仮面ライダーアマゾンズ -ϘuinϘuennium-   作:エクシ

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アマゾン。それは決断の時。新種のアマゾンを喰ったことで自分は何を喰いたいのかわからなくなった商の前に仁が現れる。成すすべなくアルファにやられるニューコッパを救ったのは…?


Episode10「Maximum Judgement」

アルファのアームカッターの一閃を受けニューコッパは変身を強制解除させられた。とても視力に障害がある男だとは思えない動きをしてくる。

 

スペック的にはネオアマゾンズドライバーを使う商が一歩リードしているはずだが、その差を全く感じさせないどころかまるでアルファの方がネオアマゾンズドライバーを使っているようだ。

 

 

「さぁ終わりだ。死んでもらうぞ。」

 

 

匂いを追って横たわる商を跨ぐようにアルファが立つ。アームカッターによるとどめを刺そうとした時、どこからか弾丸がアルファに飛んできて商から引き離した。

 

 

「グア!」

 

 

発砲したのは三崎だった。その隣には望もいる。

 

 

「ハカちゃん!」

 

 

声の方へすぐ行く商。それを追いかけようとするアルファだったが、視力低下のせいで方向がいまいち定まらない。

 

 

(ち、アマゾンと人の血の匂いで奴の居場所がいまいちわからねえ。)

 

 

アルファが辺りの匂いを嗅いでいるうちに3人はその場を去っていった。

 

 

 

 

 

 

 

三崎は相変わらずの調子で久しぶりに会ったとは思えないほど親しく接してくる。

 

別荘での戦いの際、商はロウ成分を初めて摂取したことでアマゾンを喰らいたいという気持ちが湧いてきたことに夢中だった。その時、三崎や望が何を思っていたのかなど考えもしなかった。

 

 

「三崎…。」

 

「ん?」

 

「俺は…お前らを捨てたんだぞ。」

 

「それが?」

 

「え?」

 

 

三崎は義手をプラプラさせながら獣道から山道へと飛び出る。

 

 

「俺にとってはイースヘブンにいたハカちゃんも駆除班にいたハカちゃんも4Cにいるハカちゃんもみんな同じハカちゃんだよ。」

 

「ウチらはお前がアマゾンを狩ってくれるいい奴だって信じてる。どこにいたってそれは変わらねえだろ。」

 

 

自分はなぜこんな仲間たちを捨てたのだろうか。アマゾンを喰らいたいと思うことがそんなに重要なことだったのだろうか?

 

このまままた駆除班に戻ってしまおうか。そう思った時、山道を輸送用バンが走行してきた。停車すると中から青山と福田が下りてくる。

 

 

「…フクさん。」

 

「…三崎、望。商は返してもらう。」

 

「あぁ…。わかってるよ。」

 

 

今商が戦えているのは4Cの助力があってのことだ。自分の意思だけで駆除班に戻るわけにはいかない。同じような理由で4Cにいる福田にとってはその気持ちが痛いほどわかる。

 

商はゆっくりと三崎たちの元を離れ、青山に連れられ輸送用バンに乗り込んだ。福田は運転席に座り1度うなずくとギアをバックにいれて引き返していった。

 

 

「よかったのか?連れ戻さなくて。」

 

 

横を見ると木にもたれ掛かった志藤が腕組をして立っていた。

 

 

「マコさん、アマゾンのこと教えてくれて…ありがと。」

 

「ウチらのレーダーには映らなかったよ。」

 

「俺も偶然帰り道にアマゾンを見つけただけだ。まさか(アイツ)まで来るとは思ってなかったけどな。」

 

「……俺たちも帰りますか!」

 

 

手をパンと鳴らすもやはり左腕には違和感があるようだ。

 

 

「…お前らアイツがマモルの代わりだと思ってないだろうな?」

 

「…フクさんにもおんなじようなこと前言われたよ。」

 

「正直…思ってた。でもウチらのとこから4Cに行っちまって…チームのためにアマゾン狩ってたマモルとは違うんだなって思ったよ。」

 

「ならなんで俺の連絡にすぐ駆けつけた?アマゾンにやられる様子はないって言ったよな。」

 

 

珍しく真剣な顔を見せる三崎は志藤の方を振り向いた。

 

 

「マモちゃんがどうとかだけじゃないんだよ!仲間だったんだ!ハカちゃんは…!」

 

「そう、ウチらの仲間だった…。だから助けに来たんだ!」

 

