仮面ライダーアマゾンズ -ϘuinϘuennium- 作:エクシ
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ロウは右手に生成されたアマゾンネオブレイドで襲い掛かるがそれを全て見切るオメガ。コッパはオメガが避けたところを狙ってフットカッターで蹴りをいれようとするもオメガは自身のアームカッターでキックを抑える。
(俺の蹴りを左手だけで…!)
軸足となっている左足を狙った攻撃を繰り出し、それを避けるために後ろへ下がるコッパ。ロウは距離を取ることはせず猛攻を仕掛けるも感情的な攻撃はオメガには通用しない。
「ウガアアア!!」
「天城くん…。」
ロウの暴走する姿はかつてトラロックによってコッパタイプとなったアルファの荒々しい戦いを思い出させる。
これがあの優しかった天城なのだろうか…。
「天城くん!思い出して!僕だよ、水澤悠だ!」
前に会った時は悠のことを覚えてはいたが、結局欲望を抑えることはできずオメガに襲い掛かっていた。今はもう悠にすら気づかずにただ目の前の獲物を捕らえるためだけに動いている猛獣となっていた。
ロウにアームカッターによる斬撃攻撃で怯ませるとコッパが再び襲い掛かる。
そんな攻防を遠目から三崎、望、福田が見ている。あの悠が今は敵になっているのだと改めて感じるのだ。
しかしアマゾンの自由のために戦う悠を攻撃するコッパとロウ、特に意思を持たずに戦うロウの姿は何だか嫌なふうに感じる。
「福田さん!援護射撃です!」
青山の声に我を取り戻した福田はショットガンライフルを手にスコープからオメガの姿を見る。
(俺は…4Cの人間だ!)
「フクさん!」
ショットガンライフルの引き金を引こうとした時、三崎の声がしてその指を止める福田。
「ホントに撃つの?相手は悠坊ちゃんだよ!?」
「…。」
「三崎さん…やめとけ。」
「でも…。」
「…アイツは強いな。自分の信じるもののために戦うことが出来る。だが俺は…。」
再びスコープを覗きこみ、オメガに焦点が定まった瞬間引き金を引いた。オメガの肩に命中しバランスが崩れたところにコッパが噛みつき攻撃を繰り出す。
ロウが足と手を地面につけて飛びかかろうとした時、建物内から飛び出してきたモグラアマゾンがロウの体を抑え込む。
「天城くん!しっかりして!僕だよ、マモルだよ!」
「マモル!」
「マモちゃん!」
三崎や望の声に一瞬反応するマモルだが、その方向を見ることなく硬化クローで抑え込んでいるロウにひたすら声をかけている。
「天城くん!天城くん!!」
「ヴウウ…アァァァ!!」
「あま…ぎ…くん…。」
天城が理性を取り戻す様子は…ない。
「俺たちなら人間とも仲良くなれると思うんだ。」
天城はいつもそう言っていた。三崎の腕を喰ってしまったマモルにとって最初はその言葉を聞くと辛い気持ちに駆られる。悠は素直にそれに賛同していたが、マモルも含めた他のアマゾンたちは聞き流すばかり。
そんなある日、天城は1人で野座間製薬に直談判へ行った。アマゾンの仲間たちは下らないと言っていたが、襲い来る人間たちを迎え撃つチームの仲間だった天城をマモルは放っておくことなど出来ない。
結局1年以上マモルは天城を追いかけてきた。もしかしたらあの海岸で駆除班の仲間たちと決別を交わした自分とは違う結末に行きつくかもしれない天城にどこか期待していたのかもしれない。
コッパがオメガの攻撃を喰らいつつ何とか防御しているとき、また新たな4Cのバンが到着し、数人の小隊が下りてきた。最後に降りてきた赤松の掛け声で全員が一斉にオメガに向けて発砲する。
「ウグッ!!」
「尾宿!別荘に入ってアマゾン狩れ!コイツだけをやるのが目的じゃねえだろ!」
赤松の指示に頷いたコッパは銃弾に撃たれ続けるオメガを横目に建物内に入っていく。
