やはり俺が戦略級魔法師なのは間違っている~星を呼ぶ少女~ 作:かのんベール
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さて、ようやく別荘に戻ってこれたし早く部屋に戻って休みたい。まぁ最初に降りるのは当然北山だから俺はそれに続いて降りようかな。
「お兄様!お戻りになられていたのですねっ」
まぁ、飛行機から司波兄が見えたときから司波妹がそわそわしてたから大体あいつが最初に降りるであろうことは分かってたけどね。さすがにあれよりも先に降りて、兄妹の感動の再会(笑)を邪魔したらなにされるか分かったもんじゃないからな、大人しくそのあとに続きましたよ。北山?あいつは三番目だ。だからさ、司波兄よ。こっち睨むの止めてくんない?
「ん?その女の子は誰だ?」
あぁ、なんだ俺の後ろを見てたのね。うん、八幡知ってた。大体中学の時に喋りかけられたと思ったときは近くに居る奴に喋り掛けたものだったからな。間違えて返答なんてしちゃったときには、布団にうずくまって一晩中後悔するはめになる。ソースは俺。
結局、俺の部屋でダラダラするという計画は木っ端微塵に砕け散り、今は皆と一緒にリビングに集まっている。大方これからこの少女に質問でもするのだろう。こういうのって大人数で質問するよりも、柴田とか光井みたいな奴が質問したほうがいいんじゃないだろうか?9対1とか俺だったら軽く死ねるレベルだぞ?
「あなたが海軍の基地から逃げ出してきたってことでいいのよね?」
千葉がそう質問すると、幼女は小さく頷いたがすぐに首を振って否定する。
「基地じゃなくて、研究所、です」
やはり患者というのは違いそうだ。今の返答を聞いて、周りの空気が少し変わったのが分かる。なんとなく予想はしていたが確信に近付いたということだろう。
「その研究所ではどんな実験を行っていたの?」
「大きな機械の中に入ってた、です」
「大きな機械...?」
「恐らく大型のCADのことだろう」
「その機械に入ってなにをしていたの?」
「分からないです」
「そうしたタイプのCADの場合、魔法師はただCADに組み込まれた魔法式を発動させるだけの場合もある。彼女自身もなにをさせられていたのかは理解していないのだろう」
「それじゃあまるで機械の部品みたいじゃねぇか」
「CADの中に入ったのは君一人か?」
「ひっ...」
幼女は小さく悲鳴を上げて千葉に抱き付いた。え、滅茶苦茶怖がられてんじゃん笑。これは傑作だな。
「この子も悪気があってのことじゃないから...」
あいつは一生幼女とは仲良くは成れんだろうな、可哀想な奴だ。ん?なんか周りがすげージト目で俺のことみてるんだけど、もしかして俺が喜んでたのバレた?司波妹とか今にも俺のこと冷凍保存しそうな勢いだし。
「深雪、すまないが代わりに質問してもらえないか?」
「分かりました。その大きな機械の中に入っていたのはあなたひとりなの?」
「私たちはわたつみシリーズと呼ばれていた、です」
「それは何人なんだ?」
「それは何人なの?」
「私の他にあと8人いる、です」
「恐らく調整体なのだろうな」
なんだこの通訳...
「どうして逃げ出してきたんだ?」
「逃げろって言われたから、です」
「誰に言われたの?」
「森永さん。私たちのお医者さん。このままじゃ私たちの自我がなくなってしまうからって」
「そんなことって...」
「達也くんそんことってあり得るの?」
「第三次世界大戦中に日本軍がそんな技術を開発していたという噂を聞いたことがある。そして、魔法師の自我が消えることもあり得る」
「そんな...」
「その機械に入っているときはどんな気持ちだったんだ?」
「入っているときのことは覚えてないです。でも、機械から出たあとはふわふわした気持ちだったです。私が私の中に溶けていくような感じだったです」
「それって...」
「あぁ、恐らく自我喪失の自己認識があったのだろう」
途端に空気が重くなる。そりゃ自我を失う実験が行われているとなりゃ気分が悪いのは俺も同じだ。そんな思い空気を払拭しようと光井が気を利かせる。
「名前はなんていうの?」
「九亜」
「ココアちゃんか、可愛い名前だね。ココアちゃんは何歳なの?」
「14」
おいおい、小町と一つしか変わらないじゃねぇか。とてもそうは見えないぞ?