「…なるほどな。でも俺から1つアドバンスをさせてもらうが…お前らこの仕事から少し離れろ。」

 

「え…?」

 

「なんで?」

 

 

志藤が運転してきた車に乗ろうとした2人は思わず手を止めてしまう。

 

 

「お前たち…いや俺たちは…アマゾンに関わるとどうしてもマモルの跡を追っちまう。」

 

「…。」

 

「俺も全国でアマゾン狩りをしてて人間を喰ったことがない奴を仲間にしたほうがいいんじゃないかだとかゴチャゴチャ仲間たちに言っちまってた。でも仲間たちからしたら狩りの対象を仲間にするなんてありえねえんだよ。マモルがいたことは”異常”だった…!」

 

「そんな言い方ないでしょ!」

 

「わかってるはずだ!駆除班に身を置いちまったばかりに…マモルも背負わなくていい分の辛いことも抱えちまったって。」

 

「それは…。」

 

 

何も言えない。

 

そうだ、マモルの影を追ってここまでアマゾンに関わってきた。マモルで”失敗”をしてしまったから今度こそは…。

 

そう思っている自分たちもいた。

 

 

「水澤令華には俺が言ってある。もちろん何か仕事を依頼することはあるかもしれないが…しばらくは堅気の仕事をやれ。」

 

「…。」

 

「お前たちは少しアマゾンから離れた方がいい。」

 

 

志藤は車に乗ってエンジンをかける。キーを捻ってもなかなかかからないエンジン。それはまるで3人の心の引っ掛かりを表しているようだった。

 

 

 

 

 

 

 

輸送用バンの中には黒崎隊の面々も乗っていた。バンが進んでからしばらくして黒崎が商に近づくと早業で腕に手錠をする。

 

 

「なんだこれは!」

 

「なんだじゃねえんだよ。てめえが尻尾ブンブン振り回したせいで白木がどうなったと思ってやがる。」

 

「え…?」

 

 

白木はサソリアマゾンの尾による攻撃でかすり傷を負った。しかしサソリアマゾンの尾には毒が仕込まれている。今白木は4Cに運ばれ生死の境をさまよっているのだ。

 

 

「そんな…。」

 

「おめえ…アマゾンを喰いてえってのは嘘か?」

 

「そんなことはない!俺はアマゾンを…!」

 

「じゃあなんであのアマゾン喰えなかった!?あ!?」

 

 

あのアマゾン…ヒヒアマゾンのことだろう。なぜあのアマゾンから人間の味もしたのかは未だにわからないが、とにかくあのアマゾンを喰うとわけがわからなくなる。

 

自分はアマゾンを喰っているのか、人を喰っているのか、アマゾンを喰いたいのか、人を喰いたいのか…?

 

 

「わからない…でももう…アマゾンは…喰いたくない…。」

 

「ついに正体を現しやがったな。聞いたな、お前らぁ、コイツはアマゾンを喰いたくないそうだ。これは局長にチクっとかなきゃなあ。」

 

 

もう言い返す気力もわかない。自分は何を喰いたいのかわからないのだから。

 

 

 

 

 

 

 

島田の口から衝撃の真実が告げられる。静かに波の音だけがするここでは島田の声がよく通る。

 

 

「そんな…剛さんがアマゾン…?」

 

「違うと思う。彼がアマゾンだったら俺たちは気がついていた。」

 

「じゃあ人間がアマゾンになったっていうの!?それに…神山くんだって…。」

 

 

その場に泣き伏せるカオリにアマゾンの仲間たちが寄り添う。その中に七羽と千翼の姿はない。

 

 

「あれ、七羽さんたちは?」

 

「2人なら別の隠れ家を探しにいったよ。」

 

「マモル…。」

 

「みんな…確かに剛さんや神山の死は辛いよ。でも人間がアマゾンになったってことは仲間を増やすことが出来るかもしれないってことだよ。」

 

「おい、マモル!今そんなことを…!」

 

「黙ってよ、島田くん。」

 

 

ものすごい剣幕で島田を睨むマモル。かつての優しかったマモルの面影はもうない。

 

別荘戦以来マモルは変わった。今まで天城という仲間を救うために戦ってきた彼にとって戦う目的がなくなってしまったからだ。

 

しかしアマゾンたちにとって戦う理由など”生きるため”で十分。

 

生きるためには仲間が必要なのだ。人間は優れた武器も持っているが何よりその数の多さ、数の暴力がアマゾンらを不利にしている。

 

