する。それは相互不干渉だ。つまり自分が攻撃出来ないというデメリットが存在するものの、現在の魔法のレベルにおいては無敵の防御魔法ともなるのだ。戦略級魔法を保持してしまった以上、俺に必要とされたのは攻撃よりも防御の方であった。不意打ちと激しい戦闘中を除いはほぼ無敵の防御である。発動さえしてしまえば、勝つことは出来ずとも負けることがないのだから。残るは戦闘中の防御であるが、実はこれもある程度のレベルで保証されている。戦闘中に常に戦略級魔法を使用することによって解決するのだ。対象物を地面を除く自分の周辺物全てにしてしまえばいいのだ。対象となる物質の引き寄せるスピードのコントロールは自由自在であった。つまり、弾丸よりも早いスピードで大小様々な対象物が自分に突っ込んでくるのだ。そんな魔法は自爆魔法のように思えるが、実際はそんなことはない。なぜならば、対象物が自分に衝突する事はないからである。全て俺から10cm程出前でなにか見えない障壁にぶつかったかのように停止するのだ。つまり、自分に向かって発射された物理攻撃は物理攻撃そのものを対象物とすることで、自分に届くことを防ぐことが出来るのである。こうした魔法の応用をいくつも編み出すことで、俺は魔法師としての力を着実に着けていった。俺の目標は第一高校への入学である。俺の秘密は世界を相手にしていると同時に、日本政府への裏切りでもあるのだ。魔法師とはたとえ民間の魔法師であったとしても、国益に反する行動を取ることは許されず、その事が露呈しようものなら、一族は静粛の対象となるのだ。俺は政府から遠ざかるよりも、その中枢へと近づく方が得だと判断したのだ。戦略級魔法師は世界に13人。しかし、非公式も含めるとその数はおよそ50まで膨れ上がるとされている。そうした国家機密を管理する立場まで上り詰めることが出来れば、例え俺が戦略級魔法師であると露呈しても、安全を確保することが比較的容易になると判断したからだ。しかし、第一高校の受験は困難を極めた。やはり、家系による差は努力では埋めがたいものが存在した。それでも、俺には小町の命が懸かっていたのだ。俺は開発した二つの魔法を使い、多少汚い手を使いつつもなんとか一科生としての入学を果たした。別にウィードとかブルームとかそういうもののためではなく、純粋に出世の為に益となると思ったからだ。コミュ障の俺には人脈の構築は難しいだろうが、それでもナンバーズを始めとして、様々な名門の生徒が集まってくるのだ。俺にも可能性はあった。結論としてはそれは正解だった。なんか俺に同類の匂いを嗅ぎ付けたのか、北山雫という女子がことあるごとに話しかけてくるようになったのだ。俺はよく腐った目をしていると言われることが多いが、彼女の目もジト目なのだ。彼女との会話を俺は楽しいと感じるようになっていった。彼女のお陰で沢山の仲間もできた。彼女達と過ごす時間はとても楽しく、打算を抜きにして付き合うことができた。結果として、千葉の道場や古式魔法の名門吉田家、城塞シリーズの西城家、さらに個人の能力で突出した力を持ったメンバーなど、将来が約束された者達と学生生活を送ることとなったが、今となっては副産物程度に過ぎない。まぁなんだかんだでナンバーズの先輩方とも知り合いになったことがかなりの収穫ではあったが。こうして並べてみるとなかなかに凄い人脈揃いだとは思うが、北山雫本人も実はご令嬢なのだ。彼女はあまり自己主張をしないので忘れがちではあるが、やはり一番のお金持ちは彼女なのだ。そんな彼女のお陰で、俺たちは今年の春休み、彼女の別荘でバカンスを楽しめることとなったのだ。
設定はガバガバですがお許しください