小さな二人は共に行く(リメイク)   作:麦わらぼうし

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能力説明がありますが、分かりにくかったら、ごめんなさい。


現状確認と突然の出会い

「……んぅ? ふぁ~」

 

 目を覚ました私は、眠気を逃がすように大きなあくびをして身体を伸ばす。

腕がある、足がある。どうやら転生に成功したようだ。まだ、ぼんやりとした視界を動かして周りを見渡す。

 どうやら私がいるのはベッドの上らしい。横には光が差し込む窓があり、その窓の先には遠くが見渡せないほどの鬱蒼とした森が生い茂ってお……り…。

 

「……………」

 

 外の様子は、実際に外に出て確認しよう。それより、この家の情報を集めておかないとね。そう考えて、私はベッドから足を下ろして寝室から出る。そこにはフローリングの廊下があり、廊下の先は下りの階段がある。どうやらこの家は一階建てではないらしい。

 廊下を降りると、やはりフローリングの洋式の部屋に出た。大きなソファーとテレビを挟んで、その中央にプラスチック製の透明なテーブルが絨毯に乗っている空間。木製のテーブルと椅子、そしてテーブルが見えるようになっているダイニングキッチン。ここは、どうやら居間のようだ。

 更に家の中を探索すると八畳間の和室があった。中央にこたつがある。それと、この家はどうやら二階建てらしく、あとはトイレとお風呂があるんだけど………。

 

「温泉!?」

 

 お風呂は温泉でした。これは少し、掃除の時は気を使わなくてはいけないよ。

 一通り探索を終えた私は、居間に戻る。と、そこでテーブルの上に紙のような物が置いてあるのに気付いた。なんだろうと思い手に取ってみると、紙にはこんなことが書かれていた。

 

 -神様見習いより-

 

 無事に転生できたようなので、あなたに現状を教えるためにこの手紙を送ります。まず、以下の情報をご確認ください。

 

名前 真代(ましろ) (きずな)

 

種族 人間

 

性別 男

 

誕生日 7月20日

 

星座 かに座

 

年齢 10歳

 

容姿 イリヤスフィール・フォン・アインツベルン

 

 これは、現在のあなたのステータスです。基本的に問題は無かったのですが、最後の容姿に関する物だけ、別の創作物の人物に酷似しています。ですが、姿が似ているだけなので特に問題はありません。聖杯でもなければ、ホムンクルスでもありませんのでご安心ください。

 

「聖杯? ホムンクルスは分かるけど、聖杯ってコップのことじゃなかったけ?」

 

 それとも、私の姿ってコップなの? でも、手とか足とかあるし………もしかしてコップから手と足が生えているとか? こわっ!? そんな訳ないか……。

 

「そういえば、自分の姿はちゃんと見てなかったなぁ~」

 

 そう呟くと、私は玄関の方に向かう。確かあそこには鏡があった筈。

 玄関にある鏡の前に立つと、そこには紫色の服に身を包んだ、薄い銀髪の少女が鏡に映っていた。

 

「あれ? 女の子?」

 

 先程の紙には、性別は男と書かれていた筈だ。でも、鏡に映っているのは間違えなく女の子。

 

「えっと……」

 

 私は、股間の辺りを触ってみる…………どうやら、男で間違いないようだ。

 

「あれ? でも私って、前世は性別どっちだったけ?」

 

 一人称が私だから、女性? いや、でも男性にだって自分のことを私って言う人もいるし、分かんないな~。

 

「まっ、どっちでもいっか」

 

 別に重要なことでもないし、記憶消されているんだから考えても分からないよね………それにしても元になった人の名前と髪の色から察するに、この人は外国人だったのかな?