「ま…待て!」
「お前水澤悠だな。全員撃ちまくれ!」
だが指示に従うことなくスコープでアマゾンオメガを見続けている隊員が1人。
「…水澤。訓練生志願した割には度胸がないな。」
「…すいません。」
「明日から青山のとこへ行け。優秀な部隊たる俺の隊には必要ない。」
赤松の一言にショックを受ける美月。隣にいる青山も思わず驚きの表情を見せる。オメガを助けることを望む彼女にとってはただ見ているだけでも辛いのだろうと青山は思った。
一方のロウはモグラアマゾンの拘束を振り切って自由になると近くにいた駆除班のところへ飛びかかる。
「な…!」
「ヴァアア!!」
アマゾンネオブレイドで望に襲い掛かるロウ。すぐにモグラアマゾンはロウに飛びかかり抑えつける。
「マモル…!」
「違う!僕はただ天城くんを助けたい…だけだ!!」
赤松隊は一斉にモグラアマゾンとロウに発砲し、徐々に建物の方に追いやっていく。建物内からはコッパがアマゾンたちを狩っていき、阿鼻叫喚の地獄絵図となっている。
「ヴアアア!くそお!」
モグラアマゾンは建物内に入りコッパを止めるためにロウとの戦闘を放棄した。しかしそんなことはお構いなしと言わんばかりにロウはモグラアマゾンにしがみ付き噛みつく。
モグラアマゾンは振りほどこうと抵抗しつつ建物内に入った。それを見た赤松はすぐにトランシーバーで建物内にいる白木に通信をする。
「白木、すぐに建物から出ろ。」
『しかし…隊員たちが重傷で!』
「今アマゾンたちを狩る絶好の状況なんだ。圧裂弾を使う。」
『そんな…!』
「局長の命令だ。」
『…了解。』
建物内でロウはインジェクタースロットを操作する。
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左手のアームカッターにエネルギーが溜まっていくのが目に見える。その腕でモグラアマゾンに斬りかかろうとする。その間にボロボロのカニアマゾンが立ち塞がり、モグラアマゾンを守った。
「立山くんっ!!」
「マモル…みんなを…守ってくれ!」
カニアマゾンはアマゾンパニッシュによって下腹部から出血しやがて液状となった。
「ヴウ…アアアア!!」
モグラアマゾンはすぐに建物内に残っている仲間たちを集め、裏口から逃げようとする。ロウはそれを一蹴するため近づこうとするも自身の左腕が解け始めていることに気が付く。
「!?!? アアアヴウウ…!」
その姿を見たアマゾンコッパは何が起きているのかわからなかった。しかしそれこそネオアマゾンズドライバーの代償。エネルギーが強い分その反動がある。アマゾンたちから見ればそんな死に方など望まないだろう。しかし今のコッパにとってはそんなことはどうでもよかった。
今自分は”何でもいいから”喰いたい。
アマゾンを喰らえば人々は喜ぶ。自身は望まれず生まれてきた実験体だが、アマゾンを喰らえば人間たちに迎えられるのだ。
しかしトラロックの影響が薄まってきた今、人間を喰いたいという願望が抑えきれない。教会でマモルの仲間たちと戦った時、遠目に見た三崎がとても旨そうに見えてしまったことは忘れられない。
辺りには液状のアマゾンの死体と戦闘で死んだ白木隊の隊員たちの死体が転がっている。
旨そうだ…。
「ハカちゃん!逃げろぉおお!」
外から聞こえる声にハッとするアマゾンコッパ。その瞬間窓が割れ、光を点滅させながら圧裂弾が目の前で炸裂した。
赤松が放った圧裂弾の威力は別荘全体を破壊することなどたやすかった。とてつもない衝撃波に外で戦闘を行っていたアマゾンオメガ、駆除班、4Cの面々も周りの物にしがみ付いて何とか吹き飛ばされないようにしていた。
爆風が落ち着いた跡には瓦礫とアマゾンの死体の液体。そしてバラバラになった人間の四肢。
「なんだ…こりゃ。」
