仮面ライダーアマゾンズ -ϘuinϘuennium-   作:エクシ

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アマゾン。それは消えゆく者たち。商は人間を守ることが自分の生まれた理由と信じ息絶えた。彼のドライバーを拾う仁、その様子から商の死を把握する悠、そしてNEO(新章)に繋がる全ての者たちの5年間が今ここに記される。


Last Episode「Missing MeN」

辺りはアマゾンと血の匂いで溢れかえっておりそれぞれを特定することは難しい。しかしアマゾンたちが徐々に駆除されていっていることは何となく悠にはわかっていた。

 

 

「…仁さん。」

 

 

匂いを嗅ぎながら山を下りようとする仁が悠の方を向いた。

 

 

「やっぱお前だったか。」

 

 

彼の左手には傷だらけのアマゾンズドライバー、右手にはオレンジ色のネオコンドラーコアのネオアマゾンズドライバーが握られている。

 

 

「仁さん…まさか…!」

 

「あぁ、あの商とかいうアマゾンを狩った。」

 

「…よくも…!」

 

「仲間だった…みたいだな。前はそんな様子はなかったが?」

 

 

確かにそうだった。それどころか実験体のアマゾンを喰っていた商とは敵だったくらいだ。しかしあの日、商が4Cから逃げてきた日、悠は商の気持ちを痛いほど理解し仲間になったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

悠はイユの死体が4Cへ運ばれることを不審に思い尾行をしていた。ただの少女の死体を4Cが回収する必要などないはずだ。

 

考えられるとすれば溶原性細胞によって生まれた新種のアマゾンの被害者の死因が世間に公表されることを防ぐため…だろうか。

 

裏路地を通ってジャングレイダーを走らせているとき、交差点をもう1台のジャングレイダーがこちらへ向かって走ってきた。

 

 

(アイツは…!)

 

 

「くそ!4Cか!?」

 

 

ジャングレイダーで走ってきた商は悠を4Cと思ったようだ。悠はヘルメットを取って自らの顔を見せた。

 

 

「お前…実験体の仲間の…。」

 

「ここで君は倒させてもらう。僕は仲間たちを守りたいからね。」

 

「そんなこと言ってる場合じゃねえぞ。4Cが追ってくる!」

 

「どういうこと?」

 

 

裏路地の空き部屋に入って商は悠に一連の出来事を伝える。自分はアマゾンと人間どちらを喰いたいのか。そうではなく自分は人間を守るために戦っていた時が一番生きている心地がしていたこと。同種(アマゾン)を喰った時の罪悪感。

 

 

「俺は…勝手だけどアマゾンを喰いたくはねえし、人間も喰いたくない。でも人間を喰うアマゾンは…狩りたい。」

 

 

そう語る商の目はまっすぐだった。

 

駆除班では人間と共にいることを捨て、マモルたちとは人間側に立つ者を狩ることが出来ず実験体のアマゾンたちとの共存も捨てた。

 

そんな悠と同じ考えを持つ者が現れた。

 

もちろん仲間を喰らってきた罪はある。だが自分も人を喰いたくなくても覚醒してしまったアマゾンを狩ったことがある。

 

泣きながら覚醒してしまった仲間を…この手で…。

 

 

「やろう、僕と一緒に。人間も…アマゾンも生きられる場所を作ろう。」

 

 

悠は商に手を出す。人なのかアマゾンなのか。それを常に問いかけ続けてきた2人が固い握手を交わした。

 

 

 

 

 

 

 

「ウォオオ!!アマゾン!!」

 

「アァァマァァゾォォンッ!!」

 

 

2人の体から緑と赤のエネルギーが放出されアームカッターをぶつけ合う。アマゾンオメガは仲間を失った悲しさと悔しさを、アマゾンアルファは自分の罪とすべてを終わらせるために戦う覚悟をその刃に変えて…。

 

 

 

 

 

 

 

商と白木の死はその場にいた武井によって4Cに報告された。衛生省からの説明に関しては「白木千佳が覚醒した為。」との対応で大臣を黙らせた橘は満足し、引き続き溶原性細胞の出どころを調査するよう隊長たちに指示を促していた。

 

青山隊はそんな橘の命令で一家全員がアマゾンになったと思われる戸建てに入っていた。青山の後ろには美月も短機関銃を構えてしゃがんでいる。

 

 

「隊長。」

 

「分かってる。まずは千翼、お前が行くんだ。」

 

「…わかってる。」

 

「いいか、いつも通りやるんだぞ?」

 

「分かってる…!」

 

-NEO(ネ・オ)-

 

