今週は原作再開、映画公開とコナンウィークでしたね!自分も早く見に行きたいです。
本筋のお話を書くのが久しぶり過ぎて書き方が分かんなくなってます。そのためかなり短いですが来週までには勘を取り戻したいと思います。
それではどうぞ!
「え?来週の四連休?」
『せや!和葉と二人で東京に行こかと思てな。毛利探偵事務所にはさっき連絡して泊めてもらえる手筈になったんや。宿の確保は出来たから龍斗と紅葉のねーちゃんもどうかと思てな。鈴木財閥のねーちゃんには和葉から連絡が行ってるはずやさかい』
「なるほどね。泊まるんだったら家でもよかったのに……って言いたいけど俺の仕事の予定が不定だから難しいか」
『そういうこっちゃ。で?どうなんや?』
「あー、ちょっと待って」
俺は折り返し電話する事を伝えて電話を切り自分の部屋を出て、紅葉の部屋へと赴いた。
「紅葉ー、入ってもいい?」
「龍斗?ええですよ」
「お邪魔するよ。勉強してたのか、ごめんな」
「ええよー、そんなに根詰めてやっとることやないし。さっき電話しとったみたいやけど、その事?聞かんようにしとったけど」
良く聞こえてるなあ。俺と紅葉の部屋は一つ部屋を挟んでいるのに、最近は特に耳が良くなっているみたいだ。聴覚は元々良かったので顕著に伸びているが他の視覚、嗅覚、味覚に反射神経も常人離れし始めているみたいだし。
これはトリコ世界の食材を食べる機会が多いからなのかと思っていたのだが、普通の食事しか出していない伊織さんの身体能力も本人が自覚できる程向上しているそうなのでどうやら人の能力を自然と引き出す効果が俺の食事にはあるらしい。まあ、一食二食でそうする場合は俺が意識して腕を振るわなければそうはならないから、仕事で振る舞っている時には「体調がいいな」くらいで済んでいる。食べ続けることが肝要のようだ。
「龍斗?どないしたん?」
「あ、ごめんごめん。紅葉がどんどん人として進化していってるなあって思いふけてたよ。しっかりコントロールできてるみたいだしね」
「せやね。
だからさっき勉強に集中していた時に俺の電話の声が聞こえたのか。
「そこは要訓練ってことで。それで用件なんだけど」
来週の四連休に大阪組が
「うん。うちはその連休には特に用事はないです」
「なら紅葉はオッケーってことで。詳しい予定は聞いておくね」
「お願いしますー。それに……」
「ん?」
「龍斗もええ気分転換になるんとちゃいます?青森のこと、まだもやもやしとるんやろ?」
「…まあね」
事件が終わって冷静になってみると同い年の女の子が二人の人間を殺したってことに、しかもその現場にいて止める事が出来なかった事が俺の心にしこりとして残っていた。
流石に何でもできると思いあがったりはしないが、「もし、あの時、ああしていれば」をふとした時考えてしまう。特に俺は「ああしていれば」の出来る事の範囲がこの地球上の誰よりもデカイ。まあ、こればっかりは俺の心の持ちようの問題か。
「……じゃあ、俺は部屋に戻るね。明日の朝は紅葉の担当だし程々にして切り上げなよ?お休みなさい」
「おやすみなー、龍斗」
俺は再び自室に戻り、平ちゃんへと電話をかけた。
「…もしもし、平ちゃん?」
『おう、龍斗。それでどうやった?』
「紅葉は連休中予定はないからオッケーだって。ただ俺は初日だけは参加できないかな?」
『おお、そりゃあ賑やかになるな!…龍斗は二日目からってことか?』
「そうなるね」
『紅葉のねーちゃんがオッケーでお前がダメやってことはデートでもないやろうし、仕事か?』
「違うよ。ちょっと沖縄と山梨に見舞い巡りをね」
『沖縄!?山梨!?見舞い巡り!?どういうことやねん!』
「沖縄はまあちょっと認可されている医療行為じゃどうしようもない人の快復のために、山梨は数年前に樹海で拾った記憶喪失の男性の様子を見にね」
『……ええわ。今度そっちに行った時に詳しい話聞かせてもらうで?』
「ああ。だから初日は紅葉だけで。二日目からは俺も合流するよ」
『じゃあ来週やな。それで予定なんやけど――』
「…――だね。わかった。それじゃあ来週ね。お休み、平ちゃん」
『ああ、お休みや龍斗』
――
「そっか、園子ちゃんは四連休は海外を周遊か」
「そうなのよー。伯父様についてヨーロッパを転々しなくちゃいけなくてさ」
「残念やね。四人で「じょしとーく」いうのをしてみたかったんやけど」
「女子トークって……いつもやってるじゃない、紅葉ちゃん」
