ダンガンロンパ・H&D ~絶望だよ、全員集合!~   作:名もなきA・弐

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 どうもです。ここからは捜査時間となります。皆様もどうか貝原と一緒にこの事件の真相にたどり着くことを祈っております。
 それでは、どうぞ。

(※)少しばかり加筆しました。


★非日常編 「捜査パートと裁判の始まり」

これは何かの幻覚なのか。

そう信じたかった、彼が死んでいるわけではないと強く信じたかった。

しかし冗談でも自分の夢でも幻でも何でもなく、本庄君は死んでいる。

腹部に深く刺さっているのか、ナイフの柄のような物だけが見える。

その事実が暗闇のように私を蝕み、そして気が付けば…。

 

「きっ、きゃああああああああああああああああああああああああっ!!」

 

私はあらん限りの声で叫んでいた。

顔を青ざめて悲鳴をあげる私を松成君が「貝原さん!」と私の両肩に手を置いて落ち着かせようとする。

 

「どうしたっ!」

「何があった!?」

 

扉が開いていたので先ほどの悲鳴が聞こえたのだろう、坂本君と一関君がシアタールームに慌ただしく駆け込んでくると彼の亡骸を見て絶句する。

ピーンポーンパーンポーン……。

 

『死体が発見されました!一定の捜査時間の後、「学級裁判」を開きます!』

 

そんなアナウンスの耳にしながらも、情けなくも床にへたり込みそうになる私を松成君が支えてくれている。

だが、その間にも他のメンバーもシアタールームに集まってきた。

 

「何今のアナウンス…て、うわわっ!イ、イナバン!?嘘っ」

「これは…!」

「おいおい、マジかよ…!?」

 

エミリさんや綾崎君、一条君が顔を青ざめている…二ノ瀬さんや海原君、桐生君や神楽阪姉妹といった比較的冷静なメンバーは悲鳴こそあげなかったが目を見開き絶句しているのが分かる。

 

「因幡君は、本当に死んでいるの…!?」

『もちろんだよー!!』

 

そう呟いた二ノ瀬さんの言葉を「待っていた」と言わんばかりにモノクマが何処からともなく現れた。

本庄君の遺体を見ながら満足そうにモノクマは喋り出す。

 

『本庄君は死んでいるのっ!それ以上でもそれ以下でもないんだよっ!まさか幸運枠が特にこれと言った幸運要素を出さずに退場しちゃったけど…まぁ、逆に被害者に選ばれたラッキーボーイって解釈するべきだねっ!!』

「…死んだ奴をバカにするのも好い加減にしろよっ…!!」

 

モノクマの耳障りな言葉に、桐生君が殺気を込めて睨みつける。

今にも飛び掛かりそうな彼を海原君が窘めている。

 

『まっ、何でも良いけどさ…オマエラは何か忘れてない?殺人が起きたらどうなるか』

「学級裁判、か…」

『そうです!ここからメインの学級裁判に向けての捜査時間としますっ!!そしてこれはボクからのプレゼント』

 

一関君の呟きに、モノクマが返した途端…全員の電子生徒手帳から軽い音が鳴った。

見れば、「New!」の文字と共に「モノクマファイル」と書かれたアプリがある。

 

『はい!捜査に関してはずぶの素人であるオマエラのために、検死報告書である「モノクマファイル」をインストールしました!これを参考に頑張ってねー』

 

それだけを言うと、モノクマはまた姿を消してしまった。

しばらく私たちは何も出来ず沈黙していたがやがて動き出した影が合った。

 

「みんな…やろう」

「マッちゃん。もしかして…」

「正直、ボクはこの中の誰かが犯人だなんて疑いたくはない……でも、犯人を見つけなきゃ全員が死ぬ。それはきっと、本庄クンも望んでいないと思う」

「…そうね、悲しむことは後でも出来る。今は、因幡君も殺した犯人を明らかにすること…それしかないと思うわ」

 

松成君と二ノ瀬さんの言葉に、全員が動揺する…無理もない。

私たちは捜査なんてしたことがないのだ、どうすれば良いかも分からない。

そんな膠着状態の中、桐生君が名乗りを上げた。

 

「なら、俺は現場の見張りをする。頭を使うのは苦手だし、犯人が妙な小細工をさせねぇためにも見張りは必要だろう」

「だったら俺もやるぜ、こういうのって一人よりも二人の方が良いだろうし」

 

そう言った彼に続くように坂本君も挙手をする。

二人の行動に幾分か冷静になってきたのか一関君が咳払いをすると、全員に声が行き渡るように話し出す。

 

「みんな、こうなってしまった以上はやるしかない。各々気になった場所や思い当る場所を重点的に調べよう…始めるぞ」

 

その言葉と共に、みんなは思い思いの行動を取り始めた。

現場から離れたり、周囲を探す彼らを見て私も覚悟を決めるしかなかった。

やるしかない、そうだ…必ず、本庄君を殺した犯人を暴いて見せる……!!

