書いていて、この主人公変な方向にテンション高いなぁ……と思いました。
雲一つない快晴、鳥は空を悠々と飛び、子供が元気に廊下を駆けては先生方に怒られる。
そんな清々しき朝、皆様おはようごさいます。今日も最高にテンション駄々下がりの、表情筋が仕事をしない我愛羅くんです。
人に会えば先ずは挨拶から、基本ですよね。
「…………」
はい、その基本が出来ない私なのでございます。
人がいない訳では無く、ただ単に俺のこの口が動いてくれないのだよ!それに挨拶をしようとも何故か、凄く避けられてする暇がない。
おぉ、神よ、私に試練を与えすぎではないか?いいんだよ、もうちょと減らしても。過度な試練の与え過ぎは精神に深刻なダメージを負わせますよ。
要するに試練よ、廃業しろ。
と、何時もならアカデミーに行けば思うところだが、今日は素晴らしきかな、休日である!
嫌な目で見てくる先生も、俺の心のゲージを確実に削っていく女子も、何故か目が会う度にヒィッと独特の言葉を発する友人のゴウゲン君もいない。
本当何で?俺、ゴウゲン君に悪いことしたかなぁ?今度、友情の証として何か贈ろう。きっと仲良くならる筈だ。兵糧丸じゃありきたりだし……皆があげる物じゃ印象に残らない……。
俺の自作の、起爆札……毒煙玉……貴重な毒草とかどうだろう?
まぁ、それはそれと置いといて今日は修行である。毎日やっている体術強化、独り組手に独り筋トレに加え術の研究をする。
俺の攻撃手段と言えば、"砂"。アニメオリジナルで武器の指南とか、体術を教わっている場面があったが全てナルトに会って性格が改変した後だ。それに漫画じゃ一回も我愛羅くんが砂以外の攻撃をした事はない。まぁ、そんだけ砂が強いって事何だろうけど、なんか味気ないよね。
砂と思わせて、実は~っ的なヤツやってみたい。で、俺が砂以外の武器で考えて思った事は、砂系なら大体いけるんじゃねぇ?と言う疑問だ。前風影の砂鉄、現風影こと父様の砂金。
我愛羅くんが普段瓢箪に入れている砂は自身のチャクラを練り込んで操る為、そこいらの砂を使うよりも早く操作できる。慣れた武器は使いやすいと言った感じだ。それで俺が思ったのは砂と同じように砂鉄や砂金にチャクラを流し込めば操れるのではないか?だ。
結果、「そんなに人生甘くない」である。
動かすことは出来たが、とてもじゃないが実戦では使えない。俺自身が慣れてないのもあるが、メッチャ重いし遅いのだ。
だが、結構さっさと解決策は思い付いた。普段流し込んでいる倍のチャクラを練り込めば実戦で使える速さになる。
ただ、チャクラをかなり消費するから、人柱力であるチャクラの多い俺じゃないと直ぐに枯渇する。あと、そこら辺にある砂と違って砂鉄とか砂金は地中を掘り進めて探さないと見つからない。
敵と戦闘しながらそれをするのは、大分疲れる。なのであまりやりたくない為、戦闘中の補給は見込めない。そうまでして、砂鉄と砂金を使うよりも質より量の砂の方が便利だ。
しかし、ロマンには逆らえないのが男しての悲しいさがだ。少量であれば問題なく扱える、なら使おう!砂金は正直、金銭としての価値しかあまり見出だせないから一先ず無視するとして。砂鉄は硬度も攻撃力も砂より高いし、絶対戦力増加になる。
前風影のように大量に砂鉄の大盤振る舞いは出来ないが、クナイや刀等の武器の形状にすることは出来る。元が砂鉄だからどうやっても真っ黒だが、形を自在に変えれる武器だと思えば中々に良いのではないだろうか。
砂でもやろうと思えば出来るが、砂は攻撃を吸収するのに向いている。何より刀一本分ぐらいならチャクラも殆ど使わない、俺に優しい低燃費だ。
けど、実際に使ってみないと性能は分からない。
「と、言うわけで──いざ実践!カモン、守鶴たん」
『守鶴たん言うなァ!気色悪い!』
俺の砂分身に意思だけ憑依した守鶴との実践練習開始である。
ん?守鶴に乗っ取られてる?違う違う、守鶴たんが俺を乗っ取れる事が出来るなら、俺が意識して分身体の体をあけ渡せば操れるんじゃないか、と思ってね。案の定、可能でした。
わーい、これで俺独りぼっちじゃないよ!そこかよ、等の意見はお受けしておりません。だって寂しいじゃん!そりゃあ、声は聞こえるけど会って話したいじゃん!
けど、自分の姿で守鶴たんの口調はなんか……いや、決して……守鶴が嫌な訳では無いよ?けどさぁ、ほらキャラってあるしさぁ……我愛羅くんは大声で怒鳴ったりしないし……。私にも色々あんのよ……わかっておくれやす……。
そんな超絶個人的な意見で、守鶴は別の姿をとってもらっている。
薄金から毛先にかけて黄金色の髪に、縦にバッテンが入ったお月様の様な瞳に本来白目の部分が黒く染まった目。我愛羅くん同様に白い肌をした同じ背丈の目付きの悪い少年が立っている。はい、こちら守鶴たんでございます。
えっ?女の子じゃないのか?何言ってんの?ベースは我愛羅くんだよ。もう、やっだなぁー美少女のわけないじゃん。現実はそんなに希望に満ちてないんだよ、知ってた?
