やはり俺が戦略級魔法師なのは間違っている~星を呼ぶ少女~ 作:かのんベール
俺と千葉、西城の三人で司波の部屋に向かう。向かうって言うか、連行されてるといった方が正しいのか?別に今さら逃げたりしないっつーの。だから両サイド固めて歩くの止めてくれませんかね?俺のポジションは将来の子供のために取っておいてやれよ...
「達也ー、入るぞー」
あぁ、もう着いたのか。これでようやく解放されるな。
「...。取り敢えず三人ともこれに着替えてくれ」
おいっ!今明らかに残念なものを見る目で俺を見たよな?おかしくない?お前がそういう感情を抱くって色々とおかしいよね?
「これって憲兵の制服よね?一体どうやって手にいれたのかしらぁ?」
「知りたいか?」
「やっぱり、止めとこうかなー...」
言いたいことも多いし、どうやって手にいれたのかもなんとなく予想もつくが...まぁいいか。早く着替えないと不味いからな。千葉を待たせた日なんかには確実に殺られるだろうし。
なんとか、千葉より早く着替えることに成功したようだ。
「ごめーん、待ったー?」
「いや、別に。つーか肝心のあいつが来てないしな」
不意に後ろのドアが開いた。社長出勤がこいつほど似合う学生もそうはいないだろう。さて、社長に背を向けておく訳にはいかんからな...
「お前、その服...」
「あぁ、ちょっと借りてきたんだ」
そういやぁ借りてきてたな、タダで。これは体のラインがはっきりと出てしまう以上、スタイルがよくないと着こなすことが出来ない。俺は身長175cmはある訳だし着て着れない訳ではないだろうが、猫背のスーパーマンとかヒーローなんて誰も見たくないだろうしな。まぁ一生俺とは縁のない代物だ。
「それじゃあ作戦を説明する。先ずは俺が施設に侵入し、目標を連れてくる。西城と千葉は入り口で待機。比企谷は外の憲兵を引き付けて派手に騒ぎを起こしてくれ」
つまりは幼女達が逃げるための囮になれということだ。ふざけんなよっ、お前が幼女を助けに現れたヒーローとして幼女たちにちやほやされてる間、俺はむさ苦しい男の囮だと?ふざけた作戦もいい加減に...
「それじゃあ手筈通りに頼むぞ」
結局文句も言えない内に移動となってしまった。移動には北山から借りた飛行機を利用しているわけだが、当然操縦は司波だ。いや、当然ってなんだよ。もうこいつに出来ないことを探すことの方が難しいんじゃないだろうか...
◇
潜水艦の内部にアナウンスが響く
「所属不明の潜水艦に告ぐ。今すぐ浮上して姿を見せなさい。もう一度繰り返す...
「施設周辺に民間人の姿は確認できません」
「予定通りですね...」
警告音が鳴り響く潜水艦とは別の潜水艦から、一人の女性が姿を現す。その手には銃身の長いCADが握られており、これから何かを射撃しようとしていることが伺い知れる。
警告に応じない潜水艦への威嚇射撃のためであろうか、島の地面からミサイルの発射台が次々と姿を表す。それを見た女性はすぐさま射撃の姿勢にはいる。
「ヘビィメタルバースト、発動!」
女性が引き金を引くと同時に、CADから音を置き去りにしたビームが放たれる。ビームはミサイルの発射台の一つを捕らえた。しばらくその発射台を光が包んでいたが、やがて周りの砲台を巻き込んで大規模な爆発を起こした。
「リーナか...。スターズがどうしてここに...」
その爆破を見て移動を止めた達也だったが、それがリーナにもよるものだと瞬時に判断し、行動を再開する。
達也が壁に向けて魔法を発動すると、壁は円を描くようにしてまるで砂のように崩れ去った。
達也はたまにすれ違う憲兵を瞬時に無力化しながら奥へと歩みを進める。
やがて目的の部屋にたどり着いたのか、目の前の扉を砂のようにして崩れ落ちさせる。すると中には一人の科学者の姿があった。科学者は達也の構える銃に自分の死を覚悟した。だがその銃は科学者にではなく、監視カメラに向かって引き金が引かれた。呆気にとらわれる科学者に達也が話しかける。
