いつもありがとうございます!誰かが読んでくれると言うのが何よりの力になっています。これからも頑張っていきますので応援のほど、よろしくお願いします!!
このお話は原作第39巻が元になっています。
活動報告に「ゼロの執行人」を見てきた感想?のようなものを書きました。映画未見の方でも大丈夫ですので是非。ネタバレ有の物は今日の夜にでも書きます。
「しっかし、よかったな」
「よかったって何がや?おっちゃん」
「あの悪徳弁護士が捕まって、家に火がつけられなかったことがだよ。下手したらこの辺で騒ぎになってる連続放火魔のせいにされて、あの弁護士も捕まらずオメーらは無駄に命を散らしてたかもしれなかったってな」
「放火魔?」
「今年の初めから都内で起きている連続放火事件の事よ。まだ犯人は捕まっていないって」
「最近は町内会で交代で見回りしましょう言う回覧板が回ってくるくらい皆警戒しとるんや。つい数日前には龍斗も伊織と一緒に回ったんやんな?」
「そうそう。
「連続っちゅうことは手口が同じなんか?偶然放火が続いただけとちゃうん?」
「いや、手口に統一性はないんだが現場にいつも同じ遺留物が見つかってな」
「おんなじ遺留物?」
「ああ。ドス黒い血のような色で全身を染め上げた、赤い馬の人形がな」
「あ、赤い馬?」
「なるほど…放火犯を意味する警察の隠語「アカウマ」を指してるっちゅうことか」
「え?平次、なんでアカウマが放火魔なん?」
「炎の燃える様子の形や色が赤い馬に見えるからそう言われるんや。他にもアカイヌやらアカネコやらいう事もあるらしいで。多分その放火犯はわざわざ火事場にその人形を置いて警察の事を挑発しとるんやろ?「俺は放火魔や!捕まえられるもんなら捕まえてみぃ!」ってな」
「まあ幸い、今起きている三件の火事では死人は出ていないそうだ。被害者によるとそんな馬の人形は買った覚えも貰った覚えもないってことで犯人の遺留物だってことは確定しているんだが…しっかし、オレが刑事をやっていた10年前ですらアカウマなんて隠語使ってなかったんだがなあ」
「それやったら、年配の刑事に昔の恨みがあってその人が刑事をやめる言うから最近になって挑発しとるんかもしれへんなあ。ほんで?その三つの放火の被害者にはなんか共通点があるんか?誰か特定の人物に恨みを買っとるとか」
「それがなあ。なーんにも繋がりがねえらしいんだよ。被害者同士も知り合いじゃねえし、職種もバラバラ。共通してんのは都内に住んでるってことくれえだな。住所もバラバラで確か一件目が梨善町一丁目、二件目が鳥矢町二丁目、三件目が奥穂町三丁目……」
「ほんなら次は、どっかの四丁目やな?」
「ああ、放火犯が面白がって規則的に住所をなぞってんじゃねえかって言われてる。無差別にどっかの四丁目に次は火をつけるんじゃねえかってことで警察は都内の四丁目を警戒してるって話だ」
「でも四丁目って言ってもいっぱいあるよねえ…」
「…ああ!さっき龍斗が言ってた規則性ってそういうことなんやな」
「まあね。俺の家は二丁目ですでに放火があった後なんだけど、犯人が捕まるまで警戒しておくことに越したことは無いしね」
「なるほどなぁ。でも四丁目か。そんなら狙われそうな怪しい家知っとるで」
「え?」
ん?関西住みで放火の事も知らなかった平ちゃんに心当たり?