マモルはそう考え始めてから仲間を増やすことに夢中になっている。アマゾンに生殖能力はないがどうにかして増やそうとここ半年は動いているようだった。

 

七羽と出会ってから新たなアマゾンの誕生に希望を持ち、医者として人間の中で生きているアマゾンに協力を仰ぎ彼女らの細胞を調べているとも言っていた。

 

 

「たぶん剛さんがアマゾンになったのはあの2人の影響だ。」

 

「なんだって?」

 

「あの2人の細胞が人間の体の中に入ると…アマゾンになる。これだよ、僕が求めていたものは!」

 

 

マモルのこの表情を見ると島田はいつも思う。昔の優しかった彼はもう戻ってこないのだろうかと。

 

島田が溜息をついた瞬間、銃撃音が鳴り響き仲間の何人かは倒れ込む。4Cの赤松隊の襲撃だった。

 

 

 

 

 

 

 

いい匂いがする。海辺の隠れ家にいた多くのアマゾンの匂いに似たものも混ざっているが、その中にあるのは人間の匂い。

 

無条件に自分を愛してくれる母親からこんなにいい匂いがする…。シャンプーの匂いだとかそういう類ではない。ただ旨そうなのだ。

 

それは特に腕からする。これをかぶりついてしまえば…。

 

そう思ってしまえばもう止めるものは何もない。自分の母親の腕にかぶりつき、引きちぎろうとした時、母の体から無数の触手が飛び出し千翼を弾き飛ばした。

 

その衝撃に思わず千翼は青色のアマゾン体へと姿を変える。6つの腕を使って構ってほしい子供のように七羽を引っ張ろうとする。しかし七羽から繰り出される触手攻撃によって掴んだ腕は引きちぎられていく。

 

 

「グギャアアア!」

 

 

七羽の姿は溶原性細胞を持った新種アマゾンと同じく黒い血管のような模様を浮かび上がらせながら徐々にクラゲアマゾンへと姿を変わっていく。

 

腕を切り取られたアマゾン体は千翼の姿に戻る。そこへ赤松隊を中心とした4Cの部隊が到着しクラゲアマゾンに発砲をする。

 

そんな攻撃が効くわけもなく隊員たちの体が触手によって切断されていく。泣き叫ぶ千翼、それを必死に抑える4Cの隊員たち…。

 

 

 

 

 

 

 

真っ白な部屋に閉じ込められてどれくらいの日が経っただろうか。結局時が経ったとしても自分が何を喰いたいのかという結論に答えは出ないわけだからさほどその疑問は重要ではないかもしれない。

 

橘によって危険なアマゾンと認定された商は貴重なサンプルとして4Cの中で飼われている。いつも通りボーッとしていると珍しく扉が開く音が部屋に鳴り響いた。

 

入ってきたのは腰にネオアマゾンズドライバーを装着している少年だ。

 

 

「お前は…?」

 

 

商の言葉に答えることなく黄色のアマゾンズインジェクターをインジェクタースロットに装填する少年。

 

 

-NEO(ネ・オ)-

 

「アマゾンッ!!」

 

 

赤いエネルギーを放出しながら千翼は黄色いバイザーを顔につけ、生命体とは思えぬ装甲を身に纏ったアマゾンネオに変身を遂げる。

 

いつもは研究員がぞろぞろと入ってくる近くの扉が少し開き、そこからネオアマゾンズドライバーとアマゾンズインジェクターが投げ入れられた。

 

いまいち状況が理解できない。と思った商に襲い掛かるネオ。なるほどそういうことか。

 

すぐにネオアマゾンズドライバーを腰に巻く商。千翼と同じようにアマゾンズインジェクターをインジェクタースロットに装填しようとするも手が震えて中々入らない。

 

 

「…!」

 

 

何とか入るとインジェクタースロットを上に傾けた。

 

 

-NEW(ニュ・ー)COPPA(コ・ッ・パ)-

 

「アマゾン!」

 

 

商からもオレンジの爆炎があがりニューコッパへと変身する。久しぶりのアマゾン体の変化に身震いしてしまう。

 

自分は何を喰うために戦うのか。そんなことを考える暇を与えることなくネオはパンチによる攻撃を繰り出してくる。

 

 

「ヴヴヴアアア!」

 

 

ニューコッパの目にはアマゾンに対する憎しみのまま体を暴れさせるネオの姿が映る。

 

 

(コイツ…憎しみに囚われている。何が喰いたいとか…今は考えていない?)

