Sideヘラクレス
―――ドサッ
膝が地面に付き倒れそうになる身体を、両腕を使って必死に体制を維持する。足の方は、もう完全にダメみたいだな。腕も指先の感覚が無い。肩から棒を使って身体を支えているみたいだ。
「――けっ、マジかよ」
俺は顔を上げて相手を見ると、無意識にそんなことを呟いていた。
奴は無傷だった、それもこちらに見向きもしていない。完全にノーダメージみたいだ。
「おのれ人間風情がぁああああああ!!!!」
先程殴り飛ばした悪魔が、飛び上がって大量の魔法陣を展開する。どうして人外どもは、どいつもこいつもタフなんだよ。
避けられねえな。まあ、俺はあのバケモノを殺すことができなかったんだ。当然の結果かもな。でも死ぬのは、嫌だな……。
―――ズバババババババ!!!!!
「なっ!?」
次の瞬間、全ての魔法陣が真っ二つに切り裂かれた。アーサーは未だ、現魔王の近くに居る。俺の目の前に現れたのは、見覚えのある剣を携えた白髪の青年だ。
「手ひどくやられたね、ヘラクレス」
「ジーク」
「僕だけじゃないよ」
そう言うジークは俺の後ろの方に言う。すると、俺の身体が突如として浮かび上がった。俺は慎重で二メートルを超える巨体だ。それを浮かび上がらせることができる奴など限られている。
「まったく、本当に脳筋ね。しかも一人で突っ走って、やられるなんて。ジーくんの手を焼かせるんじゃないわよ」
「うるせえ、性悪女」
俺を持ち上げたのは、聖剣で出来た龍を操るジャンヌだった。龍の口で後ろ首を
「槍よ!」
頭上から聞きなれた声が響くと同時に、一筋の槍がバケモノに向かって伸びた。
―――GYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!!
バケモノが声を上げる、鼓膜が破裂しそうだ。突き刺さった槍は、ほぼ一瞬ではじき返されるが、確かにバケモノには小さな傷ができていた。
「全力で身体を貫いたつもりだったんだが、想像以上にバケモノだな……」
呆れるように呟いたのは、俺たちのリーダーであり、最強の神滅具の所有者である曹操だ。
「黄昏の聖槍だと!? そうか、貴様らが我々を邪魔していた奴らか!」
悪魔が曹操の神器を見ると、そう叫んだ。まあ、俺たちは人間に害を加えようとしている人外を片っ端から殺していったからな。こいつが知っていても不思議じゃない。
「俺たちの仲間を実験に使っている貴様らに、そんなことを言われたくはないな。レオナルドを誘拐したのは、このバケモノを創るためだったのか?」
「……そうか、貴様らはあの人間のガキの仲間か」
納得すると同時に、忌々しげに俺たちのことを睨んで来る悪魔。そんな目をされても、何でもないかのように曹操は平然としている。よく見ると、曹操はすでに神器を禁手化していた。それだけ相手が危険であると判断しているのだろう。
「まあ良い。例え、黄昏の聖槍であろうと。こいつに勝つことはできない。その忌々しき神の槍で、精々足掻いてみるがいい」
「ほう? お前は魔王の血筋だというのに、人間すら自分で倒すことのできない臆病者なのか?」
悪魔がバケモノに命令しようとする直前、間髪を入れず曹操が言い放った。それを聞いて、一瞬呆けた悪魔は怒りに顔を歪める。
「貴様、今なんと言った?」
「いやなに、俺は英雄の子孫でね。戦うのなら、命令通りの行動をするだけの人形より、人間を敵とみなしている
「なっ!? ふざけるな! 俺が! 俺が、あの偽りの魔王どもに加担する奴らと同類だと言うのか!」
「違うのか? かつての魔王は、自ら戦場に赴いたのだろう? 自分では何もせず他者に命令し、高みから見下ろしているだけなど、奴らと何が違う?」
「どこまで我らを愚弄するか!」
ニヤニヤと邪悪な笑みを浮かべる曹操に悪魔が叫ぶ。この挑発の狙いは分かっていた、あのバケモノを戦わせないため。この場に居る全員が分かっているんだ『あのバケモノには勝てない』と。
だからプライドの高い悪魔を煽り、直接相手をさせるつもりなんだろう。こういう化かし合いは、俺の領分じゃない。今は回復に専念しよう。