撃った赤松本人も威力のすさまじさを驚かずにはいられない。実戦で初めて使われたこの恐るべき弾丸は奥の手といえるものになるだろうとその場にいる誰しもが思う。こんなものを何度も使っていては
砂埃が舞う中で悠はすぐにジャングレイダーでその場を去っていく。後ろから弾丸を放つもそれを軽々しく避けていく悠。その後姿を美月は黙って見つめていた。しかし美月以外は瓦礫を踏みつける音のする方に一斉に銃口を向ける。
「誰だ?」
砂埃の中にネオコンドラーコアのオレンジ色が輝いて見える。
「天城か?」
ネオアマゾンズドライバーの装着者は黒い体をしていたが、カラスアマゾンのシルエットではない。出てきたのは装甲をつけたコッパがネオアマゾンズドライバーを装着している姿であった。
「お前…あの圧裂弾からどうやって…!」
「ハカちゃん!良かった…無事だったんだね!」
望や三崎の声などコッパには聞こえていない。
圧裂弾が破裂する前にアマゾンロウからネオアマゾンズドライバーを奪い取り、すぐに自分の腰に装着した。全身が解け始めていたアマゾンロウは抵抗できずにその場に倒れる。
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「アマゾンッッ!!」
商の肉体から熱が発せられると共に圧裂弾の爆発が始まる。変身途中でインジェクタースロットを操作する商。
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腕に力が溜まった時、ただひたすらに地面を掘った。圧裂弾の衝撃を感じつつ痛む体に鞭を撃ってただひたすらに喜びを感じながら。
「俺は…アマゾンを喰いたい!ロウ成分を摂取した俺は…人間を欲していない!」
アマゾンズインジェクターを取り外しコッパから商の姿に戻る。
「ハカちゃん!」
「…三崎。俺はもう駆除班には戻らねえ。」
「え?」
「赤松…とか言ったよな。」
商は赤松の方に近づく。アマゾンに臆さず近づく赤松。
「なんだ?」
「俺を4Cに入れろ。そしてこのドライバーを使わせろ。」
「な…ハカちゃん!何言ってんだよ!」
「俺のドライバーは圧裂弾で使い物にならないしな。それにこのロウ成分…最高だ。」
商の顔は満面の、しかし狂気的な笑顔をしていた。確かに三崎はどこか商をマモルのように共に戦うことが出来るアマゾンであると誤解していたのかもしれない。
マモルはチームとハンバーガーのために戦っていた。
商は違う。彼は居場所を守るためだけに戦っているのだ。食人衝動を抑えられるなら彼はどこにだって行く。半年以上共に戦ってきた仲間のことを何も…何もわかってはいなかった。
そんな日の午後、人とアマゾンとの間に生まれた赤子は産声を上げた。
雪が積もり足場が悪い山道をマモルたちは歩いていた。別荘での戦いからまた多くの仲間を失い、今いるのは島田、カオリ、高橋、そして剛と神山だ。
神山に関しては別荘においておけば圧裂弾で死んだだろうとマモルは言ったが、カオリはそれを許さなかった。なぜここまでされても人間を恨まないのだろう。いやそれは自分にも言えることだ。なぜ人間が今でも喰えないのか。
山道を上がったところに動物園が見えた。しかしとうの昔に閉園しているようで食料となるものはなさそうだ。
「次行こうか。」
「ハァハァ…。」
「高橋…くん?」
「ダメ…だ…人だ…人の匂いが…する!!」
高橋の左腕を見るとアマゾンズレジスターが赤を示している。ついに高橋まで覚醒してしまった。
「ウアアア!!」
高橋の真の姿である蝶アマゾンの成虫態へと変化する。すぐにマモルたちもアマゾンに変化し蝶アマゾンを止めようとするが、蝶アマゾンは剛たちに襲い掛かる。
「いけないよ、高橋くん!だめだ!く…剛さん!逃げて!」