「今日の事件でオレらと一緒に監禁されてボコボコにされた探偵の楠川さんに頼まれたんや、「夜中に家の周りで何かやっとる怪しい人影を見た人が杯戸町の四丁目にいてその調査を依頼されているんだが、俺の代わりに引き受けてくれないか」ってな。まあせっかく事件に遭遇したんやし、オレとおっさんと……」
新ちゃんの頭に手を置く平ちゃん。
「このガキ連れて明日その人の家に行ったるわ!」
おいおい、明日は買い物に行くんじゃなかったっけ?明後日は遊園地。まさか「わりぃ、事件だ」は新ちゃんだけでなくて平ちゃんもなのか。和葉ちゃんも苦労してそうだなあ…
「お父さんはいいけど、コナン君はダメよ」
「え?何でや?」
「だって、明日遠足だもの」
「……は?」
「だから、明日は帝丹小学校で遠足があるの」
「え、え、え、遠足やとぉおおぉお!?連続放火魔の手掛かりがつかめるかもしれへんっちゅうのに、呑気にお手手つないで遠足にいきさらすんか、このガキ!?」
「ガキって。平次…」
「コナン君はまだ子供ですよ?平次君」
「……お、おぅ。そう言えばそうやったな(こっわ~、龍斗に似てきたんとちゃうか?この姉ちゃん…)」
エキサイトしていた平ちゃんに一言で釘を刺した紅葉。心なしか平ちゃんがビビッているように見えるけど、そんなに怖いかね?可愛いじゃないか。
「でも天気は大丈夫か?さっきもパラパラ降ってきたが」
「大丈夫!これをかけておくから」
そう言って蘭ちゃんが出したのはちょっと古びたてるてる坊主。おおー、年季入ってるな。
「このてるてる坊主、新一の大事なサッカーの試合をいっつも晴れにしてくれたの。だから明日も大丈夫よ?コナン君」
「う、うん」
「もう、蘭ちゃん妬けるわー♡」
「ほんとほんと、もう夜になったのにあっついわぁ」
「もうやめてよ、二人とも!」
きゃいきゃいじゃれはじめたJK組。蘭ちゃんが手にした、てるてる坊主を憎々しげに見ている平ちゃん。はてさて、明日はどうなるかな……
あ、俺は勿論買い物に荷物持ちとして付き合いますよ?探偵のお仕事は探偵に。
――
「雨、降っとりますなあ……」
「そうだねえ。まあ、布団を持っていくから元々伊織さんに車を出してもらう事になっていたわけだし問題はないよ。明日雨だとまた話は違ってくるけど」
「明日はトロピカルランドやもんね」
お夕飯を頂いた後、明日(つまりは今日)の夜は毛利宅にお泊りしないかと和葉ちゃんから誘いを受けた。紅葉も乗り気で、蘭ちゃんもそうだったのだが俺達の分の布団がないことをすまなそうに言ってきた。それならば、と俺の家から布団を運ぶことになり車を出してもらうことになっていたのだ。まあ予報じゃ雨だったけどさ。
「じゃあ、平次君のお望み通り……」
「新ちゃんも駆り出されるだろうなあ」
「と、いうか平次君があのてるてる坊主になにかしたんとちゃいますか?なーんか、そないな気がします」
「俺もだよ……」
蘭ちゃん、オカルト系は弱いのにおまじないとかそういう物の効果がめっちゃ出る人だからなあ……
――
「ああ、やっぱり平ちゃんがてるてる坊主に何かしたんだ?」
「ああ。蘭がベランダに吊った時は外を向いてたのに朝には部屋側を向いてた。そのまま吊ったまんまにして出てきたけど……」
俺と新ちゃんは空を見る。蘭ちゃんの家に着いた朝は普通に降っていた雨だが、繁華街に出発、しばらく買い物をしていると…
「お天道様が顔を出しましたねぇ」
「ほんまや。綺麗に晴れてきたやん!蘭ちゃんのてるてる坊主、今頃効いて来たんとちゃう?」
「ほ、ほー?そら惜しかったなぁ。なあ?こ、こな、コナン君?」
「(いつか罰あたるな、こいつ)」
確かに今日の予報は一日中雨だったはずだからあのてるてる坊主が仕事したんだな。