「まぁまぁ、二人とも落ち着いて」
突然、彼らの話し合いにジークが割り込んだ。よく見ると、曹操とアイコンタクトをしている。それに気付かず、悪魔はキッとジークを睨みつけた。
「下等種族が、気安く俺に話し掛けるな!」
「そんなに怒らないでくださいよ。貴方は高貴な悪魔なんでしょう? 怒りのまま行動するなんて、品位が疑われるよ?」
「――――チッ」
本人も、その言葉に共感したのか握った拳を開く。しかしジークに言われたのが気に食わないのか舌打ちをした。
「貴方が彼らと違うと言うのなら、それを証明すればいいだけじゃないですか」
「……何が言いたい、人間」
張り付けたような笑顔のジークを、悪魔は睨みつける。今攻撃しないのは、それをするとジークに言われた通り品位が落ちるとでも考えているのかもしれない。
「貴方は悪魔なんでしょう? なら、人間に対して証明するのは簡単な話だ。対価を払う代わりに願いを叶える。僕からの対価はそうだね、これなんかでどうだい?」
そう言ってジークが取り出したのは――魔帝剣グラムだった。
アイツは何を考えているんだ? 英雄の子孫が悪魔と契約を結び、最強の魔剣であるグラムを差し出す? アイツも曹操並みに頭の切れる奴だから、何かしらの考えがあるんだろうが、生憎俺には分からない。
「ほう、魔剣グラムか……下等な人間にしてはマシな対価だ」
「お願いを叶えてくれるかな?」
「…………話して見ろ」
渋々と言った風に悪魔がジークに聞く。
思うのだが、コイツは俺たちを殺してグラムを奪い取ろうとは考えないのだろうか? プライドの所為か? それとも戦闘を行うとグラムが壊れてしまうとでも思ったのか?
「じゃあ、言うね? 僕が願うのは、そのバケモノのこと。レオナルド―――魔獣創造の所有者と、そのバケモノは何か関係があるのか教えて欲しいな」
そう言ってバケモノの方を見るジーク。確かにアレが何なのか、俺も気になる。しかしそれは、グラムを手放してまで要求するようなことか?
「フン、特別に答えてやろう。アレの神器は大いに役立ってくれた。このキメラを造る材料としてな」
そう言って、不機嫌そうに話し始める悪魔。というかジークの奴、グラムを持っていて大丈夫なのか? 龍殺しの力が、持っている神器に反応して危険がなんとか言っていた気がするんだが。
「十年前、我々は次元の狭間であるものを見つけ出したのだ。
それは焦げたような、ある生き物の表皮だった。
我々は、それを基にキメラを造り出した。しかし、思いのほか満足のいくものができなくてな。基の
だから、我々の命令を聞く無数ともいえる数の生き物を合成する必要があった。その点で、アレの神器は実に都合が良かったのだ。
アンチモンスターを大量に合成したおかげで、光力や魔力に対する高い耐性も得ることができた。それが、
吐き捨てるように悪魔は語った。それに怒りを感じ、納得もしたが。この場に居た全員が、驚愕したのは間違いないだろう。
アイツの説明では、次元の狭間で見つけたある生き物の皮膚を基に造ったと言っていた。次元の狭間に居る生き物など、アレしか居ない。
グレートレッド。真なる赤龍神帝と呼ばれる、世界最強の存在。それを基にしているのなら、あのバケモノのバカげたプレッシャーにも納得がいく。
――パァアアアアアアアア
説明が終わると同時に、曹操の持つ黄昏の聖槍が強烈な輝きを放ち始めた。その瞬間、この場に居る『英雄を倣う者』の全員が理解する。
―――覇輝を使うつもりだ、と。
アイツは普段、自分のことよりも周りの奴らに気を配る。しかし、今回はその様子もなく覇輝を発動しようとしている。それを見て、俺たちは止めに入らない。覇輝は「聖書の神」の意思によって発動が委ねられるほどの代物だ。それを破壊の力に使えば、完全に発動しなくとも周囲への被害は甚大なものになる。
幸い、結界の内部はすでに滅茶苦茶に荒れているからそれだけなら問題はないが。はたして、完全発動した覇輝の力をゲオルグの結界が耐えられるだろうか?