 

 

 

 

 

≪捜査開始≫

「まずは、モノクマファイルを…」

 

先ほどモノクマの発言を思い出しながら、私は電子生徒手帳にインストールされたモノクマファイルをタップする。

すると、本庄君の写真と共にいくつかの情報が画面に映し出される。

 

『MONOKUMA FILE 1

被害者:「超高校級の幸運 本庄因幡」

死因:腹部を刃物で刺されたことによる失血死

死亡時刻:今朝の7:10過ぎ

死体発見現場:シアタールーム』

 

検死報告書だと言っていたが本当にこの情報を信じても良いのだろうか……。

一先ずこの情報を頭に入れた私はシアタールーム内を見渡した後、本庄君の元へと向かう。

そこには海原君と松成君、清浄さんがおり、遺体の周囲を調査しているようだ。

 

「シュコー…貝原か。今本庄の死因を清浄が確かめているところだ」

「死因って…分かるんですか?」

「は、はい。一応これでもご遺体や出血などに慣れていますのでぇ…本庄君が亡くなった原因なら分かると思いますぅ」

「それで、どうだったのかな?清浄さん」

「え、えっと…モノクマファイルに書かれていたことは間違いないと思いますぅ。死因はこのナイフで間違いありませんし、傷とも一致してますぅ」

 

松成君の質問に、清浄さんはしどろもどろになりながらも検視結果を報告する…どうやらモノクマファイルの記述に間違いはないらしい。

私は、深く深呼吸をしてから本庄君の死因…腹部に刺さっているナイフに注目する。

ナイフを抜き取ろうとしたのか彼の両手はナイフの柄を持っており、深く刺さっているのが分かる。

そして服を汚すように、地面には大量の血痕が飛び散っている。

顔色を蒼くしたが、ふと松成君が口を開いた。

 

「…本庄クン、左手が前になってる……」

 

その呟きを聞いて良く見ると、確かに本庄君の両手は右手が下で左手が上になっている。

両手持ちだと自然とこうなるが……。

松成君は「ちょっと調べることが出来た」と私たちに言うと、現場から立ち去ってしまった。

私も次の場所を調べようとシアタールームにある映写室の扉を開けて入る。

 

「あら、永久ちゃん」

「これはこれは、ご機嫌麗しゅう」

 

映写室には二ノ瀬さんと麻衣華さんがおり、DVDプレイヤーを操作しながら附属されているテレビで映画を観ている。

遊んでいるのかと思ったが倍速で観ており、それが終わると彼女は次のDVDを観始める。

 

「ごめんなさい、ちょっとした検証をしていて」

「検証?」

「はい、二ノ瀬ちゃんはDVDに何か細工があったのではないか確かめているのです」

「非現実的だと思うけど、モノクマの存在がある以上…相手を意図的に自殺させるような洗脳ビデオがあっても不思議ではないでしょう?」

 

麻衣華さんの言葉に、二ノ瀬さんは話しながらも映画から一歩も視線を外していない。

恐らく自分に何かあった時のために彼女を連れているのだろう。

念のため、二人にアリバイを聞いたがその日はすぐに熟睡してしまったらしく、大した情報は得られなかった。

現場から出る際、現場の見張りをしていた桐生君と坂本君にも同様のことを尋ねる。

 

「すまない。俺も他の連中みたいに、部屋に戻った途端……俺が朝早く起きてれば」

「仕方ねぇよ。今朝は全員体調が悪かったんだ…でも、どうして本庄なんだろうな」

「えっ?」

「だってよぉ、あいつは大人しくても誰かに恨まれたりする奴じゃなかっただろ?外に出たいからってあんな良い奴を殺す理由なんてないだろ?」

 

確かに、そうだ。

別に本庄君は誰かに嫌われるようなことはしていないし、癖の強いメンバーの中では話しやすい人間だった。

坂本君の問いに、私はどう言葉を返したら良いか分からなかった。

 

 

 

 

 

シアタールームから一度出て、焼却室やランドリーのあるエリアに向かうと一関君と細井さんがいた。

 