 

「ん? 裏にも何か書いてある?」

 

 もう一度、紙に視線を戻すと。裏にも何か書かれていることに気づいた。えっと……。

 

 -現状と特典の説明、及び補足-

 

 この紙が置かれてある部屋の窓から見えると思いますが、その家が建っているのは森の中です。しかし、町から離れて暮らしていると言う訳ではありません。この時代は原作の遥か前であり、まだ悪魔や天使が存在していないほど昔です。当然、人間など生まれていません。家の建っている場所は、未来で日本となる土地に存在しています。

 

特典1 高い身体能力

-人間が辿り着ける身体能力の限界より、少し高いぐらいの身体にしました。ただし、

何年経とうとも力が衰えない代わりに、いくら身体を鍛えようとも力は上がりません。

 

特典2 出来のいい頭脳

-言われた通り、思考力、理解力、記憶力、判断力、発想力の高い頭脳を与えました。これも時間によって衰えることはありませんが「勉強ができること」と「頭がいいということ」は異なるものだということを理解しておいてください。

 

特典3 資金援助

-読み終わり次第、この紙が金庫に変化します。番号はまだ決めていないので、そちらでお決めください。また、現在貨幣は存在していないので食物が金庫の中に送られます。

 

特典4 制御する力

-文字通り、あらゆるものを制御することができます。例えば、水を液体から個体や気体に変えることができます。機械に使えば、一瞬でハッキングすることも可能です。ただし効果はあなたと、あなたの半径十センチのものにのみ効力を発揮します。また、この時代では聖書の神がまだ神器(セイクリッド・ギア)のシステムを作っていないので、純粋なあなた自身の能力となります。

 

 それでは、良い人生を。

 

 手紙をそこまで読み終えるとパァ!と強く光を放って、巨大な金庫になった。

 

「って、重っ!?」

 

 金庫が大きくて、絶対に持てないと思ったけど。何とか持てた、どうやら特典通り身体能力が高いらしい。でもこれ、身体能力が上がってなかったら確実に圧死しているぐらい重い。

 

「というか、神器ってなんだろう?」

 

 文字は漢字なのに横文字のフリガナが書かれていた、よく分からない単語。聖書の神がシステムを作っていないからって書いてあったけど、一体どういう意味なんだろう?

 

「っと、そんなことより。まずはこの金庫をどうにかしよう」

 

 その後、金庫は和室に置いて番号を設定した。そして、家の中のことが一通り終わった私は外に出ることにした。地理の把握と、特典の確認の為である。

 

 

 しばらく辺りを歩き回って見たが、大きな生物はいなかった。それと家の屋根にソーラーパネルが設置してあった。大体の地理を覚えた私は、家から少し離れた場所で制御する力を使ってみることにする。

 

「えっと、取り敢えず念じてみればいいのかな?」

 

 そう呟いて、空気中の水分を集めて水の塊を作ってみようとする。すると、目の前で小さな水の粒が生まれて、それがどんどん大きくなっていった。

 

「おおっ!」

 

 自分でやったことだけど、その光景は随分と神秘的だった。今度は、その水をイルカの形になるように念じてみる。

 

「わあっ!」

 

 目の前に水のイルカが空中を泳いでいるように見える。頭の形をしている方に動かしてみると、本当に生きているみたいだった。

 

――バシャッ

 

「わっ!?」

 

 動かしていると私が少し離れた瞬間、イルカはもとの水に戻り重力に従って地面に落下した。どうやら、制御する力の効果範囲である半径十センチを超えてしまったので維持できなくなり、普通の水に戻ったようだ。

 

「ふむ……効果範囲外に出ると制御はできなくなるけど、元の水蒸気に戻る訳じゃなくて、水のまま存在し続けている……」

 

 これから分かることは、生み出したものは効果範囲外に行っても状態を維持し続ける。つまり生み出したものに力を付与すれば、効果範囲外に出ても機能する可能性がある。

 

「実際にやってみよう」

 

 私は、再び空気中の水分を集めて水の塊を作る。それを矢の形に変化させて個体、即ち氷の矢を作ると、その矢に『矢じりに当たった物は燃える』という事象を念じる。そして氷の矢を少し離れた木に向かって投げた。

 

――コン

 

 しかし、木は燃えなかった。ただ木に刺さっただけである。

 

「うーん、流石に効果範囲外だと無理なのかな? それとも、氷で木を燃やそうとしたのが根本的に無理だったのかな?」

 

 それとも制御する力は、やはり対象となる物にしか効果が無くて。対象が間接的に干渉する物には効果が無いのか。

 