まず不可能だろう。三大勢力のトップたちも結界を張っているが、すでにいつ壊れても不思議ではない程にボロボロだ。即ち、発動させればほぼ確実に町の方に被害が及ぶ。それが分からないほど、曹操はバカではない筈だ。つまり、それを考慮したうえでアイツは覇輝を発動しようとしている。
敵がそれだけの脅威であることを、この場の全員が理解した。それはたとえ、覇輝を発動しても仕方がないと納得してしまうほどに。
「槍よ、神を射貫く真なる聖槍よ――」
呪文が紡がれていくにつれて、周辺を聖なる力が包み込んでいく。邪悪な力を払いのける祝福と、神の怒りを体現するかのような破滅の力が満ち溢れていく。
「グッ――ガァアアアアアア!!! 貴様ぁあああああああ!!!!!」
それに至近距離に居た悪魔が苦しみだした。奴は魔王の血統だが、本人ではなく子孫だ。禁手化していない人間の俺にすら手こずるほどの力しか持ち合わせていない。それが俺よりも強い者が扱う最強の神滅具の全力が効かない筈がない。
「死ねぇえええええええ!!!!」
悪魔は狂ったように、曹操に向かって魔力弾を放つ。しかし、
「あっ、約束だからグラムあげる、っね!」
―――ビュン!
ジークが、そう言うと共に投げたグラムが魔力弾を突き破り悪魔の腕を切り落とした。
「我が内に眠る覇王の理想を吸い上げ、祝福と滅びの間を抉れ――」
「ガァアアアア!!! リリスゥウウ!! 俺を! 俺を助けろぉおおお!!!」
呪文と共に強くなっていく聖なる力に耐えきれなくなったのか、悪魔が叫ぶようにキメラに命令する。もはやその姿は、魔王の威厳など皆無であった。
悪魔の言葉に反応したキメラは、一本の触手をこちらに向けてくる。防御も回避も不可能な、認識すらできないほどの速度の触手の口が開き。
――グジャ
そんな生々しい音と共に―――悪魔が喰われた。
あまりの出来事に、曹操すら詠唱を止めて全員が目を見開いた。そんな俺たちのことなど関係ないというように、触手は口を動かし不気味な咀嚼音を奏でる。
―――何が起きた?
いや、何が起きたのかは分かっている。悪魔がキメラに喰われたのだ。だが、それは一体何故? 合成された魔獣たちの怨念か? 苦しみから解放する為に殺すことが最善だと判断したのか? それとも別のナニカがキメラに命令したのか?
目の前で起きた一瞬の出来事に呆然とする。そんな俺たちを嘲笑うかのように、血に塗れた触手の口がゆっくりと開いた。まるで『次はお前たちだ』と言わんばかりに。
「―――っ。汝よ――」
その光景を見て、真っ先に意識を切り替えた曹操が詠唱を再び始めた。
そうだ、理由を考えるのは後からでいい、そもそも俺は考えるのが苦手なのだから、そんなことは他の奴らに任せるべきだ。俺がやるべきことは、例えこの身を犠牲にしても、曹操たちを補佐すること。
頑丈なだけが取り柄なんだ。だったら頭じゃなく、身体を動かしやがれ!
「遺志を語りて――」
触手は動かない。しかし、本体の方がギョロリとこちらの方を向いた。来るかっ!
「輝きと――」
――ドジュウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ!!!!!
「「「「「「「「「「――――は?」」」」」」」」」」
悪魔も天使も堕天使も例外なく、この場に居た全員が言葉を失った。
目の前にしたキメラが―――消えた。
「―――っ!? まさかっ!」
曹操がある一点を見つめると、苦虫を噛み潰したような顔で叫んだ。その視線の先には、結界に開いた巨大な穴があった。
まさか、逃げたのか!?
