名探偵と料理人   作:げんじー

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このお話は原作第43巻の一部をお借りしてほぼオリジナルの内容になっています。

長らく更新が滞っていて申し訳ありません。
リアルの方が忙しいことになり、中々執筆できていません。しばらく不定期になりそうですが温かい目で見て頂けるとありがたいです。

それではどうぞ!


第六十六話 -どっちの推理ショー(?)-

「よう、久しぶりやなあ!」

こっち(東京)で会うのは……赤馬の事件以来だっけ?」

「紅葉ちゃんもお久しゅう!今日は和装なんやね。きれー」

「ありがと、和葉ちゃん。さっき贔屓にしている呉服屋さんから受け取ったばかりなんよ」

「ホントいい生地。柄は金魚?これから夏に突入するし涼しげでいいね!」

 

とある日の放課後。帰宅している最中に蘭ちゃんから平ちゃんと和葉ちゃんが大阪から遊びに来ることを突然告げられた。事前にそんな話を聞いていなかった俺と紅葉はビックリしたが蘭ちゃんが平ちゃんから(俺と紅葉に)伝えておいてほしいことをすっかり忘れていたからこのタイミングになったそうだ。

俺と紅葉は紅葉の用事が終われば放課後空いていたので、一旦帰宅してから着替えを済まして今探偵事務所に合流したところだ。

 

「おっし、これで後はくど…あのボウズを待つだけやな」

「そうなるね……でも」

「ん?なんや龍斗、おかしなことでもあったか?」

「小学生の帰宅を待つ平日の高校生って中々レアだなあと思ってね」

「そう言われてみれば……」

 

俺の言った一言に俺と話していた平ちゃんだけではなく、三人で話していた蘭ちゃんたちもこちらを向いた。

 

「フツーなら小学生の方がはよう帰るもんやもんな」

「子供は風の子、ようけ遊ぶのが仕事のようなものですもんな」

「でも今回は特別だよね?」

「せやな、オレんとこ(大阪組)そっち(東京組)も期末が終わって丁度半チャンでおわっとったさかいにこないな時間になっただけやしな」

「そういう偶然も合わせてレアだなってね」

「せやな。そういえば……」

 

そんなくだらない、なんでもない雑談を重ねているといつの間にやら探偵事務所内にも子供たちの賑やかな笑い声が聞こえてきた。

 

「久しぶりに会うと話の話題が尽きないやんなあ。いつの間にかこないな時間になってもうてん」

「そうですねぇ。お外の方でも賑やかな声が聞こえてきましたしそろそろ帰ってくるんとちゃいます?」

「そうだね、いつもならそろそろ……あ!」

「あ?どうした、蘭?」

「コナン君にも今日服部君たちが来ること伝えてなかったからもしかしたら今日探偵団の子たちとサッカーとか博士の家に遊びに行ってるかも!」

「なんやて?!」

「そらかなんなあ、蘭ちゃん…」

「ごめんなさい…今日、コナン君携帯置いて行ったみたいで連絡取りようもないし」

「……龍斗?」

「分かった。ちょっと待って」

 

俺は感覚を広げて新ちゃんが今どこにいるかを探ろう…としたがする必要もなかった。彼はなぜかうきうきした感情をうかばせながら真っ直ぐ探偵事務所まで走っていたからだ。

 

「とりあえず、いつもの時間が過ぎるまで待ってみようよ。帰ってくるかもしれないし」

「(なるほど、新一君はまっすぐ帰ってきてるんやね)龍斗の言う通りやね。いつもより遅う時間になったら博士や探偵団の子たちに電話してみればええんや。ウチらもそない時間に追われとるわけやないんやし」

「確かに、そない急がんでもええ事やったね。ウチもせかすような事言うてゴメンな。蘭ちゃんも気にせんと、ドーンッとまっとき!」

「せやせや!それに()()ボウズが今日外で遊ぶなんてありえへんしな!」

「え?それってどういう…」

「あ!帰ってきたんとちゃう?」

 

俺の言葉は探偵事務所の階段を駆け上がる音に気づいた和葉ちゃんの言葉にかき消された。

皆が探偵事務所の扉の方へ注視していると間もなくして。

 

―がちゃ!

 

「ただい……ま…」

「「「「「お帰りー!」」」」」

「え?」

「おっしゃ!ボウズも帰ってきたし、どっか美味いもんでも食いにいこか!」

「そうだな、まだ時間も早いしちょっと足を延ばしても問題なさそうだ!」

「でもよかったー、コナン君が帰ってきて!」

「良かったね、蘭ちゃん!」

「美味しそうなお店なら俺にお任せあれ。どんなものが食べたいか教えてくれたらいい所考えるよ」

「それええな!蘭ちゃん、紅葉ちゃん、何か食べたいのある?」

「うーん…」

「せやねえ。今日の朝は龍斗の和食、お昼は担担麺やったし…」

「た、担担麺?」

「そうなのよ……世界大会で優勝してから龍斗君はっちゃけちゃって。週一とかで先生の許可とって家庭室借りてお昼を作るようになってねー。器と材料費だけで高くても400円くらいで食べられるって言うから学級の皆だけじゃなくて先生方も協力しちゃって。それが担担麺だったの」