 

 

負の感情で動くネオだったがニューコッパにとっては彼の戦う動機が新鮮であった。

 

食べ物の為だけに戦わない、それが羨ましいのだ。生き物は食べ物を得るためにあるいは食べ物にならないために戦うのが普通だ。アマゾンも例外ではない。

 

しかしネオはアマゾンに対する憎しみを拳に込めて戦っている。自分も食べる食べない以外の戦う動機があってもいいのではないか。

 

ニューコッパは気が付けばあちこちに傷を負わされている。ここで死ぬのだろうか。

 

 

(…いや俺は死なない。俺は自分の気持ちの為に戦う!)

 

 

自分の気持ち…それは…。

 

真っ先に三崎の顔が思い浮かぶ。望、令華、福田、青山……。アマゾンニューコッパの頭に浮かぶのはそれも人間の顔だ。

 

 

(俺は…人間のために戦いたい!喰う喰わないじゃない、人間に必要とされるのが嬉しかったんだ!!)

 

 

-BLADE(ブ・レ・イ・ド)LOADING(ロ・ー・ディ・ン・グ)-

 

 

アマゾンネオブレイドを生成させ串刺しを狙うネオの攻撃を避けると壁に風穴があけられた。

 

その穴を蹴破るとニューコッパはそこから部屋を脱出した。廊下のあちこちから橘の声が響き渡るのが聞こえ、隊員たちがニューコッパを止めようとするもそれを掻い潜っていく。

 

気持ちがいい。そうか、何が喰いたいかじゃない、何がしたいかを考えて生きればよかったのだ。

 

駆けていくアマゾンニューコッパを止めるものは誰もいない。しかし出口の付近に着いた時、目の前に圧裂弾を構える福田がニューコッパの行く手を遮った。

 

 

「どいてくれ!俺は自分のしたいことのために戦う!」

 

「自分のしたいこと?なんだ、それは。」

 

「俺は人間を守る!人間を守るためにアマゾンを狩るんだ!」

 

「…!」

 

 

かつて三崎や望に言った「マモルとは違う」という言葉。それは福田自身にも言い聞かせていたことだった。商はマモルや悠とは違う…と。

 

直接関わる機会は4Cで青山隊として組んだことぐらいであったが、思い返せば商にアマゾンズドライバーを渡し、戦いの道に駆り立てた張本人は福田だ。

 

もしニューコッパが暴走すれば…人を喰らえば自分の責任にもなる。4Cの人間としてはニューコッパを逃がすわけにはいかない。

 

だが…。

 

 

「…お前は本当に人間を守るのか?」

 

「あぁ、それが俺のやりたいことなんだ!」

 

 

彼の固い決心を感じる福田は横を過ぎ去るニューコッパを引き留める。

 

 

「邪魔するってのなら…!」

 

「まぁ待て。」

 

 

福田は手にしていたアタッシュケースを開けた。また自分はアマゾンを逃がしてしまう。福田は自己嫌悪に陥るも後悔はしていなかった。

 

 

 

 

 

 

 

青山が警報の鳴り響く4C施設内を走り回っているとアタッシュケースをしまう福田の姿が見えた。

 

 

「あ、福田さん!こっちに商来ませんでした?」

 

「…いや。」

 

「そうですか…。あ、それより大変です!局長がアマゾンに喰われた少女にアマゾン細胞を植え付けるとか言ってて…!」

 

「シグマタイプ…だと!?」

 

「ったく…商のことといいシグマタイプといい…もう…!」

 

 

やり場のない怒りを壁にぶつけると青山と福田はシグマタイプの実験室へと向かった。

 

その際にチラリと監視カメラの方を向く福田。

 

 

(ダミーは動いているな。)

 

 

福田は監視カメラの映像がきちんとハッキングされたものになり、商の姿が映っていないことを確認した。




こんばんは、エクシです。

今回はいよいよ商が自分の戦う理由を見つけた回でした。

アマゾンズは喰う喰われるの話でそれはそれで面白いですが、たまにはそれ以外の戦うための話といいますか…?

今回の場合は商が一番充実していた純粋に「人間に必要とされるために戦う」ことを選んだ感じですかね。

まぁただ人に必要とされたいから戦うというのはどうなのかとは思いますが…。

そしていよいよ次回からは好き放題…といいますか?
とりあえず8話の時系列は全部終わらせたのでシーズン2の1話に繋がるようにする以外は好きにやらせて頂きたいと思いますww

M to Nの章も残り3話。
感想、お気にいり待っているんだゾン。
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