ISー白き鬼ー   作:金谷沙原

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かなり空いてしまいました…m(__)m


雨が降る

研究室から一瞬で姿を消した麗と千冬が姿を現したのは、麗達が住む町の上空であった。

 

白騎士はそのままの姿だったが、ラインバレルは少し姿が変わっていた。

 

機体色が白から黒に変化し、肩、腕及びテールスタビライザーの装甲が排熱の為展開していた。

 

『くっ…やはり生身でのオーバーライドはかなり負担が大きいな…』

 

『千冬ちゃんは無茶し過ぎだよ。『ファクター』に成らないとカウンターナノマシンは使えないんだから。それにしても…』

 

『接近警報。多数の熱源体を捕捉。距離40000』

 

二人が機体のコア、エネルギーの源であり、機体の加減速、通信、制御の全てを担う部分の通信機能を使い会話をしていると機体のレーダーが大量の光点を写し、搭載されたAIがアラートを発する。

 

視線を動かさずともハイパーセンサーは東西南北全周囲から飛来するミサイルを捉え、正確な数字を二人に伝える。

 

『6752』

 

それが現在日本に飛来しているミサイルの総数であった。

 

『ちーちゃん、れーちゃん聞こえる?』

 

束の声が二人の耳を打つ。

 

『聞こえている』

 

『同じく』

 

それぞれ短く返答すると束から通信越しに安堵したような吐息が漏れた。

 

『良かった。早速だけどもうミサイルは確認出来てる?』

 

『うん。もう迎撃に出るよ』

 

『了解。ナビゲートは任せて。先ず、ちーちゃんは一番接近している東側を荷電粒子砲で、れーちゃんは南西から北西にかけてのミサイルをラインバレルのエグゼキューターで一気に薙ぎ払って』

 

『『了解』』

 

二人は別れ、直ぐに行動を開始した。

 

 

ー◇ー

 

 

束から指定された位置まで移動した千冬は、左手に握る荷電粒子砲を飛来するミサイルに向けた。

 

AIが荷電粒子砲のチャージをカウントする。

 

『チャージ完了まで3…2…1。チャージ完了』

 

チャージ完了とともに引き金を引き絞ると加速された粒子が光速で射出され、ミサイル群に到達するとその一部を消し飛ばした。

 

更に砲口を横に薙ぎ、数百のミサイルを撃墜した。

 

しかし、荷電粒子砲はチャージで使用すると再度使用するのに十数分かかる。

 

千冬は荷電粒子砲を量子化し、新たに二本の刀を呼び出し(コール)した。

 

「全て切り伏せる」

 

両手に刀を握り、ミサイル群に吶喊した。

 

 

ー◇ー

 

 

「千冬ちゃん随分派手にやってる」

 

『この町にはいっくんも居るからね。必死にもなるよ』

 

「そっか。そうだよね。たった1人の家族だもんね。じゃあ、私も全力で行こうかな。…ラインバレル」

 

麗の呼び掛けに応えるようにテールバインダーが展開し、彼女はその根元付近を掴むと自身の目の前に構える。

 

「ラインバレル。エグゼキューター最大出力」

 

『了解』

 

瞬間、展開したテールバインダー【エグゼキューター】から極大のビーム刃が形成される。

 

『ミサイル群、有効射程まで3…2…1…0』

 

AIのカウントに合わせエグゼキューターを横一文字に振り切る。

 

ミサイルはビーム刃に触れた先から爆発し、触れていないものもミサイルの爆発で誘爆し、一瞬で500以上のミサイルが迎撃された。

 

しかし…

 

「多いな」

 

エグゼキューターの一撃で大量の光点が消えはしたが、それ以上の光点が迫ってきていた。

 

「ラインバレル、エグゼキューターの最大出力は後何回使える?」

 

『後3回です。なお一射ごとに2分のインターバルを要します』

 

「そっか。ならそれまでは刀かな」

 

麗はラインバレルの両前腕部に懸下されている刀を同時に引き抜いた。

 

「ラインバレル、連続転送。タイミングはこちらで指示する」

 

『了解』

 

AIの了解の音声が響いた瞬間、麗の姿はその場から消え、続いてミサイルの爆発音が次々と鳴り響いた。

 

 

ー◇ー

 

 

数時間後ー

 

『れーちゃん、ちーちゃん、お疲れ様。日本に向かっていたミサイルは全て撃墜出来たよ』

 

『守りきれたか…』

 

『…そうみたいだね』

 

二人の奮戦により6000に及ぶミサイル群は全て撃墜され、日本への着弾は免れた。

 

しかし、二人の消耗も激しく、肩で息をしている状態である。

 

『ホントにお疲れ様。二人とも帰って来てほしいのは山々だけど、新たなお客さんみたい』

 

『接近警報。種別日本自衛軍所属の航空機3、イージス艦2、米軍所属の航空機12、イージス艦4、空母1』

 

束の通信が切れると同時にAIから警報が響いた。

 

『オープンチャンネルで呼び掛けがあります。繋ぎますか?』

 

麗は千冬と視線を交わす。

 

千冬は麗の視線を受け、一瞬ののち静かに頷いた。

 

「ラインバレル、繋いで」

 

『了解』

 

『ザザ…ちら海上自衛軍所属、イージス艦『いかるが』。所属不明機この通信が傍受出来ていれば応答願いたい』

 

『聞こえています。用件は何でしょう?』

 

『女性!?あ、いや失礼。こちらはイージス艦『いかるが』艦長石動一佐です。この度は日本を防衛していただき、国民を代表してお礼を申し上げたい』

 

『いえ、当然のことをしたまでです』

 

『それでもお礼申し上げたい。ありがとう』

 

通信越しに聞こえる生真面目な声は確かに感謝の念に溢れ、その感情が麗や千冬にも伝わってきた。

 

しかし、そんなことを伝えるためにイージス艦や航空機を引っ張り出した訳では無いだろう。

 

麗がその旨を伝えると明らかに石動一佐の声に硬質さが増した。

 

曰く、上層部から所属不明機の拿捕、それが叶わなければ撃墜が指示されているとのこと。

 

米軍も同様の指示であること。

 

恩人に手荒な真似はしたくない為、投降して欲しい。

 

この3点が通信で伝えられた。

 

麗は一度『いかるが』との通信を切り、千冬、束に相談した。

 

結果は決まりきっていたが。

 

『石動一佐。ご期待には添えそうにありません』

 

『そう、ですか…残念です。私も軍人です。忠実に命令に従いたいと思います』

 

『はい。仕方ないと思います』

 

『では』

 

それきり通信は繋がらず、代わりに

 

『各イージス艦より熱源反応。ミサイル、数30。周辺を飛行していた戦闘機、急速接近』

 

「真面目で不器用な人みたいですね」

 

『堅物と言うのだ』

 

千冬ちゃんには言われたく無いんじゃないか、と麗は思ったが口に出すと怒られそうだったので黙っていることにした。

 

『ちーちゃん、れーちゃん、ラインバレルを奪われる訳にはいかない。不本意だけど戦って相手を無力化して』

 

『了解した』

 

『わかった』

 

二人はそれぞれの武器を再び握り、両軍の無力化にかかった。

 

いつの間にか三人の心情を映すかのように、雨が降り始めていた。




待ってる方はいないでしょうが、自己満の小説なので、暇つぶし程度にご覧ください
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