 

アマゾンズインジェクターをインジェクタースロットに装填した千翼は階段の陰から飛び出し人を貪るアマゾンに向かって走っていく。

 

 

「お…おい!」

 

「アマゾンッ!!」

 

 

赤いエネルギーが狭いリビングから放出され、ネオがアマゾンたちをアームカッターで切り裂いていく。

 

 

「あーもう!だめじゃん!」

 

 

青山は仕方なく援護射撃を美月と共にアマゾンネオを避けて放つ。

 

 

-BLADE(ブ・レ・イ・ド)LOADING(ロ・ー・ディ・ン・グ)-

 

 

アマゾンネオブレイドを振るってアマゾンたちの腕をグロテスクに引き裂くネオ。アマゾンたちからは液体が放出され体は凝固した。

 

ネオは固くなった後のアマゾンの死体を繰り返しアマゾンネオブレイドで斬りつけようとする。

 

 

「おい千翼!落ち着け!」

 

「…!あぁ…。」

 

「はぁ…。とりあえず駆除は終わりだな。ったく、溶原性細胞はどっから入ってんだ。」

 

 

そう言いながら近くに置かれていたウォーターサーバーから水を飲もうとする青山。

 

 

「隊長!清掃班が来るまではここの物は極力触らない様言われてますよね!」

 

「はー、すいませんすいません。」

 

 

青山は手に取った紙コップをそのままゴミ箱に捨てる。ネオはアマゾンネオブレイドにこべり付いたアマゾンの血を見ていた。

 

 

(違う…俺じゃない…母さんを喰ったのは…俺じゃ…。)

 

 

 

 

 

 

 

マモルたちは川が流れる山の中を歩いていた。どうやら先日埋めた腕から流れている溶原性細胞はうまくウォーターサーバーの水として配給されているようだ。

 

同種の匂いと共に足音がし、アマゾンたちは足を止める。

 

 

「水澤くん?」

 

「マモルくん、やっと見つけたよ。溶原性細胞を持ってるんだね。」

 

「…僕たちはオリジナルって呼んでる。」

 

「オリジナル…?」

 

「僕たちはいろいろ実験してみたんだよ。天城くんを実験台にした人間たちで今度は僕たちが!」

 

 

憎しみに染まった眼…。あの頃の、駆除班にいた頃のマモルはもういないのだろう。

 

 

「させないよ、人間をアマゾンになんて!」

 

「へぇ、じゃあ僕たちを狩る?」

 

「それは…。」

 

「出来ないよね、水澤くんは優しいもん。でも優しいだけじゃ生き残れない。分かってるでしょ?」

 

 

どこかで言われたような言葉…。

 

 

「マモルくん…七羽さん知ってるの?」

 

「…!」

 

「マモルくん?」

 

「行こう、みんな。」

 

 

マモルの指示で島田とカオリ、そしてアマゾンたちはその場を去っていく。

 

 

「待って!」

 

「島田くん!」

 

 

ハチアマゾンに変化した島田が悠の足元目掛けて針を放つ。それを避けて起き上がり前を見るとそこにはもう誰もいなかった。

 

 

(1人で戦う…こんな感じなんだな。)

 

 

悠の頭に浮かぶのは手探りでけもの道を歩く仁の姿。自分もその道を歩くことになるのだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

イユがストレッチャーで4Cの研究棟まで運ばれて来た。腹部から黒い血が溢れ、口元は吐血によって真っ黒になっている。

 

その様子を見る札森は加納のスマートフォンに連絡を入れた。

 

 

「札森っす。橘局長にアマゾンを貸せって言えと黒崎隊長からです~。……すぐみたいっすよ。隊長はまだ現場にいますし。」

 

 

間もなくして青山隊から千翼が札森の元へ送られた。すぐに輸送用バンに乗せられる千翼。

 

 

「えっと…。」

 

「はい、今から新種がしこたまいる映画館に突入っす。ゾンビ映画みてえにうじゃうじゃなんでよろしくです~。さっきまでいたシグマタイプのアマゾンはやられちゃったんで気を付けて。以上っす~。」

 

「え、あ、あの。」

 

「質問?」

 

「いや…。」

 

「じゃあ終わり。」

 

 

青山たちと違って随分あっさりしている。まずは自己紹介だとか…そういうのをするんじゃないのか。

 

札森と呼ばれていたこの男はもう既に千翼に興味はなくタブレットでゲームをしているくらいだ。

 