「和葉ちゃんともやってみたいんや」
次の日学校で件の話を園子ちゃんに聞いてみると、彼女は次の四連休は生憎用事が入っていたようで不参加の旨をすでに和葉ちゃんに伝えたそうだ。
「そうや、うちは龍斗経由やから詳しい話はきいとらんのですけど来週はどういう流れなんです?」
「そうなんだ。えっとね、初日は一時に探偵事務所に二人が来るからそこからお昼を食べに行って夜は私の家で。二日目は買い物に行って、三日目はトロピカルランド、四日目に飛行機で大阪に帰るんだって」
「えーー、いいなあ!楽しそう。私も行きたい!!」
「で、でもほら園子は用事があるんだし……」
「うぅ…伯父様との周遊は前から決まってたし……でもぉ…」
「園子ちゃん、今回は諦めよ?絶対またの機会があるからさ(平ちゃんが東京に事件の捜査で来たりするだろうし)」
この後、なおぐずる園子ちゃんを俺達三人で宥めてその日常は平和に過ぎて行った。
――
「それじゃあ夜に迎えに行くよ」
「今日は探偵事務所でお夕飯を頂く予定ですけど、龍斗はどないするんです?」
「んー……どうしようか。帰る時間が丁度いい塩梅なら俺もご相伴に預かろうかな」
「分かった。それならうちが探偵事務所に連絡して早めに行って蘭ちゃんとお買いものしてきます。龍斗が遅うなったらそのまま毛利さん家で消費して貰えばええしね」
「そうだね。それじゃあ行ってきます」
「はい。いってらっしゃい」
四連休初日。俺は当初の予定通り、波照間島の岸和田病院へと出発した。まあ出発といっても流石は有人島最南端。交通機関を使えば往復で半日の時間を取られてしまうので今回は
和泉さくらさんが起こした殺人事件が解決し、青森から帰ってきてからすぐに波照間島へと向かった。俺の目的の人、和泉宣彦さんの容態は俺の手で回復できるものだった。だが、彼の身体は相応にぼろぼろで、ゆっくりと時間をかけて回復させなければ回復行為自体が毒になる危険性があった。
そのため、俺は複数回に治療を分けて行う事にして、今日はその一環というわけだ。まあ、人がいきなり現れるのもおかしいので最寄りの島にワープしてからフェリーで波照間島へと向かった。
岸和田病院について行った治療はすぐに終わった。この感じだとあと1、2回で目を覚ますかな。
俺は漁港で波照間島近海で採れる魚介類をしこたま買って、今度は山梨へと向かった。
「こんにちは」
「ああ…龍斗君。よく来たね」
「ええ、おかわりのないようで…すみません、この言葉はふさわしくないですね」
「ははは。君は相変わらず律儀だね。君が樹海でボクを拾ってくれていなかったらそのまま土に還っていただろうし、感謝しかしていないよ。そんなことで一々目くじらを立てたりしないさ」
「そう、ですか」
「それに。君には《この顔》の借りもあるしね」
そう言って顔を撫でた男性。目の下に指2本分ほどのケロイド…火傷の跡があった。
「この火傷の跡。どういう経緯で負ったのかは《皆目思い出せないけど》、口元以外は皮膚が引きつり人目につけないモノだったものだった。だけど君のくれた軟膏を何年も塗り続けたら今はこの左目の下のわずかな部分を残して綺麗な肌に戻った。このおかげで特に顔を隠さなくても済んでとても感謝している」
そう。彼には記憶がない。自分が誰で、どうして《富士の樹海》の奥深くで行き倒れていたのかも分からない。俺が彼と遭遇したのは数年前。自殺の名所といわれる富士の樹海の中でだ。何故そんな所に俺がいたかというと…まあ、あれだ。食材探し。人の手が入っていなく、東京からもそこそこ近い樹海なら何かあるんじゃないかとふらっと潜ってみたのだ。
あまたの白骨に遭遇して奥に進んで、倒れていたのが彼。わずかに息があって、だが自殺者だと厄介と思いつつ声をかけてみると「死にたくない」と微かに呟かれたので背負って病院に担ぎ込んだというわけだ。
身体はがりがり、顔は火傷跡。おまけに起きたら記憶喪失。病院側は顔の傷で生きているのがつらくなって自殺したんじゃないかと考えたようだがどうにも「死にたくない」が気にかかって、彼の身元を探ろうとした。
だが、そこに彼自身が待ったをかけた。支離滅裂だったが、どうやら自分が生きている事に《不都合が生じる》人達がいると記憶が無くなっても感じているらしく余り大っぴらに捜索をしてほしくないとのこと。事件の香りがプンプンしたが当時の俺は中学生。どうしようもなく彼の言う通りにするしかなかった。