「貝原…何か見つけたか?」

「いえっ、一関君たちは……」

「ランドリーを調べたけど、何もなかったよー?」

「後は、焼却炉を調べるだけなんだが…君も調べるか?」

 

「お願いします」と、私は彼らと共に開いていた焼却室に足を踏み入れる。

そこには何もないように思えたが一条君がそこに立っており、慌てて焼却炉の中にある物を掻き出そうとしていた。

その状況に一関君が慌てて彼に詰め寄る。

 

「何をしているんだ一条っ!」

「あっ?焼却炉に行ったら何かが燃えていたから中身を出そうとしたんだよ…まっ、結局何もなかったがな」

「…そうか。何か証拠があると思ったんだが」

「でもー。どうして焼却炉がー?」

 

一条君の言葉に納得しながらも細井さんは疑問符を浮かべながら、首を傾げる。

確かに焼却炉のスイッチが点いているのは疑問を覚えるが……誰かが焼却炉を使用したのだろうか。

特に何もなかったので部屋から出ようとしたが、ドアノブにある違和を感じた。

 

「ん…?」

 

試しに、ドアノブを捻って回すが何処か軽いような緩いような感覚があった。

私の行動に三人は訝しげに見ていたのでそのことを報告する。

 

「何でしょう…」

「永久ちゃんすごーいっ!!」

 

違和感のあるドアノブに私は疑問を持ったが、それ以上に私の後ろにくっついてくる細井さんに僅かな苛立ちを覚えるのであった。

 

 

 

 

 

今度は倉庫へと足を進めると、綾崎君と舞耶さんが箱を開けたりしており何かを探しているようだった。

探し物をしている彼らに私は声を掛ける。

 

「貝原さん、実は睡眠薬を探していて」

「睡眠薬、ですか?」

「はい!私たちの体調が悪いのは何かの薬だと思ったので風邪薬以外の物があるか探していたのです!」

 

凹凸のない胸を反らして語る舞耶さんに、私は近くにあった薬箱を取ろうと背伸びをするが身長の高い海原君や平均的な身長を持つ神楽阪姉妹と違って中々届かない。

踏み台もないので私が四苦八苦しているとそれに気づいた綾崎君がそれを手に取って彼女に見せる。

 

「はい、貝原さん」

「あ、ありがとうございます。確かこの薬なら睡眠効果があるとかって」

「そうでしたそうでした!でも、他にもあるかなと思っていたのですけど…残念ながらありませんでした」

 

反省しているのか反省していないか良く分からないテンションで話し続ける彼女に疲れながらも、私は汚れが付いていない箱をどかしながら『以前の凶器BOX』を開けて調べる。

……ない、この箱にあったはずのナイフがない。

そうなるとやはり本庄君の腹部に刺さっていたナイフと同一なのだろう、他にも何かないか調べると奥の方に追いやられている開けっ放しの段ボール箱に近づいて調べる。

 

「暗幕…?」

 

黒く分厚い暗幕が入っており、広げると人ひとりなら完全に包み込めそうなサイズとなっている。

この箱を開けたか二人に尋ねたが、「手当たり次第に開けたけど、奥の方は調べていない」と証言してくれた。

 

 

 

 

 

「…じゃあ、間違いないんだね。エミリさん」

「もちろんだよっ!マっちゃん」

 

通路を歩いていると、松成君とエミリさんが談笑をしていた。

何をしているのか気になった私は二人の元まで駆け寄る。

 

「トワリン。どう、捜査は?」

「さっぱりですよ、証拠を集めるのに精一杯で…ところで何の話を?」

「うん、本庄クンについてちょっとね」

「イナバンが物を持つ時の話をしていたんだ!」

 

その話を聞いて、拍子抜けしてしまった。

現場から離れたので何の話をしているのかと思ったらあまり捜査とは関係のない話をしていたのだ。

そんな私の様子に気づいたのか、松成君は私に顔を近づけて質問する。

 

「な、何ですか…///」

「貝原さん、個室にある机の棚って調べた?」

「えっ?い、一応は…」

「裁縫セットでしたけど」

「そっか…ボクの部屋にはビニールで包装されたピッキングツールがあった。モノクマが言うにはどんな扉も開けることが出来るってさ」

 

脈絡もない話に私は律儀にも答える。

以前、何の気なしに棚を調べたら裁縫セットがビニールで包装されていたのだ。

不気味だし私には縁のない物だったので触れないでいたが松成君はその答えに満足げに頷いた。

すると、エミリさんは落ち込んだ表情を見せる。

 