「じゃあわたし達はもう少し買いものしてから帰るから、平次とオッチャンは探偵の仕事がんばってな!」
「オウ!」
ここでJK3人組と俺、探偵三人組に分かれる……一気に向こうの華が無くなったな…それにしても初めから調査に行くと思ってたけどちゃんと買い物に付き合ってから行くとは思わなかった。平ちゃん、なんかごめん。
「って、ちょっと待ちい!おい、龍斗!お前さんはこっちやろが!」
別れていこうとすると平ちゃんにストップをかけられた。なんだなんだ。
「へ?なんで?」
「なんで?ってそらあお前、こういうのは男は男、女は女やろうが(あと、お前の力があれば調査がしやすうなるからな!)」
「いやいや、ココは「探偵組」と「休日を謳歌する組」でしょうよ。俺は探偵って仕事には理解があるし、否が応にも巻き込まれるなら協力するけど今回みたいに「仕事!」ってことには気が向かないとついてかないよ。今回は気が向かないから俺はパス」
「い、いやそうやったとしてもや…そ、そや!くど、コナン君も説得してくれへんか?」
「いや、服部…にいちゃん。こういう時の龍斗にいちゃんは絶対意見を曲げないってお前も分かってるだろ?」
小五郎さんが居るからコナンモードで俺の性格の事を言う新ちゃん。でも甘いぞ?
「あん?なんでオメーが龍斗君の事をそんなに知ってんだ?」
「へ?あ、ああいやそれは…し、新一にいちゃんだよ!新一にいちゃんに聞いたんだ!」
「ほー?まあそういうこった。いくら幼馴染みだからといって無理やり龍斗君を付き合わせるもんじゃねえぞ!ほら、さっさと行くぞ探偵坊主!」
「はぁ~まあしゃあないか。今回は諦めたるわ」
「そうしてくれ。またいつかは捜査協力するからさ」
「約束やで?ほんなら、そっちは頼むわ」
「ああ。変な虫がつかないようにしっかりガードするよ」
「はは、最強のボディーガード付きの買い物だな。安心したか?服部」
「あん?」
「龍斗がこっちに来ないことに気づいたのは和葉ちゃんが心配でちら見したからだろ?ちなみに探偵事務所があるのは五丁目で、四丁目じゃねえからな?」
「な、、なな、べ、別に心配なんてしとらんわ!」
「じゃあ、俺は向こうに。夜は俺も手伝って美味しい物作って待ってるから。頑張って」
俺のより、美少女JK三人の手料理の方が価値ある気がするけどね。美味しいならなおさら。
俺はやいのやいの言い合っている二人を置いて待たせていたJK組に合流した。
「あ、お話は終わったんです?龍斗」
「ああ。そっちは何の話で盛り上がってるんだ?」
「ああ、ウチらな……」
「服部君とコナン君と龍斗君が仲良くて、和葉ちゃんが二人に嫉妬してるーって話♡」
「もう、蘭ちゃん!そうやないって言うてるやろ?」
「なるほど」
「なるほど、やない!龍斗君、ほんまにちゃうからね?」
「わかってるわかってる」
「ホンマにわかってる?あやしいなあ…」
「さあさ!お喋りは目的地に進みながらもできます!私らも出発しましょ」
「紅葉ちゃんの言う通りだね。えーっと、まずはどこに行くんだっけ?」
「えっと、服はあらかた買ったから…」
「確か、髪留め系のものを集めたショップじゃなかったっけ?和葉ちゃんのシュシュ、蘭ちゃんの稽古の時に使うゴム、それに紅葉はそこにあるピアスを見に行くって言ってたよね?」
「ああ!そやったそやった!!」
「龍斗君、よく聞こえてたね。コナン君たちと話してたのに」
まあ複数の情報を同時に聞いて理解するのはコツがいるけど難しい事ではないからね。
「何となく、楽しそうに話してたから耳に残ってただけだよ。さあ行こう。荷物持ちは任せてくれ」
「わあ、頼りになる♪」
「じゃあ、いっぱい買っちゃおうかな?」