30分も経たないうちに現場の映画館に着いた。中は血の匂いでいっぱいになっている。どの死体も首がなくなっており、それ以外に傷はない。思わず無傷の手に目が言ってしまうのは千翼の”悪い癖”だ。

 

 

「なんだ…この数。」

 

『同個体が喰い散らかせる数じゃないすね。おんなじよーなやつがたまたま覚醒したってとこかな?』

 

 

札森は中に入ろうとはせずバンの中から通信で指示を出すらしい。副隊長が戦闘を行わないのは千翼から見ても珍しいと思った。

 

 

「千翼ォ!伏せろ!」

 

 

どこからか声が聞こえ反射的に伏せた千翼、そこへバラアマゾンが飛んできて近くの鉄柱を腕の剣で切った。

 

 

「…!」

 

 

すぐにネオアマゾンズドライバーをバックから取り出し装着する。

 

 

-NEO(ネ・オ)-

 

「アマゾンッ!」

 

 

バラアマゾンの剣劇が繰り出されながら赤い炎を上げてネオに変身した。

 

 

「ハァア!!」

 

-BLADE(ブ・レ・イ・ド)LOADING(ロ・ー・ディ・ン・グ)-

 

 

ネオの得意武器 アマゾンネオブレイドを生成しバラアマゾンの攻撃に耐えきる。

 

 

「どけ!撃つぞ!」

 

 

声の主はこの隊の隊長 黒崎だったようだ。だがこの状況で間合いを取れるわけなどない。この指示に従えるシグマタイプのアマゾンとはどれだけ戦闘力の高いアマゾンなのだろうか。

 

そんなことを考えている間に隊員たちの射撃が一斉に放たれる。その何発かがネオに直撃し倒れた。

 

 

「うぅ…!」

 

「おら!邪魔だっつっただろうが!」

 

「くっそ…。」

 

 

バラアマゾンは隊員たちがいる方向まで突っ込んでいき容赦なく彼らを斬首していく。

 

 

「くそがぁ…!早く行け千翼!」

 

「俺は道具じゃない!」

 

「余計なこと言ってんじゃねえぞ、アマゾン!」

 

「…!」

 

「おい!」

 

「俺を…アマゾンと一緒にするなぁぁ!」

 

 

ネオの咆哮に何かを察した黒崎はその場に伏せる。すぐにネオの体から無数の棘が飛び出し、バラアマゾンを映画のスクリーンに向けて串刺しにした。

 

 

「おいおい危ねえじゃねえか。」

 

「俺は…アマゾンなんかじゃない!人を喰うことなんかしない!うわああああ!!」

 

 

冷気を放ちながらネオから千翼の姿に戻りつつ映画館の外に飛び出していく。

 

 

「おい待て、どこ行く。」

 

 

黒崎の制止など聞く耳を持たずジャングレイダーに跨る千翼。

 

 

「おい。まさか逃げるんじゃねえだろうな?」

 

「こんなところ、もういたくない!俺をアマゾンと一緒にする4Cなんかに!」

 

 

千翼はそう吐き捨てると去っていった。

 

 

「チィ…こちら黒崎。千翼を追え。逃げやがった。」

 

 

黒崎は溜息をつき肩をもみながらバンに乗り込んだ。また面倒なことになりそうだ。黒崎は次の休日、スイーツ食べ放題に行くことを諦めた。

 

 

 

 

 

 

 

千翼が4Cへ戻ってきた。どうやら黒崎が千翼を不当な扱いをしたことが原因で逃げ出したようだが、結局戻ってきた後も黒崎隊に所属することになったらしい。

 

その理由は今ここにいるイユが黒崎隊にいるからだそうだ。黒崎隊に2体のアマゾンが配属になるのはいまいち納得のいかないし、なぜイユがいるから黒崎隊に入るのか意味がよくわからなかったが、とにかく黒崎隊からイユを借りることが出来たのは心強かった。

 

橘から溶原性細胞の感染者の共通点がウォーターサーバーであることがわかったと報告が入った。そのウォーターサーバーを取り扱うAroma Ozoneという会社の営業所に行くことが今回の青山隊の任務だ。それにしてももう片方の”やばい方”に行かされなくて正直よかったと青山は考えていた。

 

何人もの患者が失踪している病院なんて絶対にアマゾンの住処となっているからだ。Aroma Ozoneの営業所も人の出入りが少ない所とのことだが…。

 

青山隊のバンが営業所の近くで止まった。つい最近訓練生を終えた美月に続いてイユ、隊員たちが外へ出る。

 

 

「それじゃあ行くぞ、アマゾンがいることもあるからな、気を付けていくぞ!」

 

 