「ゲオルグ、周辺の情報を教えてくれ」
曹操がゲオルグに通信を取る。そしてしばらくすると、神器の光を抑え始めた。それが意味することは即ち、近くにあのバケモノが居ないということだろう。
「全員、撤退だ」
その言葉と共に、俺たちは一斉に動き始めた。その中でジークは『受け取ってもらえなかったんだから仕方ないよね』と言いながら魔剣を回収している。アイツ、本当に元教会出身か? 俺には、悪魔以上に悪魔に見えるぞ……。
「曹操……」
「……さっさと帰るぞ、黒歌」
「………うん」
名残惜しそうに、妹を放すと黒歌はこちらに戻って来た。
「少し待ってくれないか?」
そんな中、現魔王がこちらに話し掛けて来た。
「……なんだ」
「まずは私たちに加勢してくれたことを感謝する。しかし、君たちは何者だい?」
「……『英雄を倣う者』と名乗っている。俺もあなた方と少し話がしたい――ジークとアーサー以外は先に戻れ」
「あ、ぁ……こっちは、任せろ」
「そんな状態で喋るんじゃないわよ。この筋肉達磨は、しっかり連れて帰るから、そっちは頼んだわよ」
そう言ってジャンヌは俺に転移魔法を展開させる。残念だが、今の俺は完全な足手まといだ。それに、頭脳戦は俺の分野じゃない。俺は考えなしのバカだ。それは自覚しているし、直せるような気もしない。なら、俺にできるのは身体を張るしかないだろ。
アジトに戻ったらさっさと治療して、お前の守りたい者を代わりに守っといてやるよ。
何故かジャンヌが呆れたような表情でこちらを見ているが、気のせいだろう。
そして曹操たちを残して、俺たちは校庭からアジトの方へ転移する。その直後―――絶望が世界を襲った。
Side絆
う~ん。どういう状況、コレ?
私たちがそろそろ寝ようかとしている時間、ま~た学園の方で戦闘が起きた。それも前回と比べて、質も量も上。学園は戦闘のための場所じゃないんだけど……校舎なんて見る影もなく粉々だし、置き勉してなくてよかった~。
さて、私にとって彼らは興味の対象外なんだけど。こんなものを感じ取ったら、いくら私でも様子ぐらいは見に来る。
私とオーフィスが感じ取ったもの、それは――
「グレートレッド?」
隣でオーフィスが呟く。ちなみに、能力を使って私たちは完全迷彩状態になっている。
そう、学園の方から僅かだけどグレートレッドの気配がしたのだ。それで能力を使って結界を通り抜けると、いろいろとすごい状態になっていた。
その中にグレートレッドの気配を放つ『何だか分からないモノ』が居た。ちなみに
状況が分からないので、取り敢えず観察していると、悪魔が説明を始めた。それを聞いて、私は成程と納得する。
彼らの言っている皮膚は、ほぼ間違いなくグレートレッドの物だろう。それに、前置詞の『焦げたような』という言葉。十年前、焦げたような皮膚。これ、私が負わせた傷が新陳代謝で剥がれ落ちたモノじゃない?
少なくとも十年前より以前の間、私はグレートレッドの焦げた皮膚なんて見たことが無い。断定はできないけど、ほぼ確実にそうだろう
そんなことを思っていると、グレートレッド
「私たちの方、見てるよね?」
「見てる」
「紛らわしいし、こんなのグレートレッドへの侮辱だよ。流石に肉体的な強さならオーフィスとグレートレッドの次ぐらいに強いけど、それだけのよく分からない物体。でも、少し興味深いなぁ」
好奇心に従い私たちは近づこうとした、その時――
――ドジュウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ!!!!!