「ウチも。これはめい一杯甘えてもええかな?」
どうぞ、どうぞ。それくらいは受け止めてやりますとも。今後の日常生活にダメージが入らない程度に買い物するといいよ。
目的のショップに行く途中に目に入ったブティックに寄り道をして和葉ちゃんは平ちゃんに似合いそうなTシャツを、蘭ちゃんはコナン君が気に入りそうなサッカーボールがデザインに入ったズボンを、俺は紅葉にもみじの葉がデザインに入ったシャツを買った。
「いいもん買えたなぁ!」
「ほんと!コナン君、気にいってくれるといいな……」
「せやね。龍斗、着てくれます?」
「着るのはやぶさかではないけど、今履いている下と合わないんじゃなかな」
「言われてみれば確かにそうやな。それじゃあまた今度やね」
「よし、じゃあ本来の目的地に行こう。ほら、ココからすぐ見えるよ…うん?」
俺達が本来目的地にしていた場所はこの店から出て50mほどの所にあった。
だが、俺は途中にある
「どないしました?」
「…いいや。なんでもないよ。さあ三人とも。行こう?」
「せやね!」
「いこいこ!」
「……?」
訝しる紅葉の背を押して、俺…俺達は目的のアクセサリーショップに向かった。
――
「いらっしゃいま、せー……」
そこは女性向けのアクセサリーを集めた専門ショップだった。店内には装飾された髪を留めるピン、花柄を始めとした多種多様な模様の入ったシュシュ、バレッタ、カチューシャなどが中央に所狭しと並べられていた。壁を見てみると、そこにはまた様々な種類のピアスやイヤリング飾られ、店の奥には指輪やネックレスもあった。休日のお昼過ぎとのこともあって、店内には中高生の女の子やカップルの姿がそれなりの数見受けられる。
そこに勤める女性店員は新たに入ってきた客を迎えるために常日頃から言い続けてもはや条件反射的に声を上げ、そちらに顔を向けた。そして、いつもならとちらない繰り返した言葉を途中で詰まらせてしまった。
入ってきたのは、190に届こうかという位の長身の男性。少々キツイと思われてしまう目元だが、後から入ってくる女性に笑みを向けている姿は十人が十人整っているというだろう。
その連れの高校生くらいの女性三人も中々に整った容姿で、店員の声が一瞬途切れたことで出入り口に目を向けた店にいた客も驚いた様子だった。
「えっと、どないしたんやろ?」
「みんなこっち見てるね…」
「なにかやりましたやろか?」
「普通に、ベルが鳴ったからこっちを見たとかじゃないかな?さてとりあえず髪留め用のアクセがまとめられている所にいこっか」
「そうだね」
自分たちの容姿が注目されていることに気づいていない四人。彼らはとある一角に向かい、お互いに似合うアクセサリーを合わせあった。
そんな様子に、注目していた他の客も自分たちの買い物に戻り、店員も我に返って自分の職務に戻っていた。男の方は、しばらく女性三人に付き合っていたが何かを伝えて、手に持っていた荷物を彼女らに預けて店の外に出て行ってしまった。
彼女たちは出ていく男の姿を見送った後、再びショッピングへと戻った。
「私はこれにしよっと」
長い黒髪を下した女の子は飾りっけのないシンプルなヘアゴムを手にしていた。
「うーん…」
「どうしたの?和葉ちゃん」
「いやな?これ欲しいんやけど」
「へえ。誕生石の色をモチーフにしたシュシュ?この色が和葉ちゃんの誕生月のなの?」
「ち、違うんよ」
「え?違うの?」
自身の誕生日とは違う色の選んだ和葉。その顔は少々赤らんでいた。
「あ」
「え?分かったの、紅葉ちゃん」
「分かったというか、勘なんですけど。その色って平次君の誕生月の色なんとちゃいます?」
「!!」
「ああ!なるほど、服部君の!…へ、ヘアゴムにもそう言うのはないかな…確か、新一は五月だからエメラルド……」