「あなたが森永さんか?」
「はい、そうですが...」
「ココアに頼まれて残りの8人の救出に来た」
「ココアはっ!?ココアは無事なんですか!?」
「あぁ無事だ。あなたはココアを逃がしたことがバレて閉じ込められているといったところか?」
「いえ、バレてはおりません。ただ逃げられたと言うだけで監禁されるには十分な理由です。私はどうなっても構わないんですっ!ココアが無事ならばそれでっ...」
「それほどまでに彼女たちを心配するならばどうしてこの実験に手を出した!こうなることくらい予想はできたはずだ!」
「確かにその通りです。当時の私たちは舞い上がっていました。海軍からの無茶な要望を叶えられると、そう信じて止まなかったのです。これは私たちの責任です。ですから...!私のことは放っておいて彼女たちを助けてください!そのためなら私はなんだってやります!」
「では、彼女たちの元へ案内しろ」
「はいっ」
女性の科学者はすぐに案内を開始した。
「彼女達は現在実験の最中で、今は研究室にいるはずです」
「彼女達はになんの実験を行っていたんだ?」
「地球の周囲にある物質を地球に墜落させる魔法です」
「この前のGE9はあなたたちの仕業だったのか...」
「どうしてその事を...!...今行っている実験は連邦国軍人工軍事衛星を宇宙の彼方へと葬り去る実験です」
「なにっ!それは正気かっ!?30発の対地ミサイルに加えてウランも搭載しているんだぞっ!?もし失敗したらどうなると思っているんだ!」
その懸念は当然森永にとっても同じものなのか、研究室のロックを解除すると直ぐに中へと駆け込む。しかし、そんな彼女の目に飛び込んできたのは、無情にもwarningの赤い文字でそまった画面と、けたましく鳴り響く警告音であった。
「所長!まさか失敗したんじゃないでしょうねっ!?」
そんなことは聞かなくても分かりきっていることであったが、それでも信じたくないという思いから森永は白髪の男性へと詰め寄る。
「あぁ、森永くんか...実験に問題はなかった。イレギュラーの発生が全てを狂わせた」
「だから言ったんですよ!本来は12人で行うはずだった実験を8人で行うなんて無茶だって!」
「実験に問題はなかったんだ。あの爆発で実験はおかしくなってしまったんだ」
「そんなことで実験が失敗するわけがないじゃないですか!」
「今回の失敗を活かせば、次は必ず...」
「次回なんてありませんっ!いい加減にしてください!」
男性はそれでも尚、自分は悪くないと何度も呟いていたが、それは誰に向けて発せられたものではなく、自分の精神を擁護するためのものであった。
「実験は失敗した。もうこの子達に用はないはずだ。連れ出しても問題はないな?」
達也は有無を言わさぬ物言いで機械を開き、中から少女たちの姿を現す。達也は意識を失っていた少女達の中の一人に近づくと、魔法を発動して少女の目を覚まさせる。
「誰?」
少女は警戒しながら達也に問う。しかしその言葉にははっきりとした強い意思が感じられる。
「ココアに頼まれて君たち8人のことを助けに来た」
「ココアは無事なの!?」
「あぁ、無事だ。ココアはお前たちを助けて欲しいと俺達にお願いしてきた。どうする?」
少女は一瞬ためらったようにも見えたが、強い決意を持って達也に答える
「お願い、私たちを助けてください」
達也と幼女8人、研究者たちは外で待っているはずのレオとエリカに合流するために駆け出した。
ヘビィメタルバーストって名前から予想はしてましたけど、重金属にしか使えないんですね。
レオとエリカの戦闘シーンは一番の見所だったなーっと思います!特にエリカが裏の秘刀で倒すシーン!あれは予告に入れたいけど入れられないという最高のシーンでした!