「これは驚いたな」
「もっと小さい子だと思ってました」
「助けて、欲しい、です」
「心配しなくてもここで放り出すような真似はしないわよっ」
そう千葉が安心させようと答えるが、彼女は首を横に振る。
「私たちを助けて欲しいです」
「私たち、つまりわたつみシリーズの残り8人も助け出して欲しいということだろう」
今度は頷く。うーん、それって海軍と喧嘩するってことだろう?さすがに、それは難しいんじゃないだろうか。常識的に考えて海軍から8人も貴重な実験体を盗み出すなどまず不可能だ。そう、普通ならな。
「なんとかならないんでしょうか...」
「私も助けてあげたい」
「私は協力するわよっ」
「俺もだっ」
「そうだね、光井さんや北山さん、柴田さんを巻き込む訳にはいかないけど」
「あら?私も一応女子なんですけど?」
「エリカは心配するような戦闘力じゃないでしょ?むしろあなたの方が強いくらいじゃない」
「まぁそれもそうなんだけどねー」
「幹比古くん。私のことは気にしなくていいので、全力で頑張って下さい」
「はぁ、小町と同じような年の女の子を見捨てるわけにはいかんしな...」
「うっわ、でたよロリコン」
誰だ今人のことロリコンとかのたまった奴。ちょっと出てこい、制裁を加えてやる!司波兄が。
皆の視線が自然と司波兄に集まる。
「お兄様...私もココアちゃんを助けてあげたいです」
「分かった。しかし、そうなると日本海軍とことを構えることになる。俺もそれなりの準備をさせてもらおう」
皆が椅子から立ち上がり、強い決意を新たにする。あんまり簡単に海軍と戦うとか言わないでくれよな...。庶民出身の俺にはそんな馬鹿げた感覚はあいにく備わっていない。まぁこいつらも簡単に決めてるように見えるがその目を見れば分かる。こいつらは本気だ。決して安い同情心だけからくるものではない。そうして、俺も決意を新たにしたところで、声が掛かった。
「皆さん席にお着きください。お食事の用意が整いましたよっ」
そういうと、メイドさんは鍋に入ったパエリアを俺たちに見せてくれた。
「「おぉー」」
思わず俺も感嘆の声を上げてしまった。それくらい美味しそうなのだ。まだまだ気になることは多いが、ひとまずは美味しい食事を取ることにしよう。
◇
「そんなにシャンプーつかったら泡だらけになっちゃうじゃない!」
「いいのいいの!こっちのがキレイになるでしょっ」
「あーあ、泡だらけになっちゃった。ココアちゃん、今流すから待っててねー」
「このモコモコしたのはなに?」
「ココアちゃんはシャンプー使ったことないの?」
「うん。お湯の入った水槽も始めてみたです」
「お湯の入った水槽?ココアちゃんはお風呂に入ったことないの?」
「うん。いつもは消毒液の入ったカプセルに浸かってたです」
「...っ!」
「...そっか!じゃあ今までの分も楽しまなくっちゃね!」
◇
「お兄様...」
「深雪、俺は明日101旅団軍司令部と日本魔法協会に行ってくる」
「やはり、私のココアちゃんを助けたいという願いは無謀だったのでしょうか。」
「その願いは同情心から来るものかも知れないが決して軽い気持ちではないのだろう?」
「...はい!」
「そういう俺も調整体の扱いを聞いて冷静さを欠いているのは自分でも分かってはいるのだが...」
「決してその感情はお兄様にとって悪いものではないはずです」
◇
風呂から上がった俺たちはリビングで再び集まったが、光井とココアの姿が見当たらない。
「エリカ、ほのかの姿が見当たらないのだけれど?」
「ほのかならココアの髪型を整えてるわよ」
千葉がそう答えると、丁度二人の姿がリビングに現れた。
ほぅ...。これはまごうことなき幼女だな!まじで天使。どれくらい天使かって小町の次に来るくらい天使。
「うん、服もピッタリ」
あれは北山の服なのか。あんなふりふりの服をあいつが着ている姿なんて想像もつかないが是非見てみたいと思うのは俺だけだろうか?
「あの、七草真由美さんはどちらにいらっしゃるのでしょうか?」
七草?あのでこっぱち先輩のことか?あの人人の扱いが酷いんだよな。もと専業主夫志望の俺のことをどんだけ働かせれば気が済むんだ?
「七草真由美って、あの七草真由美?」
「ここには七草先輩はいないけど、どうして?」
「森永さんが、施設から逃げ出したら七草さんの飛行機に逃げなさいって」
「そういえば飛行場に俺らと同じ型の飛行機がもう一台停まってたな」
「ちよっ、それを先に言いなさいよ!」
「無理言うんじゃねぇよ!」
「つーことは、こいつは七草先輩の飛行機と間違えて北山の飛行機に乗っちまったって訳か」
同じ型の飛行機が同じ高校の生徒の持ち物だったとか世界が狭いというか、コイツらの感覚が一般人の俺には理解できん。
「お兄様、七草先輩も心配してるでしょうから、私の方から後でご連絡を頂けるようにお電話を差し上げておいてもよろしいでしょうか?」
「そうだな、よろしく頼むよ深雪」
「はい、お任せください」
お風呂のサービスシーン!良かったですねっ!突然湯気が濃くなったときに(´・ω・`)ってなりましたけど、そのあとはほとんど湯気が無かったですよねっ!?あれはもう、描いてないだけっ!うへへっ