「あ、ちょっと蘭ちゃん!…いってもうた……」
「そういえば和葉ちゃん何かなやんどったみたいやけどどないしたん?」
「え?あ、それはな…多分蘭ちゃんも同じ問題にぶつかるからそん時いうわ」
「??」
ヘアゴムのコーナーに蘭が向かって10分ほど。お目当ての物を見つけたらしく、二人の元へと戻ってきた。
「蘭ちゃん、みつけられました?」
「うん。見つけたのはいいんだけど…」
「けど?」
「高いんやろ?」
「え?」
「そうなの。ヘアゴムに出すにはちょっと…」
「ウチも、結構買い物しとったし手を出すには尻込みする値段なんよね……」
「ああ、そういうことですか」
2人が持つヘアアクセサリーは通常の物よりやや値段が張っていた。彼女たちの手にある荷物を見るにここに来るまでにも買い物を重ねていたのだろう。
「でも欲しい…(さっき、龍斗君に紅葉柄の物を贈っているのを見て「これや!」と思ったんやけどなあ。平次に贈るのもええけど平次を感じられるものを身に着けとくいうのもありやと思て選んだんやけど…ちょっと厳しい)」
「そだね……でも今日は諦めるしかないかなあ」
「そやなー…」
「何を諦めるって?」
「「「龍斗((君))!?」」」
しょんぼりしている二人の後ろから声を買えたのは20分ほど前に店から出て行った男性だった……なぜかその体に香ばしい香りをたずさえて。
――
「龍斗!どこ行って…なにやら美味しそうな香りを身にまとってますな?」
ああ、やっぱり匂いが移っているか。荷物を三人に預けて正解だった。
「ほら、さっきのブティックからココに来るまでに中華のお店があっただろ?そこでさ、「100人前餃子!30分で完食出来たら10万円」ってやってる張り紙が見えたから。それに挑戦してきた」
俺はそう言いながら、賞金と書かれた封筒を三人に見せる。一時間100個とかなら見たことあったけど100
「ええ!?すごいやん龍斗君!そないな大食いの特技なんてあったんや!」
「私も初めて聞いたかも…あれ、そういえば小学校の頃の給食でうちのクラスが一年間残飯0で表彰されるって言うのが六年間続いてたけど、あれってもしかして……」
「ああ、あれ。俺が全部食べてたよ」
トリコ世界出身の俺にしてみれば、餃子600個の大食いなんて大食いには入らないしね。15分で平らげて見せたら店長も店にいた客も唖然としてたからな。呆然としている隙にさっさと賞金を貰って退散してきたわけだ。
「(全然お腹でとらん…どないなってんねん)そ、それで?なんでそないなことしてきたん?龍斗君、お金にこまっとらんやろ?」
「うーん。まあ俺はね。でも二人は違うんじゃない?」
「「え?」」
実はさっきのブティックに寄った時二人の財布の中が見えてしまい、アクセサリーショップでもしかしたら足りないんじゃないかと思ったわけだ。紅葉の方は
そのことを二人に説明すると、渋々ながら欲しがっていたものを俺に渡してきた。どうしてそれが欲しくなったかの事情を聴いた俺はここで買うつもりだった紅葉のピアスを今の俺の根幹を支えている「龍」をアレンジしたものを作って贈ることにした。
――
「あんがとなあ、龍斗君」
「いやいや。ああいうお金はぱっと使うのが一番なのさ」
「それにしたってこんなに食材を買わなくても…」
俺だけではなく、女の子たちの手にもそれなりの荷物があった。いくらどんな重さもてると言っても、つぶしてはいけないモノや天井で突っかかってしまうので限界はある。特に今載っているようなバスのような場所では。
「きゃ…!」
「っと、大丈夫?」
「うん、ありがとう。龍斗君」
「ちょっと込み合ってきたし、しっかりバランスを取らないとね」