「何で、イナバン死んじゃったんだろう?あの時だって二人が見回りしていたのに」

「見回り?」

「うん、イっちゃんとキーチャンが二人で船内を見回っていたんだ。ぼくが放送室でCDを流そうと思っていたら、イっちゃんと出会ってさ。『桐生と一緒にモノクマが怪しい行動をしないか調べている』って言ってたよ…その後は調べたいことがあるから、放送室かに出たよ」

 

なるほど、自由行動で私たちが遊んでいる間にあの二人はモノクマから私たちを守っていてくれたのか……。

そんなことを考えていた瞬間、チャイムが鳴り響いた。

キーンコーンカーンコーン……。

 

『はーい、時間でーす。そうでーす、待ちに待った……学級裁判の時間でーっす!!オマエラ、エントランスホールに集合してくださーいっ!!』

 

通路の上に会ったモニターから映し出されたモノクマがそう言った。

……もう、時間なのか。

果たして、本当に真相に辿り着けるのだろうか……。

暗い考えをしそうになった時、隣にいた松成君が肩を叩く。

 

「大丈夫っ」

 

彼はそう言ってくれたが、その手は微かに震えていた。

彼も、私と同じように怖いのか…そう分かった瞬間、何処か肩の力が抜けたような気がした。

 

 

 

 

 

エントランスホールに行くと、そこには全員が集まっていた。

しかし、この中の誰かが…犯人…!!

そんな雰囲気の中でもモノクマは楽しそうに笑いながら全員集合したのを確認する。

 

『さてと、これで全員…あっ!不運クンが死んじゃったから十四人かっ!!失敬失敬』

 

照れ臭そうに笑う奴に苛立ちを覚えるが、モノクマは気にせずに説明を始める。

 

『では、メーンイベントである学級裁判の入り口であるこのエレベーターにお乗りくださーいっ!!それじゃあ、ボクは先に行って待ってるから』

「……行くぞっ」

「本庄…必ず仇を取ってやるからなっ」

 

一関君と坂本君の言葉と共に、私たちは赤いエレベーターの中へと乗り込んだ。

箱の四方の壁は鉄格子状になっており、古風な貨物運搬用のエレベーターといった趣だ。

やや薄暗いエレベーターの中……ゴウン、ゴウンと耳障りな音を響かせながら、私たちはどんどん地下へと運ばれて行く。

みんなは何も言わずに各々の楽な姿勢のまま、到着するのを待つ。

ただただ重苦しい空気がこの密室を支配しているのだ。

まるで終わりなど存在しないかと感じられるほどにエレベーターはどんどん降下し、そして、不意に止まり、扉が開かれた。

 

 

 

 

 

『はーい!ようこそ、学級裁判場へーっ!!」

 

そこは、裁判場のような、闘技場のような…不可思議な光景だった。

大ホールと言っても差支えない広さの、すり鉢状となっている空間の底に、私たちは立っていた。

目の前に広がるのは、円状に並べられた十六の木製の証言台。

各々の証言台には、全てタッチパネルのような機械が取り付けられている。

そしてその奥には王族が座るような金と赤の玉座にモノクマは腰を掛けて見下ろすように座っている。

床は、まるでチェス盤のような黒と白の市松模様になっており、周りは船内のように豪華な装飾で、上部には巨大なモニターが設置されていていた。

 

「さぁさぁオマエラ、自分の席を確認してとっとと着いてください!ハリーアップッ!!」

 

モノクマに促されるように、私たちは渋々証言台へと向かう。

確かにその内側に各々の名前が彫り込まれており、私は「カイバラ トワ」と掘られた証言台に立つ。

互いの視線がぶつかり合うこの配置は、私やみんなの不安を一気に加速させようだ。

……いよいよ学級裁判の幕が開くのだ。

『超高校級の幸運 本庄因幡』……自分に自信の持てない彼は、それでも常に他人を気遣い続け、必死に誰かのためになろうとしていた。

そんな優しい彼を殺したクロが、犯人がこの中にいる……!

命を懸けた議論が、私たちの未来を奪う希望と絶望の学級裁判が。

始まる。




 コトダマも再現しようと思いましたが文字数がかなり多くなるうえに文字でゲームを完全再現するのは無理だと判断したのでこのような形になりました。
 さぁ、この事件の真相は何なのでしょう?日常編と捜査パートにヒントはきちんとあります。スペシャルなヒントとしては……『どうして本庄因幡が死ななければならなかったのか?』が分かれば犯人が誰かたどり着けるかもしれません。
 何かわかったら、メッセージで推理コメントなどしてみてください。後感想でのネタバレは極力控えていただくと嬉しいです。
 ではでは。ノシ
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