『おい、俺様はお前のお遊びに付き合ってやる義理なんってねぇーぞ!』
「まぁまぁまぁまぁ、そう言わないで。後で何か好きモノ作ってあげるから」
『……ほ、本当だろうなァ……嘘吐けばその口切り裂くぞ』
「本当本当、マジマジだよ」
夜叉丸がいなくなって本格的に絶賛独り暮らしだから、家事洗濯料理等の女子力が鰻登りです。それにより、守鶴たんの扱いがどんどん楽になっていくから、悪いことではない。
『しゃーねぇ、めんどくせぇがこの俺様が相手してやる。感謝しろよ』
「はい、ありがとうございます。守鶴たん」
『っ…………、だからその「たん」止めろつってんだろ!耳にクソでも詰まってんのかァ!?』
「えー、可愛いのに……」
真面目にお礼を言ったら、守鶴が一瞬固まってから怒鳴りだした。相変わらず短気だなぁ。
それでも、俺の修行の相手をしてくれる守鶴はマジ感謝してもしきれない。それと、「たん」は付けた方が親しみやすく成るかと思ったからなんだが……馬鹿騒ぎしてるみたいで楽しいから、もう暫く「たん」呼びさせて貰おう。
『もう、うぜぇ!』
「わっ、不意討ちは卑怯じゃないかぁ」
『知るか!!』
地面から伸びる砂の手から逃れる為に空中に跳べば、手裏剣を模様した砂手裏剣が俺を襲う。それを砂鉄できたクナイで弾き、着地すると同時に襲いかかってくる砂に、クナイに起爆札を付け投げる。
そんなモノが砂に効く訳がなく、直ぐにまた攻撃が来るが動きを一瞬止められれば十分。普通なら後退する所だが、中距離から遠距離を得意とする砂相手にそれは愚策だ。
水遁や雷遁が扱えればそれでもいいが、生憎俺の性質は風と土なので無理。なら、近づいて接近戦に持ち込むしかない。
起爆札の爆発により起きた煙に紛れ、守鶴に一気に距離を詰める。勿論、そう易々と近づかせてくれる訳がなく、地面が砂針と化す。針坪マッサージと言うが、これはそんなレベルじゃない。
だが、足を止めれば守鶴攻略は不可能。どうする………………あっ、纏わせればいいんだ。
「砂鉄を足に……」
毎日履いている忍の靴で踏めば間違いなく、足が!足が!になる。なら、砂鉄を靴に纏わせば──あら不思議、砂針の上も痛くありません。
ちょと重いけど、普段背負っているあのくそでかくて重たい瓢箪に比べれば全然軽い。
とっ、チャクラで足を強化し地面を蹴る。その勢いのまま俺の周りをフワフワ浮遊している砂鉄を刀状に変形させ、思いっきり振りかぶる。
が、ザッと砂の盾でガードされ守鶴には届かず、空中で停止した所を吹き飛ばされ再び距離をとられる。
「んーー、かったいなぁ……」
『なんだ、もう止めるかのか?』
「いっんや、もうちょと付き合ってよ」
とは、言ったものの流石に使い慣れてない砂鉄で守鶴の防御を掻い潜り、攻撃を与えるのは今のところかなり厳しい。砂を使えればと……考えてしまうが、それではわざわざ守鶴に相手をしてもらう実践の意味がない。
なので、日が暮れ辺りが暗くなってくるまで俺は守鶴と修行を続けた。
『なぁ…………もういいんじゃねぇか?』
「ま……まだ、もう……ちょと……お願い」
『っても、お前息切れ切れでチャクラも殆どねぇーだろ』
砂を使わないで戦った為、体にわりと切り傷が出来てしまった。だが、人柱力持ち前の回復能力で多分寝れば治るだろう。だと言うのに守鶴はもう、止めようと言ってくる。
もう、守鶴たんは心配症だなぁー、と茶化そうと声を出そうと思ったが出た言葉は違った。
「へ、平気……平気……全然大丈……夫……」
『……お前──』
ん?何だか守鶴が霞んで見えてきた。声も聞こえるが頭に入って来ない。手足も震えて、凄く疲れている気がする。
あれ?もしかして俺、結構ヤバい……?
そう、認識したら体が前に倒れ、目を見開いた守鶴が途切れかけの意識の中見えた。
ヴァールハイト様、Nekuron様、ジャックオーランタン様、黒帽子様、誤字報告ありがとうございます! 本当にありがたいです。
あと、主人公が砂鉄や金砂を操れるのは、前風影の術が守鶴の人柱の研究によって産み出されたモノだから……と言う設定が確かあった筈……。凄くうろ覚えなので、間違ってたらすいません。