「あのぉ…」
「うん?」
俺達がバスの揺れについて話していると、座席に座っていた優しそうなおじさんが俺達に声をかけてきた。
「に、荷物が重そうだから席を譲るよ。そっちのお兄さんは立ったままになっちゃうけど…」
「え、でも…」
「いいからいいから」
断ろうとする声を遮り、さっさと立ってしまったおじさん。これは、躊躇している方が迷惑になるな。
「折角だ。譲ってもらおうよ」
「おおきにな、おっちゃん」
「ありがとうございます」
「ありがとうぉ」
「すみません、ありがとうございます」
「いえいえ…あ、でもそこ二人席だから二人しか座れないね…どうしよう」
「あ、大丈夫やで。ウチら三人とも細いから詰めれば三人で座れると思う!」
そう言って奥に和葉ちゃん、真ん中に紅葉、通路側に蘭ちゃんが座った。
「(うわ…服越しに見て知っとったけど)」
「(密着してるから余計に分かる…)」
「「(紅葉ちゃん、大きい…)」」
…うわあ。密着してるからお互いの
「ほ、ほら。座れたやろ?」
「ほ、ほんとだね…ねえ、君たちはどこに住んでいるんだい?」
んー?言葉だけ聞いたらナンパみたいだけどおじさんの様子からはそんな気配は微塵も感じられないし、どういうことだ?
「えー、オッチャンうちらをナンパしとるん?ダメやでー、そんなことしとったら横のお兄さんが鬼になってまうから」
「ち、違うよ!実は杯戸町のほうで骨董品店をやってるから…」
「あ、杯戸町なら近いです!私の家、米花町五丁目だから」
「!!そ、そっか。五丁目…じゃあ、このカタログとキーホルダーをあげるからぜひ来てね?約束だよ」
彼は座ってる彼女たちにその二つを渡すと、次のバス停で降りて行った。俺はその後目的のバス停に着くまで彼女たちを上から眼福だが、幼馴染みのお兄さん的立場の威厳を保つための試練となった光景を見続ける事となる…
――
時刻は八時。JK三人組と俺の力作が机に所狭しと並べてあるが、探偵三人は帰ってこない。
「コラ!平次!?なにしてんの!せっかくの夜ごはんが冷めてしもうてるやん。今どこにいてんの?うん…はあ?用事は済んだから帰る言うとったやないか。なんでとんぼ返りしとるん!?……え?ちょっと!……切れてしもた」
どうやら、平ちゃんたちが張っていた家が放火の被害にあったらしくその現場に立ち会うために帰りが遅くなると言う。
しょうがないので、三人の分は残して俺達は四人で夕飯を食べることにした……うん、みんな上手だな。いいお嫁さんになれるよ。
夕飯が終わり、まったりとTVをみながら雑談した後、俺は食器洗いが終わり次第シャワーを先に借りることにした。彼女たちは今日の戦利品を改めて見せ合うそうだ。
手早く、食器を洗いシャワーを借りた俺は三人に風呂が空いたことを伝え風呂上がりのフルーツシャーベットの準備を進めた。
三人があがり、シャーベットを食べてもらったり明日の予定を確認し合ったりしているとあっという間に11時を回ってしまった。
「アカン、もう11時回ってしもた!!」
「帰ってきませんねえ…」
「これはもう本当に先に寝ることになりそうだな」
「明日は皆でトロピカルランドやっちゅうのに帰ってこないつもりなんやろか」
「お父さんも一緒だからってコナン君連れて何やってるんだか」
歯磨きをしながら帰ってこない三人に思いをはせる俺達。と、いうか体は小学生なのに新ちゃんは良く夜更かしできるなあ。
「もうあんな連中ほっといて寝よ寝よ!おやすみぃ、龍斗君」
「あ、龍斗君はお父さんの部屋を使ってね」
「わかった」
「じゃあおやすみなあ、龍斗」
俺は小五郎さんの部屋へ、他の三人は蘭ちゃんの部屋に移動して寝ることになった……俺は寝ずの番になるのかな?
