少女はある日の学校帰り、いつもであれば真っ直ぐ母親の待つ自宅に帰っているのだが、今日はたまたま自宅の近くにある空き地に寄り道をしていた。
その寄り道に意味はなく、ただ何となく寄っただけ。
しかし、そこで少女は運命を変える出会いをした。
兎に出会った。
ー◇ー
「
そう少女、森次 麗に声をかけたのは、学校の制服にウサミミという珍妙な格好をした高校生くらいの少女だった。
「どなたでしょうか」
麗にウサミミを着けて外を出歩く高校生くらいの知り合いはいない。
むしろ一般的に考えて関わりあいになりたいとも思わないだろう。
しかし、そんなことは表情にも出さず、彼女は兎との会話を続けた。
「おー合ってたみたいだね!あ、私が誰かだったっけ?私は
またか。
彼女はそんな感情を込めたかのように大きなため息を吐き、いつもと同じように返答した。
私は天才じゃないー
篠ノ乃束と名乗った彼女は首を傾げ、考え込むような素振りを見せた。
といっても、それはほんの一瞬でまた先ほどのようなハイテンションに戻ったが。
「まあ、君が天才でもそうでなくとも正直どっちでもいいんだけどね!私の興味があるのは君の夢の方だから!」
「…何のこと?」
麗はほんの一瞬、動揺した。
常人であればまず気付かないレベルのものであったが、彼女が相対しているのはただの人間ではなかった。
麗と同様に他者から天才と呼ばれ、しかし、彼女と違い自身でもそれを認める、本物の天才。
「ふふーん。『マキナ』『ラインバレル』そしてその動力源のナノマシン。君の夢を全部ではないけど覗かせてもらったんだよね」
麗の目が細められ、当初よりも警戒心を数段以上高める。
方法は定かではないが、彼女の目前に立つ天才は自身の夢を覗き見ていたらしい。
誤魔化しは利かないと判断した麗は単刀直入に聞くことにした。
彼女は兎の真意を図りかねていた。
「何が目的?」
「うん。君に私の研究を手伝って欲しいんだ」
「あなたの研究?」
「そう!人類の未来をより良くするための研究!」
おどけたように両手を広げて宣言する兎だったが、彼女の目はどこまでも真剣味を帯びているように麗の瞳には写った。
そして数瞬考えたのち、彼女は兎に尋ねた。
「…話を聞かせて?」
その言葉を聞き、兎は瞳を輝かせて彼女に自身の研究、その最終目的を語った。
少女と兎が出会い、兎の研究は実を結ぶことになる。
ー彼女達が思わぬ、望んだものとは違う方向に…