 

本当は友達内だけで振る舞おうと思ってやっていただけなんだけどね。いつの間にやら噂になって結構大事になってるんだけど……まあそれはいいか。帝丹高校が私立でそこそこ自由がきいたこととやっぱり美味しいものは偉大だったという事で。

 

「そんで?何が食べたいんや?言うてみ?お姉ちゃんたちに遠慮せんと、和食でも中華でもなんでも龍斗おにいちゃんがええ店教えてくれるで?」

「(こいつ……完全にガキ扱いしていやがる…)パス…」

 

冷めた目で子供に言い聞かせる様子の平ちゃんを見ていた新ちゃんはぼそりと呟いた。

 

「パス…パスタ?イタメシか?」

「え?」

「あー、それなら確か杯戸町に新しいお店が出来てたな。値段の割にいい仕事してそうな当たりのお店っぽいからそこかな?」

「それって前に龍斗君が言ってたところだよね。結構おしゃれで美味しかったって他の子たちも言ってたし!」

「そんならそこにしよ!」

「そうだな、杯戸町なら歩いてでもいけるし…」

「よっしゃ、決まりやな!」

「………」

「…まあ、道中説明するよ」

 

とんとん拍子で話が決まっていく様を呆然とした様子で見ていた新ちゃんの肩を俺はそっと叩いた。

 

 

――

 

 

「ふぅ、っごっつぉーさん!」

「いやあ、龍斗君のおススメに外れはないな!たまには本格的なすぱげっちーっていうのもいいもんだな!」

「ホント、ここにして正解だったね!」

「そうだねー!…で?」

「ん?」

「龍斗にいちゃんと紅葉ねーちゃんははいいとして。何しに来たの?和葉姉ちゃんとこの」

 

「色黒男?」

「い、色黒?」

「コラ!…ははは、ちょーっとこの坊主と龍斗とで話があるからな?」

 

そう言って俺と新ちゃんを連れて席を離れる平ちゃん。

 

「何やその態度!?季節外れのハロウィンの時オレが変装して助けたんを忘れたんとちゃうやろな?」

「ああ、ありがたく思っているけど…それは京都の源氏蛍の事件でチャラになっただろ?」

「は?オマエそないなこと考えてたんか?」

「確かに新ちゃんが平ちゃんに化けて時間かせいでたね」

「でも工藤の場合はチャラにならへんやろ?むしろもう一個オレに借りが出来たんとちゃうか?」

「借り?なんのだよ」

あの事件(源氏蛍の件)があったお蔭であの姉ちゃん(蘭ちゃん)と元の姿で逢引き出来たやろ?あれはオレに対して立派な借りやろうが!」

「あ、逢引きなんてしてねえよ!」

 

はー、なるほど。新ちゃんの意志で事件に突っ込んだわけだけどその解決策で元の新ちゃんの姿になったことも大元をただせば平ちゃんのお蔭……って屁理屈すぎないか?

 

「っはあ。オメー、オレが違うって言ってもその意見は変えねえつもりだな?」

「そら、もちろん♪」

「分かった分かった!オレの借り1でいいよ。でもそれとこれとは話が別だぜ?いきなりアポなしできやがって。こっちにはこっちの予定があったって言うのによ。龍斗達まで巻き込みやがって」

「(アポなしになったのはあの姉ちゃんのポカなんやけど…まあ言わんがええか)そやそや予定や。お前らの予定聴いてちゃんとスケジュール相談したろと思てわざわざ来たんやで?」

「スケジュール?」

「ホラ、もうすぐ夏休みやん。夏には夏の大阪のええところがあるし招待したいなあって!」

「大阪のいい所って?」

「そっら勿論!」

「大阪名物!」

「宝塚!!」「甲子園!!」

「「え?」」

「た、宝塚ぁ~?」

「甲子園~?」

(ねえねえ新ちゃん。あの二つのやる場所って)

(ああ、どっちも兵庫県だ)

「アタシ、甲子園に行くなんて一言も聞いてへんで?」

「オレも宝塚なんて寝耳に水や!」

「アタシ言うとったやん。近所のおばちゃんからチケット貰うんやって」

「そう言えばそないなことを横でごちゃごちゃいうとったような…」

「それなら両方行けばいいんじゃねえか?オレの仕事(探偵業)はいくらでも都合がつくし」

「そうやな!オレがみんなと見たいんは高校野球の決勝戦だけやし」

「え?……アカン。両方行くんは無理や…」

「え?どうして?(どうしてです?)」

「おい和葉。もしかしてチケット貰うんいうおばはんてあの五人組の事か!?」

「どーいうこと?平次兄ちゃん」

「近所にな、宝塚好きで有名なおばはん連中がおんねん。龍斗もオレん家に遊びに来た時に会うたことあるやろ?あの戦隊モノの五色の服をそれぞれきとった……」

「あー、そういえば。平ちゃんと外で遊んでいる時に飴とかジュースとか貰ったことあるね」

 