――
俺達が寝る、と決めてから一時間。毛利家の電話が鳴った。電話は小五郎さんからで皆起きて応対した。まだ帰ってこないことにぷりぷりと怒っていた蘭ちゃんだったが小五郎さんに今日貰ったキーホルダーの話をしたところ、彼らは泡食った様子ですぐに戻ると言って電話が切れた。
「そんで?おっちゃんなんやって?」
「うん…なんかすぐ戻るから家で大人しく待ってろって」
……おいおい、なんで扉の外にいるんだ。紅葉も気づいているのか、不安そうな顔をしている。
「龍斗……」
「大丈夫。かなり緊張しているけど、危害を加える前兆の気配は感じられないよ」
和葉ちゃんも気づいているようだが…え?
「え?呼び鈴?」
「こんな時間に?誰やろ…」
「龍斗…」
「ああ…蘭ちゃん、和葉ちゃんも。下がって。俺が出る」
「「う、うん」」
玄関を開けると、バスの席を譲ってくれたおじさんがいた。彼は俺達を見るなり、バスでくれたキーホルダーを返してくれと言ってきた。理由を聞くと泣き出して、連続放火をほのめかす発言を繰り返すので仕方なく110番通報をした。
警察がつき、彼が連行される段階になって平ちゃんたちは戻ってきた。事情を話している俺達を尻目に、見知らぬ刑事が彼…玄田さんが自供したことが信じられないような叫びをあげていた。
「はあ!?晩飯ないのか!?」
「うん…え?食べてないの?」
「だって7人分だろ!?」
「せやかて頭に来たんだもん!まあ、龍斗君なんて夕方に餃子600個食べた後やのにパクパク美味しそうに食べてくれるから…」
「ついついよそっちゃって…」
ああ。だから俺の取り皿にはいつも何かしらのおかずがのってたのか。
「は、え?600?…はあ!?」
あ、そこに引っかかるのか。何やらびっくりした顔でこちらを見られるが、そんなもの今証明できないし曖昧な笑みを浮かべるしかない。結局、小五郎さんは喫茶ポアロの店長に何かを作ってもらう事にしていた。
……うん?探偵幼馴染みズは何かひらめいた顔をしているみたいだけどどうしたんだ?
――
翌日玄田のおっちゃんが犯人というのはおかしいと言う結論の元、もう一度現場を見直したいと平ちゃんが言い出した。どうやら玄田さんと被害者(昨日の四件目で死者が出た)周りには彼が自分を犯人だと思い込まさせられる職業の人ばっかりらしい。そら怪しむわな。
結局トロピカルランド行きは諦め、現場を訪れることになった。そこで昨日叫んでいた火災犯係の刑事、弓長警部と合流した。
玄田さんは黙秘を続けているらしい。と、いうか自分が犯人だと思ってはいるもののどうやって犯行を行ったか「分からない」の一点張りだそうだ。これは本当にマインドコントロールされてる可能性が高そうだ。
弓長警部は被害者周りの人物を詳しく探偵組に教えていた……ふむ、灯油の臭いがするからそこが発火場所かな。
俺はこっそりと灯油の臭いがする部屋に忍び込んだ。うーん、ココから感じられる臭いは2つ。どちらも玄田さんの物じゃないな…他の関係者と合わないと犯人は特定できないなあ…うん?