「「「「「「「「「「――――は?」」」」」」」」」」
グレートレッド擬きは、目にも止まらぬ速さで上空に跳び上がった――というか逃げた。跳ぶときの摩擦で校庭が溶けて、マグマみたいになっている。
身体のごく一部を使っただけの存在なのに、軽く光速を超える速度を出すなんて。改めて、世界最強の存在の力を理解させられた。というか、馬鹿げてる……。
「今、アレは何処らへんにいる?」
「太陽系の外」
結界の外どころか、成層圏の外にまで跳んで行ってしまったらしい……。
「転移魔法で、先回りして……」
「分かった」
オーフィスが答えた直後、私たちは既に宇宙空間に居た。能力使って、宇宙空間でも大丈夫なように身体は保護してある。そして正面を見ると、こちらに向かって飛んでくるグレートレッド擬きが見える。
「取り敢えず止めて」
「ん……あっ」
――――――――。
オーフィスが受け止めようと魔力で壁を造ると、それにぶつかったグレートレッド擬きは衝撃に耐えられず爆発四散した。
「失敗……」
「いや、そうでもないよ?」
――――――――。
グチャグチャになった肉塊が動き出し、それらが集まると元の形に戻った。再生能力もあるんだ……。
――――――――――――――――――――――――――――――――――!!!!!!
何か叫んでいるんだろうけど、空気が無いから音が聞こえない。なんか迫力が無いね。いくら吠えても動かない私達を見て、グレートレッド擬きは身体を翻して逃げようとする。
ゴッ―――――――――!
オーフィスがそれを察知して威圧を飛ばし、グレートレッド擬きの動きを止めた――――って、あれ?
「…………………………」
「ねぇ、オーフィス?」
「何?」
「私の見解が正しければさ、アレ死んでない?」
「……死んでる」
目の前に居るグレートレッド擬きは完全に絶命していた。
「なんで?」
「おそらく、驚いたから」
オーフィスの台詞に、私は頭を抱えた。
要するに、ショック死したということだ。確かに、アレにはオーフィスとグレートレッド以外に敵はいなかったと思うから、恐怖なんて感じたことないかもしれない。そんな存在が、本当の世界最強の存在であるオーフィスの力に当てられて驚くのも理解できるけど、それでショック死って………。
生物として中途半端だったせいかな? 肉体は頑丈だけど、精神があまりにも脆弱過ぎた。これは最強の力を中途半端に持っていたからこそ、起きた事態なんだろうけど……。
よく辺りを見渡せば、私の目に見える範囲にあった星が全て無くなっていた。質量をもたないタダの威圧で、近くの星が崩壊したみたいだ。これ、どこまでオーフィスの力が届いたんだろう……地球、壊れてないよね?
「どうする?」
「取り敢えず、気配が紛らわしいからソレ処理して」
「分かった」
そう言うとオーフィスは、グレートレッド擬きの亡骸を消し飛ばした。
「……あのグレートレッド擬きは『造りだした』とか言っていたよね?」
「ん、言っていた」
「次元の狭間以外から、グレートレッドの気配を感じる場所ない? 失敗作とか、試作品とかできるのは実験でよくあることだし、まだ居るかもしれない」
個人的な興味もあるけど。それ以上にアレが居ると、グレートレッドと私たちの戦いが侮辱されたような気がしてすごくムカつく。まだ居るのなら、さっさと処理しておきたい。
「分からない……アレに混じっていたグレートレッドの力は小さかった。近くまで行かないと、他の気配で判断がつかない」
無理か……そうだよね、グレートレッドの力をよく知っている私でも『気のせいかな?』って思うほど変質していたし、世界を跨いだらオーフィスでも分からないか……。
……………ん? でも、待てよ。
「オーフィス、グレートレッドならどうかな? 自分の力なら、どこにあるか分かるんじゃない?」
「可能性はある」
「よし! じゃあ、次元の狭間に行こう。分かんなかったら、分かんなかったで仕方ないし。取り敢えず、グレートレッドに会いに行こう」
「了解」
そうして私たちは、次元の狭間に向かった。それとオーフィス曰く、家の結界にはあまり力が届いてなく地球は無事らしい。良かった……。
絆たちが宇宙空間なのに平然と話しているのは、次元の狭間で似たようなことをして慣れている為です。能力を使えば、会話は可能なので。