そうなると困るのは俺と病院。病院は治療費を誰に請求すればいいのかということ。俺は彼の命を助けた以上ある程度自活できるまでは責任があるがどうすればいいかが分からない。結局、俺は記憶が戻ってから彼に返してもらうという事を条件に治療費を肩代わり。行政と司法に申請して仮の戸籍を得て彼は山梨の片田舎で生活を始めた。そこでさらに問題になったのは顔の火傷。俺は俺謹製の皮膚復活軟膏を彼にあげた(顔の火傷が元で本当に自殺されても目覚めが悪い)。
「貴方が生きていくサポートをする責任がありますから。でも全部消せるのにわずかに残しているのはどうしてなんです?」
「…なんでだろうな?この火傷を見ていると憎悪が湧いてくるんだ。だけどいつも最後にはなぜか温かい気持ちが、切ない気持ちが浮かぶ。それはボクの記憶のとても大事なことを司っているようでね。どうにもすべてを消す気にはなれなかった」
「…それじゃあ、記憶が戻ったら。前に進めたらいつか消せるかもしれませんね」
「……そうかもしれないね」
俺は沖縄で買ってきた魚をいくつか彼に渡して、写真を撮って東京へと帰ることにした。力づくで思い出させる手はないこと無いけど、防衛機構が働いて自発的に記憶を失ったのならどうせすぐ元に戻る。結局、自発的に戻るのを期待するしかないな……
――
「……それで?なんで東京に遊びに来ただけで事件に巻き込まれてるのかなぁ?ねえ、平ちゃん」
「しゃ、しゃーないやないか!こないなこと起こるやなんてわかりゃあせんわ!」
「せやせや。人のよさそうなおばちゃんやったし」
東京に戻ってきた俺は毛利探偵事務所の三階で紅葉とともに夕飯をごちそうになっていた。そして話を聞いてみると平ちゃんは脱税指南を行っていた汚職弁護士に拉致されたらしく、結構危なかったそうだ。
「全く。油断してたんじゃないかい?銃で武装した敵が複数人居ても素手で制圧できるように鍛えてあげようか?」
「あははは……遠慮しとくわ(てか、口ぶりからして龍斗は出来るんかい!)」
「あはは…(オレの幼馴染みはどこへ向かっているんだか…)そ、それで?龍斗にいちゃんは何しに行ってたの?紅葉ねーちゃんに聞いたら沖縄だって言ってたけど」
「せや!オレの事聞いたんやからお前の今日の行動も話さんかい!」
「いいけど…」
俺は皆に今日俺が訪れた場所、訪れた理由を話した…この話は紅葉以外は初耳なのでみんなびっくりしていた…そうだ。
「実はさ、山梨にいる男性なんだけど彼の身元どうにか分からないかな?当時は警察の世話になりたくないって話でそれを了承しちゃったけど今ここには探偵さんがいるし。どうかな?」
「うーん。龍斗君。その人の顔写真とかないかい?」
「えっと…」
俺はスマホを操作して二枚の画像を出す。一枚は俺が彼を助けてすぐの物。もう一枚は今日俺と一緒に撮ったものだ。
「俺が助けた当時と、今日の写真です」
「ふむ、確かに今龍斗君が着ている物と一緒だな…うお!こりゃあ…」
「はー。こりゃ派手な火傷跡やな。てかそっからここまで綺麗になるもんなんか?」
「ああ…皮膚移植をしたってここまで綺麗になるもんじゃねえ…元の写真を見るにかなり下の組織までやられているように見えるが…って、この前見たテレビで似たような事やってたよ!」
小五郎さんに渡した携帯を覗きこんでいた平ちゃんと新ちゃんが意見を述べていた。まあ新ちゃんはいつもの誤魔化し術を披露する羽目になったが。
「ふむ。まあこういう調べ物は探偵の仕事だな。ヒマな時にでも調べてみるよ」
「オレも」
「ありがとう、ふたりとも。そういえばさっきは話の腰を折っちゃったけど火傷といえば平ちゃんの方も燃やされそうになったんだって?」
「そうなんよ!危うく焼き殺される所やったんやから!」
「ええーー!?」
食事中にしては物騒な話をしつつ、明日の行動方針を話しながら久しぶりの蘭ちゃんの手料理に舌鼓を打った。
この話は「怪盗紳士の殺人」後まもなくの時間軸を想定しています。
伊藤邸訪問時に龍斗が同行するとすぐに解決してしまうので、前話も絡めて退場してもらいました。
結局、霧生鋭治も出してしまいましたが彼がどうなるかは一と再会してからですかね。これを書いたのは本編に書いていないところで龍斗は人助けを色々な所でしたんですよー、の一例を出しておきたかったからです…これを書いておけばプロット時点で見逃していた原作過去改変をこれからも書きやすいかな、と思いまして。
今回の事件(龍斗ノータッチ)が