「平ちゃん、新ちゃん?どこから入ってきてんの」
「「た、龍斗!?」」
隣の家の塀から飛び込んできた2人。どうやらここが発火場所で間違いないらしい。そして、この部屋の痕跡からアリバイがあろうがなかろうが火をつけられる装置がここに仕掛けられていたことを突き止めていた。
そのことを弓長警部に話したところ、その話に納得して積極的に協力してくれるようになった。新ちゃんたちは犯人の証拠をつかむために玄田さんの家に向かいたいと提案しその通りになった。
玄田さんの家に着き、JK三人組は車に残して俺達は家の中に入ることとなった。
「今度は一緒に来てもらうで?龍斗」
「はいはい……」
「…なあ。そこの坊主はまあ分かるがそこの兄ちゃんも連れて行く意味あるのか?」
「おうよ!龍斗は発火場所知らないのに一直線にそこに向かうほど感覚が鋭いんや!オレらが気づかないことに気づいてくれるはずや」
「ほぉ…」
半信半疑の弓長警部だったが、それ以上は何も言わずに家の中に入った。
そこまで言われると俺もその気になるわけで…感覚を開いて家の中に入ると。
「ちょっと待って」
「??なんや龍斗」
「そこの壷の中、盗聴器があるよ」
「「「はあ!?」」」
「ほ、ほんとだ。あるよ!」
「ま、まじかよ…」
いやーな電波を発してるからすぐに分かるんだよね、盗聴器。
「こりゃ、前言撤回だわ。すげえなあんた」
「どうも。とりあえず回ろう」
「オウ!」
その後電話機、水晶の下に敷いてあった座布団から盗聴器を二つ見つけ、さらには証拠に繋がるものを被害者が握っていたことから真犯人も分かった。だが、立件するには犯人とされる玄田さんがいることが障害になっていた。
「それやったら…」
「犯人を罠にかける、良い手があるよ?」
――
犯人は四件目の被害者の旦那さん。動機は反対されていた家を潰して病院を建てる事を家を燃やして達成したかった、と……ひでえな。
そうそう、弓長警部が玄田さんを放火魔じゃないと信じていたのは彼が火事の原因になるタバコを雨が降ってくるまで探している姿を見たから、だったそうだ。新犯人が捕まったことで玄田さんは解放され、約束通り彼の骨董品店に来ているのだが…
「おっちゃん!もうちょっと負けてぇな!せっかくあんたを元気づけたろうと思て買いにきとるんやで?」
「でも、その時計は有名な細工師のもので…」
「なんぼ有名かて今時手でネジ回さんと動かへん時計なんて売れへんやろ?なあ、おっちゃん頼むで?」
「ちょっと平次、はよせな帰りの飛行機に間にあわへんよ…おっちゃん。その時計はもうそのままでまけんでもええわ」
「「え?」」
「そんかわり、これも買うからおまけにこれつけたってーな!」
「……えええぇええぇえ!?」
そう言って和葉ちゃんが指差したのは200万の指輪。それを見た俺と紅葉は顔を見合わせてため息をついた。蘭ちゃんや新ちゃんも同様だ。
「和葉ちゃん…」
「いくらなんでもそれはあこぎすぎます…」
「(まったくだぜ…オメーら本当にそれで元気付けてるつもりかよ……)」
平次と和葉の誕生月が別なのはオリ設定です。公式でも言及されていない…はず。盗聴器のくだりは変更しました。流石に工藤と言っているのはどうなのかと思いまして。
そして謎の三人称。女性陣の誰かの視点でもよかったんですけどね。いつぶりでしょうか。宮野志保(龍斗の変装)の飛び降り以来?世紀末以来?
龍斗の餃子大食いは余裕でギネス記録な気がしますが逃げるように出て行ったのでちょっとした騒ぎにはなりますが龍斗が達成したとは世間に伝わりません。時間が経つと都市伝説に……(都市伝説ネタの布石)
バスの二人席に紅葉を真ん中に三人で座る。これを書きたいがためにこの原作を採用しました(オイ