「マモル!やるしかない!やるしかないんだ!」
「ウワアアア!!」
モグラアマゾンは蝶アマゾンの心臓を一突きにした。まもなくして蝶アマゾンの体は解けていく。
「どうして…どうしてアマゾンがアマゾンを殺さなきゃいけないんだ!天城だってそうだ。アマゾンを殺したくないのに殺させられるなんて…こんなの!」
ハチアマゾンから島田の姿に戻り涙をこぼす。体全体に黒い血がへばり付いたモグラアマゾンもマモルの姿に戻りながら冷静に答える。
「アマゾンがアマゾンを殺していいなら…人間が人間を殺してもいいのかな。」
「マモル…?」
「…何でもない。」
「おうい!こっちに来てくれ!」
逃げていった剛の呼びかけに答えマモルたちは馬小屋に近づく。そこには子供を抱きかかえて眠る女性の姿があった。
「こんなところで寝てるんだ。この女の人。」
「お…おいマモル!わかるか?」
「うん…この2人…アマゾンの匂いがする…!」
アマゾンたちの声に目覚めた女性はすぐに飛び起き赤子を抱いてその場を去ろうとする。
「待ってくれ!…アマゾン…なのか?」
「…!あなたたち…アマゾン?」
「俺は人間だ!とりあえず安心してくれ。」
剛が間に入りその場を落ち着かせる。話を聞けばその女性はアマゾンとの子を授かったのだという。
「アマゾンに生殖能力はないはず。一体どういうことだ?」
「仁は元々アマゾンじゃなかったから。」
「仁って…あの鷹山仁!?」
マモルは思い出した。何度か見たことがある。駆除班にいた頃、鷹山仁のパートナーだった女性 泉七羽。
「こいつ、私たちの仲間を狩ってくやつの…!」
カオリは熱を発しアリアマゾンへと変化する。七羽はまたすぐに馬小屋から出ようとするが剛が七羽の前に出た。
「よすんだ、カオリちゃん!彼女に罪はねえだろう。それにこんな赤子を襲うなど言語道断!」
「…すいません。」
アリアマゾンからカオリの姿に戻る。剛は七羽に赤子を抱かせてくれと頼んだ。
「俺の息子はよ、アイツの嫁さんと一緒に事故で死んじまって…。孫ももうすぐ生まれるって時だったのによ。あぁ…こんな感じなんだな、子供って。アマゾンも人間も関係ねえよ。」
赤子を抱きく剛の涙は赤子の頬に落ちた。
「おっといけねえ。」
剛が指で赤子に落ちた涙をぬぐった時、赤子はその指に噛みついた。
「いて!」
「すいません、大丈夫ですか?」
「いいんだいいんだ、もうしっかりした歯が生えてるんだな。」
「はい、私もこの前やられちゃって。」
そんな2人のやり取りは祖父と母になったばかりの人間たちのように島田の目には映った。仲間を増やしたい…その願いが叶うかもしれない。
そんなことを思いながら島田とカオリは食料を確保するついでに粉ミルクも手に入れようと話し笑った。笑うのはいつぶりだっただろうか。
皆が笑っている姿を見てからマモルは外に出て声を抑えながら涙を流す。中からは赤子の名前を聞くカオリの声が聞こえた。
「名前は…なんていうんですか?」
「千の翼で…
こんにちは、エクシです。
アマゾンロウの最期…正直地味すぎたかも知れませんw
ただズルズル引きずるキャラだとは思ってなかったのでネオアマゾンズドライバーをコントロールできなかったものとして立派にやってくれました。
本編S2でマモルが実験で死んでいった仲間もいたと言っていたシーンがあったと思います。自分の中でその実験で死んだというキャラは天城ということにしてます。
人間を喰いたくない者が実験され、アマゾンを喰らうアマゾンになる。
アマゾンをアマゾンが喰らうのが別にいいなら人間が人間を喰らうようになったっていい。それがマモルの考え方になっていきます。
それこそ溶原性細胞を使った新種のアマゾンに繋がっていくのですが…。
さて次回からはまた別の展開があるかな~なんて…。
また読んでいただけたら幸いです。