「よし、次は矢を持ったままやってみよう」

 

 私は投げた矢を取りに行って木から矢を引き抜くと、もう一度『矢じりに当たった物は燃える』という事象を念じる。そして矢を、再び木に刺す。

 

――ザッ

 

 しかし、結果はやはり同じだった。木に矢が刺さっただけ。

 

「うーん、やっぱり間接的には力が使えないみたいだね……なら」

 

 私は、触れている氷の矢の温度が急激に下がるように念じてみる。

 

――ピキピキピキ

 

 すると、木が矢の刺さった部分から凍りだした。

 

「いっ!?」

 

 しかし、急激に温度の下がった矢を持っていた私は凍傷になりそうな痛みを感じて矢から手を放して飛びのいた。

 

「……もう少し気を付けないと」

 

 手を離して距離を取った時、木の凍る勢いが弱まりだし、矢が溶けだした。どうやら効果範囲外に出ると、対象の性質は物理法則の方へ戻ってしまうらしい。

 

「あと確かめることは……」

 

 私は凍った木に手を付けて、木の高い位置の枝が折れるように念じてみる。

 

――バキッ

 

 上の方で枝が折れて、凍った枝が落ちてきた。

 

「なるほど、明らかに効果範囲外の場所でも一部が範囲に入っていれば制御は可能……と」

 

 でも、一つの物体でないとダメみたいだね。空気に触れているから、空気全体を操るとか。地面に触れているから、遠くの地面を盛り上げるとかはできないみたい。

 

「取り敢えず、こんなところかな?」

 

 一度検証を終えると、私は呟いた。

 これ、かなり強力な能力だ。効果範囲内にあれば、ほぼ何でも思いのまま。しかも、今のところ力を使って疲労や不具合を感じないことから、恐らく能力によるリスクが無い。

 

「これは、使いこなせるようになれば無類の強さを発揮するね」

 

 その為には練習しなくちゃね。いくら強い力を持っていても、使いこなせなければ宝の持ち腐れだ。

 

「よーし、明日から練習がんばるぞー!」

 

 私は空に向かって拳を突き上げて、高らかに宣言する。するとタイミング悪く、宣言した直後太陽の光が遮られる。

 なんか、出鼻を挫かれた気分……。

 

「ん?」

 

 なんか、空を見上げると。太陽の一か所に黒点(?)みたいな黒い点が見えた。それは少しずつ大きくなって、まるで巨大な何かが、こっちに落ちてきているよう……で…。

 

「え? まさか……」

 

 その少しあと、黒い点はさらに大きくなって、次第に形が丸から横長に変化していき、ここで漸く私は、それが落ちてきているのだと結論付けた。

 

「えええええええええええええええっ!?」

 

 落ちてきているものは、かなり大きい。しかもそれは、間違いなくこちらに近づいている。このまま此処に居れば確実に潰される。半ばパニック状態になった私は、距離を取るために全力で走り出した。

 

「距離―――――――――!」

 

 空気抵抗をなくし、摩擦もなくし、足に跳ね返って来る圧力や体に掛かるGを全て前に進む推進力に変えて、全速力でその場を離脱した。

 

――ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!!!!

 

 ………間一髪、なんとか回避に成功した私は、膝をついた。胸に手を当てると心臓がバクバクと鳴っているのが分かる。

 

「あ…危なかった……」

 

 本当に危なかった。転生して一日経たないうちに、また死ぬかと思った。落ちてきた物体の振動で跳び上がって、初めて浮遊感という物を味わったよ。

 

「一体、何が落ちて来たんだろう」

 

 私は落ちてきた物体の方に視線を移す、落下の衝撃によって辺りの木々は吹き飛ばされ、小さなクレーターができていた。

 

「取り敢えず、確認してみよう」

 

 私はクレーターの中心地に向かう、そして落ちてきた物体を見て一瞬固まり。

 

「えっ? ええええええええええええええっ!?」

 

 大声で叫んだ。

 落ちてきたのは、ボロボロの身体をした巨大な黒いドラゴンだった。

 

 

 

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