アマゾンが出現したらまず青山が発砲、その後隊員たちは援護射撃を繰り出す。その隙にイユが足技でとどめ。完璧だ。銃を構えながら近づいていったその時。

 

本当にそれは一瞬だった。

 

中から回転しながら飛びだしてきたウニアマゾンは針を自分の体を突き刺し体当たりしてきた。

 

痛みなど感じないまま意識が遠のいていく。ただちょうど死角に隠れていた美月が目を見開いて青山を見ている。

 

 

「援護…を!」

 

 

青山の言葉にならない最期の言葉に頷く美月。

 

 

「こちら青山隊!増援を願います!」

 

 

美月の言葉を聞いて青山は息を引き取った。

 

 

 

 

 

 

 

千翼がオリジナル。

 

まさかこんな近くにいるとは赤松を含め誰も考えていなかった。おまけにあのイユが裏切ることになるとは。

 

突入口を黒崎隊の隊員たちと確認し、圧裂弾を嫌味たらしく渡してくる札森”局長代理”も合流して準備は整った。各人配置につき突入口を1つずつ埋めていく。

 

赤松は正面から圧裂弾を持った木村と共に結婚式場へ潜入した。入口からすぐ行ったところで辺りをキョロキョロと見回す千翼の姿が見える。

 

 

(何を捜している?)

 

 

千翼が所定の位置に着いた。木村が圧裂弾を構えランチャー出放とうとしたその瞬間。

 

 

「ウアアアア!!」

 

「何!?」

 

 

近くに待機していた本田から熱気が放たれる。アマゾンだ。

 

ヘビアマゾンに変化した本田は知能があるのか、圧裂弾を構える木村を真っ先に襲う。そしてヘビアマゾンに圧裂弾を向けようとする木村。

 

 

「撃つな!木村ァ!」

 

 

圧裂弾の威力が分からないのか、こいつは。優秀であるはずの部下は死の危機に超面した瞬間、パニックを起こしたようだ。今、自分の肉体に圧裂弾が撃ち込まれた。何も…考えられない。何が…起きているのかもわからない。

 

 

 

 

 

 

 

橘はスマートフォンを局長室のテーブルに置いた。新たなシグマプロジェクトは始まった。数年後には新種のアマゾンですら圧倒的な戦力の前に消え去ることになるだろう。

 

シグマプロジェクトの資料に目を通しているとノックもせず黒崎が局長室に入ってきた。自動車いすをドアの方へ向ける橘。

 

 

「オリジナルの件、ご苦労だった。後は溶原性細胞の感染者を始末するだけだ。」

 

「その1人に俺もなったってわけですよね。」

 

「…まぁオリジナルとの戦闘で溶原性細胞が君の体内に入っていれば…だがね。」

 

「十中八九入ってますよ。そこで…提案というか、お願いがあります。」

 

「君が改まって…珍しい。…フッ、まさか千翼とイユを見て改心したとでもいうんじゃないだろうね。」

 

 

黒崎は答えようとしない。まさか図星とは。

 

 

「聞こう。」

 

「俺を…」

 

 

黒崎の言葉に目を見開く橘。

 

 

「…勘が鋭いな、黒崎くん。いいだろう、私が責任を持って君の願いを叶えよう。しかしもし覚醒した場合は…。」

 

「わかってます。」

 

「よろしい。」

 

 

黒崎は局長室を出てから橘はソファに置かれた千翼のネオアマゾンズドライバーを見つめる。

 

 

「千翼…君は…。」

 

 

黄色のネオコンドラーコアが局長室に差し入る日の光に反射して輝いていた。




こんばんは、エクシです。
MtoN完結です!
今回は青山、赤松の最期も書いたのでNeo以降も書いてしまいましたが、一応今回の章の登場人物の最期ということで書かせてもらいました。

補完するならば千翼のネオアマゾンズドライバーは悠によって回収されたということにしています。

え?美月との最後のシーンでネオアマゾンズドライバーは1本しか持ってなかった?

……ジャングレイダーに置いてきたんだよ…!!

なんやかんやで美月は「千翼狩ったよ~」という証拠に悠から受け取ってそれが橘にいったということで!

次章で使いたいんだよ~、千翼のネオアマゾンズドライバー!許してください!

ちなみに次章は「after Z」です。
オリジナル主人公になると思います。オリジナルアマゾンライダーもバンバン出しますがおれつええにならないよう頑張ります

またもしシーズン3を公式でやるとすれば間違いなく矛盾した話になりますのでご了承下さい!

ではこれからもよろしくお願いするんだゾン!
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