服というか、シャツだったり帽子だったり鞄だったりで別々だったけど。平ちゃんに言われて確かに戦隊もののイメージカラーにだなあと思ったから覚えてる。あとすっごいTHE・大阪のおばちゃん、てことも。

 

「ほんで一年間ためた金つぎ込んで八月のある期間中ぶっ続けで宝塚見てるらしいんやけど一日だけ折角買うたチケットを使われん日があるんや」

「おい、それってまさか」

「甲子園の決勝戦!?」

「うん…なんか五人が勤めてる会社の会長さんが高校野球好きで、甲子園やっている間は会社を休みにしてくれはるらしいんやけど、決勝戦だけは毎年社員全員で見る事になってて決勝戦の日のチケットを譲ってもらう約束しててん」

「(なるほど。甲子園の決勝戦だけ買わないようにしたくても、雨天や延長戦とかがあれば事前発表の日程通りに決勝戦が行われねえから決勝戦当日のチケットも買うしかねえって事か)」

「まあしゃあないわな。ここは和葉がひいとけや。宝塚なら何べんでも同じものやってるけど夏の甲子園の決勝は一年で一回きりの真剣勝負なんやから…」

「なにいうとるの?高校野球なんてあとでテレビでなんぼでも見れるやん。宝塚のあんなええ席、普通の人やったら絶対手に入らへんで!」

 

……多分、手に入れようと思えばできそうなのが和葉ちゃんの知り合いに最低三人(俺・紅葉・園子ちゃん)いるけどね。それに和葉ちゃんは皆を招待したい!って気持ちに水を差しちゃうから言わないけど。

 

「アホ!野球は生で球場で見るのが一番にきまっとるやろ!ニュースで結果だけ見てどないすんねん!」

「宝塚かて、生が一番にきまってるやんか!なあ、蘭ちゃん、紅葉ちゃん!二人も炎天下の中あせだらっだらかきながら見る野球より宝塚の方がええよなー?」

「ええっと…」

「そ、そうですね…」

「おいコラボウズ、それに龍斗……男は血沸き肉躍る意地と意地のぶつかり合い、野球にきまっとるやろな…?」

「そ、そだね…」

「まあ、そっちのが好みだけど…」

「ほんならオッチャンは?」

「そうだなあ、ココは熱血系の甲子園…いや華やかな情熱、宝塚も悪くないような…」

 

「「どっちや!?」」

 

「じゃ、じゃあこうしよう…推理ショーで勝った方のおススメの場所へ行くってことで…」

 

はい?

 

 

――

 

 

小五郎さんが提案したのは未解決事件の事件現場が近くにあるのでその事件を解決した方のおススメに行くのはどうかという事だった。元々彼は食事が終われば一人でそこに向かうつもりだったらしい。

まあそんなこんなで《彼らは》事件現場に行って見事事件を解決したそうだ。

 

『たく、あそこでバックれるなんて普通ないやろうに』

「まあまあ。事件現場に遭遇するならともかくわざわざ起きた現場に向かう人たちから離脱するってのは俺の今まで言ってきたことに反していないと思うけど?」

 

俺はともかく、最近の紅葉は自分の成長におっかなびっくりな所があるからね。そんな状態の彼女を殺人現場に連れて行くわけにはいかない。

 

『そらそうなんやけどなあ……まあええわ。取りあえず甲子園になったからそのつもりでおってな』

「……なんか、せっかく行けるのに嬉しそうではなさそうだね?」

『ま、こっちも色々あったんや。察しろ』

 

うーん?行きたいって言っていたところに行けるのに気落ちしてるならそれ以上の事でへこむことがあったってこと…俺達と別れて短時間でそうなるのは……和葉ちゃん絡みかな?

 

「ねえ、平ちゃん」

『?なんや龍斗』

「二つ、お願いを聞いてくれたらもしかしたら何とかなるかもよ?」

『??なんやそれ?抽象的すぎてわけわからん。順序立てて話してみぃ』

「うん、つまりね……」

 

 

 

 

 

とりあえず、甲子園の決勝か。野球見に行くのは初めてだから楽しみだ。

 




龍斗と平次が電話していると同時期に↓

「もしもし和葉ちゃん?」
『あ、紅葉ちゃん?ごめんなあ、負けてもうた…』
「そうなんですか……でも、それにしてはあんまり声が沈んでいませんね?」
『え?!え!?そ、そないなことないよ!!?』
「……はっはーん、さては事件解決したのは服部君やな?」
『えええええー!?なんでわかったん!?』
「ああ、やっぱり。だって宝塚に招待したい!って息巻いてた和葉ちゃんがいけなくなったのに落ち込んでないのは服部君のカッコええとこ見てきゅんとしてたからやろ?」
『そ、そないなわけないやん!大体平次はな……』

みたいな会話が裏であったり。
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